こんにちは!メタバース相談室です。
最近、物流業界でVRやARが多く導入されていることはご存じでしょうか。
今回はVR・AR導入におけるメリットや活用事例を詳しく紹介していきたいと思います。
目次
|物流業界の課題
VR・ARのメリットの前にまず物流業界ではどのようなことが課題となっているのか整理していきたいと思います。
物流業界では、人手不足、小口配送増加による非効率化、深夜・長時間労働という3つの大きな課題を抱えております。
この課題について1つずつ説明していきます。
人手不足
物流業界において現在最も深刻な問題の1つは、人手不足です。
この問題は、労働力の減少によって引き起こされます。
人口が減少し、高齢化が進むことによって、労働力が不足することが予想されています。
また、コロナ禍による入国制限や人材流動性の低下なども、人手不足を悪化させる要因となっています。
このような状況下で、物流業界における人手不足は、物流センターや倉庫、運送会社などの業務に大きな影響を与えています。
具体的には、従業員不足による業務遅延や、運送トラブルの発生などが挙げられます。
また、従業員不足によって、長時間労働や過重労働が発生することがあります。
このため、労働環境の改善が求められております。
小口配送増加による非効率化
近年、EC(電子商取引)市場の拡大に伴い、小口配送の需要が急速に増加しています。
しかし、小口配送は、大口配送と比較して、労力と時間の浪費が多く、非効率的であるという問題があります。
まず、小口配送は荷物の取扱いが多く、配達先も多数あるため、配送ルートの最適化が困難です。
また、配送トラックの容量も小さいため、荷物を効率的に積み込むことが難しいため、配送時間が増え、配送コストが上昇することがあります。
さらに、小口配送では、配送先が個人宅であることが多く、不在の場合や再配達が必要な場合が多いため、労力と時間がかかります。
また、運転手の配送エリアが広くなるため、運転手の労働環境の悪化も懸念されます。
以上のように、小口配送の増加は、配送ルートの最適化、荷物の積載効率、配達時間の短縮、再配達回数の削減など、多くの課題を生じさせます。
これらの課題を解決するためには、デジタル技術の活用や物流システムの改善など、様々な施策が必要とされています。
深夜・長時間労働
物流業界では、配送業務が深夜や早朝に行われることが多く、長時間労働が課題となっています。これは、以下のような理由が挙げられます。
まず、EC市場の急激な拡大により、配送の需要が増加していることが挙げられます。
配送業者は、配達の時間帯を確保するために、深夜や早朝にも配達を行う必要があります。
また、個人宅への配送が増えたことにより、配達時間の確保が困難になり、深夜や早朝に配送を行うことが増えています。
さらに、長時間労働は、物流業界において深刻な問題となっています。
運転手や荷役作業員は、荷物の積み下ろしや配達など、肉体的にも負担の大きな業務を担当しており、疲労やストレスが蓄積されやすく、安全面や健康面のリスクがあります。
このような深夜・長時間労働を解決するためには、物流業界全体の労働環境の改善が求められています。
具体的には、労働時間の短縮や適正な賃金の支払い、健康管理の充実など、運転手や荷役作業員の待遇改善が必要です。
また、自動運転技術の発展や物流システムの改善など、デジタル技術の活用も重要です。
これらの取り組みによって、深夜・長時間労働の解消と、安全で健康的な労働環境の実現が期待されます。
|物流業界におけるVR・AR導入のメリット
このように物流業界では様々な課題が現状残っています。
このような課題を解決する一つの方法として、VR・ARの導入があります。
これらを導入することによる利点を説明していきたいと思います。
業務効率の向上
まず、VR・ARを活用することで、物流倉庫内での作業効率が向上します。
例えば、在庫の確認や荷物のピッキングなどの作業において、VR・ARを使用することで作業者はスキャン作業を省略でき、手順のミスも減らすことができます。
また、機械化が進んだ物流倉庫では、荷物を自動で運ぶAGVやコンベアなどの自動化機器を操作する作業者にとっても、操作手順の確認やトラブルの対処などにVR・ARを活用することができます。
さらに、VR・ARを活用することで、現地に行かなくてもリモートで遠隔支援ができるようになります。
例えば、荷主の物流倉庫が遠隔地にあり、荷主が支援を要請した際に、物流業者はリモートで現地の状況を把握し、適切なアドバイスを送ることができます。
また、VR・ARを活用することで、新入社員や派遣社員のトレーニングにも効果的です。
例えば、新入社員は物流倉庫内の環境に慣れるために、VR・ARを活用してトレーニングを行うことができます。
また、派遣社員の場合、短期間で作業を覚える必要があるため、VR・ARを活用することで作業の習熟度を高めることができます。
以上のように、VR・ARの導入により、物流倉庫内での作業効率の向上や遠隔支援、新入社員や派遣社員のトレーニングなど、多くのメリットがあります。
物流現場の教育・トレーニングの実施
物流業界におけるVR・ARの導入により、物流現場における教育・トレーニングの実施が効率的になります。以下にそのメリットを詳しく説明します。
まず、VR・ARを活用することで、実際の物流現場に立ち入ることが難しい人でも、物流現場の状況を体験できるようになります。
例えば、物流倉庫内での荷物の積み込みやピッキング作業などをVR・ARで再現することで、実際に物流現場に立ち入ることができない人でも、作業の流れや手順を体験することができます。
これにより、物流現場で働く前に、事前にトレーニングや教育を受けることができます。
また、VR・ARを活用することで、安全教育の効果も高まります。
例えば、高所作業や重機操作などの危険作業をVR・ARで再現し、作業者が安全に作業を行うための手順や注意点を訓練することができます。
これにより、物流現場での事故やトラブルを減らすことができます。
さらに、VR・ARを活用することで、物流現場での実際の作業時間を削減することができます。
例えば、新入社員や派遣社員に対するトレーニングは、実際の物流現場で行うと、作業者の指導に時間がかかるため、作業効率が低下してしまいます。
しかし、VR・ARを活用することで、トレーニングの時間や場所に制約を受けることなく、より効率的に教育・トレーニングを行うことができます。
以上のように、VR・ARの導入により、物流現場の教育・トレーニングにおいて、効率化や安全性の向上など、多くのメリットがあります。
物流センター設計のコストセーブ
物流業界におけるVR・ARの導入により、物流センターの設計段階でのコストセーブが期待できます。
以下にそのメリットを詳しく説明します。
まず、物流センターの設計において、実際の物流現場をVR・ARで再現することができます。
これにより、物流センターのレイアウトや設備の配置など、実際の物流現場での作業性を想定した最適な設計が可能となります。
さらに、VR・ARを活用することで、物流センターのデザインや構造を仮想的に変更することができます。
これにより、物流センターの設計を細部まで詳細に検討し、最適な設計を行うことができます。
また、物流センターの設計には、コストがかかる要素が多く含まれています。
例えば、設備や機器の調達費用、人件費、建設費用などです。VR・ARを活用することで、物流センターの設計段階で、実際に現場に出向くことなく、最適なレイアウトや設備の配置を検討することができます。
これにより、不必要なコストを削減し、設計段階での費用対効果を高めることができます。
さらに、物流センターの設計においては、様々な要素を考慮する必要があります。
例えば、物流フローの最適化、在庫管理の効率化、セキュリティの確保などです。
これらの要素をVR・ARで再現することで、物流センターの設計に必要な要素を統合的に検討することができます。
これにより、物流センターの設計段階での課題の発見や改善が早期に行えるため、コスト削減や効率化につながります。
以上のように、VR・ARの導入により、物流センターの設計段階でのコストセーブが期待できます。
正確な作業の実現
物流業界におけるVR・ARの導入により、正確な作業の実現が期待できます。
以下にそのメリットを詳しく説明します。
まず、物流業界では、複雑な作業や手順が存在します。
例えば、商品のピッキングや荷役作業などです。これらの作業は、正確性が求められるため、従来は人手によるトレーニングや監督が必要でした。
しかし、VR・ARを活用することで、これらの作業の正確性を向上させることができます。
具体的には、VR・ARを活用することで、作業者に対して、実際の作業現場を再現したシミュレーションを提供することができます。
これにより、作業者は、実際の作業現場と同様の環境で、正確な作業を習得することができます。
さらに、VR・ARを活用することで、作業者のミスを事前に検知することができます。
例えば、荷物の誤検品や漏れなどです。これにより、作業の正確性を高めることができます。
また、VR・ARを活用することで、作業の効率化も実現できます。
例えば、作業者が適切なルートを選択することができるように、シミュレーション上で最適なルートを提供することができます。
また、作業現場での手順や作業の流れを把握することができるため、作業者の負担軽減や作業時間の短縮につながります。
以上のように、VR・ARの導入により、正確な作業の実現が期待できます。
作業者のミスを事前に検知することで、品質向上やリスクの軽減につながります。また、作業の効率化も実現できるため、生産性の向上につながります。
|VR・ARの物流への活用事例
物流業界においてVR・ARを導入することで、業務効率が向上することやコストセーブなどができることが分かりましたね。
続いては、実際に導入されている事例を紹介してきます。
DHLのGoogle Glass活用
DHLは、Google Glassを活用したピッキング作業の実証実験を行い、物流現場での作業効率化に成功しました。以下にその概要を詳しく説明します。
従来、DHLでは、ピッキング作業において、荷物のバーコードをスキャンし、情報を確認しながら、手作業でピッキング作業を行っていました。
しかし、Google Glassを活用することで、作業者は、スキャン機能や音声認識機能を利用して、荷物の情報を確認しながら、ハンズフリーで作業を行うことができるようになりました。
具体的には、作業者がGoogle Glassを装着すると、スキャン機能や音声認識機能が自動的に起動し、荷物の情報を読み取ることができます。
また、Google Glassには、ルート案内機能が搭載されているため、作業者は、最適なルートを案内されながら、ピッキング作業を行うことができます。
これにより、従来よりも作業効率が大幅に向上し、作業時間の短縮や作業者の負担軽減につながりました。
さらに、DHLでは、Google Glassによるピッキング作業の実証実験を成功させたことを受けて、他の作業においてもGoogle Glassの活用を検討しています。
具体的には、入出庫作業や在庫管理作業などが挙げられます。
以上のように、DHLは、Google Glassを活用することで、ピッキング作業の効率化を実現しました。
Google Glassの活用により、作業者の負担軽減や作業時間の短縮につながり、物流現場での作業効率化に成功したと言えます。
オプティムの遠隔作業支援サービス
オプティムは、遠隔作業支援サービス「AquesTalk Remote Support」を提供しています。
このサービスは、VR技術を活用して、現地に行かなくても遠隔で作業をサポートすることができるシステムです。以下にその概要を詳しく説明します。
AquesTalk Remote Supportは、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使い、作業者が現場で着用することで、現地の様子を遠隔から見ることができます。
また、HMDにはカメラが搭載されており、現場の様子を映像で確認することができます。
さらに、HMDには、音声認識機能が搭載されており、遠隔から音声で指示を出すことができます。
作業者は、指示に従いながら、現場で作業を行うことができます。
AquesTalk Remote Supportは、物流現場などの作業現場でのトラブルシューティングや、現場での新人教育などに活用されています。
例えば、現場で発生したトラブルに対して、専門の技術者が現地に行かなくても、遠隔から指示を出すことで、現場でのトラブル解決を支援することができます。
また、新人教育においても、遠隔から作業指示を出すことで、トレーニングの効率化が図れます。
従来は、現地にトレーナーが行く必要がありましたが、AquesTalk Remote Supportを使えば、遠隔からトレーニングを行うことができます。
以上のように、AquesTalk Remote Supportは、VR技術を活用した遠隔作業支援システムです。
作業者が現場で着用するHMDにより、現地の様子を遠隔から確認し、音声認識機能を使って作業指示を出すことができます。
物流現場などの作業現場でのトラブルシューティングや、現場での新人教育などに活用され、作業効率化やコスト削減につながっています。
チャンギ国際空港がM300を活用
シンガポールのチャンギ国際空港では、M300スマートグラスを活用した作業効率化に取り組んでいます。
M300スマートグラスは、Vuzix社が開発した、音声認識機能やスキャナー、カメラなどを搭載したハンズフリーデバイスです。
空港内での荷物の取り扱いや機内食サービスなど、様々な作業にスマートグラスを活用しています。
具体的には、荷物の取り扱いにおいて、スマートグラスのカメラを使ってバーコードをスキャンし、荷物の状態や宛先情報などを表示させることができます。
また、機内食サービスにおいては、スマートグラスに表示される情報を確認しながら、食事の種類や数量、座席番号などを素早く確認することができます。
このように、M300スマートグラスを活用することで、従来の作業方法よりも作業効率が向上し、作業者の負担軽減にもつながっています。
また、スマートグラスを活用することで、作業の正確性や迅速性が向上し、ミスやヒューマンエラーを減らすこともできます。
空港内の作業効率化に貢献しているM300スマートグラスの導入事例として注目されています。
NECが物流向けARソフトウェアを開発
NECが開発した物流向けARソフトウェアは、荷物の受け渡しやピッキング作業を効率化するためのハンズフリー作業支援システムです。
このシステムは、スマートグラスなどのARデバイスを利用して、作業者に必要な情報をリアルタイムで提供することができます。
具体的には、スマートグラスのディスプレイには、作業場所や荷物の情報、移動経路などが表示され、作業者は手元を見る必要がなく、より効率的に作業を行うことができます。
また、スキャナーを搭載したスマートグラスを使えば、荷物のバーコードを読み取り、情報の確認を簡略化することができます。
このARシステムは、ハンズフリー作業支援システムとして、ピッキング作業や荷物の受け渡し作業において、従来の作業方法よりも効率的に作業を行うことができます。
さらに、作業者がスムーズに作業を進めることができるため、生産性向上や作業負担の軽減につながります。
NECの物流向けARソフトウェアは、スマートグラスなどのARデバイスを活用した効率的な作業支援システムとして、物流業界において注目されています。
|まとめ
いかがでしたでしょうか。
物流業界においてVR・ARは、様々な活用事例があるように、現状でもかなり活躍していることが分かったのではないでしょうか。
これから技術が進歩し、物流業界の今ある課題がより改善していければ良いですね。