実は、分散型SNSにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や仕組みが異なります。
その中でも、最近注目を集めているのが「Bluesky」です。
Blueskyは、Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏らが発案した新たな分散型SNSプロジェクトで、Twitterに近い機能を備えることから、Twitterの代替となることが期待されています。
本記事では、2023年10月時点の最新情報をもとに、Blueskyについて解説しますので、分散型SNSに興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
目次
|Blueskyとは?
Blueskyとは、分散型SNSを開発するプロジェクトの名前です。
分散型SNSとは、特定のサーバーに依存しない、自由でオープンなコミュニケーションの場を提供するSNSのことです。
Blueskyは、Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏らが発案し、Twitterから独立した法人として2021年8月に設立されました。
Blueskyの目標は、ソーシャルメディアのためのオープンで分散型の標準を開発することで、そのために、BlueskyはATプロトコルという新しいプロトコルを作成しました。
ATプロトコルは、ユーザーが公開したコンテンツをATプロトコルを採用しているあらゆるプラットフォームで利用できるようにするプロトコルです。
例えば、TwitterやFacebookなどの中央集権的なサービスでは、ユーザーデータをプラットフォーム側が保有しますが、ATプロトコルでは個人データはユーザー自身が所有します。
これにより、ユーザーは自分のデータを自由に管理・移動・共有できるようになります。
Blueskyはまた、ATプロトコルを使うアプリケーションも開発しています。
このアプリケーションは、Twitterに似た短文投稿用のソーシャルアプリですが、タイムラインに表示させるものをユーザーが自由にできるという特徴があります。
また、サードパーティ製アプリも自由に作成できます。
現在は招待制のベータ版としてiOSとAndroid向けにリリースされています。
Blueskyはまだ開発途中のプロジェクトですが、分散型SNSの大本命として注目されています。
Blueskyに興味がある方は、ウエイトリストに登録して招待コードを待つか、すでに利用している他のユーザーからコードをもらうことで参加できます。
Blueskyでは、新しいソーシャルメディア体験を楽しめるかもしれません。
| Blueskyが注目されている理由
Blueskyが注目されている理由は、以下のような点が挙げられます。
- Blueskyは、Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏らが発案した分散型SNSプロジェクトで、Twitterに近い機能を備えることから、Twitterの代替となることが期待されています。
- Blueskyは、新しいプロトコルであるATプロトコルを開発しており、これによりユーザーは自分のデータを自由に管理・移動・共有できるようになります。
- Blueskyは、オープンソースのプロジェクトとして開発されており、多くの開発者が参加することで、より高度な技術的な特徴を追加していくことが期待されています。
- Blueskyは、他の分散型SNSと連携することができるように設計されており、より大きな分散型ネットワークを形成することができます。
以上のように、Blueskyは分散型SNSの普及によるSNSの新しい形態を提供する可能性があることから注目を集めています。
| Blueskyの特徴
ここからは、Blueskyの特徴について下記4つの観点から紹介します。
アカウントの移動可能
Blueskyの特徴のひとつに、アカウントの移動が可能というのがあります。
つまり、ユーザーがBlueskyのインスタンス間でアカウントを移動できることを指します。
従来のSNSでは、アカウントを削除するとそのアカウントの投稿履歴やフォロワーなどが全て失われてしまいますが、Blueskyではこの問題を解決することができます。
アカウントを移動することで、自分がフォローしている人やフォロワー、投稿履歴などを引き継ぎながら、新しいインスタンスに移行することができます。
ユーザーがアルゴリズムを選択
Blueskyの特徴のひとつに、ユーザーがアルゴリズムを選択できるというのがあります。
ユーザーが自分に最適な投稿表示アルゴリズムを選択できる機能のことを指します。
従来のSNSでは、アルゴリズムによって投稿が自動的に並び替えられるため、ユーザーは自分のタイムラインに表示される投稿が自分にとって興味深いものであるかどうかを判断するのが難しくなっていましたが、Blueskyではユーザーが好きなアルゴリズムを選択することができます。
相互運用性
Blueskyの特徴のひとつに、相互運用性というのがあります。
異なるSNSサービス間で情報を共有しやすくする機能のことを指します。
従来のSNSでは、ユーザーが投稿した情報は、同じSNSサービス内でしか共有されませんでした。
しかし、Blueskyでは、異なるSNSサービス間で情報を共有できるため、ユーザーは自分が使い慣れているSNSサービスを続けながら、異なるSNSサービスのコンテンツにもアクセスできるようになります。
パフォーマンス
Blueskyの特徴のひとつに、パフォーマンスというのがあります。
高速でスケーラブルなSNSサービスを実現するための技術的な取り組みのことを指し、Blueskyでは、大規模なロードを高速に行うことを優先しています。
また、Blueskyはオープンソースのプロジェクトとして開発されており、多くの開発者が参加することで、より高度な技術的な特徴を追加していくことが期待されています。
| BlueskyとTwitterに違いはある?
①Blueskyは分散型SNSであり、ユーザーが自分でサーバーを選択することができます。
一方、Twitterは中央集権型のSNSであり、Twitter社が管理している点が異なるでしょう。
②Blueskyは、ユーザーが自分で投稿したデータを所有することができます。
これに対して、Twitterでは、ユーザーが投稿したデータはTwitter社が所有することになります。
③Blueskyでは、ユーザーが自分でアルゴリズムを選択できます。
これにより、自分に合った投稿を表示する方法を選ぶことができます。
Twitterでは、アルゴリズムはTwitter社が管理しており、ユーザーが選択することはできません。
これらの違いからも分かるように、Blueskyはより自由度が高く、ユーザーが自分でコントロールできる分散型SNSということがわかるでしょう。
|Bluesky内で使用される専門用語
Twitterで例えると、「ツイート=投稿」のように、Blueskyでも専門用語が使われますのでここで紹介します。
Post:投稿
Repost::リツイート
Quote Post:引用リツイート
Feed:ユーザーの投稿
| Blueskyの仕組み
ここでは、Blueskyの仕組みについて紹介します。
Self-authenticating protocol
Self-authenticating protocol(自己認証型プロトコル)は、Blueskyでのアカウントの作成や認証の方法です。
通常、中央集権型のSNSでは、ユーザーの認証はSNS提供者によって行われます。
しかし、分散型SNSでは、誰が認証するかが特徴となります。
そこでBlueskyでは、自己認証型プロトコルを採用し、ユーザーが自分自身を認証することができる方法です。
具体的には、ユーザーは自分自身の公開鍵とプライベート鍵を生成し、公開鍵をサーバーに登録します。
その後、ユーザーは自分自身のプライベート鍵を使って、サーバーに対して自分自身を認証することができます。
この自己認証型プロトコルにより、ユーザーは自分自身を認証し、アカウントを作成することができます。
また、Blueskyでは、ユーザーが自分でサーバーを選択できるため、ユーザーは自分自身のアカウント情報を安全に管理することができます。
さらに、データの所有権もユーザーにあり、プライバシーにも配慮されています。
自己認証型プロトコルを可能にする要素は以下の3つです。
①暗号識別子
「暗号識別子 (Cryptographic Identifier)」とは、暗号技術に基づいて生成された、一意な識別子のことを指します。
暗号化されたIDは、ユーザーと公開鍵を関連づけるために必要です。
この暗号識別子は、他のユーザーからの通信を暗号化するために使用されます。また、他のユーザーがユーザーを認証する場合も、ユーザーの暗号識別子が使用されます。
②コンテンツアドレス指定データ
「コンテンツアドレス指定データ (Content-addressed data)」とは、情報を一意に識別するために、その内容自体を使用することでアドレスを生成する方法のことを指します。
Blueskyにおいては、自己認証型プロトコルを可能にするために、ユーザーが生成したコンテンツに対して、コンテンツアドレス指定データを使用します。
③検証可能な計算
「検証可能な計算 (Verifiable computation)」とは、計算の正当性を検証可能にする技術のことです。
暗号化された証明を用いて、オブザーバーが自分で計算を実行しなくても、計算が正しく実行されたことを確認できるようになっています。
|Blueskyの始め方
Blueskyは、2023年10月現在、ベータ版のアプリとしてiOSとAndroid向けにリリースされていますが、招待制になっており、招待コードがないとアカウントを作成できません。
招待コードは以下の方法で入手できます。
- すでにBlueskyのアカウントを持っている友達やSNSのユーザーからもらう
- ウェイトリストに登録してメールで送られてくるのを待つ
招待コードを入手したら、以下の手順でアカウントを作成することができます。
- ストアで「Bluesky」をダウンロード(iOSの場合、Bluesky Social)
- インストール後にアプリを開く
- 起動画面から「Create a new account」を選択
- 選択画面で「Bluesky」を選択して「Next」
- 招待コードを「Invite code」の下の欄に入力
- 次の画面で、メールアドレスとパスワードを入力
- 入力事項を確認して「Next」
- ハンドルネームを入力(入力しなければ、「gigazine.bsky.social」後から変更可)
- 通知設定を「許可」
- 空っぽのタイムラインが表示されれば完了
| Blueskyの将来性
Blueskyの将来性については、以下のような期待が寄せられています。
ユーザーのプライバシー保護の向上
Blueskyは、分散型SNSとして、ユーザーのプライバシー保護に注力しています。
アカウントの移動可能性やアルゴリズムの選択肢、相互運用性などの特徴が、ユーザーにより多くのプライバシー保護の選択肢を提供し、ユーザーが自分に適した方法で情報を共有できるようにすることが期待されています。
オープンなコミュニケーションの促進
Blueskyは、オープンなプロトコルを採用しているため、他の分散型SNSやWeb3.0のプロトコルとの相互運用性が高いことが期待されます。
そのため、よりオープンで自由なコミュニケーションが可能になることが期待されています。
イノベーションの促進
Blueskyは、オープンソースのプロジェクトであり、誰でも開発に参加できるようになっています。
そのため、より多くの人々がプロジェクトに貢献し、新しい機能やアプリケーションの開発が促進されることが期待されています。
Twitterの偏りを解消する可能性
Twitterは、運営会社が中心となって運営される中央集権型SNSです。
そのため、運営会社の方針や利益の影響を受けることがあります。
Blueskyの分散型SNSであれば、ユーザーが自由に情報を共有できるため、Twitterの偏りを解消する可能性があります。
以上のような理由から、Blueskyは、分散型SNSの新しい標準となる可能性が高いと考えられるでしょう。
|まとめ
いかがでしたか?
本記事では、分散型SNS「Bluesky」についての概要から、注目されている理由、仕組みや将来性について解説しました。
Blueskyは、従来のSNSと比べてアカウント情報すべて、ユーザーが所有、管理することができる全く新しいSNSです。
ユーザーの情報が資産になる時代ですので、こうした分散型SNSの需要は高まるばかりです。
では、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!