ポケモンGOをはじめとするAR、専用のデバイスを使って楽しむVRなど、さまざまな「仮想世界」が実用化されています。
その中でも、注目されているのが「Virbela(ヴァーベラ)」です。
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの企業でZoomなどを使ったリモートワークが進められましたが、さらにその先を行くのがVirbelaです。
Virbelaはどのような使い方ができるのか、これまでのZoomを使ったリモートワークと何か違うのかなど、Virbelaについて詳しくご紹介します。
目次
仮想世界を生み出すIT企業・Virbela(ヴァーベラ)
Virbela(ヴァーベラ)は、アメリカ・カリフォルニアを拠点とするIT企業です。
おもな事業として展開しているのは「仮想世界」による3Dワールド。
仮想世界を作り、そこで多くの人が集まって仕事や勉強のほか、出会いの場として利用するなど、幅広い使い方ができる場を提供しています。
このVirbela、すでにアメリカでは実用化が進んでいて、大学ではアバターを使った授業も行われているといいます。
参照:DG Lab
【https://media.dglab.com/2020/09/08-avatar-01/】
それでは、Virbelaがどのように利用されているのか、どのような仕組みなのかなど、より具体的に見てみましょう。
リモートワーク(会社)の場として
Virbelaは「バーチャル会社(オフィス)」としての用途があります。
Virbela
【https://www.virbela.com/】
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、会社への出勤を控えてテレワーク(リモートワーク)が積極的に勧められました。
通勤にかかる時間を省き、自宅でも効率良く仕事を進めていくための試みが行われていますが、その一方でデメリットもいくつかありました。
たとえば、リモートワークはZoomなどのビデオチャットツールを用いて相手の顔を見ることはできますが、それは生のやり取りではなかったり、時には画面表示が途切れたりします。
「ちょっと聞きたいことがある時」など、Zoomでは気軽に相手に話しかけにくく、コミュニケーションを取りづらいという課題が生まれました。
そこで、Virbelaの出番です。
Virbelaは仮想世界の中に社員ひとりひとりの「アバター」を用い、実際に社員がバーチャルオフィスの中に集まります。
バーチャルオフィスの中には実際に仕事を行うオフィスだけでなく、休憩室やテラスなどさまざまな場所が存在しています。
そのため、休憩室にスタッフがいれば「仕事中ではない」とわかるため気軽に話しかけることができ、逆に集中したいという時にはオフィスで作業を行えば良いということです。
このように、アバターを通じてのコミュニケーションではありますが、Virbelaを利用すればZoomでのオンラインミーティングとは異なり、よりリアルなやり取りを行うことができます。
リモートラーニング(学習)の場として
バーチャルオフィスと同じく、Virbelaは仮想世界の学校を構築することもできます。
生徒や教師はアバターで仮想世界の学校に行き、実際に授業を受けられるようになっています。
コロナ禍において、すでに日本でも遠隔教育が行われている学校も増えていますが、いくらリアルタイムとはいえ生の授業とは異なり、教師に質問しづらい・コミュニケーションがとりづらいのが課題です。
また、学生生活で特に重要なのが「人と人との交流」です。
友達やクラスメイト、教師などさまざまな人同士の交流が、学校に通う大きな価値を生み出しています。
しかし、コロナ禍で入学後長期間にわたってキャンパスでの授業を受けていないという新入生も少なくありません。
こうしたコミュニケーションの欠損も、Virbelaなら解決できるのです。
さらにグラウンドに出れば、アバター同士でサッカーを楽しんだり、ごく普通のキャンパスライフと同様の楽しみを持つこともできます。
もちろん、学習面でもVirbelaは大きな魅力があります。
たとえば…
- PDF資料の表示
- ビデオの再生
- Webの閲覧
など、教科書を読むだけや、教師から生徒に対する一方通行の授業ではなく、より生徒がわかりやすい授業を展開できます。
イベント会場として
Virbelaはオフィス・キャンパスだけでなく、自由に世界を構築できるため、音楽会場やエキスポホールなど規模の大きなものも構築可能です。
すでにVRを活用し、オンラインでライブを行うVtuber(バーチャルユーチューバー)が活躍しているように、世界的なアーティストのライブコンサートも、いずれはVirbelaで行われることが期待されています。
また、こうしたイベントはもちろん就職説明会などの大規模なホールとして活用もでき、コロナ禍でも安心して大人数を集めることができます。
機能面について
Virbelaが子どもから大人まで非常に魅力的なバーチャル空間ツールであることはわかりましたが、機能面についても詳しく見てみましょう。
たとえば、人同士の密なコミュニケーションを図れる一方で、セキュリティはどうなっているのでしょうか。
仮想世界の規模について
Virbelaは仮想世界のため、月額料金を支払えば、現実のように膨大な建築コストも時間もかかりません。
規模によって料金は異なりますが、150人からのプライベートキャンバスであれば、月額2,500ドルから仮想世界を構築できます。
参照:Virbela
【https://www.virbela.com/solutions/private-campus】
会社にとってオフィスを構えることは大きな出費につながるため、仮想世界でのオフィスを持てば、言うまでもなく大幅なコスト削減につながるでしょう。
セキュリティについて
仮想世界の中で、大人数のアバターが実際のやり取りを行い、コミュニケーションを図ります。
そこで生まれた会話ややり取りについては保存されず、定期的なセキュリティテストやコンプライアンステストが行われるため、安心して仮想世界へ参加できるのが特徴です。
実際の空間と同じように人に近づくと会話が聞こえ、遠くに行けば会話が聞こえなくなるため、同じエリアでもグループに分かれるなどすれば安心して会話を楽しめます。
アバターや空間のカスタマイズ
アバターは服や髪の毛、肌の色などをカスタマイズ可能です。
これにより、アバターという仮想世界の人物であっても「自分」がコミュニケーションを取っているという実感が得られやすくなります。
もちろん、オフィスやキャンバスなどの空間もカスタマイズできるため、膨大な費用をかけてリフォームする必要もありません。
Virbelaは「疎外感」を生まない新しい世界
Virbelaの特徴や用途についてご紹介しました。
従来のビデオチャットツールでは、特定の人の通信が遮断されたり、音声のミュートや画面の非表示など「疎外感」を生み出す場面が見られました。
しかし、Virbelaは膨大な空間の中で自由に動き回ることができ、日常と変わりないコミュニケーションを図ることができます。
コロナ禍のため学校に行けず孤独を感じている学生はもちろん、オフィスでもコミュニケーションを取りやすいのが特徴です。
まだZoom等のビデオチャットツールほど広く利用されているものではありませんが、出勤せずテレワーク・リモートワークというスタイルが少しずつ定着しつつある中、注目されることは間違いありません。