ディズニーがメタバースに関する特許を取得しているのをご存じですか?
エンターテインメント業界をリードするディズニーは、常に最新テクノロジーや革新的なアイデアで世界中のファンを夢中にさせてきました。
ディズニーがメタバースを活用することで、どんな新しいコンテンツを提供してくれるのか期待するファンも多いことでしょう。
この記事では、取得した特許によってディズニーがどんなプランを持っているのか、メタバースへの参入・投資状況について紹介します。
ディズニーのビジョンや、その先の未来を予感させる情報になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
|米ディズニーはテーマパークなどで得たデータをメタバースに活用
まず、ディズニーが目指すメタバースの活用方法について紹介します。
2022年9月11日、世界中のファンが集まる「D23 Expo」が開催されました。
そのなかでディズニーの当時のCEOボブ・チャペック氏は、自社のメタバース戦略を発表しています。
発表内容をまとめると、「ディズニーのもつテーマパークや動画配信サービス『ディズニー+(プラス)』で得たデータを活用し、ユーザーごとの好みに合わせたエンターテインメントの提供を目指す」というものです。
同氏は自社のメタバース戦略について「次世代のストーリーテリング」と表現しました。
ユーザーごとの好みをくみ取ることで、ディズニーが自分仕様にカスタマイズされていくイメージです。
自分にしか体験できないディズニーの世界ができることを想像すると、より期待が膨らみますね。
|米ディズニーはメタバースへの先行投資を進めてきた
GlobalDataの雇用トレンドデータでは、2021~2022年にかけてのAR/VR関連の雇用数が世界で218%増加したとされています。
このうち、観光産業業界においてAR/VR関連の雇用数増加が目立っていたのが米ディズニーでした。
後述する取得した特許についても先行投資のひとつといえますね。
ディズニーは常に新しいチャレンジをして、夢の国としてファンを魅了してきました。
現実とバーチャルを融合させるメタバースに力を入れて先行投資していくことは自然な流れといえるでしょう。
|米ディズニーが特許取得したバーチャルワールド・シミュレーターとは?
つぎに、ディズニーがメタバース導入のために取得した特許「バーチャルワールド・シミュレーター」ついて紹介します。
この特許によってディズニーでどんなことを実現しようとしていたのか説明していきます。
テーマパーク内で物理世界とメタバースを融合させる目論見
ディズニーが取得した特許「バーチャルワールド・シミュレーター」は、ひとことで表すと「現実空間における仮想世界のシミュレーター」のようなものです。
一般的にイメージが浸透しているVRヘッドセットなどのデバイスを利用するメタバースとは違い、ディズニーのテーマパーク内に現実世界とデジタル世界を融合させた新しい空間を作るねらいがあると見られています。
バーチャル効果でゲストがさらにテーマパークを楽しめるように
「バーチャルワールド・シミュレーター」は、高性能プロジェクターやSLAMとよばれる技術によって構築されています。
現実空間に映し出されたデジタル映像が、対象者の位置や視線を感知して追跡してくることで、没入感の高い体験が期待できます。
映像が現実空間に映し出されるためVRヘッドセットもいりません。
また、映像だけでなく音の拡張体験も含まれているといいます。
ゲストに対してどんな体験が待っているのかはまだ明らかにされていませんが、たとえばつぎのようなことが起きるかもしれません。
- ミッキーマウスやドナルドダックと一緒にダンス
- ピクサーの世界に入ってトイ・ストーリーのおもちゃたちと遊ぶ
- マーベルの世界に入ってアイアンマンとともに戦う
もしこんなことが実現すれば、ゲストに夢と魔法の体験を提供することができるテクノロジーといえるのではないでしょうか。
※SLAM:Simultaneous Localization and Mapping(同時位置推定と地図構築)の略
圧倒的存在感のあるテーマパークやリゾートを糧に新展開をしていく
特許の内容から見てみると、新しいバーチャル体験を提供してファンにもっと喜んでもらいたいという姿勢がうかがえますね。
ここまでできるのは、エンターテインメント業界において圧倒的存在感をもつ数々のテーマパークやリゾート、メディアやエンタメという資産を持つディズニーだからこそともいえるでしょう。
長きにわたり世界中のファンとのつながりから得たインサイトと新しいテクノロジーを糧にして、これからも新しいチャレンジを続けてほしいですね。
|米ディズニーが取り組んでいるバーチャルと現実の融合
ここまでの説明でおわかりいただけたように、ディズニーはバーチャルと現実を融合させることで、新しいエンターテインメントを提供しようとしています。
その一環として、すでに提供されている2つのサービスについて紹介していきます。
VR体験ができるTales from the Galaxy’s Edge
Star Wars: Tales from the Galaxy’s Edgeは、ディズニーが提供するVRアドベンチャーゲームです。
カリフォルニアのディズニーランド・リゾートとフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドリゾートにあるアトラクション「Star Wars:Galaxy’s Edge」と舞台を同じくしています。
高い没入感を味わえるVR技術のおかげで、プレイヤーは自分がほんとうにスターウォーズの世界にいる感覚を体験することができるでしょう。
プレイヤーは惑星バトゥーに不時着した宇宙船の乗組員となり、R2-D2やC-3POといったおなじみのキャラクターとともに戦うことになります。
さまざまな冒険をとおして完成するのが、自分だけのスターウォーズです。
ぜひいちど体験してみてはいかかでしょうか。
自宅にいながらにして、アメリカにあるディズニーのテーマパークにしかないアトラクションが楽しめるというのも大きな魅力ですね。
バーチャルアシスタントのGenie
テーマパークを訪れたゲストが最高のディズニーライフを過ごせるようにと開発されたのが「Disney Genie」。
バーチャルアシスタントとして、テーマパーク内でのスケジュールなどをプランニングしてくれるデジタルサービスとなっています。
アトラクションやグルメの好みなどをDisney Genieに伝えるだけで、パーソナライズされたプランが提供されます。
ほかにもそれぞれの待ち時間情報やアトラクションの乗車予約も可能です。
過去のデータを基にした待ち時間の傾向を教えてくれる機能などがあることも特徴といえるでしょう。
Disney Genieと一緒にディズニーのテーマパークを回ればより快適にディズニーライフを満喫できそうですね。
|【3月28日付】メタバース部門が廃止された
ここまで説明してきたように、ディズニーは「バーチャルワールド・シミュレーター」という特許を取得し、メタバース導入に注力してきました。
しかしながら、2023年3月28日に『約7,000人をレイオフ(一時解雇)する一環でメタバース部門が廃止された』と報じられました。
背景としてコスト削減と事業再編などがあげられています。
ここまでメタバース導入に対して前向きの姿勢だったことからすると、今回の廃止報道は驚きを隠せないものでしょう。
今後の動向はまだ明らかになっていません。
ただ、現CEOボブ・アイガー氏は、メタバース用アバターを作成可能なモバイルアプリを開発する企業の取締役に就任しています。
そのことから、メタバース自体に対しては前向きであるといえるのではないでしょうか。
ディズニーの魅力的なキャラクターたちと世界中のファンが交流できる世界ができることを引きつづき期待しましょう。
|まとめ
ここまでディズニーのメタバースへの参入・投資状況について紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。
メタバース部門の廃止という残念な報道はありましたが、参入が実現すればエンターテインメントの未来に大きな影響を与えるでしょう。
ディズニーの創造性とメタバースが掛け合わさることで、本当に夢の国にいるような体験ができる日がくるかもしれません。
ユーザーごとの好みにカスタマイズされた世界ではいったいなにが起こるのでしょうか。
ディズニーがメタバースで目指す「次世代のストーリーテリング」の新たな可能性に、期待に胸が高鳴り ますね。