XR(クロスリアリティ)は、AR・VR・MR・SRを総称する先端技術として、ビジネスの現場で注目を集めています。
しかし、一般的なXRといえばゲームのようなエンタメコンテンツをイメージされる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスにおけるXR技術のメリットから、様々な分野で活用されているシーンの中から業界ごとの最新事例を取り上げ、導入のポイントを解説します。
これからXR導入を検討している方にとって、ぜひ参考になれば幸いです。
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資料をダウンロードする|XR技術とは
XR(Extended Reality)とは、VR、AR、MRという現実世界とデジタルの情報を融合させる3つの技術の総称です。
単なるエンターテイメント分野での活用に留まらず、ビジネスや教育、医療など多岐にわたる分野で活用され始めています。
ではそれぞれの技術について、細かく見ていきましょう。
AR(拡張現実)
AR(拡張現実)は、スマートフォンやスマートグラスなどのデバイスを通して、現実の風景にデジタル情報を重ねて表示する技術です。
最も身近な例は、大ヒットした「ポケモンGO」や、IKEAの家具配置シミュレーションアプリです。
ARは、現実世界をベースに情報を「拡張」するため、現実の風景を見ながらナビゲーションを表示したり、商品情報を確認したりするなど、日常生活やビジネスにおいて利便性を高める役割を果たします。
VR(仮想現実)
VR(仮想現実)は、専用のヘッドセットやゴーグルを装着することで、ユーザーを360度映像と立体音響が創る新しい仮想空間に没入させる技術です。
視覚と聴覚を完全に仮想世界へと没入させるため、ユーザーはまるでその場にいるかのようなリアルな体験を得られます。
VRは、バーチャル旅行や、ゲーム、医療分野での手術シミュレーション、建築の完成イメージの確認など、多様な用途で活用されています。
MR(複合現実)
ARが一方的に情報を付加するのに対し、MR(複合現実)は現実の空間を認識し、デジタル情報がまるで目の前に実在するかのように表示・操作することができる技術です。
例えば、現実のテーブルの上に3Dモデルを呼び出して自由に形やサイズを変えたり、画面いらずで複数のウィンドウを表示させたりすることが可能です。
製造業での遠隔作業支援や、医療現場での3D臓器モデルの活用など、主に産業分野での活用が進み始め、現実とデジタルがシームレスに連携できる新たな体験を創出しています。
|XRが注目を集める背景
近年、XR技術が急速に注目を集めている主な理由は、技術の進化とコストの低減です。
高性能なデバイスが手頃な価格で提供されるようになり、個人や中小企業でも導入のハードルが下がりました。
特に、以下の3つの点が大きな要因となっています。
- 5G通信の普及
高速・大容量の5G通信網が整備されたことで、遅延なくスムーズにXRコンテンツをストリーミングできるようになりました。
これにより、従来よりも高品質な体験が可能になり、遠隔地からの共同作業やリアルタイムでのデータ共有が現実的になりました。 - 空間コンピューティングの台頭
Apple Vision Proのような新デバイスの登場により、単なるエンタメツールではなく、現実空間をコンピューティングの場として活用する「空間コンピューティング」という概念が広まりました。
これにより、新たなビジネス活用の可能性が生まれました。 - 多様な分野での活用事例の増加
製造業での遠隔作業支援、医療分野での手術シミュレーション、教育分野でのバーチャル学習など、エンタメ分野に留まらないビジネスシーンでの具体的な成功事例が増加しています。
実証段階のものも数多くありますが、各業界でどのようなシーンで活用できるのかといった事例が、より注目を集める要因になっています。
これらの理由から、XRは特定のニッチな市場から、ビジネスに新しい価値を生み出す可能性を秘めたテクノロジーへと進化しつつあります。
|XR技術のビジネス活用事例
では実際にXR技術がビジネスの現場においてどのように活用されているのか、ご紹介していきます。
【3選】AR活用事例
物流業:【DHL】ピッキング作業の効率化

出典:https://www.logi-today.com/297928
世界的な物流企業であるDHLは、倉庫のピッキング作業にAR技術を導入しました。
スマートグラスを装着した作業員は、商品の棚やピッキングする数量などの情報が視界に表示されるため、手元のリストや端末を確認する手間が省けます。
この「ハンズフリー」な作業環境により、ピッキング効率が最大で25%向上したと報告されています。
ヒューマンエラーの削減にも貢献し、物流現場の生産性向上に大きく寄与しています。
製造業:【京セラ】作業支援

出典:https://www.ptc.com/ja/news/2025/kyocera
京セラ株式会社(京セラベトナム)は、作業者の安全管理と生産性向上を目的に、PTCのARソリューション「Vuforia Expert Capture」を導入しました。
このシステムは、複雑な製造手順を動画とARデータで分かりやすく表示できるため、経験の浅い従業員でも正確な作業が可能です。
動画やARで手順を可視化することで、熟練技術者のノウハウをスムーズに伝承でき、品質向上にも貢献しています。
プロモーション:【スターバックスコーヒージャパン】ポスターAR

出典:https://ar-marketing.jp/starbucks-ar-2023/
スターバックスコーヒージャパンは、春の季節イベントとして一般客の購買体験の向上を目的に、ARコンテンツを制作しました。
購入した商品や店頭のポスターをスマホのカメラで映すことで、桜のアニメーションが再生され、SNSへのシェアを促進し、プロモーションとして活用しています。

【4選】VR活用事例
TOPPAN
出典:https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2023/07/newsrelease230721_2.html
凸版印刷は、VRを活用したバーチャル展示会を開催し、遠隔地からでも製品やサービスを体験できる仕組みを提供しています。
ユーザーは専用デバイスやPCを利用して仮想空間内を自由に移動し、製品の詳細や説明をリアルタイムで確認可能です。
この技術は企業のプロモーション促進や営業効率向上に貢献し、新しいコミュニケーションの形を実現しています。
ジョリーグッド
出典:https://jollygood.co.jp/
ジョリーグッドは、医療分野向けのVRソリューションを提供しています。
特に医学生や研修医向けの手術シミュレーションは、実際の症例に基づくリアルな仮想空間で学習が可能です。
この技術は、高額な機器の使用やリスクを伴う従来のトレーニングに代わる、医療分野の新しい学習手段として注目されています。
また、リハビリやセラピーなど心理療法分野にも応用され、認知症対策や引きこもり支援など、今後の社会課題への対応も期待されています。
東日本旅客鉄道
出典:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/108_jirei05.pdf
JR東日本は、過去の重大事故などを経験したベテラン社員が引退しつつある背景から、より安全意識を今一度高めるべく、VR技術を活用した安全教育を導入しています。
過去に実際に発生した鉄道事故を仮想上に再現し、複数の作業員視点から再現された事故を疑似体験することが可能です。
これにより、体験した従業員からは「事故当時の工事従事者の動きや状況がよくわかり、重大な事故だということを再認識できた」等の声があり、安全意識の向上へ役立てています。
ダイキン工業株式会社
出典:https://info.spacely.co.jp/news/8207/
ダイキン工業は、VR技術を用いた教育・トレーニングシステムを構築しています。
特に、販売代理店や技術者向けに製品の設置手順や操作方法を仮想空間で学習可能な環境を提供し、実践的な知識を効率的に習得できます。
この仕組みにより、現場でのミス削減や教育コストの削減を実現し、業務の効率化に寄与しています。

【3選】MR活用事例
TOYOTA
出典:https://www.toyotasystems.com/business/ef/?utm_source=chatgpt.com
トヨタ自動車は、MR技術を活用した車両設計のプロセスを革新しました。
エンジニアは仮想空間で3Dモデルを確認しながら、現実空間に近い環境で設計や改良を行うことができます。
この技術により、設計の精度向上と開発期間の短縮が実現し、製品の市場投入までのプロセスが効率化されています。
東急建設
出典:https://news.mynavi.jp/techplus/kikaku/20180925-697523/?utm_source=chatgpt.com
東急建設は、MRを利用して建設現場の進捗管理や施工品質を向上させています。
作業員は、現実の建築物にBIMデータをベースとした仮想モデルを重ね合わせることで、設計通りに進行しているかを確認できます。
これにより、施工ミスの削減やプロジェクトの円滑な進行が可能となり、建設現場での効率性が大幅に向上しています。
サントリー
出典:https://blogs.windows.com/japan/2021/08/18/suntory-hololens2-dynamics365mr/?utm_source=chatgpt.com
サントリーは、製造ラインにMR技術を導入し、新入社員向けのトレーニングシステムを提供しています。
仮想空間内で実際のライン操作を学ぶことで、現場の設備を使用せずに安全に教育を行えます。
この取り組みは、教育効率の向上とトレーニングにかかるコスト削減に大きく寄与しています。
|XR導入ポイント
ビジネスにXR技術を導入する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
漠然と「最新技術だから」と導入するのではなく、以下3つのポイントを事前に確認しておきましょう。
1. 導入目的と解決したい課題を明確にする
最も重要なのは、「何のためにXRを導入するのか」という目的を明確にすることです。
「従業員のトレーニング効率を上げたい」「製品の魅力を顧客に伝えたい」「遠隔地のメンバーと協業したい」など、具体的なビジネス上の課題を特定しましょう。
目的が曖昧なままでは技術を最大限に活かせず、導入効果を思うように得られないリスクがあります。
2. 導入後の運用体制を考慮する
XR技術は導入して終わりではありません。
コンテンツは一度作った後、定期的な更新やメンテナンスが必要になる場合があります。
誰がコンテンツを管理・運用するのか、トラブルが発生した際のサポート体制はどうするのかなど、導入後の運用体制まで計画に含めることが重要です。
3. ユーザー(利用者)の視点を忘れない
どんなに高性能な技術でも、実際に使う人が使いづらければ意味がありません。
XRデバイスの操作性や、コンテンツの分かりやすさはもちろん、利用する環境(スペース、通信環境など)も考慮する必要があります。
例えば、長時間利用するコンテンツであれば、ユーザーの身体的な負担にも配慮が必要です。
ターゲットとなるユーザーがスムーズに利用できるか、導入前にしっかり検証しておきましょう。
|まとめ
昨今のXR技術は、AR、VR、MRの進化により、多くの業界で新たな価値を創出しています。
今回は具体的な事例を通じて、XR技術がどのように活用され、ビジネスや社会に貢献しているのかを紹介しました。
XR導入を成功させるためには、目的の明確化、適切な技術選択、そして計画的な実施が必要です。
今後も技術の進化とともに、XRはさらに多くの可能性を秘めています。
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