マイクロソフトは、最新技術を活用したメタバースの開発に力を入れています。

この取り組みは、社会やビジネスに大きな影響を与える可能性があります。

本記事では、マイクロソフトのメタバース事業の経緯や最新の動向について解説します。

|マイクロソフトのメタバース事業に関する経緯や最新の動向は?

出典:https://news.microsoft.com/ja-jp/2021/11/04/211104-mesh-for-microsoft-teams/

メタバースとは、仮想空間内において様々なサービスやコンテンツが提供されるプラットフォームで、エンターテイメントだけでなく、産業や教育などの分野でも活用が進んでいます。

マイクロソフトは、メタバース関連技術の開発に取り組んでおり、HoloLensやMicrosoft Meshなどの製品を通じて、メタバースの入り口として機能するコラボレーションツールであるMesh for Microsoft Teamsを提供しています。

マイクロソフトはいち早く仮想世界に価値を見出していた

マイクロソフトは、2014年にマインクラフトの買収により、仮想世界の可能性を見出していました。

同社は、ゲーム関連事業での成功を背景に、メタバースの開発にも積極的に取り組んでいます。

この取り組みは、近年のテクノロジーの進歩によって可能になったものであり、社会やビジネスに大きな影響を与える可能性があると考えられています。

マイクロソフトは、これからもメタバースの開発に注力し、世界をリードするゲーム会社として成長し続けることが期待されています。

2023年1月26〜27日にメタバース事業に関する講演を実施

「メタバースを実現するマイクロソフトのテクノロジー」と題した講演では、日本マイクロソフト Azureビジネス本部の上田欣典氏が、マイクロソフトが提供するメタバース関連の製品やサービスについて紹介しました。

具体的には、次世代の拡張現実(XR)デバイスであるHoloLensや、遠隔支援ソリューションである『Microsoft Dynamics 365 Remote Assist』、3Dの作業ガイド/セルフトレーニングを実現する『Dynamics 365 Guides』などが挙げられました。

これらのテクノロジーは、仮想世界と現実世界を融合させることで、ビジネスや教育、エンターテイメントなど様々な分野で新たな価値を創出することができます。

上田氏は、メタバースは人々の生活や働き方を変革する可能性を秘めており、マイクロソフトはその実現に向けて積極的に取り組んでいることを強調しました。

現在最も力を入れているのがインダストリアルメタバース

マイクロソフトは、メタバースの世界をコンシューマメタバース(個人ユーザー)、コマーシャルメタバース(職場)、インダストリアルメタバース(産業)の3つに分類しています。

現在、同社が最も力を入れているのがインダストリアルメタバースであり、川崎重工をはじめとした企業が、Microsoft AzureやHoloLensを活用して製造現場における共同作業や監視、遠隔地からのロボット操作を実現する取り組みを行っています。

これらの取り組みにより、製造現場における生産性向上や、遠隔地からの効率的なオペレーションが可能となります。

今後も、マイクロソフトはインダストリアルメタバース分野に力を入れ、より多くの企業に導入されることが期待されています。

コマーシャルメタバースではMesh for Microsoft Teamsに注力

「Mesh for Microsoft Teams」とは、Microsoftが提供する、従来のTeams上でアバターによるコミュニケーションが可能になったサービスの拡張版です。

このサービスは、今後3D化された没入型空間でコミュニケーションができるようになる予定です。

これにより、ビジネスや教育分野でのリモートワークやデジタル授業において、より臨場感のあるコミュニケーションが実現されることが期待されます。

また、このサービスは、現在でもTeams会議にアバターで出席することができるコマーシャルメタバースの一つとして、ビジネス上でのコミュニケーションに幅広く活用されています。

今後、このサービスはさらに進化し、ビジネスや教育の分野において、より効果的なコミュニケーションツールとして活躍することが期待されます。

コンシューマメタバースに注力している可能性は低い

マイクロソフトが、現在最も力を入れているのがインダストリアルメタバースです。

インダストリアルメタバースでは、産業用アプリケーションにメタバース技術を展開し、デジタルツインや3Dレンダリングなどを用いて、仮想空間と現実空間を融合させることで、ビジネスプロセスの最適化やコラボレーションの促進を行っています。

その次に注力しているのがコマーシャルメタバースで、TeamsやMeshなどの製品やサービスを提供しています。

コンシューマメタバースにはあまり注力しておらず、SNSやゲームなどの分野はMeta(旧Facebook)が担っていると考えられます。

|現在注目されているMesh for Microsoft Teamsはどんなサービス?

Mesh for Microsoft Teamsは、Microsoft Teams上でアバターによる没入型空間でのコミュニケーションが可能になるサービスです。

従来のビデオ会議とは異なり、3D空間上でのコラボレーションができるため、より直感的で没入感のあるコミュニケーションができると期待されています。

Teamsをメタバースに拡張したもの

Teamsは、もともとビジネス向けに開発されたコミュニケーションツールであり、ビデオ通話やチャットなどの機能を提供しています。

しかし、ビデオのオンオフしか選べないことは、オンライン上のコミュニケーションにとって不自然な要素であると感じる人もいました。

そこで、Teamsはメタバースに拡張されました。

これにより、アバターを導入することで、ビデオのオンオフを気にすることなく会議に参加したり、コミュニケーションをとることができるようになりました。

Teamsのメタバース版は、3Dの仮想空間にアバターを作成し、そのアバターを通じて他の参加者とコミュニケーションをとることができます。

アバターは、リアルな自分自身の姿や、自分自身を表現するイメージを選択することができます。

また、ビジネス向けの機能も備えており、プレゼンテーションやファイル共有、タスク管理なども行うことができます。

Teamsのメタバース版は、オンライン上のコミュニケーションをより自然に、より効果的に行うことができるようになるため、ビジネスシーンだけでなく、教育やイベントなどでも利用されることが期待されています。

Metaが開発するMeta Questとの連携も発表

Meta Questとは、Metaが開発するVRヘッドセットです。

Meta Questには現行版の「Meta Quest 2」と新型の「Meta Quest Pro」があります。

MicrosoftはMetaとパートナーシップを結び、Microsoft TeamsやMicrosoft 365アプリをMeta Questに対応させることを発表しました。

これにより、Meta Questを使ってTeamsの会議に参加したり、WordやExcelなどのアプリを操作したりできるようになります。

また、TeamsではMetaのアバターシステムを採用し、ホワイトボードやブレインストーミングなどのコラボレーションをアバターで行えるようになります。

さらに、Metaのメタバースサービス「Horizon Workrooms」からもTeamsにアクセスできるようになります。

これらの連携により、その場に一緒にいるような感覚でコラボレーションできるようになります。

|GAFAM全体でメタバースは不調だという声も?

現状、メタバースへの期待は高いものの、まだまだその実現に向けた技術や市場の整備が進んでいないため、需要は低迷傾向にあると言えます。

また、ARメガネやHoloLensなどのハードウェアの開発にも課題があり、市場に浸透するにはまだ時間がかかるとされています。

さらに、Metaやマイクロソフトでのレイオフ計画もあり、メタバースに対する業界全体の見方にも変化が生じているといえます。

ただし、技術の進化や市場の成熟に伴い、将来的にはメタバースに関連する企業の業績が好転する可能性もあるため、今後の動向に注目が集まっています。

メタバースそのものの需要も低迷傾向に

メタバースにおける需要の低迷傾向は、主に以下のような要因が考えられます。

まず、メタバースには高度な技術やハードウェアが必要であり、現状ではまだ多くの人々がアクセスすることができていません。

特に、高価なVRヘッドセットを所有していない人々は、メタバースに参加することができないため、需要が制限されているといえます。

また、メタバースに参加するためには、多くの人々が新しいスキルを学ぶ必要があることも要因となっています。

新しい技術やインターフェースに慣れるまでの時間や費用を考えると、参加するハードルが高くなってしまうことも影響しているでしょう。

さらに、メタバースにはプライバシーやセキュリティーの問題がつきまとっています。

現在、メタバースは、まだセキュリティーの面で十分なレベルに達していないため、プライバシー侵害やハッキングのリスクがあることがユーザーにとって不安となっています。

これらの問題を解決しなければ、メタバースが普及するまでには、まだ時間がかかることが予想されます。

HoloLensも難しさに直面している

マイクロソフトがリードするHoloLensは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を用いて仮想世界の映像を現実世界の視野に重ねて表示することができる先進的なヘッドセットです。

しかしながら、この技術には複数の課題があります。

まず、ARの表示に必要な高度なコンピューティング能力を実現するために、小型化と省電力化が求められます。

また、市場に浸透するには、より良いデザインや低価格化、使いやすさの改善など、製品の改良が必要です。

さらに、実用的な技術となるには、データの処理速度や信頼性、プライバシーなどの問題に対処する必要があります。

これらの課題は、技術や経営陣の忍耐の限界に直面しているとされ、HoloLensの成功には、今後の技術革新や市場ニーズへの迅速な対応が求められています。

|マイクロソフトのメタバースまとめ

マイクロソフトは、コラボレーションとコミュニケーションを容易にするための新しい機能の導入や、クラウド技術を活用したメタバースの開発を進めていることを示しています。

また、HoloLensをはじめとしたVR/AR技術を用いたメタバースの実現にも力を入れており、リアルな体験やプレゼンテーションの改善、教育など幅広い分野での活用を目指しています。

さらに、企業のデジタルトランスフォーメーションを促進するため、メタバースとビジネスアプリケーションの統合にも力を注いでおり、マイクロソフトは、メタバースにおける先進的な開発に取り組み、新たなコラボレーションやビジネスの形を模索していることが伺えます。