AR(Augmented Reality)は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。

スマホやタブレットなどのデバイスを通して、目の前にあるものに仮想的な映像を重ねたり、追加して見せることができます。

例えば、商品の立体的なイメージを見たり、建物や美術品の解説を視聴したり、仮想的な世界を体験したりすることができます。

今回は、そんなAR技術が実際のビジネスの場においてどのように活用されているのかを、活用メリットから導入ポイントも併せて解説していきます。

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|そもそもAR技術とは?

ARの活用事例を知る前に、ARとはそもそもどういう技術なのでしょうか。
AR(Augmented Reality:拡張現実)は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術です。

日常生活の身近な例では、スマートフォンのカメラを通して現実の風景にキャラクターやオブジェクトを出現させるゲーム(例:『ポケモンGO』)がこれにあたります。

ARは、現実の映像をリアルタイムで分析し、その上に3Dモデルやテキスト、アニメーションなどのデジタルデータを違和感なく表示します。

VR(仮想現実)が現実世界から完全に切り離された仮想空間を体験するのに対し、ARはあくまで現実をベースに、そこに情報を「付加」する点が大きな違いです。

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|ARをビジネスで活用するメリット

AR技術をビジネスに活用することで、主に以下の3つのメリットが期待できます。

  1. 顧客体験の向上
    顧客のスマートフォンを通して、家具を部屋に配置した様子をシミュレーションしたり、商品を3Dモデルで確認したりすることで、購入前の不安を解消し、より魅力的な体験を提供できます。
  2. トレーニング・研修の効率化
    機械の構造や操作手順をARで現実の機械に重ねて表示することで、マニュアルでは分かりづらい部分を直感的に理解できるようになります。
    また、作業の都度で該当のマニュアルを探し出す手間も省け、ペーパーレス化も実現可能です。
    これにより、新人研修や技術習得の時間を大幅に短縮できます。
  3. マーケティングにおける訴求力向上
    ARアプリを使ってポスターから商品が飛び出すような演出をしたり、商品のパッケージにスマートフォンをかざすと商品説明の動画が再生されるような演出が可能です。
    これにより、顧客の関心を引きつけ、製品に対する理解を深められるため、従来の広告よりも印象に残りやすく、SNSシェアなどいわゆる”バズ”を促す効果も期待できます。
  4. 営業活動における提案のサポート
    営業担当者が顧客に製品を紹介する際、カタログやパンフレットだけでは伝えきれない、製品のサイズ感や内部構造などをARでリアルに表現できます。
    顧客のオフィスや自宅に仮想の製品を出現させたり、操作方法をアニメーションで表示したり、内見をARで再現したりすることで、”製品”の魅力をより具体的に伝え、商談をスムーズに進められます。

ARは、現実世界とデジタル情報を融合させることで、業務効率の改善や顧客との新しいコミュニケーション方法を生み出せる可能性を秘めています。

|ARのビジネス活用事例!代表的な使い方は?

AR(拡張現実)は、ビジネスの世界でも幅広く活用されています。
実際の事例については後ほどご紹介しますが、AR技術が活用されている主なシーンは以下です。

デモンストレーション・シミュレーション

家具メーカーやAmazonなどの通販サイトでは、自宅に家具を置いたイメージをスマホで確認することができたり、アパレルブランドでは、顧客が実際に試着せずに服の色や柄をイメージとして確認できるサービスを行っています。

また不動産内見時に、何もない空間に家具を自動生成・配置して、バーチャルなモデルルームを作成することで、内見時の体験をより豊かにするサービスもあります。

ARを使った商品デモンストレーションが、顧客の購買意欲を高めることに繋がります。

マーケティング・プロモーション

化粧品ブランドでは、スマホアプリを通じて顧客にメイクアップの仕方をARで体験させるサービスを行っています。

顧客は自分で選んだ化粧品を試して、仮想的に効果を確認することができます。

また、飲料メーカーでは、商品パッケージにARマーカーを配置して、顧客がスマホアプリで読み取ると、商品の製造過程や栄養情報を見たりできます。

ARを使ったマーケティングは、顧客の興味を引きつけ、商品やブランドの認知度を高める効果が期待できます。

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教育・訓練

医療現場での手術訓練では、実際の手術映像に仮想手術を行うことで、医師の経験を高めることができます。

また、工業訓練では、実際の設備を仮想的に再現して、設備の操作方法やトラブルシューティングなどをトレーニングすることができます。

ARを使った教育・訓練は、現場での実際の経験を模擬することができるため、学習者がより現実に近い状況下でスキルや知識を習得することができます。

観光・ガイド

観光産業でのAR活用は、歴史的な場所や文化財などを訪れた際に、旅行者がスマホやタブレットなどを使用して、その場所の歴史や文化に関する情報を表示することができます。

博物館や美術館では、展示物をより身近に感じられるようになります。

ナショナルジオグラフィック博物館では、ARゴーグルを装着して、古代エジプトの神殿など昔の世界を再現した立体映像を見ることができます。

ARを博物館や美術館で活用することで、訪問者は身近に展示物を感じられるようになり、より深い理解を得ることができるといえます。

エンタメ

ディズニーランドの「STAR WARS: SECRETS OF THE EMPIRE」は、ARヘッドセットを使って、リアルタイムのAR映像と、実在する壁・イス・銃などが融合する世界を体験できるアトラクションです。

アクアワールドは水族館の娯楽性を高めるため、スマホをかざすと魚の種類を判別できるアプリを無料で使えるようにしています。

米国のバンド、Metallicaが開催したコンサートでは、観客に配布されたスマホアプリで、演奏中に観客に火花が散ったり、モンスタートラックが飛び跳ねたりするような臨場感あふれる演出を観ることができました。

|ARの導入事例(ビジネス、教育など)15選

ARのビジネス現場での活用は多岐にわたります。

ここでは、具体的なAR導入事例を紹介しながら、ビジネス現場でのAR活用のメリットや課題について解説していきます。

スターバックス 

出典:https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2023/sakura_ar/

「さくらAR」では、桜のARを店舗に導入してハッシュタグと共に季節のキャンペーンとして打ち出し、プロモーションとして活用しています。

店頭に置かれているポスターや購入した商品をカメラでかざすと、それらが自動で認識され桜の花びらが舞うAR花見体験ができます。

SNSへのシェアも盛り上がり、ユーザーを楽しませている施策となっています。

亀田製菓

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000195.000004318.html

亀田製菓ではハッピーターンにまつわる楽しいARフィルターを提供しています。

「イースター」というARでは、はじめに「イースターエッグ」という卵が空間中に出現し、それをタップすることで演出が始まります。

体験の流れは、まず卵が巨大化し…卵が割れると、中からハッピーターンのキャラクター「ターン王子」が出現します。

撮影者が子供たちと画面を重ねて、ターン王子が魔法をかけるような演出をすると・・・カメラに映っている子どもたちもターン王子になっちゃうという演出です。

NIKE

出典:https://www.forbes.com/sites/andriacheng/2019/05/09/this-new-nike-fit-feature-could-be-a-game-changer/?sh=2fa821324733

NIKE FitとはNIKEの公式アプリの中にあるAR機能です。スマホのカメラを通じて足のサイズを計測し、データをアプリ内に保存。

そのデータをもとにユーザーに適した靴を選んでくれます。

プレゼント用に他人のサイズを記録しておくことも可能です。

Amazon

出典:https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=6453577051

スマホアプリ「バーチャルメイク」は、Amazonのモバイルアプリでリップやアイシャドウのお試しができるサービスです。

手順は

  1. メイクしてみる→「試す」をクリック
  2. メイク方法を選ぶ
  3. カラーを試す
  4. 試した色を確認する

18ブランド約900点のアイテムを、用意されているモデルまたは撮影した自分自身の顔で試すことができ、お試しした際の画像を保存することも可能になっています。

Leica Microsystems

医療向けの顕微鏡などを開発するLeica Microsystemsは、ARによって手術の工程をサポートする「拡張現実(AR)蛍光システム GLOW800」を開発しました。

ICG(インドシアニングリーン)を用いた手術中の血流観測では、従来モノクロ映像で周囲の臓器の状況を把握することが困難でした。

AR技術を併用することで血流の映像を鮮明に表示できるようになり、周辺の血管や小血管の状態を色で表示することができ、手術の精度向上に役立つと期待されています。

ニトリ

出典:https://apps.livingstyle.jp/roomco/launchApp.html

「RoomCo AR」でニトリの家具を試し置きしてみることができます。

家具を購入する際に、家具のサイズが部屋に合うか、部屋の色合いや雰囲気に合うかは心配です。

事前に確認することができれば購買行動につなげることができます。

スマホの画面で購入したい家具を試し置きできるので、部屋の状況に合わせながら家具の購入を検討できます。

さらに商品が気に入ったら、そのまま購入することもできます。

小松製作所

出典:https://www.komatsu.jp/ja/newsroom/2018/20180718_2

施工中の地形と完成地形の3Dデータを合わせ、リアルタイムでAR表示し、施工進捗を確認できます。

さらに地形の形状をスキャンすることで、完成設計面の3Dデータと合わせて「掘削や盛土」の部分を推定してAR表示での確認ができます。

また、ショベルカーやダンプカーといった建設機械を現場の映像に合わせて、実寸大でAR表示することができます。

建設現場のスペースにダンプカーが通過できるか、配置できるかなど建設現場の事前確認に役立たせることが可能です。

チュッパチャップス

”HAPPY COLOR DAY”はアウトカメラで楽しむARです。

ARで曇った画面をスワイプすると、スワイプした部分は曇りがなくなり透過されます。

曇りが無くなった部分からチュッパチャップスが見えるおしゃれな写真が撮れます。

”BONUS STAGE”ムービー型のARです。

キャラクタームービーが再生されて、キャラクターが自分の顔になるという、かなりユニークなARです。

自分がキャラクターになって、チュッパチャプスを持って走っている姿はなんとも笑えます。

戸田建設

出典:https://www.toda.co.jp/assets/pdf/20190628.pdf

戸田建設が開発した「建機AR」は、建設機械の3Dモデルと実際の工事現場映像をARでタブレット端末上に表示する事ができます。

従来は近接建物との距離や関係により、実際には搬入経路や動線が確保できない場合もあり、事前調査や検討に時間がかかっていましたが、これをAR技術により解決しています。

建機の性能を反映させて、稼働状況に応じた吊り荷の許容荷重や、所定荷重に応じた適切な作業半径も確認できるようになっています。

凸版印刷  

出典:https://www.toppan.co.jp/solution/service/streetmuseum.html

凸版印刷が提供するARアプリ「ストリートミュージアム」は、失われてしまった史跡を再現することで知られています。

史跡を訪れた観光客がスマホなどをかざすだけで、当時の風景と現実の風景を重ね合わせながら見ることのできる新しい観賞体験を提供します。

また、映像だけでなく音声ガイドによって、より深く歴史を学べるほか、スタンプラリーや古地図表示機能により、地域の観光・まち歩きをより魅力的に演出します。

オレオ

出典:https://lenslist.co/concert-pink-pack/

”Concert Pink Pack”ではお菓子のパッケージを画像認識するとキャラクターが出現して、キャラクターのコンサートを楽しむことができます。

”What cookie are you?”では頭上にオレオが出現し、味のバリエーションをルーレットで楽しめます。

NTTドコモ

出典:https://group.ntt/jp/nttxr/topics/topics00060/

ARクラウドで実現するエンタメ化された街を表現します。

未来的で楽しいデジタルコンテンツがリアルな街に重なって見える拡張現実(AR)の世界をARクラウド技術を活用して、赤坂(東京都)の街の一部がエンタメ化されています。

エンタメ化された街では、デジタル広告が映り替わったり、街の上でカーレースをしていたり、ときには怪獣が現れて大変なことになったりと楽しいことがたくさん起こります。

Guinness

黒ビールで有名なギネスビールのARの事例です。

ビール瓶のラベルをマーカーとしてトリガーにしています。

スマホをかざすことで、ビデオコンテンツを視聴したり、興味深い雑学を読んだり、さらにゲームをプレイしたり、クイズに答えたりして、SNSで体験を共有できます。

このAR体験はギネスファンの間で大きな成功を収め、ブランドの売上を向上させることに成功しました。

イオンモール

出典:https://diamond-rm.net/flash_news/222274/

イオンモールは、アプリ内のARクラウド機能を活用して「新しい顧客体験創出」の実証実験を行いました。

THE OUTLETS KITAKYUSHU(福岡県北九州市)では、地元の美術系学生や若手アーティストの作品をAR空間上に展示する「アートAR展示会」と、子供たちが作成したぬり絵をAR空間上に展示する「ぬり絵AR体験会」を通して、来館者の滞在時間の変化や回遊性の変化を検証しました。

ポルシェ

出典:https://www.porsche.com/japan/jp/stayathome/

ポルシェが目指す自動車向けARヘッドアップディスプレイは、前方の障害物や駐車可能スペースなどの情報を、ドライバーにリアルに伝えることができます。

また、サーキットでの使用も想定されており、理想的な走行ラインやラップタイムなどの情報を分かりやすく表示します。

またAR技術を導入したポルシェARビジュアライザーアプリを使用すると、スマホの画面を通して、好みのポルシェ車を室内や屋外に仮想的に置くことができ、ポルシェ車の購入検討の段階で、自宅の前にポルシェを仮想駐車した様子などを確認することができます。

|ARをビジネス活用する際のポイント       

AR技術をビジネスに導入する際は、簡単に以下の3つのポイントを意識することが重要です。

1. ユーザーにとっての価値を考える

ARは単なる派手な演出をするツールではありません。
「なぜARを使うことで、ユーザーはより便利になるのか、楽しくなるのか」という視点が重要です。
例えば、商品のサイズをARで確認できるアプリは、”サイズ違いによる家具の購入失敗体験を防ぐ”という明確な価値を提供しています。
単に「すごい」と思わせるだけでなく、ユーザーの課題を解決する手段としてARを活用できると良いでしょう。

2. 技術的な制約を理解する

AR技術は日々進化していますが、まだ技術的な制約も存在します。
例えば、高精細な3Dモデルや複雑なアニメーションは、スマートフォンの性能や通信環境によってはスムーズに動作しない可能性があります。
ターゲットとなるユーザーがどのようなデバイスを持っているか、どのような環境で利用するかを事前に考慮することが重要です。

3. 継続的な運用を視野に入れる

ARコンテンツは一度制作して終わりではありません。
ビジネスの目的やユーザーのニーズに合わせて、定期的にコンテンツを更新・改善していく必要があります。
例えば、新製品が発売されるたびにARコンテンツを追加したり、ユーザーの利用データを分析してより良い体験を提供したりするなど、導入後の運用計画もあわせて立てておくことが成功につながります。

|まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、ビジネスにおけるAR技術の活用について、活用メリットから実際の導入事例、ポイントまでご紹介しました。

AR技術は、エンタメ領域に留まらず、マーケティングやプロモーション、教育などの領域まで幅広く活用が進んでいます。

デジタル情報を現実世界に重ねられるという特徴を活用し、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社では、ARコンテンツを始めとする様々なXRコンテンツの受託開発を行っております。

ご要望に応じた柔軟な開発が可能ですので、XRの導入にご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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