Blueprint(ブループリント)は、Unreal Engineにおけるゲーム制作に欠かせない重要な概念の一つです。
Blueprintを理解することは、Unreal Engineを使ったゲーム開発を行う上で必要不可欠なスキルとなります。
しかし、初めてBlueprintに触れるときには、ノードと呼ばれる要素が多数表示されているため、初心者にとっては戸惑いを感じることがあるかもしれません。
この記事では、Blueprintの基本的な概念から、その使い方までを解説します。
Unreal Engineの開発に興味を持っている方は、ぜひこの記事を読んで、Blueprintについての理解を深めてください。
目次
|Unreal Engineとは
Unreal Engineは、Epic Gamesが開発したマルチプラットフォーム向けのゲームエンジンです。
初めてリリースされたのは1998年で、以来、多くのゲーム制作者に愛され、使用されています。
Unreal Engineは、高品質なグラフィックスや豊富な機能、柔軟性、拡張性が特徴で、大規模なゲームプロジェクトから小規模な個人制作に至るまで、あらゆる種類のゲーム開発に適しています。
Unreal Engineは、C++を使用しているため、プログラミングスキルが必要ですが、Blueprintと呼ばれるビジュアルスクリプティングツールを使うことで、プログラミングに不慣れな人でもゲームを制作することができます。
Unreal Engineは、Windows、Mac、Linux、iOS、Android、PlayStation、Xbox、Nintendo Switchなど、多数のプラットフォームに対応しており、ゲーム開発者が自分の作品を幅広いプラットフォームで配信することができます。
Unreal Engineは、世界中の有名なゲームで使用されており、Fortnite、Dead by Dylight、VALORANT、ファイナルファンタジーVIIリメイクなどの有名ゲームで採用されています。
また、160 以上の大作映画、テレビ番組シリーズで使用されており、Unreal Engineは多くのユーザーによって積極的にサポートされ、多数のドキュメントやチュートリアル、フォーラムが用意されているため、初心者でも学びやすい環境が整っています。
|Blueprintとは
Blueprintとは、Unreal Engineでゲームを開発するためのノードベースのビジュアルスクリプトシステムです。
C++言語を使わずに、グラフィカルなノードを繋ぎ合わせるだけで、簡単にコードを作成することができます。
Blueprintを使うと、C++を書くことが苦手なデザイナーやアーティストでも、簡単にゲームのロジックや機能を実装することができます。
また、ノード同士を繋ぎ合わせるだけなので、C++に比べてコードを理解しやすく、デバッグもしやすいというメリットがあります。
さらに、Blueprintはリアルタイムプレビューが可能なため、ノードを編集しながら、その結果をすぐに確認することができます。
これにより、開発効率を大幅に向上させることができます。
一方で、BlueprintはC++に比べてパフォーマンスがやや低く、高度な処理を行うにはC++に頼る必要があります。
また、ノードベースであるため、C++でしか実現できない機能を実装することができない場合もあります。
しかし、BlueprintはC++との相性が良く、C++で書かれたコードと同様に動作するため、C++とBlueprintを組み合わせて使用することもできます。
そのため、開発者にとっては柔軟な選択肢の一つとなっています。
|Blueprintの種類
プログラム開発において、ブループリントは非常に重要な役割を果たします。
ブループリントには複数の種類があり、その中でも最も基本的なのがブループリントクラスとレベルブループリントです。
本記事では、それぞれの種類について詳しく解説していきます。
ブループリントを使いこなして、効率的なプログラミングを実現しましょう。
ブループリントクラス
Blueprintクラスは、新しいアクターやコンポーネントなどの種類を作成するために使用されます。Blueprintクラスを使用することで、ゲーム開発者は独自のオブジェクトを作成し、そのオブジェクトに対するロジックを定義することができます。
ブループリントクラスには、オブジェクトの属性や機能を定義するためのノードがあり、ノードを繋げることでオブジェクトの振る舞いを定義することができます。
例えば、敵キャラクターのブループリントクラスを作成する場合、移動速度や攻撃力などの属性や行動を定義することができます。
ブループリントクラスを作成する場合、開発者は、オブジェクトのプロパティ、関数、そしてイベントを定義することができます。
また、C++で書かれたクラスと同じように、継承も可能です。
開発者は、基本的なオブジェクトから派生して、新しいクラスを作成し、オブジェクトを作成することができます。
これにより、オブジェクトの作成や編集をグラフィカルなブループリントエディタで行うことができます。
レベルブループリント
レベルブループリントは、ゲームのレベルやシーンごとに作成するBlueprintのことです。
レベル内で特定のイベントが発生した際に自動的に実行されるスクリプトを記述することができます。
例えば、プレイヤーがステージクリアした場合にステージを切り替えたり、特定のアイテムを取得した場合にそのアイテムを使えるようにするなど、レベル内での物理的なオブジェクトの動作やゲームの進行を制御するために使用されます。
レベルブループリントのエディターは、ブループリントクラスエディターとよく似ていますが、レベルに特化した機能が追加されています。
たとえば、レベルに存在するオブジェクトのプロパティにアクセスできたり、レベル内のすべてのオブジェクトの状態を簡単に管理できたりします。
レベルブループリントは、ゲームの進行に関するスクリプトを書くための重要なツールです。
レベルごとに個別のスクリプトを作成することで、ゲームの流れを簡単に制御することができます。
|Blueprintのメリット・デメリットは?
Blueprintは、アンリアルエンジンのグラフィックス開発において欠かせないノードベースのビジュアルスクリプティングツールです。
Blueprintを使用することで、プログラミングの知識がない人でも簡単に複雑なロジックを作成することができます。
しかし、Blueprintにはメリットだけでなくデメリットも存在します。
Blueprintのメリット
Blueprintのメリットは以下のとおりです。
1.ビジュアルプログラミング
Blueprintは、プログラマーにとっても、プログラミングを理解していない人にとっても使いやすいノードベースのビジュアルスクリプティングツールです。このため、初心者でも簡単に複雑なロジックを作成できます。
2.ノードの再利用性
Blueprintは、再利用可能なノードを作成することができます。これにより、同じロジックを何度も作成する必要がなくなります。また、再利用可能なノードを作成することで、プログラマーの労力と時間を節約することができます。
3.リアルタイムのプレビュー
Blueprintを使用すると、作成したロジックをリアルタイムでプレビューすることができます。これにより、開発者はコードの状態を確認するためにコンパイルやビルドを待つ必要がなくなります。また、開発者は、ロジックを変更するたびにビルドしなくても、その変更がすぐに反映されることを確認できます。
4.コミュニティのサポート
Blueprintには、アンリアルエンジンのコミュニティによる強力なサポートがあります。多くの開発者がBlueprintを使用しているため、解決策を見つけるために必要な情報やサポートを得ることができます。
Blueprintのデメリット
Blueprintのデメリットには以下のようなものがあります。
1.大規模なプロジェクトには向いていない
Blueprintは、小規模なプロジェクトには最適なツールですが、大規模なプロジェクトには向いていません。複雑な処理を行う場合、Blueprintで表現するのは非常に難しいため、C++のようなプログラミング言語を使用する必要があります。
2.実行速度が遅い
Blueprintは、グラフィカルなインターフェースを通じて処理を実行するため、C++に比べて実行速度が遅くなります。これは、処理速度が重要なゲームにとっては問題となる場合があります。
3.デバッグの問題
ブループリントのデバッグは、C++よりも複雑で困難になることがあります。特に、ブループリントが相互に依存し、変更の影響が予測できなくなった場合、バグを見つけることが難しくなります。
4.バージョンアップによる互換性の問題
Blueprintは、アンリアルエンジンのバージョンアップによって、互換性の問題が発生する場合があります。これは、Blueprintがアンリアルエンジンの内部仕様に依存しているためです。そのため、バージョンアップの際には、Blueprintの修正が必要になる場合があります。
|Blueprintの使い方【レベルブループリント編】
レベルブループリントはBlueprintの中でも最も重要な部分であり、レベル内のすべてのオブジェクトの動作を設定することができます。
ここでは、Blueprintのレベルブループリントの使い方について詳しく解説します。
レベルブループリントを開く
レベルブループリントを使用するには、エディタのメインメニューから「ブループリント」を選択し、次に「オープンレベルブループリント」をクリックします。
または、エディタ内で「Ctrl + Shift + P」を押して、検索バーに「レベルブループリント」と入力しても開くことができます。
レベルブループリントを開くと、ウィンドウの中央にブループリントのビューが表示されます。
ここにノードを配置して、オブジェクトの動作を設定します。
ノードを配置
レベルブループリントのビューには、オブジェクトの動作を設定するために使用する多数のノードがあります。
これらのノードを使用して、ゲーム内でオブジェクトがどのように動作するかを決定できます。
ノードを配置するには、左側のパレットから適切なノードを選択して、ビューにドラッグ&ドロップします。
ノードを接続するには、ノード間の接続ポイントをクリックして、線で接続します。
接続が完了すると、ノードのプロパティを設定することができます。
|Blueprintの使い方【ブループリントクラス編】
ブループリントクラスは、特定のアクターやオブジェクトに対して独自の機能や属性を追加するためのものです。
再利用可能なコンポーネントとして機能し、複数のゲームオブジェクトで同じロジックを使用できます。
ブループリントクラスを作成
新しいブループリントクラスを作成するには、エディタの「ブループリント」メニューから「ブループリントクラス」を選択し、名前を付けて作成します。
作成したクラスには、カスタムの機能や属性を追加できます。
作成したクラスをアクターやオブジェクトに適用することで、そのクラスに追加した機能や属性を使用できるようになります。
ブループリントエディタを開く
ブループリントエディタは、ブループリントクラスやレベルブループリントの編集に使用されます。
ブループリントクラスを作成した後、そのクラスを選択してエディタを開きます。
エディタには、ブループリントクラスに追加された機能や属性を表すノードが表示されます。
編集する
ブループリントエディタで、ノードを追加したり接続したりすることで、ブループリントクラスに独自の機能を追加できます。
また、既存のノードを編集することで、クラスの機能を変更することもできます。
編集が完了したら、変更を保存してクラスを適用します。適用されたクラスには、追加した機能や属性が反映されます。
|まとめ:初心者はBlueprintがおすすめ!
今回の記事では、Unreal Engineの中でも重要な役割を担うBlueprint(ブループリント)について詳しく解説してきました。
Blueprintは、プログラミングが苦手な人でも簡単にゲーム制作ができるようになるためのツールです。
初心者がUnreal Engineを使い始めたとき、Blueprintを使わずにC++でプログラムを書こうとすると、かなりハードルが高くなります。
C++の文法やコーディング規約など、初心者にとっては難しい部分がたくさんあります。
一方で、Blueprintは、GUI操作で設定できるので、視覚的に理解しやすく、手軽に設定できます。
また、Blueprintは、C++で記述する場合と比べて、エラーが発生しにくいというメリットがあります。
C++でプログラムを書く場合は、文法ミスやタイプミスがあるとエラーが出てしまいますが、Blueprintでは、直感的に設定できるため、ミスを起こしにくくなっています。
以上のことから、初心者にはBlueprintをおすすめします。
Blueprintは、初心者にとって、より簡単で直感的な方法でゲーム制作をすることができるため、Unreal Engineの学習に最適なツールとなっています。