メタバースプラットフォームである「Spatial」は、現実世界を超えたデジタル空間であるメタバース上で、多様なコンテンツを提供するための基盤となるテクノロジーです。

無料のオープンソースのものから有料のものまで、多様な種類があり、さまざまな分野で活用されています。

例えば、VR会議やバーチャルショッピング、仮想空間イベントなどが挙げられます。

ユーザーは、自分のアバターを作成し仮想空間内で自由に移動しながら、コンテンツを楽しむことができます。

また、企業や個人が自分の製品やサービスをSpatialメタバース上で展示し、ビジネスチャンスを拡大することも可能です。

本記事では、Spatialの概要から使用方法、活用事例を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

|Spatialとは?

出典:https://www.spatial.io/

「Spatial」は、アメリカニューヨーク州のSpatial社が提供しているメタバースプラットフォームです。

世界中のアーティストがバーチャルギャラリーを作ったりイベントを開催しています。

商用利用ができるので、展示会やセミナーなどのビジネス活用や、美術展やイベントなどの一般向けの企画が開催されており、パソコンやスマートフォンからアクセスすることが可能です。

参加者は、アバターを用いてチャットや音声、リアクションでコミュニケーションをとることができます。

また、MetaMaskと連携し、Ethereum、Polygon、SolanaチェーンのNFTを読み込むことができるので、NFTを利用してデジタルコンテンツの販売が行われています。

特定のNFTの所有者しか参加できない、クローズドなスペースを作ることも可能です。

|そもそもメタバースとは

メタバースとは、現実世界を超えた仮想空間のことです。

コンピューターグラフィックスやバーチャルリアリティなどの技術を使用して構築されています。

メタバースの語源は「超越」を意味する「Meta」と「世界」を意味する「Universe」です。

メタバース空間には世界中からアクセスでき、ユーザーはアバターを用いて自由に移動したり、コミュニケーションを図ることができるので、現実世界により近い状態でWeb上での活動が可能です。

現実世界と同様に多様な用途に使用されることが期待されており、エンターテインメント、社交、教育、ビジネス、医療、デザインなどの分野で活用されることが想定されています。

リモートワーカーのミーティングやバーチャルショッピングモール、バーチャルイベントスペースなど、現在さまざまな分野、企業がメタバース市場に進出しており、今後の社会の変革につながる可能性を秘めています。

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|メタバースSpatialでできること

Spatialは、イベントへの参加や自分が作成したワールドを公開したり、VR会議を開催することができます。

さらにMetaMaskと連携することでNFTを使用することができ、特定のNFT所有者だけが入れる空間を作ることも可能です。

ユーザーは、自分自身のイベントを開催したり、自分が作成したワールドを公開したり、VR会議を開催したりすることで、世界中の人々と繋がり、新しい体験を楽しむことができます。

イベントへの参加

Spatialは、様々なイベントの開催に適したメタバースプラットフォームです。

パーティーや美術展、ファッションショー、展示会など、あらゆる種類のイベントを現実世界の再現から仮想空間の表現まで、自由自在に行うことができます。

また、参加者を制限したクローズドなプライベートイベントから、全ユーザーが参加可能なオープンイベントまで、自分の目的に合わせてカスタマイズすることができます。

Spatialの機能を利用することで、イベント参加者同士がリアルタイムでコミュニケーションをとることができ、よりリアルな体験ができます。

Spatialは、イベントの魅力を最大限に引き出し、新しい出会いや経験を可能にするプラットフォームです。

ワールドの公開

「Unity」や「Blender」などの3DCGツールを使えば、空間デザインを自由自在に作り上げることができます。

テンプレートやオブジェクトを利用することで、専門知識がない人でも簡単に作成することができ、制作した空間は、友人を招待して楽しむことができるほか、作品の発表や展示にも活用できます。

オンライン空間での発表は、時間や場所の制約を受けずに自由に行えるため、新しい表現方法として注目されています。

また、3DCG技術を駆使することで、リアルな空間体験を提供することができます。

そういった空間デザインは、建築やインテリアデザイン、ゲーム制作などに応用され、幅広い分野で活躍しています。

3DCGツールを使って、自分だけの世界を作り出し、自由自在に表現してみましょう。

VR会議

Spatialは、付箋やホワイトボードに書き込みができるほか、ファイルの共有やビデオの再生、Webサイトの表示、3Dモデル、2Dファイルのアップロードなども行うことができます。

また、自撮り顔写真をもとに3Dアバターを作成し、手の動きや視線の方向などを感知するトラッキング機能によってコミュニケーションを取ることが可能です。

現実のオフィスで行うことができる多様な業務を、オンライン上でリアルタイムに行うことができ、非対面でのコミュニケーションを取る際に大きな魅力となっています。

例えば、複数人でのプロジェクトや作業の進行管理、リモートワークにおける打ち合わせやミーティングなど、様々なシーンで活用できます。

NFTの使用が可能

Spatialは、MetaMaskとの連携により、仮想空間内にNFTを置くことができます。

NFTを活用することで、所有者限定の空間を作成することも可能です。

Ethereum、Polygon、Solanaの3種類のチェーンを使用することができ、それぞれの特徴に応じて最適なチェーンを選択することができます。

さらに、既に保有しているNFTを美術館に飾ることができ、NFTクリエイターはSpatial上で自分の作品を展示し、自分の経済圏を形成することもできます。

これにより、アーティストは自分の作品をオンライン上で売買することができ、より多くの人々に自分の作品を知ってもらえるでしょう。

NFTの活用により、アートや文化をより広く、より多様な人々に届けることができる新しいビジネスモデルを模索することもできます。

|メタバースSpatialへの参加費用

Spatialの基本機能は無料で利用できるのが魅力のひとつです。

無料プランで大半の機能を使うことが可能です。

ただし、ユーザーがより高度な機能を利用する場合は、有料プランが必要になる場合があります。

有料プランは、月額または年額で提供されており、参加できる人数やアクセスできるスペースのサイズが無料版とは異なります。

ご自身の目的に合わせてプランを検討しましょう。

ここでは、無料プランと有料プランの機能についてご紹介します。

無料プラン

無料版では以下の機能を利用でき、展示会やミートアップ、ライブイベントの開催を検討しているクリエイター向けとなっています。

  • NFTアートの展示会・交流会・ライブイベントを開催するためのパブリックスペースを作成する
  • ワンクリックでコンテンツをアップロード(画像・ビデオ・3Dファイル)
  • 1つの部屋で最大50人をホストできる
  • カスタム3D環境をアップロードまたは購入できる
  • MetaMask・Google・Apple・Microsoftでログインできる
  • 自撮り写真からリアルな3Dアバターまで作成できる
  • MetaMask・Google Drive・One Driveファイルアップロードの統合
  • 画面をスペースに共有できる
  • 付箋を作成して、スペースにメッセージを残せる

有料プラン

有料プランは月額25ドル、年間契約の場合は月額20ドルとなっており、年間契約の方がお得に利用できます。

より厳選され、管理されたエクスペリエンスをホストしたいクリエイター向けとなっています。

無料プランで使える機能に加えて、以下の機能が利用できます。

  • 表示専用モード、参加者のミュートと削除、ホストの指定などのホストツール
  • 瞬時に翻訳するライブ翻訳機能
  • オーバーフローグループ:50人の部屋を10スペースインスタンスが可能なため、最大500人がインスタンス化されたスペースを体験できる

スペースあたりのユーザーの容量は50人で、無料の場合と同じです。

ライブ翻訳機能が利用できるので、グローバルにSpatialを使用したい方にはおすすめです。

|【日本語解説】Spatialの使い方

ここではSpatialを始めるにあたり、アカウントの作成方法から、アバターの作成方法、スペース内での操作方法についてご紹介します。

アカウント作成は、各SNSのアカウントかメールアドレスが必要です。

アバターは自身の顔写真をアップロードするだけで、自分の顔のアバターを作成できるツールや、好みに合わせてカスタマイズできるツールを利用できます。

操作方法については、PC版とQUESTコントローラー版にわけてお伝えします。

公式サイトにアクセス

Spatialを始めるには、まずは公式サイトにアクセスしましょう。

アクセスしたら画面右上の「Log in」をクリックしてください。

公式サイトはこちらです。

https://www.spatial.io/

Spatialのアカウント作成方法

新規アカウントは各SNSのアカウント、もしくは自身のEmailアドレスで作成が可能です。

アカウント作成後は、自身のアバターを選択します。

また、アカウントを作成しなくてもSpatialは利用することができます。

SNSアカウントorメールアドレスで登録

Google、MetaMask、Apple、Microsoftのアカウントか、Emailアドレスを使ってアカウントを作成することができます。

ご自身が持っているアカウントに合わせて選択してください。

Emailアドレスを選択した場合、パスワード(8文字以上)の設定が必要です。

設定後、確認のためにもう一度入力が求められるので再度入力しましょう。

その後、入力したEmailアドレスに認証メールが送られてくるので、認証URLをクリックしEmailアドレスとパスワードを入力してログインします。

規約の同意画面が表示されるのでチェックを入れ同意し、Spatialで使用する名前を決めたらアカウント作成は完了です。

また、MetaMaskを選択した場合も、Spatialで使用する名前を決める必要があります。

アバターを作成

アカウントを作成すると、ご自身のHOMEが表示されます。

はじめはデフォルトのアバターがランダムに表示されるので、変更したい場合は「Customize Avatar」から、キャラクターや肌の色、服を変更できます。

また、Spatialはアバター作成のために便利なツールを提供しています。

「Ready Player Me Avatar」は、ブラウザ上で無料で使えるカスタマイズ可能なアバター作成ツールで、多様なオプションから自分の好みに合ったアバターを作成できます。

一方、「Generate Head」は、写真から高品質な3Dモデルを簡単に生成することができるツールで、顔写真を撮影するかアップロードするだけで、自分の顔のアバターを作成することができます。

どちらのツールも、簡単に使えて高品質なアバターを作成することができ、Spatialのアバター作成体験をより豊かにする貴重なツールです。

スペースへ入室

アバターを作成したら、HOMEで動作方法の確認や、ご自身でスペースを作ったり、全ユーザーが参加可能なオープンイベントなどに参加してみましょう。

招待したい人がいる場合はEmailアドレスを入力し、「Send Invites」ボタンをクリックすると招待できます。

また、特定のNFTを持っていないと参加できないクローズドなスペースを作ることも可能です。

|Spatialの操作方法

ここではSpatialのスペース内での操作方法を、PC版とQUESTコントローラー版でご紹介します。

PCとQUESTコントローラーでは、操作方法が異なりますのでしっかり理解しましょう。

PCでのキー操作

Spatialにログイン後、画面右下のクエスチョンマーク(?)を押すと、基本的な操作を確認できます。

マウス操作

  • クリックで指定箇所に移動
  • ドラッグでカメラ操作
  • オブジェクトを選択し移動

キーボード操作

  • w 前進
  • s バック
  • a 左に進む
  • d 右に進む

矢印キーで移動することも可能です。

  • q、eキーでアバターの向きを操作
  • c 拍手
  • y  Yesポーズ
  • n Noポーズ
  • 1 応援ポーズ
  • 2 手を振る
  • 3、4、5 ダンスを踊る

上記のようにそれぞれに割り当てられたアクションを実行します。

実際に操作してみてアバターの動きを体験してみましょう。

QUESTコントローラーでの操作

QUESTコントローラーでの操作方法は以下の通りです。

ボタン                        操作

A                        メニュー

Oculus                アプリ外に出る

トリガー                クリック

グリッブ                 掴む

ジョイスティック-左右に倒す      左右に回転

ジョイスティック-前に倒す     前方にテレポート移動

ジョイスティック-後ろに倒す     後方にスムース移動

|メタバースSpatialの活用事例

Spatialでは、バーチャル空間での展示会やセミナー、音楽ライブなどが行われており、参加者はリアルタイムでコミュニケーションを取りながらイベントを楽しむことができます。

また、バーチャルショップでは実世界の店舗をメタバース上に再現し、買い物体験を味わうことも可能です。

会社で利用する場合、オフィスを作りミーティングなども行われています。

ここでは実際に行われた活用事例をご紹介します。

展示会 

2022年8月には、「日本メタバースEXPO」が開催され、大企業事例に加え、中小企業や個人向けの可能性にも焦点を当てた展示が行われました。

会場では、Spatialを利用してセミナーやワークショップ、音楽ライブなどが行われ、メタバースの活用方法を身近に学べる機会が提供されました。

また、2022年12月から2023年1月にかけては、「Japan NFT expo in メタバース」が開催され、社会課題の解決に役立つNFTの可能性が紹介されました。

24時間いつでもSpatial内でNFTプロジェクトを閲覧できる展示が行われ、初心者向けにはZoomによるフォローアップも行われました。

バーチャルショップ

「GardenBee」というバーチャルフラワーショップは、「メタバースに花束を」をコンセプトとしたバーチャル花屋です。

メタバース上に作られた3Dフラワーショップで、色鮮やかなブーケやお花を無料・有料で提供しています。

このように、メタバース空間上でアイテムを販売することは可能ですが、更に実世界の店舗を再現したバーチャルショップを作ることで、買い物体験を届けることもできます。

メタバースを活用することで、実際に店舗に行くことが難しい場合でも、バーチャル空間での買い物体験ができます。

|まとめ

Spatialは、バーチャル空間上での展示会やセミナー、音楽ライブなどが行われ、参加者はリアルタイムでコミュニケーションを取りながらイベントを楽しむことができます。

また、VR会議のバーチャルオフィスとしての利用など、リモートワークをサポートするツールとしても注目されています。

さらに、NFTにも対応しておりブロックチェーンといった最新技術も取り入れていることも魅力の1つです。

これらの活用事例が増えることで、リアルとバーチャルを繋ぐ新しい社会インフラが生まれることが期待されます。

Spatialをはじめとするメタバースの技術は今後さらに進化し、より身近な存在となっていくことが予想されます。

ぜひSpatialを利用し、メタバースの可能性を体感してみましょう。