AR動画とは、現実を仮想的に拡張した技術も用いて作られおり、エンターテイメントからビジネスまで幅広い分野で活用されています。

AR動画はイベント等の企画や文章では伝えきれない情報をイメージとして3Dモデル化し、顧客に分かりやすくしてくれる効果があります。

今回は、AR動画の仕組みや企業の活用事例を紹介いたします。

|ARとは?

ARとは「Augmented Reality」の略称で、拡張現実技術と呼ばれており、現実を仮想的に拡張する技術のことを指しています。

ARはスマートフォンやタブレット、ARゴーグルなどの機器を使って現実の空間にコンピュータ処理した画像や動画などを追加し、周囲の空間にプラスしています。

今ここにはない物体をカメラ越しに表示することができる技術なので、エンターテイメントやビジネスにも活用されている技術の一つです。

ARの市場は年々増えており、それに伴って技術も進歩しています。

IT専門調査会者であるIDC japanでは2023年までAR/VR関連の支出額が1606.5億ドルに達すると発表されており、世界で注目されている分野です。

最近ではポケモンGOやピクミンなど、カメラで映した現実に実際にキャラクターが投影された映像を楽しめるようになってきました。

近年ではキャラクターだけでなく、空間を把握するARも登場しており、日々進化を遂げています。

AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説
AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説

|AR動画とは?

AR動画とはARという拡張現実技術を使って視聴する動画のことを指し、スマートフォンやタブレットのカメラから特定の画像を映すと再生される仕組みとなっています。

商品をよりリアルに立体的に表示することができるため、ポスターやチラシなどの集客に利用されることも多いです。

ARには4つ種類があり、マーカー型、GPS型、空間認識型、物体認識型となっています。

マーカー型は写真が画像などをもとにARを表示され、一般的なものはQRコードを読み取ると動画や写真が見られる仕組みです。

また、GPS型では位置情報をもとにARを表示し、実際の建築物や地図を読み込むと地域の情報を表示してくれる仕組みとなっています。

空間認識型はタップアクションをもとにARを表示します。

画像から空間を認識してARを起動するので、住宅の間取りを見ながら家具の配置シミュレーションができます。

物体認識型は立体物をもとにARを表示します。QRコードなどは必要なく、特定の立体物を読み取るとARが表示されます。

|AR、VR、MRの違いは?

AR、VR、MRとそれぞれの違いについて解説いたします。

まずARの体験空間は拡張現実です。

現実にある景色や動画を見ながら、デバイス上であればコンテンツに触れることも可能です。

使用する機器はスマートフォンやARスマートフォングラスが必要になります。

MRはMixed Realityといって、体験空間は複合現実になります。

3Dやホログラムなどのコンテンツと現実をシンクロさせることが可能です。

実際にコンテンツに触れることもできるので、バーチャルな空間をリアルに体験できます。

視聴するためには専用のヘッドマウントディスプレイが必要になります。

最後にVRは、仮想の情報を現実空間に組み合わせたものです。

体験空間は仮想現実のため、ARやMRとは異なり、現実の景色は見えません。

またコンテンツにも触れることは出来ないため、映像を楽しむ技術となっています。

視聴するためにはVR専用のヘッドマウントディスプレイが必要ですが、スマートフォンのアプリ上でも視聴できます。

|AR動画のビジネスに起用するメリット・デメリット

AR動画はエンターテイメントだけでなく、ビジネスでも活用されており、起用するメリットが大きい技術の一つです。

こちらでは、AR動画をビジネスに起用するメリット・デメリットについて解説していきます。

AR動画のメリット

まずは、AR動画のメリットについて解説します。

人的リソース不足を解消

AR動画のメリットの一つは人的リソースの解消です。

AR動画は、実物をよりリアルに映し出すことができるので、業務や研修に活用できます。

例えば、AR動画を活用して、業務を効率化し生産性を向上させることが可能です。

これによって、業務の工程が削減でき、人的リソースの解決につなげられます。

顧客が商品を試せるので満足度を上げる

実際の商品をAR動画にして顧客に見せることで、写真よりも商品の実寸や質感を感じやすくなり、触ることは出来なくても、好きな方向から商品を見られるため、購入後の返品率も下がります。

AR動画ならではの演出によって顧客の満足度をあげられるのです。

例えば、AR動画を活用して、家具配置のシミュレーションも可能です。

AR上の部屋に実寸大の家具を配置してシミュレーションできるようにすることで、今までは購入してみないと分からなかった家具のサイズ感が購入前に分かるようになります。

シミュレーションにAR動画を起用することで、商売の購入の訴求へつなげられます。

顧客に情報が伝わりやすく広告の訴求に役立つ

AR動画を広告に活用すると、顧客に情報が伝わりやすいというメリットがあります。

たとえばチラシや冊子をARアプリにかざすと、映像や動画が視聴できるので、紙面以上の情報が顧客に伝えられます。

また、通常の動画に比べると、商品がリアルに映るので、画像だけでなく動画にすれば、より臨場感を感じられ広告の訴求に活用できるのです。

プレゼンの際には資料以外に商品をAR動画で確認できます。

現実的に運べなかったり、実物がなかったりする場合でも、3Dモデルなら、ほぼ実物通りに表示可能です。

より鮮明に商品を確認できるのは企業の利益につながりやすいのが魅力になります。

このように商品以外でも幅広く会社の広告に有効です。

プロモーション用のコンテンツにAR動画を活用すると、顧客に情報が伝わりやすく、訴求につながります。

AR動画のデメリット

次にAR動画をビジネスに起用するデメリットについて解説いたします。

メリットだけでなく、デメリットについても把握しておくことで、ビジネスに起用するかどうかの検討材料にもなります。

スマートフォン、タブレット端末が必要

AR動画を再生するためには、スマートフォンやタブレットなどの電子機器が必要になります。

スマートフォンやタブレットの普及率が高くなってきているとはいえ、持っている人にしか訴求できないのがデメリットのひとつです。

AR動画は読み取るだけとはいえ、操作が難しいと感じているユーザーもいるため、その人たちへの訴求が難しくなります。

専用のアプリのDLが必要

AR動画を見るためには専用アプリのDLが必要です。

ブラウザ上では見られないため、あらかじめDLしておく必要があります。

また、スマートフォンの性能やOSによってはAR動画が視聴できない場合もあります。

視聴する前には対応機器かどうかも確認しなければいけませんので、人によっては再生できない可能性があります。

ネット回線の速度に依存する

AR動画を再生するためには通信速度が影響してしまいます。

動画のファイル容量が大きいと再生に時間がかかってしまうため、環境によっては、再生中に動画が止まってしまうこと場合があります。

GPS型のAR動画では、位置情報に基づいてコンテンツが表示されます。

そのため、ネットやGPS環境下によってコンテンツが表示されないこともあります。

ビルなどの建造物が多く、GPSが正確に機能していない環境下では、利用できなくなってしまいます。

|AR動画の活用事例を紹介

AR動画をビジネスに起用する際のメリット・デメリットを紹介しました。

ここで実際にAR動画を業務やビジネスに活用している事例を紹介いたします。

AR動画付きのチラシ・パンフレット

チラシやパンフレットにAR動画を設定すると、商品やサービスの情報を分かりやすく伝えられ、広告効果が上がります。

不動産の一例では、モデルハウスの折り込みチラシでは、30,000枚のAR動画付き折込チラシを配布したケースがあります。

その後9件の問い合わせがあり、その後1名は「AR動画で見たモデルルームを購入したい」と契約しました。

これを聞くと契約数が少ないのではと感じるかもしれませんが、通常のモデルハウスの折り込みチラシを15万枚配布しても、問い合わせは7件程度しかなく、反響率が0.005%と言われています。

しかし、AR動画付き折込みチラシは反響率が0.03%でした。反響率を考えるとかなり効果があると言えます。

チラシやパンフレットには掲載できる情報に制限がありますが、AR動画を組み合わせることで、より多くの情報が顧客に伝えられます。

これによって、ユーザーも問い合わせのハードルが下がり、購入につながりやすいのです。

ARグラスによるピッキング作業の効率化アップ

ピッキング作業にはスピードと正確性が求められており、ひとつのミスが重大な事故につながってしまう可能性があります。

このプレッシャーによって、担当する社員の心理的な負担が大きいのが課題でした。

この課題をNECが提供しているARピッキングが解決しました。

ARピッキング機能が付いたスマートグラスを着用すると、映像で商品が陳列されている場所まで誘導してくれます。

スマートデバイスのカメラが棚に設置されたARマーカーをとらえると該当商品があるところまでARで表示してくれるので、ミスが減り、正確にピッキング作業ができるようになりました。

AR動画を使って試着する

AR動画を使った試着サービスも開発されました。

指定の場所に立ち、試着したい服を選ぶと、実際に試着しているかのような装飾が可能です。

また、店舗に在庫がない服も試着できますし、購入した商品は郵送できるため、機会損失を防ぎます。

AR動画を使った試着は、より正確にできるため、返品や交換のコストも削減できます。

また店舗だけでなく、ファッションショーでもARを活用した事例があります。

実物を使わないことで、ブランドの世界観を3DモデルやCG演出できるようになり、店舗体験の満足度を上げることに成功しました。

ナイキのプロモーション

Foot Locker✕NIKEにて、「THE HUNT」と銘打たれたイベントが行われました。

スマホに専用のアプリをオンストールするとアプリ上にヒントが表示されます。

ヒントをもとに現実の街中を歩き回るゲームです。

隠されたARマーカーをハンティングすると限定版のエアジョーダンをゲットできるので、新発売のシューズゲットするためにユーザーたちが大いに盛り上がり、2時間で売り切れとなりました。

普段なら有名人にプロモーションを行うものの、ユーザーに「自分がゲットできるかも」という期待感とAR動画を組み合わせたことでブランドの価値を高めた事例でした。

地図・道案内のAR動画

地図や道案内のAR動画の起用もあります。

株式会社テレコムスクエアが提供している「PinnAR」では屋外・屋内で使える便利なARサービスです。

地図を読むのが苦手なユーザーのためにARを使ったナビゲーションアプリで、現在地から目的地までのルートがスマホにAR表示されます。

これによって、旅先でも迷わずに目的地にたどり着くことができます。

ホテルまでの案内が簡単になったことでフロントコストの削減につながり、ユーザーからも好評されている事例です。

|まとめ

AR動画がどんな技術なのか、企業で起用するメリット・デメリット、活用事例について解説いたしました。

ARは情報を顧客により分かりやすく伝えられる技術なので、企業の広告や研修、事業に役立てることができます。

AR動画を自社の既存事業にどのように導入できるのかぜひ検討してみてはいかがでしょうか。