「Facebookはメタバース企業になる」

2021年10月、Facobook社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏がこのように発言し、突如として社名をメタバースにちなんだ「Meta」に変更。

同年だけで約1兆円規模の投資を行い、メタバースは注目の的となりました。

2024年現在でもメタバースブームは陰りを見せず、国内外を問わず多くの企業がメタバースへの投資を発表しています。

しかし、近年では「メタバースは既にオワコン」というような議論も目立ってきました。

果たしてそれは事実なのでしょうか。

本記事では、依然として注目技術である「メタバース」について、各調査機関のデータを元に将来性を予測します。

また、注目企業やメタバースを事業化するメリット・課題についてもご紹介します。

最後までお読みいただければ、次の時代を担う注目技術のメタバースの現状をしっかりと把握することが可能です。ぜひ最後までお付き合いください。

|そもそもメタバースとは?

「メタバース(Metaverse)」という言葉は、1992年にSF作家のNeal Stephensonが書いた小説「Snow Crash(スノウ・クラッシュ)」で初めて使われた言葉です。

作者から明確に明言されているわけではありませんが、「超越」を意味する「Meta(メタ)」と「空間や宇宙」を意味する「Verse(バース)」を合成した造語というのが一般的な解釈です。

現在では、この「メタバース(Metaverse)」という言葉は、仮想現実や拡張現実技術などを用いて構築された仮想空間のことを指す言葉として広く使われています。

具体的には、人々が自分のアバター(仮想世界における自分の分身)を操作しながら、仮想世界内でコミュニケーションを取り、様々な活動を行うことができる空間のことを指します。

実は、メタバースという言葉は明確に定義されているわけではありません。

しかし、世界的に有名な投資家であるマシュー・ポール氏(米)が2020年に提唱した7つの条件が最も有力とされています。

<メタバースを構成する7つの条件>

  1. 永続的である
  2. 同時多発でライブ的である
  3. 参加ユーザー数に制限がなく、各ユーザーは存在感を持つ
  4. 経済(エコシステム)が完全に機能している
  5. デジタルと実世界、プライベートとパブリック、オープンとクローズの双方にまたがる体験である
  6. 前例のない相互運用性を実現する
  7. 個人、企業など幅広い貢献者によって創造・運営される

メタバースは、商品やサービスを仮想空間上で提供することができるため、新しいビジネスモデルの創出やマーケティングの観点からも期待されています。

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|【2024最新】メタバースの現状は?将来性はあるのか

「メタバースはオワコン」

最近ではこんな論調で批判するメディアなども増えてきました。

これは、メタバースが注目を集めた要因の一つであるFacebook社(現Meta社)の投資が思ったようなリターンを得られなかった時期から活発になった印象です。

一部は注目を集めるためだけに誇張して大袈裟にしている節もありますが、業界のリーディングカンパニーが思ったような結果を出せなかったとなると、そう思ってしまうのも仕方がありません。

では、確かなデータをもとに現在のメタバース市場を見てみるとどうでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

各調査機関による現状と予測

今回メタバースの将来性を占う上で参考にしたデータは

  • 矢野経済研究所
  • Bloomberg(ブルームバーグ)
  • 総務省

の調査報告書です。

上記3データをもとに、現在のメタバース市場の動向を見ていきましょう。

①矢野経済研究所の予測

矢野経済研究所の最新の調査報告によると、2022年度の国内メタバース市場規模は1,377億円に達し、2027年にはその規模が2兆円を超えると予測されています。

2022年度の市場は、前年度比173.6%という驚異的な成長を遂げました。これは、試験的な事業参入や新技術への注目が集まった結果です。

自治体や行政もメタバースの波に乗り、多様な分野での活用が見られ、2023年度には更なる成長を予測し、市場規模は2,851億円に達する見込みです。

同調査報告書のデータをもとに年間平均成長率(CAGR)を算出すると、「70.77%」という驚異的な結果となりました。

数値で言われてもピンとこない方もいるかもしれません。

参考までに、一般的な成長産業の年間平均成長率は約10〜20%といわれています。

スマホが急激に普及した時の年間平均成長率は約50%ほどです。

こうみるといかにメタバースが驚異的な成長予測をされているか実感できるでしょう。

このように、矢野経済研究所のデータだけを見れば、メタバースは今後加速度的に普及していくことが予想されます。

②Bloombergの予測

Bloombergの分析によると、世界のメタバース市場は2020年の4787億ドル(約67兆円)から2024年には7833億ドル(約110兆円)に達する見込みで、年間平均成長率は13.1%になります。

(※ドル円レートを140円で計算)

市場を押し上げた主な産業としては、オンラインゲームメーカーやソーシャルネットワーク、テクノロジー企業が、メタバース市場の大部分を占めているとのことです。

特にゲームメーカーは、既存のタイトルを3Dオンライン化させることで市場機会を拡大しています。

ゲームに関連して、AR、VR市場は2024年までに4130億ドル(約57兆円)に達すると予測され、これにより、ソフトウェアとサービス、ゲーム内広告の収益が市場規模の約70%を占めることになります。

Bloomberg Intelligence (BI)によると、メタバースはオンラインエンターテインメントやソーシャルメディアの大手企業にとって、新たなビジネスチャンスとして捉えるべきという結論もでています。

主に、ライブイベントやソーシャル広告の取り入れることにより、市場規模はさらに拡大する可能性が高いとのことです。

つまり、Bloombergの調査報告書に基づくと、世界のメタバース市場はゲーム業界を筆頭に今後も加速するという予測になります。

③総務省による予測

総務省の報告によると、世界のメタバース市場は2022年の655.1億ドルから2030年には約9365.7億ドルへと大幅に成長すると予測されています。

日本国内でも、市場は2022年に1,825億円から2026年には1兆42億円に拡大する見込みです。

前項と同じように年間平均成長率を算出すると、世界のメタバース市場は「約39.45%」、日本は「約53.16%」です。

メタバースのユーザー数の増加も顕著で、世界では2022年の約2億人から2030年には約7億人へと拡大すると見込まれています。

日本においても、2022年の約450万人から2030年には約1,750万人へと増加すると予測されており、この動向はメタバースが一般消費者に受け入れられている証拠です。

また、メタバースをフル活用するためには「Meta Quest(旧Oculus Quest)」のようなVRデバイスが必須です。

VRデバイスも順調に普及しているようで、日本では、これらの出荷台数が2022年の38万台から2025年には101.9万台へと増加する見通しとのことです。

つまり、総務省の調査報告書でもメタバースは非常に将来性のある技術ということになります。

ほぼ全てがメタバースを「成長産業」と予測

多くの調査報告書の内容を見ても分かるように、メタバースは成長産業であることはほぼ間違いないでしょう。

メタバースの成長の理由は一概には言えませんが、Meta社をはじめとするGAFAMなどの大手テック企業による巨額の投資が盛んに行われていることが要因の一つと考えられます。

冒頭でもお伝えしたように、Meta社は2021年度だけで約1兆円規模の巨額の投資を行っており、それに続く形でGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)もデータセンター事業などに巨額の投資を行っています。

これに投資家が敏感に反応し、市場全体が活性化されているのです。

2024年段階ではこの動きは一旦落ち着きを見せていますが、いつ画期的なメタバースサービスが登場するのかは誰にも予測がつきません。

メタバース市場を牽引するのは第一人者ともいえるMetaなのか、それともGAFAMのどれかなのか、はたまた誰も予測していないスタートアップなのか。

業界の動向には常に目を光らせておく必要があるでしょう。

「過度な期待」のピーク期である可能性も考慮するべき

出典:https://www.gartner.co.jp/ja/research/methodologies/gartner-hype-cycle

新技術が登場した時によくその技術の成熟度を測る指標として活用されるのが、「ガートナー・ハイプサイクル」というガートナー社が提唱した分析モデルです。

ガートナー・ハイプサイクルによると、新技術の成熟度は以下の5つのフェーズに分類されます。

  1. 黎明期(Technology Trigger)
  2. 「過度な期待」のピーク期(Peak of Inflated Expectations)
  3. 幻滅期(Trough of Disillusionment)
  4. 啓発期(Slope of Enlightenment)
  5. 生産性の安定期(Plateau of Productivity)

では、メタバースはこの5つのフェーズのうちどのフェーズに分類されるのでしょうか。

2022年にガートナージャパンが発表した情報によると、日本におけるメタバースは「過度な期待のピーク期」に入ったとのことです。

つまり、このフェーズが終了すると一般的に「幻滅期」に入るのが通例です。

幻滅期に入ると、実際に技術を試してみても期待ほどの成果が得られないことが多く、失望が広がります。

しかし、このフェーズで諦めることなく製品開発をし続ける企業が後の勝者となるのです。

「メタバースは儲かる!」

近年ではこのような論調も目立ちますが、盲目的に信用するのはやめておきましょう。

少なくとも「オワコン」ではない

メタバース業界の第一人者ともいえるMeta社が1兆円規模の巨額投資を行ったことは前項でお伝えしましたが、翌年のMeta社の成績は決して芳しいものではありませんでした。

投資をした翌年の2022年のMeta社のメタバース部門の売上は約2,776億円にものぼりましたが、同時に損失も1兆円とされており、期待したほどのリターンを得られていません。

これは、開発コストがかさみ過ぎたのが原因とされています。

メタバースは新技術であるため、開発には想定以上のコストがかかってしまった。というのがアナリストたちの見解です。

この辺りから市場全体では

「Meta社がメタバース事業投資に失敗しているのだからメタバースはヤバい」

「やはりまだメタバースは早過ぎた」

のような風潮が広まり、「オワコン」とまで言われるようになりました。

しかし、このような論調は新技術が普及し始める際には一種の「お約束」です。

メディアは「オワコン」と論ずれば権威性が増しますし、SNSなどでも何かの否定をすることで自身の主張を際立たせる手法は一般的です。

ここまで解説してきたように、メタバースは決して「オワコン」ではありません。むしろ「ハジコン」といえる新技術です。

情報を取得する際は、できるだけしっかりと精査するように心がけましょう。

|メタバースの現状を把握するために〜国内外の注目企業〜

メタバースはまだまだ成長途中の技術です。

そのため、現状を正しく把握するためにはメタバースに積極的に参加している有名企業の動向を確認しておくのが良いでしょう。

ここでは、国内外の注目企業をいくつかご紹介します。

世界の注目企業

世界の注目企業としては

  1. メタ・プラットフォームズ(旧Facebook)
  2. マイクロソフト
  3. エヌビディア
  4. Unity Software

上記4社に注目しておきましょう。

Meta(メタ・プラットフォームズ)

Meta(メタ・プラットフォームズ)がメタバース企業として注目されている主な理由は、同社が提供するメタバース上のソーシャルプラットフォーム「Horizon」と、リアルな体験を支えるOculusのVR技術にあります。

Horizonは、人々を仮想空間でつなぐサービスとして展開され、Horizon Home、Horizon Worlds、Horizon Venuesなど様々な形式での交流やイベント参加が可能です。

2022年2月時点で、Horizon Worldsには10,000を超える仮想の世界が形成され、月間ユーザー数は30万人を超えています。

さらに、OculusのVR技術は、目線のトラッキングや、顔の方向や手の動きを同期させるモーションキャプチャーなどを基本技術としており、表情認識や指先の高精度トラッキングなどの応用技術開発も進めています。

また、メタバース空間の魅力を高めるためには、多様な3Dコンテンツが必要であり、MetaはHorizon World Creator Fundとして1000万ドルを投じて、クリエイターの発掘と育成に力を入れています。

このように、クリエイターの育成によってメタバース空間を豊かにする戦略を取っています。

マイクロソフト

マイクロソフトがメタバースの分野で注目を集めているのは、その革新的なアプローチと多岐にわたる技術的取り組みによるものです。

例えば、同社が展開する「Mesh for Microsoft Teams」は、ビデオ会議という既存の概念を一新し、アバターを通じた没入感のあるコミュニケーションを実現しています。

他にも、マイクロソフトのMRデバイス「HoloLens(ホロレンズ)」は、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の要素を融合した独自の技術を持ち、現実の3D空間にデジタル要素を統合することで、ユーザーに完全に新しい視点を提供しています。

特に注目したいのは、マイクロソフトが力を入れるインダストリアルメタバースです。

これは、製造業を中心にした産業界でのデジタル化を推進し、共同作業や遠隔操作などの生産性向上を図るプロジェクトです。

実際に、川崎重工業などの企業との連携により、Microsoft AzureやHoloLensを活用した実証実験が進んでおり、これらの成果は今後の産業界における大きな変革の先駆けとなる可能性を秘めています。

また、マイクロソフトはMetaとのパートナーシップを通じて、Microsoft TeamsやMicrosoft 365アプリをMeta Quest VRヘッドセットと連携させることを発表しています。

これにより、ユーザーはTeamsの会議にVR空間から参加したり、WordやExcelなどのアプリケーションをより直感的に操作することが期待されます。

エヌビディア

エヌビディア(NVIDIA)は言わずと知れた半導体のリーディングカンパニーです。特にGPUの領域においては、他の追随を許さないほどに確固たる地位を築いています。

ご存知の方も多いかもしれませんが、メタバースを実現するためには最先端の半導体、特に高性能GPUは必要不可欠です。

メタバースは、高度に複雑で詳細な3D環境をリアルタイムで描写する必要があり、これには大量の計算処理能力が必要です。

エヌビディアのGPUは、そのような高度なグラフィック処理を効率的に行うことができるため、メタバースの実現には欠かせない要素となっています。

また、「NVIDIA Omniverse(オムニバース)」は、3Dデザインのリアルタイムコラボレーションやデジタルツインの構築とシミュレーションを可能にし、業界に革新をもたらしています。

産業用メタバースとしても注目されており、リアルな物理環境のシミュレーションを通じて、自動運転の機械学習や製造ラインの効率化など、現実世界での実践が困難な複雑なシミュレーションを仮想空間で安全に行うことが可能です。

Unity Software

Unity Softwareは、高度なゲームエンジン「Unity(ユニティ)」を提供する企業として広く知られています。

Unityは、2Dおよび3Dのゲーム開発だけでなく、スマートフォンアプリの開発、さらにはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(混合現実)コンテンツの製作にも応用可能です。

その直感的な操作性とプログラミングが不要な点が、初心者からプロの開発者まで幅広いユーザーに支持されています。

Unityはゲーム開発以外にも、自動車産業、医療、建築・不動産業、宇宙産業など、多様な分野で活用されており、これらの業界においても、仮想世界でのシミュレーションや実験が可能です。

このように、Unityはメタバースにおいて多方面での応用が可能な汎用的なツールとして、その重要性は日に日に高まっています。

国内の注目企業

国内のメタバース注目企業としては

  1. 任天堂
  2. ソニー・グループ
  3. TOPPANホールディングス(凸版)
  4. cluster

上記4社です。

以下で詳しく見ていきましょう。

任天堂

任天堂といえば、日本では知らない人がいないほど有名なゲーム業界最大手企業です。

特に『どうぶつの森』は、リアルタイムのオンラインプレイやマイデザイン機能を通じて、ユーザー間のコミュニケーションや企業コンテンツの実現を可能にしており、これらの機能はメタバースとしての側面を持っています。

他にも、ゲーム内での社内ミーティングやアパレル企業とのコラボレーションなど、ゲームの枠を超えたメタバース領域での活用も目立ちます。

任天堂のメタバースへの取り組みは、単なるエンターテインメントに留まらず、ビジネスやファッションの領域にまで広がっており、ゲームを通じて新たなコミュニケーション手段や経済活動の場を提供しているのが特徴です。

ソニー・グループ

ソニー・グループは、エレクトロニクス、ゲーム、エンターテインメント、金融サービスを提供する大手企業です。

1946年に設立され、テレビ、オーディオ機器、カメラ、ビデオゲームコンソール(PlayStationシリーズなど)といった家庭用電子機器の製造に強みを持っています。

ソニーがメタバース企業として注目を集める理由は、同社の強力な事業基盤と、メタバースに活用可能な技術力にあります。

ソニーはエンターテインメント業界において、ゲーム、音楽、映画などの分野で世界的な地位を築いています。

この事業基盤が、メタバースの展開における大きな強みです。

特にゲーム事業では、世界一の売上を誇るソニーインタラクティブエンターテインメントが中心となり、メタバース領域での展開が期待されています。

また、ソニーが保有するマイクロOLEDディスプレイやアイトラッキング技術、リアルタイムCGレンダリング、3Dオーディオなどの要素技術は、メタバースの構築に不可欠です。

これらの技術は、ソニーがこれまでの事業展開を通じて培ってきたもので、メタバース領域への応用が期待されています。

TOPPANホールディングス(凸版)

TOPPANホールディングス(凸版)というと、印刷業界最大手でメタバースとはなんの関わりもないように思えます。

しかし、実はTOPPANはメタバースと非常に関わりの深い企業でもあるのです。

TOPPANはVR(バーチャルリアリティ)技術に25年以上の長い歴史と豊富な経験を持ち、1997年からこの分野での研究開発を進めてきました。

その成果として、文化遺産のデジタル保存や再現に大きな成果を挙げており、例えば「システィーナ礼拝堂」の内部をVRで再現するプロジェクトなどが成功を収めています。

2021年からはメタバース事業にも本格的に着手し、様々な取り組みに挑戦しています。

その一環として、スマホでアクセスできる「メタパ」というメタバースアプリのローンチ、「ミラバース」という現実世界とメタバースを結ぶ空間制作技術、写真1枚から約1分で自分のアバターを生成できる「メタクローン」のローンチなどを行っています。

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cluster

cluster(クラスター株式会社)は日本国内で最大級のメタバースプラットフォーム「cluster」を展開するリーディングカンパニーです。

clusterは、スマホやPC、VRなど好きなデバイスを使ってメタバース空間で遊んだり、人と交流したりすることができるアプリになります。

ユーザーはアバターを通じて他者とコミュニケーションを取り、バーチャルイベントへの参加や自分の世界(ワールド)の作成が可能です。

特に、バーチャル渋谷のような街の再現や、音楽ライブ、スポーツ観戦など、多岐にわたる業界や企業とのコラボレーションを行い、様々なバーチャルイベントの開催に成功しています。

clusterは、バーチャルイベント開催数で世界一位となるなど、メタバース業界での存在感を増しており、ユーザー滞在時間の伸びや現実世界と同じような感覚での生活が実現しつつあります。

日本ではclusterを中心にメタバース活用が進んでいくことが予想されるので、動向には常に目を光らせておきましょう。

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|メタバースを事業化するメリット

ここでは、メタバースを事業化するメリットを3つご紹介します。

①新しいビジネスの創出

メタバースは通常現実では体験し得ないことを体験することが可能です。

そのため、商品やサービスの販売や、新しいビジネスモデルの創出など、様々なビジネスチャンスを生み出すことを期待できます。

また、メタバースは場所や時間に縛られることはありません。

「日本はビジネスの海外展開が下手」と今まで散々いわれてきましたが、メタバースの登場によって「島国」としての制約は排除されます。

日本にとっては特にグローバルにビジネスを展開することができるため、メタバースの事業化によって受けられる恩恵は大きいでしょう。

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②コミュニケーションの多様化

メタバース空間内では相互コミュニケーションをを取ることができます。

テキストコミュニケーションに比べて、より現実に近い形で行動や感情を表現することができます。

また、メタバース内では「言語による障壁」がなくなります。

メタバース内のコミュニケーションでは、基本的に同時翻訳機能が搭載されているのが一般的です。

日本人は内気なので、今まで英語が話せなくて億劫になっていた方も多いかもしれませんが、メタバース普及によってこの不安を払拭できる可能性も広がるでしょう。

③物理的制約にとらわれないサービス

メタバースでは、現実世界では不可能な物理的制約にとらわれないサービスを提供できます。

例えば、空を飛ぶような体験や、昔の時代にタイムスリップするような体験をサービスに組み込めます。

このような非日常感あふれる体験により、人々は普段味わうことのできない刺激や感動を味わうことができます。

これにより、消費者の購買意欲を一層高める効果が期待できます。

また、VR技術を組み合わせることで、より没入感の高い体験が可能になります。

|メタバースを事業化する上で重要なことと課題

先述した通り、ビジネスにおけるメタバースのメリットは多くあります。

しかし現実問題、事業化への課題があるのも事実です。

ここでは、事業化におけるメタバースの課題点や重要なことを紹介します。

メタバース内での法律やルールの整備

メタバースにも、現実世界と同じように法的なルールが必要です。

しかし、現在の法律がメタバースに対して対応していないことが多いため、まだまだ今後の課題ともいえるでしょう。

メタバースに関連する法律は以下の記事でまとめているので、詳しく知りたい方はぜひご一読ください。

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VRデバイスの普及

現状のVR機器は高価であることから、なかなか普及が進んでいないのが現状です。

VRデバイスとして最も有名なのはMeta社がリリースしている「Meta Quest(旧称Oculus Quest)シリーズ」です。

最近では、テレビCMなどでも多く紹介されているのでご存知の方も多いかと思います。

Meta Questの2024年時点での価格は以下の通りです。

  • Meta Quest 2:128GBモデルは47,300円(税込)、256GBモデルは53,900円(税込)
  • Meta Quest 3:128GBは74,800円(税込)、512GBは96,800円(税込)

最安値のMeta Quest 2の128GBモデルでも47,300円(税込)と、一般消費者が気軽に購入するにはやはりまだ敷居が高い金額です。

さらに高性能なVR機器にもなると、数十万円以上することもあり、一般消費者にとっては手が届かない価格帯であることが課題のひとつといえるでしょう。

また、VR機器を使用する際には難しい設定や準備が必要なこともあり、手軽に利用することができないというのも悩ましいところです。

メタバースの専門人材の育成

先述したように、Meta社もメタバース人材の育成にはかなり力を入れています。

Meta社は2021年から5年にわたり欧州でメタバース人材を1万人雇用するとも発表していますが、それでもなおメタバース人材の需要と供給は追いついていないとのことです。

日本ではなおのこと、この問題が顕著になる可能性があります。

経済産業省が発表した情報によると、2030年までに日本国内のIT人材は約79万人が不足すると予測されており、IT人材の需要は高まるばかりです。

ただでさえIT人材が足りていないというのに、メタバース人材を獲得するとなるとさらに厳しい状況に陥ることが予想されます。

今後のためにも、業界各社はメタバース人材の獲得に苦難することは理解しておきましょう。

|メタバースの具体的なビジネスモデルとは?

このように、メタバースを事業化するには課題もいくつか残りますが、それでもなおメタバースビジネスをうまく事業化している企業はたくさんあります。

成功している企業や事例の特徴としては、以下のような点で共通しています。

  1. ターゲットとなるオーディエンスのニーズや関心を分析している
  2. メタバース独自の価値を見出し、既存市場との差別化を図っている
  3. 安定した技術基盤を確立し、ユーザーエクスペリエンス(UX)を重視している
  4. ユーザーデータの保護とプライバシーの尊重している
  5. ユーザーが参加しやすいコミュニティを作り、エンゲージメントを促進している
  6. ビジネスモデルを明確にし、持続可能な収益源を確保している
  7. 持続的なイノベーションに注力している

メタバースを利用した新たなビジネスモデルを構築するためには、上記のようなポイントを意識しましょう。

具体的な事例については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひご一読ください。

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|まとめ:メタバースは将来性のある技術だが過度な信頼は禁物

本記事では、2024年現在のメタバース事業における現状や、注目企業と取り入れるメリットについて紹介しました。

今後ますます注目を集めることが予想される「メタバース」ですが、本記事で紹介したように過度な期待は禁物です。

メタバースには法律やルールの整備、VR機器の普及、メタバース人材の不足など、メタバースを事業化する上での課題点も存在します。

しかし、その課題点を解決することによって、メタバースが持つ可能性を最大限に引き出すことができるかもしれません。

重要なのは常に最新の情報をアップデートすること。

私たちも読者の皆様に最新の情報を常に届けられるよう運営を心がけますので、ぜひ「メタバース相談室」を引き続きご愛顧ください。

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!