企業イメージの浸透や販売促進に欠かせないブランディング。
このブランディング戦略にメタバースを取り入れる動きが出ています。
しかし、この新しい方法についてよく知らない方も多いはず。
そこで、この記事では、
「メタバースを使ったイメージ戦略に興味がある」
「新しいブランディング手法を試したい」
「メタバースを使ったブランディングの具体的な事例が知りたい」
といった方に向けて、
メタバースを使ったブランディングの
- メリットや注意点
- 手法
- 具体事例
について詳しく解説していきます。
メタバースを使った新しいブランディングの形を知ることができますので、ぜひご一読ください。
目次
|メタバースとブランディング
近年メタバースを使ったブランディングを行う企業が増えています。
そもそもメタバースとはインターネット上につくられた仮想空間のことです。
ユーザーはアバターと呼ばれるキャラクターを操作して、メタバース空間を探索したり、誰かと交流したり、ショッピングや商品販売などの経済活動を行ったりできます。
このメタバース空間を通して顧客にアプローチし、企業イメージの浸透や自社商品の認知拡大などを行うのがメタバースを使ったブランディングです。
|ブランディングにメタバースが使われる理由
メタバースにはブランディングを行う上でのメリットが多くあります。
その中でも特にメリットを感じられるものを4つに絞って紹介します。
物理的な制約がない
メタバースは仮想空間であり、物理的な制約がほとんどありません。
そのため、ブランディングのための大胆なアイデアを試せます。
たとえば、広大な空間に大規模なショッピングモールを構築したり、全世界の人々が参加できるコンサートやイベントを開催できます。
現実世界の場合、店舗や展示会場を構築するためには場所、建設費用、会場周辺の安全確保などの制約があります。
しかし、メタバースではこれらの制約を気にせずに済むため、商品やサービスのデモンストレーションを、これまでは難しかったやり方も含め柔軟に行うことが可能です。
非日常的な体験を提供できる
メタバース内では、現実世界では実現不可能な非日常的な体験を提供できます。
たとえば、仮想現実の世界でのスポーツやアクティビティー、アバターの作成や着せ替えなど、現実世界ではできない多彩な体験を提供できます。
このような非日常的な体験は、ユーザーに強い印象を与えられるため、ブランドイメージの定着や商品・サービスの認知度を高める上で効果があります。
新しい顧客獲得が期待できる
メタバースは地理的な制約がなく、世界中の人々がアクセスできます。
そのため、従来の店舗やオフィスに訪れることが難しかった顧客にリーチできます。
また、メタバースを利用するような若者やゲーマー層に強くアピールできる点も見逃せません。
メタバースを使ったブランディングが上手くいけば、新しい顧客を獲得し、ビジネスの成長を促進するチャンスになります。
高い利益率が期待できる
メタバース内での販売には、物理的な店舗を建設したり、在庫を保管したりする必要がありません。
そのため、メタバースを使ってブランディングの施策を行えば、現実世界で似た施策を行うよりもコストを削減できる可能性があります。
コストを減らせれば、その分、高い利益率が見込めます。
|メタバースを使うときの注意点
メタバースの利用はメリットも多いですが、気を付けるべき注意点も存在します。
トラブルを避けるためにも、メタバースをブランディングに使う際の注意点について知っておきましょう。
制作コスト
メタバースを使ってブランディングを行う場合、おおよそ次の2パターンに分けられます。
- 既存のプラットフォームを利用する場合
- 独自のプラットフォームを作る場合
どちらを採用するかによって必要になるコストが大きく変わります。
既存のプラットフォームを利用する場合は、一般的に数十万~数百万の費用で行えます。
一方、独自のプラットフォームを作ろうと思うと、数千万のコストを見込む必要があり、大型のプロジェクトになれば億単位の費用が必要になることもあります。
サーバー代・アップデート・保守運用などの維持費も必要です。
このように、少なくないコストがかかる点には注意しましょう。
ユーザー層が限定的
メタバースは比較的若いユーザーが利用する傾向にあります。
メタバースを利用している全体の約8割が18歳以下のユーザーであるとの調査もあり、アプローチできる年齢層が偏っている可能性があります。
メタバースを提供しているプラットフォームによって、ユーザーの年齢層や男女比率に違いがありますが、総じて中高年の利用者は少な目だと考えた方がよさそうです。
デジタル関連の法規制
メタバースは比較的新しい技術です。
そのため、法律的に未整備な部分も多く、メタバースでブランディングを行う際には注意が必要です。
著作権関係や仮想通貨の取り扱い、アバター間のトラブルなど、適切なルール作りのために、デジタル法規にくわしい専門家がいると心強いです。
|メタバースを使った4つのブランディング手法
メタバースを使ったブランディングの手法にはいくつかの種類があります。
その中から効果的なブランディングの手法について4つ紹介していきます。
メタバース空間で広告を出す
現実世界と同様に、メタバース空間でも広告を出すことによってブランドを宣伝することができます。
現実世界では広告を出せる場所に制限がありますが、メタバースではその心配がありません。上下左右自由自在に広告を出すことが可能です。
テキストや画像、動画など様々な形式でユーザーに訴求することができ、現実世界とは一味違った広告を出せます。
メタバース空間にショップをオープンする
メタバース空間に自社ブランドのショップをオープンする方法があります。
既存のメタバース上にショップを展開することも可能ですし、新たにメタバースプラットフォームを構築して出店することもできます。
メタバースでショップをオープンすれば、顧客との新しい形態でのコミュニケーションを可能にし、物理的な店舗では実現できなかった多様な体験を提供できます。
店舗や展示会のような環境を再現しても良いですし、独自のファンタジー世界を構築するのも面白いですね。
ゲーム内で自社商品を設置する
ゲーム内に自社商品を設置することで、企業や商品に興味を持ってもらう方法があります。
この手法はプロダクト・リプレイスメントと呼ばれており、例えば、スポーツゲーム内に自社のスポーツ用品を登場させることで、プレイヤーに商品や企業イメージをアピールできます。
自社サービスと関連の高いゲームを選んで商品を設置することで、自社の活動に興味を持ってもらえそうなユーザーに効率的にリーチできます。
AI搭載の3Dロボットをインフルエンサーとして活用する
AIを搭載した3Dロボットにインフルエンサーとして活躍してもらいましょう。
3Dロボットは、人間のように表情やジェスチャーを用いてコミュニケーションをとることができ、自己学習により、自然な会話や表現が可能です。
さらに、人とは違い、メタバース内で24時間企業や商品をアピールし続けてくれます。
|メタバースを活用したブランディング事例5選
現在、メタバースを活用した活動がさまざまな業界で行われており、これまでになかった顧客体験が提供されています。
ここからは、実際にメタバースを活用したブランディングの事例を4つ紹介します。
Wendy’s First Kitchen
大手ファストフードチェーンの「Wendy’s First Kitchen」が、Meta社が提供しているメタバースである「Horizon Worlds」内にレストランをオープンしました。
CM放送をオフラインとメタバースの両方で同時に行うことで、利用者と接触する回数を増やし、広告の効果を高めています。
また、同社は、利用者の購買意欲を引き出すために、においや味、食感までを感じることのできるメタバース空間を開発中とのこと。
このような取り組みによって顧客との繋がりを強化し、自社ブランドの強化を図っています。
BMW
BMWは、自社のメタバースを構築し、「Joytopia」というエンターテイメントの世界を作りました。
ユーザーはアバターとして行動し、他のユーザーとコミュニケーションが取れ、イベントのモーターショーに参加できます。
さらに、自社メタバースにイギリスの有名バンドを招いてライブを行うことで、普段は関わりがない層にもアプローチをかけ、会社や商品の理解を得ることに力を入れています。
BMWは、顧客との新しい対話方法としてメタバースを取り入れることにより、ブランドへのさらなる理解を深めようと取り組んでいます。
より多くの顧客にアプローチすることができると同時に、新しい顧客体験を提供することで、ブランドイメージの向上を図っています。
BEAMS
衣料品や雑貨を販売するセレクトショップである「BEAMS」は、メタバース空間にバーチャルの店舗を出店しています。
ユーザーは現実世界で出品されている商品を3D商品としてアバターで試着できます。
背格好が自身と同じリアルなアバターに試着させるので、商品を着用した時のサイズ感が分かります。
このように、これまでのECショップにはなかった利便性を提供することで、自社サイトを顧客に利用してもらい、ブランディングにつなげています。
ラルフローレン
ラルフローレンは、メタバースプラットフォームの「ZEPETO」とコラボし、メタバース内で購入できる50種類以上のアバターウェアをリリースしました。
さらに、メタバース上にバーチャルのニューヨークを再現。
マディソン・アベニューの旗艦店やセントラル・パークなどを制作し、ユーザーが参加できるクエストや有名K-POPバンドによるコンサートも提供しています。
メタバースを使ったブランディングで新規の顧客を獲得する狙いです。
大阪府・大阪市
大阪府と大阪市は、日本発のメタバース「Cluster」上に「バーチャル大阪」を作りました。
バーチャル大阪には道頓堀など実際の大阪の街をモデルにしたエリアが登場。
世界中から集まる参加者との交流やバーチャル音楽ライブなどのエンタメコンテンツが楽しめます。
大阪府は2025年に万博の開催を控えており、万博への期待感を高めるためにも、メタバースを使ったブランディングで大阪の文化や魅力を世界に伝えています。
|メタバースを使ったブランディングは有望か?
結論から言えば、メタバースを使ったブランディングはビジネスを発展させる上で有望です。
なぜなら、今後メタバース市場は大きく拡大していくことが見込まれているからです。
総務省は、「メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されている」としています。
この予測に従えば、メタバースの市場はたった10年で、約20倍に膨らむことになります。
市場規模の拡大は、メタバースを利用するユーザー数がさらに伸びていくことを意味します。
メタバースを使ったブランディングを行えば、今後ますます多くの潜在顧客にリーチできるようになるでしょう。
|メタバースブランディングで新たな顧客の獲得へ繋げよう
この記事では、メタバースを使ったブランディングについて詳しく解説してきました。
メタバースを使ったブランディングには多くのメリットがあり、既に企業や自治体が活用をはじめています。
メタバースの利用には注意すべき点もありますが、今後メタバース市場の拡大が見込まれている点からも導入を検討する価値は十分にあります。
デジタルを用いた新たな施策に興味がある方は、ぜひ、今回の記事を参考にしてみてください。