「最近VRってよく聞くけど、VR広告ってどういうものなの?」

「VR広告って効果的なの?」

そんな疑問をお持ちではないでしょうか?

最近話題のVR広告ってどんなものか気になりますよね?

VR広告とは、仮想現実技術を用いた広告のことです。

VRを使うことで、従来の広告では表現しきれなかったリアルな体験を提供することができます。

本記事では、VRを活用した広告のメリットや事例、広告が掲載できるプラットフォームなどについて解説します。

VR広告について網羅的にまとめてますので、新しい広告手法をお探しの方、VRがどのように活用できるのかとお悩みの方にはこの記事が参考になるはずです。

|VRとは

VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。

コンピューターで作り出したデジタルの仮想空間を、専用のVRゴーグルを装着し、360度の映像や迫力の音響などによって、現実には存在しない世界を没入感をもって体験することができます。

パソコンやゲーム機、スマートフォンなどに接続して使用することができ、それぞれの機能や価格帯によって異なる特徴を持ちます。

最近では、エンターテインメントだけでなく、教育や医療分野などでも利用が進んでおり、ますます注目を集めています。

VR技術は今後、より進化し、私たちの生活や社会の様々な場面で活躍することが期待されています。

|VR広告とは

VR広告は、VR技術を活用して配信される広告のことです。

VR動画を通じて広告を配信する方法や、バーチャル空間に広告を配置する方法があります。

従来の広告は見るだけでしたが、VR広告は商品やサービスを仮想空間で擬似体験することができるため、「体験型広告」とも言われます。

また、VR空間内に広告を設置して配信することもできます。

現実には存在しない仮想空間や、実在する街並みを再現したバーチャル空間に広告を掲載することが可能です。

まさに現実世界と仮想世界を融合させた広告手法といえます。

VR技術の進化に伴い、VR広告の需要も増えており、今後ますます注目される分野となることが期待されています。

|VR広告の効果

VR広告の効果には以下のようなものがあります。

まず、VR広告は視聴者に直接商品やサービスを体験させることができます。

従来の広告は文字や画像を見ることが主でしたが、VR広告では直接仮想空間で商品やサービスを操作することができます。

そのため、視聴者に強いインパクトを与えることができると考えられます。

また、VR広告は没入感が高いため、広告に対する記憶力や興味を引く力が強くなります。

視聴者はVR空間で自分自身が商品やサービスを操作していることから、直感的に理解することができます。

さらに、VR広告は限定的なプラットフォームであるため、よりターゲット層を絞って配信することができます。

そのため、より効果的な広告配信が可能となります。

VR広告の効果を定量的に評価した実験はまだ少ないものの、次のような報告もあります。

動画広告サービスを運営するYuMeは、VRゲーム内で行った広告表示実験により、360度動画などを使用したVR広告はきわめて効果的であると発表しています。

実験によると、被験者は表示された広告の内容の70%を想起でき、特に動画広告は90%を想起できたとされています。

この実験結果からも、VR広告は従来の広告手法と比較して、より強い印象を与えることができ、長期的にも持続することが期待できます。

|VR広告の種類

VR広告の種類は大きく分けて次の2種類があります。

  • VR空間に広告を設置する「VR空間広告」
  • VR動画広告を活用するもの

それぞれ詳しく見ていきましょう。

VR空間に広告を出稿

VR空間内に現実世界と同じような街並みを再現し、広告を設置する手法です。

ユーザーは通常の広告と比べ、周囲を見渡すため、広告に気づきやすくなります。

また、視線情報を利用して広告の効果を測定できるプラットフォームもあり、効果を測定し、改善に繋げることも可能です。

VR空間で広告を出稿することで、より効果的なマーケティングが可能になります。

VR動画広告を活用

YouTubeやSNSなどの動画配信プラットフォームで配信されるVR動画広告です。

VR動画広告は商品やサービスの疑似体験を訴求できることが大きな特徴です。

一般的な動画広告と異なり、デバイスを自分で操作して視線を自由に動かすことができるため、広告に対して能動的に情報を得ることができます。

そのため、視聴者はよりリアルな視聴体験ができ、興味や関心を引きやすくなります。

|VR広告を活用するメリット

続いてVR広告を活用するメリットについて説明していきます。

具体的なメリットは以下の4点です。

  • VR特有の没入感で”体験”を届ける
  • ユーザーの視線までも定量的なデータとして集計できる
  • 自然な流入が期待できる
  • 滞在時間が長い

VR特有の没入感で”体験”を届ける

VR広告を活用する最大のメリットは、VR特有の没入感を利用して、商品やサービスを”体験”として届けることができる点です。

一般的な広告では、商品やサービスを単に説明することが主流でしたが、VR広告では、視聴者を実際にその世界に引き込むことができます。

例えば、旅行会社がVR空間で世界各地の観光スポットを再現することで、視聴者はまるで旅行にいっているかのような没入感を味わうことができます。

また、不動産業界では、VR広告を活用して物件の内見を体験させることができ、利用者が現地に行かなくても、リアルな内覧を可能にすることができます。

これによって、商品やサービスについて理解するだけでなく、その魅力を現地に行かなくても直接体感することができるため、より強い印象を残し、消費者の購買意欲を高めることができます。

ユーザーの視線までも定量的なデータとして集計できる

続いてのメリットは、VR広告においてユーザーの視線情報を取得できる点です。

高性能のVRゴーグルにはユーザーの視線を感知する「アイトラッキング機能」が搭載されており、この機能により、ユーザーの視線を定量的なデータとして収集することができます。

このデータを活用することで、広告ないでどの部分がユーザーの注目を集めたのかを分析し、より効果的なVR広告を作成することが可能になります。

例えば、どの部分にユーザーの視線が集中しているかを分析することで、広告の見せ方やコンテンツの構成などを改善したり、広告の訴求ポイントや興味を引く部分が明確になるため、よりターゲット層に対して効果的な広告戦略を立てることができます。

視線データを活用することで、より効果的な広告効果が期待できます。

自然な流入が期待できる

続いてのメリットは、ユーザーの自然な流入が期待できる点です。

従来の動画広告はテレビCMやYouTubeの最初や途中に流され、一方的に見せられるものでした。

しかし、VR広告の場合は、ユーザーが能動的に視聴できるため、興味を持ったユーザーが自発的に広告を見るという点で大きく異なります。

さらに、ユーザーはVR空間で興味を持った商品やサービスをその場ですぐに体験することができるため、流入しやすい傾向にあります。

このような特徴から、ユーザーが自然な形で流入することが期待できます。

滞在時間が長い

VR空間は没入感が高く、リアルな体験を可能にするため、ユーザーは長時間滞在する傾向にあります。

ユーザー自らがVR広告内で行動するため、より多くの時間を過ごすことが期待できます。

VR広告は体験することができるため、ユーザーが広告に興味を持ち、自分で行動したくなることでしょう。

VR広告はユーザーに没入感を与え、長時間滞在させることができるため、広告主にとっても効果的な広告手段となります。

|VR広告が掲載できるプラットフォーム

ここからは、VR広告を掲載できるプラットフォームについて紹介していきます。

VR広告が注目されるようになり、VR空間を提供するプラットフォームも増加しています。

Google

Googleは、2014年にモバイル向けの安価なVRヘッドセット「Cardboard」を発表し、その後もVRプラットフォームの開発に注力しています。

2016年には「Daydream」というプラットフォームを発表。

パワフルで高品質なVR体験を安価に提供することを実現しました。

VR空間内にキューブ型の広告オブジェクトを配置し、ユーザーアクションにより動画広告を拡大表示するシステム開発など積極的に進めています。

また、VR対応のモバイルアプリの開発にも力を入れており、YouTubeでは360°動画をアップロード・閲覧を可能にしています。

Googleは、VR技術を活用し、広告やコンテンツの分野にも進出し、市場をリードする存在の1つとなっています。

Facebook

世界最大級のSNSプラットフォームであるFacebookは、社名を「Meta」と改めるなど、社運をかけてVR事業に注力する姿勢を見せています。

2014年に世界最大のVRヘッドマウントディスプレイ開発会社であるOculus買収を皮切りに、VRプラットフォーム「Horizon Workd(旧Facebook Horizon)」の開発・運営を行っています。

このプラットフォームでは、自身がアバターとなり、仮想空間に入り込むことができます。Horizon Worldでは、オンラインイベント、ゲーム、フィットネス、そしてビジネスなど、多種多様な利用シーンが可能です。

また、アバターによるコミュニケーションにより、より人々と交流を深めることができます。

MetaのVR技術が、社会にどのような変化をもたらすのか、今後の展開が注目されます。

Alpha

Alpfhaは、スマートフォン向けインタラクティブ広告プラットフォーム「3D AD(スリーディーアド)」を運営しています。

「3D AD」の特徴は、独自の3Dクリエイティブ表現とAIを活用した的確な配信アルゴリズムにあります。

3DCG技術を駆使した立体感のあるリアルな表現に加え、タップやスクロールなどの操作に合わせてキャラクターがアクションするなど、インタラクティブ体験によりユーザーの興味を惹きます。

さらにAIを活用した配信アルゴリズムで、その広告を関心の高いユーザーに届けることで、高い広告効果を実現しています。

adverty

Adverty(アドバーティ)は、スウェーデンのVR広告サービス企業で、VR上に広告を表示するシステムを提供しています。

ユーザーの没入感を損なわず、VRコンテンツの一部として広告を表示する点が特徴です。

また、ユーザーの視線やアクションをトラッキングする独自アルゴリズム「Cost per Brain Impression」により、ユーザーが広告を認知したかを計測し、認知した場合のみ課金するシステムを採用しています。

このシステムにより、合理的で費用対効果の高い広告出稿が可能です。

|VR動画を活用した広告事例

ここからは、VR動画を活用した広告事例について紹介します。

VR動画をどのように活用し、どんなプロモーションを展開しているのか、個別に見ていきましょう。

NTT×電通

NTTと電通は、「東京ゲームショウ VR 2021」でVR広告の共同実証を開始し、VR空間での大規模プラットフォームと広告事業の在り方を検討しました。

複数パターンの3D広告を設置し、それぞれの広告効果を計測、比較・検証しました。

体験例には、等身大かつリアルな3Dオブジェクトコンテンツや、臨場感あるブランド訴求、ユーザーが楽しめる導線を設計。

企業やブランドは立体的な表現で世界観を構築し、ユーザーにアバターを介して全身で体感してもらいました。

「東京ゲームショウ VR 2021」のバーチャル会場の総来場者数は約21万人を記録、参加者の98.8%が再来訪意向を示すなど、大きな反響を呼びました。

両社はこれを皮切りに、検証結果を生かしながら、国内外のさまざまなXRイベントで、来場者と出展者の双方の価値の最大化と、XR広告モデルの成功パターンの更なる検証を実施していくとのこと。

コカコーラ社

コカ・コーラ社は、advertyのプラットフォームを活用して、VRゲーム内に広告を配信しています。

VRゲームでは、ユーザーは周囲の景色に興味を持つため、広告を見る機会が自然に増えます。

また、advertyの特徴であるユーザーの視線や行動をトラッキングするシステムを利用し、視線の先にさりげなく広告を配置します。

コカ・コーラ社は、advertyの機能をうまく活用し、ユーザーにネガティブな印象を与えることなく、かつ効率的にVR広告を利用しています。

グリコ

江崎グリコでは、VR広告動画に女優の綾瀬はるかさんを起用し、360℃動画を公開しています。

仮想空間で綾瀬さんと1対1のコミュニケーションを実現。

視聴者は、自分の視線に合わせて視界が変わるため、まるで自分が同じ空間にいるかのような没入感、臨場感を味わうことができます。

人気女優と1対1のコミュニケーションができるのは仮想空間ならではのリッチな体験ですね。

株式会社HIKKY

株式会社HIKKYは、「バーチャルマーケット」というバーチャルイベントを展開しています。

このイベントでは、仮想世界上でリアルな商品や3Dアイテムなどを展示・販売しています。

特に2020年12月から2021年1月にかけて開催された「バーチャルマーケット5」は世界最大級のイベントとして注目され、70万人以上のユーザーが参加し、一大イベントとなりました。

また、同イベントは国際的なVR表彰式「VR AWARD」のマーケティング部門最優秀賞も受賞しています。

Davos Klosters

「Davos Klosters」は、スイス・チューリッヒのスキーリゾートで、VRを活用したプロモーションを行い注目を集めました。

イベントでは、リフトに乗り込み、ヘッドセットを装着することから始まります。

リフトを登りきると、Davos Klostersの雪景色が広がり、まるで雪の別世界にいるかのような感覚が味わえます。

さらに、リフトを降りた後には、食事のシーンもあり、実際の料理が運ばれてくることで、Davos Klostersの魅力を余すところなく伝える内容となっています。

これらの体験は、Davos Klostersへの訪問者数を増加させることが期待されています。

東京エールワークス

東京エールワークスは、ビールのサブスクリプション・サービス「東京エールワークス たくさん飲み隊」の契約者特典として、自宅でビール工場の見学気分が味わえるVRコンテンツ「TOKYO ALEWORKS バーチャル・ブリュワリーツアー」を制作・配信しています。

届いたビールの製造過程をその場で見学しているかのような360℃映像を体験できます。

その体験は、今まさに手にとっているビールの出来立ての味を想起させることでしょう。

ビール好きの方にはたまらない体験ですね。

株式会社HOLIDAY STUDIO

株式会社HOLIDAY STUDIOは、VR技術を活用した広告効果測定システム「バーチャルアドバリュー」を提供しています。

このシステムでは、消費者モニターにVR空間でリアルな広告に触れる体験をしてもらい、その行動からリアルな広告効果を補足するシステムです。

2019年には、第一弾として「電車内広告評価システム」がリリースされました。

電車に乗車する仮想体験において、「どの広告を、どれぐらい見たのか」「どういう順に見たのか」「自社の広告は他社よりも注目されたのか」といった行動データを取得。

アンケート調査も併せて実施することで、これまで難しかったオフラインの広告効果を精度良く測定・評価することが可能です。

このように、VR広告を出稿するのではなく、現実世界においての広告評価をVR技術を用いて行う活用法もあります。

きゃりーぱみゅぱみゅ

国内外を問わず若者を中心に人気を博している「きゃりーぱみゅぱみゅ」は、新曲「ガムガムガール」のミュージックビデオを、ソフトバンクの配信サービス『5G LAB』内にて独占配信しました。

ミュージックビデオは、バックダンサーを従えた臨場感溢れる3D自由視点映像(VR SQUARE)と、豪華なステージセットの正面や側面からなど、さまざまなアングルから視聴できるマルチアングル映像(FR SQUARE)といった様々なバリエーションで配信され、エンターテイメントの新しい楽しみ方を提供しています。

|今後の課題

ここまで、VR広告のメリットや広告事例を見てきました。

VR広告は、広告効果が高く、魅力的な技術であることは確かですが、現時点ではまだまだ発展途上であり、課題も多く抱えているのが現状です。

VRをうまく活用するためにも、VRが抱える問題・課題についてもきちんと把握しておく必要があります。

制作コスト

1つ目の課題は、制作コストが高いことです。

VRの制作コストが高い理由として、360度あらゆる角度に仮想空間が広がり、高い没入感を演出するためには、それ相応の映像やCGのクオリティが必要となるためです。

しかし、VR制作に必要な技術・スキルを持つクリエイターがまだまだ少なく、制作に膨大な時間を費やすこともコストが高騰する原因となっています。

具体的な製作費は作品の内容や制作会社によって大きく変わるものの、「1分あたり120万から」というのがおよその目安のようです。

あくまでも参考値ですが、VR広告を検討する際はこのくらいの相場感を持っておきましょう。

ヘッドセットの流通量

2つ目の課題は、VRヘッドセットの流通量の低さです。

現在、VRヘッドセットを保有している人はまだまだ少数派であり、広告のリーチが限定されることが大きなデメリットです。

普及が進まない原因は、ヘッドセットの価格と魅力的なコンテンツが少ないことにあります。

ただし、最近では5,000円を下回るヘッドセットが発売されるなど、低価格化が進んでいることや、前述したような魅力的なコンテンツも次々に生み出されているので、この問題は近い将来解消されると予想されます。

|まとめ

いかがだったでしょうか?

今回はVR広告のメリットや活用事例、VRのプラットフォームなどについて解説しました。

VR広告は、現時点ではたしかに課題もあるものの、従来の広告にはない魅力がたくさんあります。

仮想空間でどのようなプロモーションを展開するか、ユーザーにどんな体験を提供するか、可能性は無限大ですね。

今後ますます需要が高まることが予想され、企業のマーケティングにおいて重要な役割を果たすことでしょう。ぜひ注目してみて下さい。