近年、国内外を問わず多くの企業がVR(バーチャルリアリティ)に多額の投資を発表しています。
2023年にはMeta社から一般ユーザー向けVRゴーグルの最新モデル「Meta Quest 3」が発表されるなど、VR市場はかつてないほどに盛り上がっている状況です。
しかし、VR市場はまだまだ黎明期。
「VR企業で有名なのは?」
「VR企業がどのようなサービスを展開しているのか知りたい!」
このような疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、国内外で有名なVR企業を21社ピックアップ!
VRについてよく知らない初心者から、魅力的な投資先を探している投資家の方まで役立つ情報が満載です。
本記事の情報を参考に国内外のVR市場の動向をいち早くチェックしていきましょう!
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|そもそもVR(仮想現実)とは?
VR企業をみていく前に、まずはVRとはそもそも何なのかを把握しておきましょう。
VR(Virtual Reality、バーチャルリアリティ)とは、簡単にいえばコンピュータによって作り出されたデジタル空間(仮想空間)をまるで現実の空間ように感じさせる技術です。
日本語では一般的に「仮想現実」と訳されます。
VRを体験するためには、上記画像のような専用のVRゴーグル(またはヘッドセット)を頭に装着します。
VRゴーグルでは左右の目に異なる映像を映し出し、両眼視差を利用することで映像を立体的に感じ取れるようにしています。
現在では視覚以外の五感もデジタル空間上で再現できるような研究も進んでおり、今後の進展次第ではVRは私たちの生活に欠かせない技術になる可能性が高いです。
AR(拡張現実)との違い
VR(仮想現実)と間違えやすいのがAR(Augmented Reality、拡張現実)です。
ARは「ポケモンGO」や写真加工アプリ「SNOW(スノー)」で一気に話題になった技術であり、簡単にいえば現実の世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。
つまり、VRが完全に仮想の世界に没入するのに対し、ARは現実の世界をベースにその上にデジタルの要素を追加します。
<VRとARの主な違い>
VR(仮想現実) | AR(拡張現実) | |
没入感 | 完全に仮想の世界に入り込む | 現実の世界に仮想の情報を重ね合わせる |
使用デバイス | 専用のヘッドセットやゴーグル | スマートフォンやタブレットのカメラ |
利用シーン | ゲーム、仮想ツアー、シミュレーション | ナビゲーション、教育、エンターテイメント |
上表のように、VRとARはどちらも仮想空間的要素を取り入れた技術ですが、目的や体験方法が異なります。
メタバースとの違い
2022年は「メタバース元年」とも呼ばれており、この年以降メタバースに関する話題も頻繁に聞くようになりました。
しかし、メタバースもVRと非常に深く関係しています。
メタバース(Metaverse)とは簡単にいえば、インターネット上に構築された仮想空間のことで、人々がアバターを使って交流したり、活動したりすることができるデジタルの世界です。
メタバースは単なる仮想現実の体験だけでなく、社会活動や経済活動、娯楽など多岐にわたる要素を含んでいます。
<VRとメタバースの違い>
VR(仮想現実) | メタバース(Metaverse) | |
目的と範囲 | 仮想空間での体験を目的とする技術 | インターネット上の仮想社会、交流や経済活動も含む |
技術の利用方法 | 専用のヘッドセットで仮想空間に没入 | VR、AR、ブロックチェーン、AIなど複数の技術を使用 |
インタラクション | 個別の体験や特定のシナリオに基づく | ユーザー同士の交流や共同活動が重視される |
つまり、VRはユーザーを仮想空間に没入させる技術であり、特定の体験を提供するためのものです。
一方、メタバースはインターネット上に広がる仮想空間で、人々が交流し、様々な活動を行うことができるデジタル空間です。
VRはメタバースの一部として活用されることが多く、メタバースの中での体験をよりリアルに、没入感のあるものにする役割を果たしています。
|【大手】日本国内のVR企業7選
では、ここからは早速注目のVR企業についてみていきましょう。
まずは、日本の大手企業で注目のVR企業です。
<国内大手の注目VR企業7選>
- ソニー
- NTTドコモ
- KDDI
- バンダイナムコ
- パナソニック
- RICOH(リコー)
- TOPPAN(凸版)印刷
それぞれの企業の具体的なサービスや事例について、以下で詳しくご紹介します。
①ソニー:「PSVR2」でVRゲーム業界を牽引
出典:Playstation VR2 公式サイト
ソニー(SONY)は、VR市場、特にゲーム分野での影響力が強い企業です。
ソニーのVR事業の中核を成すのは、PlayStation VR(PSVR)シリーズであり、その最新モデルである「PSVR2」が2023年2月22日に発売されました。
PSVR2は、PlayStation 5専用のデバイスで4K HDRディスプレイや視線トラッキング、インサイド・アウト・トラッキングなど、先進的な技術を搭載しています。
これにより、ソニーはハイエンドVR市場での存在感を確かなものにしています。
専門家やユーザーからも「値段以上の価値がある」との評価が多く寄せられており、VRゴーグル市場においてはMeta社と並ぶ2大巨塔といえるでしょう。
②NTTドコモ:「XR world」で独自メタバースを展開
出典:XR World 公式サイト
NTTは、「XR World」と呼ばれるメタバースプラットフォームを中心にVR事業を展開しています。
「XR World」は、ユーザーがアバターを使ってバーチャル空間でコミュニケーションやエンターテイメントを楽しむことができるサービスで、2022年3月31日に開始されました。
最近では、東宝とのコラボレーションによる「ゴジラ・コロッセオ」や、AKB48のバーチャルライブ「AKB48 SURREAL Theater」、そして「Hiroshima Midnight Fest」など、多彩なコンテンツが続々と登場しています。
また、NTTは今後5〜6年間でWeb3事業に約6000億円以上の投資を行う計画を発表しており、その中核として「XR World」を位置づけています。
NTTは今後も「XR World」の機能拡張を続け、アバターのカスタマイズや趣味嗜好に合わせたユーザー同士のコミュニケーション機能の提供を予定しているとのことです。
国内外のパートナー企業と協力し、「オープンメタバース構想」に基づいたサービスの相互連携も進行中です。
③KDDI:「αU(アルファユー)」でWeb3事業に参入
出典:KDDI 公式サイト
KDDIは、メタバースプラットフォームおよびWeb3サービス「αU(アルファユー)」を通じて、VR市場に積極的に参入しています。
「αU」は、メタバース空間「αU metaverse」、ライブ体験「αU live」、NFTマーケットプレイス「αU market」、暗号資産管理「αU wallet」、ショッピングサービス「αU place」という5つの主要サービスで構成されています。
大規模なイベントや新機能も次々と発表しており、例えば「バーチャル渋谷」や「バーチャル大阪」などの都市連動型メタバースは各種メディアでも大きく報じられました。
「αU」の展開に際しては、3年間で1000億円規模の投資を計画しており、ここからもKDDIがVR事業に注力しているのが理解できるでしょう。
④バンダイナムコ:「ガンダムメタバース」など独自IPを活かしたVR戦略
出典:ガンダムメタバース オフィシャルウェブサイト
バンダイナムコは、VR事業において「VR ZONE」というブランドを展開し、国内外でVRエンターテインメント施設を多数運営しています。
「VR ZONE SHINJUKU」や「VR ZONE OSAKA」などの施設では、多様なVRアクティビティが提供されており、世界的に人気の「ドラゴンボール」や「ガンダム」などの独自IP(知的財産)を活用した戦略が特徴です。
韓国のHYUNDAI IT&Eや中国の星葆国際文化伝媒(XINGBAO INTERNATIONAL CULTURE MEDIA)とも提携しており、ソウルや北京に大型VR施設もオープンするなどグローバル戦略にも力を入れています。
日本のアニメやゲームというのはVRとも非常に相性が良いので、こういった独自IPを多く保有している企業のVR事業への参入数は今後も増えていくことになるでしょう。
⑤パナソニック:高性能VRグラス「MeganeX」を発表
出典:Shiftall 公式サイト
パナソニックは、子会社のShiftallと共同で開発した高性能VRグラス「MeganeX」を中心に、VR市場での存在感を強めています。
MeganeXは、片目2.5Kの解像度を持つ有機ELディスプレイを搭載しており、約200グラムという非常に軽量な設計で長時間の使用でも快適です。
2023年3月から4月にかけて約25万円で販売されましたが、2024年にはさらに軽量化された「MeganeX superlight」が発売される予定です。
CESなどの国際展示会でも高い評価を受けており、特にその高解像度の映像体験と軽量設計が注目されています。
⑥RICOH(リコー):360度カメラ「RICOH THETA」シリーズが人気
出典:RICOH360
RICOH(リコー)は、VR事業において「RICOH THETA」という360度カメラを中心に展開しています。
RICOH THETAは、広範囲な撮影を可能にするだけでなく、スマホとの連動によるリアルタイム共有機能も備えており、ビジネスシーンだけでなく日常シーンでの活用も可能です。
最近では、リコーが「THETA360.Bizオフィシャルパートナープログラム」を展開し、360度カメラ「RICOH THETA」の普及と市場拡大に向けたマーケティング戦略を強化しています。
360度カメラ市場は、中国・深センに本社を構えるInsta360社の「Insta360シリーズ」が市場を独占気味ですが、カメラ市場は日本のお家芸でもあります。
品質においては申し分ない製品ではありますが、今後は価格面での優位性を確立できるかが鍵になってくるでしょう。
⑦TOPPAN(凸版)印刷:25年以上前からVRに注力
出典:TOPPANホールディングス 公式サイト
TOPPAN(凸版)印刷というと印刷業界の最大手というイメージが強いですが、実はVR技術において25年以上の歴史を持つパイオニアであり、印刷業界から派生してVR分野にも大きな影響力を持っている老舗企業です。
同社は「デジタルアーカイブ(デジタルツイン)」と「メタバース」の二大柱を中心にVR事業へ積極参入しています。
デジタルツイン事業では、最新のVR技術を活用して通常では見られない内部構造や劣化した文物の当時の姿を再現しています。
2021年からスタートしたメタバース事業では、メタバース空間の構築やアバター生成、メタバースマーケティングのサポートなど、幅広いサービスを展開中です。
最近では「VRオンライン研修センター」を設立し、企業内教育にVR技術を取り入れた新しい形の研修プログラムを提供するなど、大企業の強みを活かした多角的なサービスが特徴です。
|【スタートアップ】国内のVR企業7選
VRに注目しているのは大手企業だけではありません。最近ではVR事業を会社の柱に据えたスタートアップ企業も続々と登場してきます。
ここからは、日本国内の注目VRスタートアップ企業についてみていきましょう。
<国内スタートアップで注目のVR企業一覧>
- monoAI technology(モノアイテクノロジー)
- STYLY
- REALITY XR cloud
- 面白法人カヤック
- 360channel(サンロクマルチャンネル)
- HIKKY
- ジョリーグッド
①monoAI technology:「オープンメタバースネットワーク」で業界を牽引
monoAI technology(モノアイテクノロジー)社は、2022年12月20日に上場を果たした注目のスタートアップ企業です。
同社は独自開発した大規模5Gゲームエンジン「モノビットエンジン」を搭載したメタバースプラットフォーム「XR CLOUD」を中心にメタバース・VR領域に積極参入しています。
設立して今年で11年目ではありますが、業界においては既に名が知れ渡っており、最近ではKDDI、STYLY、REALITY XR cloudの3社と連携して「オープンメタバースネットワーク」を展開。
本アライアンスを利用することで、個々のニーズに沿った最適なメタバースプラットフォームを導入することが可能になりました。
日本企業や自治体の多くはメタバースやVR事業への参入障壁が高いと感じているため、「オープンメタバースネットワーク」によって多くの企業がメタバースやVRをビジネスに導入しやすくなっています。
社員数、事業規模も順調に拡大しており、今後もメタバース領域においては存在感を高めていくことになるでしょう。
②STYLY:10万人以上のクリエイターコミュニティを構築
出典:STYLY 公式サイト
株式会社STYLY(旧称:Psychic VR Lab)は、XR(拡張現実)技術を駆使したクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を提供している企業です。
STYLYの主力事業は、XR技術を活用したリアルメタバースプラットフォーム「STYLY(スタイリー)」です。
本プラットフォームでは、Webブラウザで簡単にVR/AR/MR空間を制作・配信することができます。
これまで、VR/AR市場はハードメーカーが主流でしたが、STYLYはソフトウェアとコンテンツ制作に特化したサービスを提供することで業界内でプレゼンスを高めています。
また、最近では複数の大手企業から資金調達を行い、事業拡大を加速させています。
2024年には三菱商事や日本エスコンと資本業務提携を発表し、XR技術を活用した商業施設や地域活性化プロジェクトを発表しました。
これにより、STYLYは都市型XRエンターテインメント事業や空間コンピューティング事業において今後もその存在感を高めていくことになるでしょう。
③REALITY XR cloud:スマホ一台でVRライブ配信を可能に
出典:REALITY XR cloud 公式サイト
株式会社REALITY XR cloud(旧称:REALITY)は、グリー株式会社の100%子会社として設立され、法人向けのメタバース構築プラットフォーム「REALITY XR cloud」を提供している企業です。
本プラットフォームは、企業がVR空間内でバーチャルイベントを開催し、ユーザーとの新しい形の交流を可能にするものです。
既に多くの大手企業にも採用されており、2022年には三井不動産、HIS、ビームス、三越伊勢丹などが導入し、合計で4200万人以上が利用するメタバース空間を構築しました。
また、一般ユーザー向けには「REALITY」というスマホ一つで顔出し無しのライブ配信ができるVRアプリも提供しています。
Vtuber風のカワイイ3Dライブアバターが簡単に作れるので、特に若者を中心にシェアを拡大しつつあります。
④面白法人カヤック:「VR部」で様々なクリエイティブ作品を発表
出典:面白法人カヤック 公式サイト
面白法人カヤックは、1998年に設立された日本のクリエイティブ企業です。
カヤックは「面白い人を増やす」という理念のもと、ゲーム開発、広告制作、Webコンテンツ制作など、多岐にわたるクリエイティブなプロジェクトを手掛けています。
その名の通り、ユニークな社内制度やクリエイティブな人材を多数擁することで知られています。
カヤックはVRおよびARコンテンツの開発にも注力しており、その技術力とユニークさで市場で独自の立ち位置を確立している企業です。
特に、人気アニメやゲームをVR化するプロジェクトが有名で、例えば「シドニアの騎士」の発進体験装置や「乖離性ミリオンアーサー」のVRデモなど、エンターテインメント分野でのVRコンテンツ制作において非常に高い評価を得ています。
こういったコンテンツ制作というのは日本人の得意分野でもあるので、カヤックの今後には非常に期待できるでしょう。
⑤360channel(コロプラ傘下):VR動画配信サービスを展開
出典:360chennel 公式サイト
株式会社360Channel(サンロクマルチャンネル)は、2015年に設立され、東京都港区に本社を構える企業です。
「白猫プロジェクト」で有名なコロプラの100%子会社であり、360度動画関連事業や総合XR(拡張現実)プロデュース事業、メタバース事業を展開しています。
その中でも、VRコンテンツが無料で見れる配信サービス「360chennel」が主力事業です。
VR動画はPlayStation®VR、Oculus Rift、Gear VRなどのVR専用HMDや、PC、スマートフォン、タブレット端末を利用して視聴可能です。
また、年間500本以上のVR動画制作と配信を通じて蓄積したノウハウを活かし、プランニング、ディレクション、イベントプロモーション、効果測定などの一気通貫した施策を提供する「VR PARTNERS」という事業も展開しています。
VR動画が今後当たり前のように視聴されるような時代が到来すれば、YouTubeのようなメガプラットフォームへ昇華する可能性も秘めています。
日本はプラットフォーマーとしての展開力の弱さが前々から指摘されているので、360chennelの今後にはぜひとも期待しておきたいところです。
⑥HIKKY:世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット(Vket)」を運営
出典:My Vket ホームページ
株式会社HIKKYは、2018年に設立された日本のメタバースおよびVR関連事業を専門とする企業です。
特に、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット(Vket)」の主催企業として知られています。
「バーチャルマーケット」は、VR空間で開催される大規模なイベントで、ディズニーやトヨタ自動車などの大手企業も参加しています。
毎年夏(Summer)と冬(Winter)に2回開催されており、年を重ねるごとに来場者数が過去最高を記録するなど、今最も話題のVRイベントといっても過言ではありません。
また、独自のメタバース開発エンジン「Vket Cloud」も開発しており、VRコンテンツの制作や運営なども手がけています。
2021年末にはNTTドコモと資本・業務提携を結び、65億円もの出資を受け、今後はオープンメタバースの開発やサービス提供、海外展開を含む事業拡大に注力していく予定です。
⑦ジョリーグッド:医療福祉に特化したVRプラットフォームを展開
出典:ジョリーグッド 公式サイト
株式会社ジョリーグッド(JOLLY GOOD Inc.)は、2014年に設立された日本のメディカルテクノロジーカンパニーです。
同社は、VRやAI技術を活用し、医療福祉向けのサービスを開発しています。
ジョリーグッドの主なVR事業には、医療VRプラットフォーム「JOLLYGOOD+(ジョリーグッドプラス)」や、臨床教育用の「オペクラウドVR」、発達障害向けのソーシャルスキルトレーニングVR「emou」などがあります。
中でも「JOLLYGOOD+」は、『日本サブスクリプションビジネス大賞2021(「企業向け(BtoB)部門」)』にてゴールド賞を受賞しており、様々な症例をVR化することで臨床教育や医療機器の安全教育に活用されています。
2022年には大塚製薬と提携し、50億円規模のプロジェクトを進めている最中で、医療系VRソリューション領域においては今後もその存在感を確固たるものにしていくでしょう。
|【海外】アメリカのVR企業5選
ここまで、日本のVR企業を中心に紹介してきました。しかし、GAFAMに代表されるように、デジタルテクノロジーの本場はやはりアメリカです。
アメリカのVR企業の動きを把握することで、今後のVR市場の動向をある程度把握できるようになります。
ここでは、VR企業として注目しておくべき5つの主要企業についてみていきましょう。
<アメリカで注目のVR企業一覧>
- VRChat Inc.
- Meta (旧Facebook)
- Microsoft
- Apple
- Valve Corporation
①VRChat Inc.:ソーシャルVRプラットフォームの代名詞的存在
出典:VRChat公式サイト
VRChat Inc.は、2014年に設立されたアメリカの企業で、VRを利用したソーシャルプラットフォーム「VRChat」を開発・運営しています。
VRChatはVRブームの先駆け的存在であり、2015年には一般ユーザー向けVRゴーグル「Oculus Rift」が発売されたことも相まって、同年は「VR元年」と呼ばれるほどVR市場が賑わいました。
VRChatでは、自分自身を表現するアバターを通して仮想空間内で他のユーザーとコミュニケーションを取ることができます。
日本のアニメ風のアバターからリアル風のアバターまで幅広いデザインが取り入れられていることも特徴の一つで、Vtuber御用達のプラットフォームとしても知られています。
日本企業でもVRプラットフォームとして活用している企業も多く、前項で紹介した「バーチャルマーケット(Vket)」もVRChatを採用しています。
②Meta (旧Facebook) :VRゴーグル「Meta Quest」で市場を牽引
Meta社(旧Facebook)は、ソーシャルメディアプラットフォームFacebookやInstagramを運営している企業です。
2021年に社名をFacebookからMetaに変更し、VRおよびメタバース事業を主力事業としていくことを発表しました。
Metaの主要なVR事業は、スタンドアロン型VRヘッドセット「Meta Quest」シリーズの開発と販売です。
特に「Meta Quest 2」は、ユーザーに高い臨場感と手軽さを提供するデバイスとして、VRヘッドセット市場でシェアトップの座を獲得しています。
最新モデル「Meta Quest 3」も2023年10月に発売され、一般ユーザー向けのVRゴーグル市場では不動の存在となっています。
もちろんメタバースプラットフォームの開発にも力を入れており、「Horizon worlds」というビジネス向けメタバースプラットフォームを展開しています。
メタバースプラットフォーム市場では少し苦戦していますが、VRゴーグル市場においてはMeta社の牙城を崩すのは容易ではないほどに有名です。
③Microsoft:「HoloLenz」でビジネス用VRゴーグルに参入
出典:Microsoft 公式サイト
Microsoftは言わずと知れたアメリカの多国籍テクノロジー企業で、ソフトウェア、ハードウェア、クラウドサービス、そして最新のXR(拡張現実)技術を手掛けています。
Microsoftの主なVR事業としては、「Microsoft HoloLens」および「Dynamics 365」との連携によるXR(VR/AR/MR)ソリューションが有名です。
特に、「HoloLens 2」は、スタンドアロン型の複合現実(MR)デバイスとして、業務効率化や教育、医療、製造業など多岐にわたる分野で活用されています。
また、MicrosoftはMeta(旧Facebook)とのパートナーシップを強化し、VR空間での「Microsoft 365」や「Teams」の利用を推進しています。
これにより、VRヘッドセット「Meta Quest」シリーズを通じて、ビジネスツールがVR環境で利用できるようになり、遠隔会議や共同作業がより没入感のある形で行えるようになりました。
最近では、世界に衝撃を与えた生成AI「ChatGPT」を開発したOpneAIとの提携も進んでおり、今後もデジタルテクノロジー全般においてMicrosoftの優位性は揺るがないでしょう。
④Apple:高性能空間コンピューティングデバイス「Vision Pro」を発表
出典:Apple Vision Pro 公式サイト
Appleは1976年に設立されたアメリカの多国籍テクノロジー企業で、iPhoneやMacなどの革新的な製品で知られています。
ARおよびVR領域の参入に関しては長い間沈黙を貫いていましたが、2024年2月に空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」を発表し、ついに重い腰をあげました。
Apple Vision Proは、M2チップと新開発のR1チップを搭載し、12のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクからの入力を処理することで、非常に高いパフォーマンスを実現しています。
また、新しい「visionOS」は3Dインターフェースを採用し、コントローラー不要で視線やハンドジェスチャー、音声で操作可能な点が特徴です。
価格面は日本円で約50万円と非常に高額であり、一般消費者市場では「Meta Quest」の牙城を崩せないと判断し、主にクリエイターや企業をターゲットにしています。
日本ではまだ未発売ですが、日本においてはAppleブランドの信頼は絶大なので、今後の日本市場でどのような動きを見せるか目を光らせておくべきでしょう。
⑤Valve Corporation:ゲーム配信プラットフォーム「Steam」を運営
出典:Steam 公式サイト
Valve Corporationは、1996年に設立されたアメリカのビデオゲーム開発およびデジタル配信企業で、人気ゲームプラットフォーム「Steam」を運営していることで有名です。
また、ハードウェア開発にも進出しており、「Valve Index」というVRヘッドセットは特にゲーマーから高い評価を得ています。
SteamはPCゲームをやったことがある方なら知らない人はいないほどの有名プラットフォームであり、Meta Questをはじめとした多くのVRゴーグルがSteamを標準規格に採用しています。
最近ではVRゲームの配信数も伸びつつあり、2024年5月時点でSteamで配信されているVRゲームのタイトル数は約2000種類ほどです。
VRゲーム市場においてはValve Corporationは今後もスタンダードであり続けるでしょう。
|VR市場の将来性について
2024年時点では、VR技術はお世辞にも流行っているとはいえない状況です。
では、VRに将来性はあるのでしょうか?
結論からいうと、VR市場の将来性は非常に高いです。
市場のデータから見ると、世界のVR/ARヘッドセット市場は2024年に前年度比46.4%増と大幅な回復を遂げ、2027年にはVR市場が2190万台に達する見込みです。
MetaのQuest 3やソニーのPSVR2は消費者の間で強い需要を示し、AppleのVision Proも市場に新たな潮流を生み出しつつあります。
特にAR市場の年平均成長率が96.5%と非常に高く、新しい利用ケースやコンテンツの拡充が進むことで、日常生活やビジネスにおいてVR/AR技術の利用が広がるでしょう。
また、企業利用の拡大も見逃せません。
VR技術は製造業や建築業でのトレーニング、設計、リモート作業などに活用されており、初期コストの低減と技術の普及が進むにつれて、一般消費者市場でも利用が増加する見込みです。
ガートナーのハイプサイクルモデルに基づくと、2026年から2028年頃には啓発期を経て生産性の安定期に移行し始めると予想されるため、2030年までには本格的に普及するでしょう。
|日本企業は世界的VRプラットフォーマーを担えるかが鍵
本記事では、国内外のVR関連企業を合計で21社厳選してご紹介しました。
VR元年と呼ばれた2016年から今年で8年目を迎え、VR市場も徐々にではありますが盛り上がりを見せてきました。
しかし、現状では企業の利用率はそこまで高くありません。
VR市場に参入するには大きな障壁があり、特に中小企業や地方自治体に普及するにはまだまだ多くの時間を要するでしょう。
しかしながら、いずれVRの時代は必ずくると多くの専門家が予測しており、今のうちから積極的にVRをビジネスに取り入れた企業が来る時代の勝者となるのかもしれません。
その日のためにも、本記事で紹介したVR企業の事例を参考にして、ビジネスをさらに加速させていきましょう!
「メタバース相談室」では、TwitterやYouTubeでもVRやメタバースに関する情報を随時発信しています。
役立つ情報が満載なので、ぜひフォロー・チャンネル登録をしていただけますと幸いです。
それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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