働き方の多様化に伴い、オフィスの多様化も加速しています。国内外で「バーチャルオフィス」を導入する個人・法人が急増している状況です。
そもそも、バーチャルオフィスとは一体どういったものか知っているでしょうか?
そこで当記事では、海外の事例などを紹介しながら、「バーチャルオフィス」の概要について解説します。新たなオフィスの形態ともいえるバーチャルオフィスを理解しましょう。
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、文字通りバーチャル(仮想)空間にあるオフィスのことです。
「事業上の住所を利用する」ことを意味します。個人でビジネスを展開できる時代において、事業を行う上で実際のオフィスを構える必要はないものの、事業上の住所を必要としている個人・法人は多数。
バーチャルオフィスを利用することで、オフィスを構えるコストをおさえ、必要なものだけコストをかけることができます。一概にバーチャルオフィスといっても、さまざまですが、主に以下のような機能を備えています。
- 郵便物の受け取り、転送
- 電話番号の利用
- 会議室の利用
バーチャルオフィスは新しいサービスということもあり、運営する企業によって、サービス内容は大きく異なります。では、実際にバーチャルオフィスを利用している企業やバーチャルオフィスに関する海外の動きを見ていきましょう。
バーチャルオフィスの海外事例
米不動産企業「eXp Realty」は、1万3,000人のエージェントと200人のスタッフが「バーチャルオフィス」で働く、極めてバーチャルな企業です。物理的なオフィスが存在せず、業務はオンライン上で行っています。同社のCTOであるスコット・ペトロニス氏は過去に「世界中のどこに住んでいるかに関係なく、優秀な人材を採用できることは素晴らしい」と発言。バーチャルオフィスを上手く取り入れた好例です。
参考ページ:『This $610 million real estate company doesn’t have an office for its 13,000 agents and staff — instead, everybody works from this completely virtual island』
ただし、バーチャルオフィスがスタートアップや中小企業をサポートしてきた一方で、こうしたサービスが詐欺などに悪用されてきたことも事実です。例えば、ビジネスアドレスを隠れ蓑にし、違法行為を隠ぺいする詐欺的な投資会社などがいました。そこで、バーチャルオフィスの法整備や取り締まりを強化する動きが強まっています。
参考ページ:『VIRTUAL OFFICE COMPANIES CLAMP DOWN ON FRAUD(バーチャルオフィス会社が詐欺を取り締まる)』
英国では、2015年初めに警視庁主導の元、ロンドン全域での大規模な犯罪捜査の詳細を発表。ロンドンのバーチャルオフィスの立入検査が行われました。その結果、少数のオペレーターがサービスを利用している企業に対して、適切なチェックを行っていなかったことがわかりました。
また、マレーシアでは2015年夏、バーチャルオフィスで運営する法律事務所の禁止を裁決しています。マレーシアの法廷評議会は、バーチャルオフィスの従業員が法律事務所員ではないことで、顧客の機密が外に漏れることを懸念しました。
参考ページ:『MALAYSIAN BAR BANS VIRTUAL OFFICE RENTALS, SOLOS FRUSTRATED(マレーシアのバーがバーチャルオフィスのレンタルを禁止、ソロが欲求不満)』
一方、米国でバーチャルオフィス事業を展開している「Alliance Virtual Offices」では、厳しい身分証明とデータ収集を行い、不正行為のリスク軽減に励んでいます。さまざまなシステムを活用し、同社の写真や書類を識別するサービスを提供。バーチャルオフィスにはびこる不透明さを無くす取り組みは、今後のバーチャルオフィスの普及に一役買うでしょう。
まとめ
バーチャルオフィスの定義から海外の事例まで紹介してきました。バーチャルオフィスを活用することで、物理的なオフィスをもたずに事業が展開できるようになるなど、企業としてさまざまなメリットが受けられます。
一方で、新たなサービスであるため、不透明な部分が多いことも事実です。国やサービスを提供する企業によって、バーチャルオフィスの質は異なります。海外の事例を参考にして、バーチャルオフィスの導入を検討しましょう。