メタバース元年と呼ばれた2022年から早くも2年が経過しました。
すでにメタバースに関連する機器は市場に多く普及し、VRコンテンツを体験したことがある人の割合も増加してきたといえるでしょう。
しかし、まだまだ発展途上であり、完全に市場に浸透しきったと言えない状況であることも事実です。
そのため、以下のようなメタバースに対する疑問をお持ちの方はまだまだ少なくありません。
「そもそもメタバースって何?」
「メタバースで何ができるの?」
「どんなサービスがあって、利用するメリットは?」
本記事では、こうした「メタバースとは?」という疑問に対して徹底的にお答え、解説します。
2024年の最新事例を踏まえて解説しますので、一読いただければ最新のメタバース状況も把握可能です。
ぜひ一読いただき、メタバースに対する理解を深めてください。
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目次
|そもそもメタバースって一体何?
メタバースとは、要約すると「仮想空間」または「仮想世界」のことです。
「超越」を意味するギリシャ語「メタ(meta)」と、「宇宙」を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせてつくられた造語で、1992年にニール・スティーブンソンのSF小説「スノウ・クラッシュ」の中で初めて使用されました。
メタバースの中では、「アバター」と呼ばれる仮想空間上での自分の分身で世界に入ることになります。
アバターを通して仮想空間上で誰かと遊んだり、会話をしたり、買い物をしたり、さまざまなアクティビティを現実と変わらないような環境で楽しむことができるのです。
つまり、メタバースのコンセプトは「現実世界との境界が曖昧になる」という点にあります。
最終的には、メタバースは現実世界と変わらない体験を目指しており、近いうちに到来すると言われている「Web4.0」時代を象徴する技術へと変貌するかもしれません。
火付け役は「セカンドライフ」
メタバースは最近話題になり始めた言葉なので新しい概念だと誤解されがちですが、実は2000年代初頭に一度流行しています。
アメリカのリンデンラボ(Linden Lab)社が2003年にリリースした「セカンドライフ(Second Life)」は、メタバースの先駆けとしてインターネット上でのコミュニケーションや売買取引が行われており、日本でも2006年ごろにブームとなりました。
しかし、2007年頃にセカンドライフのブームは終焉を迎えます。
<セカンドライフが失敗した主な理由>
- 低いグラフィック性能と不安定な接続性
- 複雑なインターフェースと高い参入障壁
- 著作権侵害や詐欺などの問題が相次いだ
- FacebookやTwitterなどの新プラットフォームの台頭
- ターゲット層が明確ではなかった
- 古いコンピューターではパフォーマンスが低下しやすい
上記のような理由で、セカンドライフは「早すぎたメタバース」とも揶揄されています。
しかし現在では、サトシナカモト氏によって「ブロックチェーン技術」が考案されたため、いよいよメタバースを構築する基盤が整いつつある状況です。
|メタバースが注目されている5つの理由
先述したように、メタバースは2000年代初頭に一度「セカンドライフ(Second Life)」で流行したにも関わらず、その後廃れてしまっています。
しかし、現在ではブームが再燃しつつあります。
なぜ一度廃れたのにも関わらず、メタバースはここまで注目を集めているのでしょうか?
ここからは、なぜメタバースが注目されているのかについてわかりやすく解説します。
①FacebookがMeta(メタ)へ社名変更
2021年10月、Facobook社がMeta(メタ)へ社名変更したことは、メタバースへの注目を大きく高める転換点となりました。
マーク・ザッカーバーグCEOによると、メタバースの構築はFacebookが目指す「次世代のインターネット」であり、SNSだけでなく仮想空間での交流やエンターテイメントの次なる舞台になるとのことです。
同社はこのビジョンを実現するために、約1兆1000億円をメタバース関連事業に投資し、今後さらに投資を増やす方針を示しています。
これにより同社の株価は約4%上昇し、メタバース関連株も軒並み値上がりしました。
このニュースは日本でも大きく報じられ、メタバースへの関心を高める一因になったのはまず間違いないでしょう。
また、Metaは傘下企業であったOculusが販売するVRヘッドセット「Oculus Quest」の後継機を「Meta Quest2」と名称変更し発売しました。
そして2023年6月には最新機種となる「Meta Quest3」をリリースし、その性能の高さから多くのユーザーを獲得しています。
「Meta Quest」シリーズはメタバースコンテンツへアクセスする媒体としてなくてはならないものであり、今後もその存在感を増し続けることが想定されるでしょう。
②ブロックチェーンやNFT技術の発展
ブロックチェーンやNFT技術が発展したことも、メタバースへの注目を高めた一つの要因です。
ブロックチェーンとは、簡単にいえばデータを安全に保存するための新しい技術です。
「分散型台帳技術」とも呼ばれ、情報をネットワーク上に分散して記録します。
これの何がすごいのかというと、一箇所のサーバーに頼るのではなく、多数のコンピュータにデータのコピーを保存し、その全てが同じ情報を共有していることです。
これにより、金銭取引において中央管理者(銀行や政府など)が不要となり、データの改ざんが非常に困難になります。
一方、NFT(Non-Fungible Token、非代替トークン)はブロックチェーン技術を基にした新しい形のデジタル資産です。
ものすごく簡単にいえば「デジタルデータに現実の資産と同じ価値を持たせる技術」です。
つまり、メタバース上で制作されたデジタルデータをNFT化すれば、それは現実世界と同じような価値を持つことになります。
これらの技術を利用することで、メタバース内での取引や所有権の確立が実現可能になり、デジタル世界での創造物や資産を安全に、かつ確実に管理できるようになりました。
その結果、メタバース実現への期待度が高まったのです。
③仮想通貨の普及
ビットコインなどの仮想通貨は、今では当たり前のように利用されていますが、メタバースの発展にも大きく寄与しています。
先述したように、メタバースでの取引や活動は現実世界と同様の経済的価値を持たなければなりません。
仮想通貨が普及したことで、メタバース内での経済的活動が現実世界と同じような価値を持つことになったのです。
また、仮想通貨は国境を問わず利用できるため、メタバース内で国際的な取引を行う際に大きな強みとなります。
その結果、メタバースを利用したビジネス展開の幅が広くなり、多くの企業がメタバースに可能性を見出しているのです。
なお、現在メタバースで利用されている仮想通貨の代表例は以下の通りです。
<メタバースで利用されている仮想通貨>
仮想通貨名 | シンボル | 使用されているメタバースプラットフォーム |
Bitcoin(ビットコイン) | BTC | 一部のメタバースプラットフォームと決済オプションとして利用可能 |
Ethereum(イーサリアム) | ETH | 多くのメタバースプラットフォームとNFTプロジェクト |
Decentraland | MANA | Decentraland |
The Sandbox | SAND | The Sandbox |
Axie Infinity | AXS | Axie Infinity |
Enjin Coin | ENJ | 複数のゲームとメタバースプラットフォーム |
④米大手ITテックの巨額投資
Facebook社がMeta(メタ)へ社名変更した2021年を皮切りに、米大手ITテックは続々とメタバースへの巨額投資を発表しています。
<米大手ITテックのメタバース事業への取り組み>
取り組み内容 | |
Meta | Oculus社の買収 メタバースクリエイターの育成に巨額投資 メタバースオフィスやVRゲームの開発 |
Microsoft | Activision Blizzard社の買収 HoloLensの販売 リモートワーク向け「Microsoft Mesh」をリリース |
Apple | 「Apple Vision Pro」の発表 開発者・サービス・ユーザーのエコシステム構築 |
また、米国のみならず日本国内でもメタバース事業への投資は積極的に進んでいます。
<日本国内のメタバース事業への取り組み>
取り組み内容 | |
住友商事 | 「ROBLOX」を利用したコンテンツ提供 |
KDDI | 「オープンメタバースネットワーク」の立ち上げ |
NEC | 「Microsoft Mesh」を利用したバーチャルエクスペリエンスセンターの開発 |
サイバーエージェント | バーチャルストアの開設・運営サービスの開始 |
TOPPANホールディングス | OEM版メタバース「Powered by Metapa」の提供 |
monoAI technology | 「XR CLOUD」プラットフォームの提供 |
バンダイナムコホールディングス | 「ガンダムメタバースプロジェクト」の展開 |
このように、国内外を問わず多くの有名企業がメタバース事業への投資を発表しており、投資家の間でもメタバースはトレンドになっています。
⑤新型コロナによる働き方改革
2019年末に広がった新型コロナにより、私たちの生活環境は一変してしまいました。
しかし、奇しくも新型コロナが蔓延したことでメタバースは注目を集めるようになったのです。
新型コロナがもたらした働き方改革では、リモートワークが新しい標準となり、これによってオンラインでのコミュニケーションの重要性が高まりました。
メタバースは、ただのオンライン会議を超え、より没入感のある体験を提供します。
例えば、メタバース内での仕事のミーティングでは、実際にオフィスにいるかのような感覚を味わえるため、遠隔地にいながらでもチームの一体感を保つことが可能です。
このように、新型コロナの蔓延は多くの難題を突きつけましたが、メタバースの発展という予期せぬ副産物も生み出したのです。
|メタバースの定義
実は、メタバースには専門機関が定めているような明確な定義はありません。
しかし、一般的に語られている定義が存在しますので、そちらの内容に沿ってメタバースの理解を深めていきましょう。
また、メタバースと混同されがちなVRとの違いについても解説します。
メタバースの7つの定義
現在最も有力視されているのはアマゾン・スタジオの元戦略責任者であり、投資家としても有名なマシュー・ボール(Matthew Ball)氏が自身のエッセイで提唱した7つの定義です。
<メタバースの7つの定義>
説明 | |
1.永続的である | 24時間365日絶えず存在する。 |
2.同期性を持ちライブ的である | リアルタイムで発生し、世界中のユーザーが同時に参加可能。 |
3.同時接続数に制限がない | 理論上無限のユーザーが同時にアクセスし、参加することができる。 |
4.現実世界と変わらない経済システムをもつ | 商品やサービスの作成、売買、取引が行われる。 |
5.デジタルと現実に垣根がない | デジタル空間と現実世界の間の境界をあいまいにする。 |
6.これまでにない相互運用性 | 異なるサービスや環境間でデータ、財産、経験を自由に移行させることができる。 |
7.全ての参加者がコンテンツを生成できる | ユーザーが自身のコンテンツを作成し、共有し、販売することもできる。 |
こうしてみると少し難しく思えるかもしれませんが、簡単にいうと「メタバース(仮想空間)は現実世界と同じ性質を持たなければならない」ということです。
VRとメタバースは厳密には異なる
2022年は「メタバース元年」といわれていますが、2016年は「VR元年」ともいわれています。
これは、2016年に相次いでVR専用デバイス(PSVR4、Oculus Riftなど)が比較的安価な値段でリリースされたことが主な要因です。
しかし、メタバース(Metaverse)とVR(Virtual Reality)はそれぞれ日本語では「仮想空間」、「仮想現実」と訳されます。
そのため、両者の違いについてよくわからない方も多いのではないでしょうか。
以下に、メタバースとVRの違いについて簡単にまとめました。
<メタバースとVRの主な違い>
メタバース | VR(Virtual Reality) | |
定義 | 広範なデジタル空間で、社会的・経済的活動が行われる | 没入型の体験を提供する技術の総称 |
デバイス | スマートフォン、PC、VRヘッドセット | VRヘッドセット |
使用技術 | VR技術だけでなく、AR、MRなど様々な技術を組み合わせ | ヘッドセットや専用のコントローラーなど、特定のハードウェアを使用 |
つまり、VRとは没入型の体験を実現するための技術の総称で、メタバースはVRを含む様々なデジタル技術を組み合わせて創造する仮想空間です。
かなり意味合いが変わってくるのでお間違いなく。
|メタバースを利用するメリット
メタバースは私たちの生活を根底からくつがえす可能性を秘めています。
しかし、こういった新しい技術はメリットばかりフォーカスされて、デメリットはあまり知られていません。
メタバースには良い点もあれば、もちろん悪い点もあります。
ここでは、メタバースのメリット・デメリットについてみていきましょう。
①非現実的な体験が可能
メタバースはデジタル空間であるため、現実世界の物理的制約に縛られない非現実的な体験ができます。
例えば、宇宙の果てへと旅をしたり、未知なるモンスターと魔法を使って戦うことすらできてしまいます。
しかし、この程度なら今までだってゲームなどを通して擬似的に体験することはできました。
重要なのはこれらの非現実的な体験を「没入型」で体験できることです。
「没入型」とは、あたかもその場にいるかのような感覚を得られる体験のことを言います。
メタバースでは、仮想現実(VR)技術や拡張現実(AR)技術を使って、ユーザーがデジタル世界に「没入」することが可能になります。
このため、ただ画面上でキャラクターを操作するゲームとは違い、ユーザー自身がその世界の一部として活動する感覚を味わうことができるのです。
②新ビジネスの創出
メタバースはゲームなどのエンターテインメントと非常に相性が良いですが、ビジネスシーンにおいても無限の可能性を秘めています。
<メタバースのビジネスでの活用例>
- バーチャルオフィスを通じてリモートワークを効率化
- バーチャルイベントを開催して世界中から参加者を集める
- 医療、航空、建築などの分野でよりリアルなシミュレーション
- 新製品のプロトタイピングやデモンストレーションを仮想空間で行う
- メタバース内の不動産で空間デザインのカスタマイズ
- メタバース店舗を利用したバーチャルショッピングで顧客に新しい購買体験を提供 など
上記のように、メタバースは使い方次第でビジネスの可能性をさらに広げることが可能です。
このメリットがあるからこそ、最近ではメタバースを事業の主軸に据えたスタートアップ企業が数多く誕生しています。
③働き方改革の実現
メタバースを活用することで、現在日本で積極的に進められている働き方改革を実現できます。
コロナ禍によって、TeamsやZoomを使ったウェブ会議が新たな日常となりましたが、この形式の会議では相互関係が希薄になりがちで、コミュニケーションの深化が難しいという課題がありました。
しかし、メタバースを活用すれば実際にその場にいるかのような感覚でコミュニケーションを行うことができます。
これにより、リモートワーク中でもオフィスで直接会話を交わす時に近い親近感や信頼感を育むことが可能になります。
特に日本の通勤というのは、満員電車に揺られて長時間移動する方も少なくありません。
既に先進的な企業ではメタバースオフィスが導入されていますが、さらに導入が進めば労働生産性をさらに高めることができるでしょう。
メタバースのデメリットも把握しよう
素晴らしいサービス、コンテンツを実現させるメタバースですが、発展途上の技術ということもあり一定のデメリットを抱えていることも理解しなければいけません。
こちらでは代表的なデメリットの事例として、以下2点についてそれぞれ解説します。
- 導入費用の発生
- VR酔いの可能性
導入費用の発生
まず、メタバースの導入にはある程度まとまった費用が必要となります。
メタバース空間の内容によって価格は変動しますが、ゼロベースからの構築になった場合には数百万円単位にまでのぼることが一般的です。
また、一ユーザーとしてメタバースを使用する場合でも、没入感を高めるためのVRヘッドセットは欠かせません。
こうした機器の購入費用も発生するため、無料でメタバースを体験するということが困難なのです。
スマホやPC画面を通じたメタバース体験も可能ですが、メタバース本来のポテンシャルを最大限引き出すためには専用機器の存在は欠かせません。
こうした点は今後、メタバース普及に向けた課題として解決すべきものとして検討すべきでしょう。
VR酔いの可能性
VRヘッドセットを使用したメタバース体験は、高い没入感を生み出す一方で「VR酔い」と呼ばれる症状を引き起こします。
これは乗り物酔いに近いものであり、めまいや吐き気といった体調不良を感じることが一般的です。
目に見える映像と身体の動きの不一致で生まれるといわれており、初めてのメタバース体験で発生しやすくなります。
解像度の高いゴーグルの使用などで対策可能ですが、初めての使用でこうした症状を引き起こしてしまうと、その後の利用を妨げる要因になってしまうでしょう。
|メタバースの代表例
ここまで、メタバースに関する基本的な情報について解説しました。
しかし、「メタバースの具体的なイメージが湧かない…。」と感じる方も多いでしょう。
以下では、2024年時点の代表的な国内外のメタバースプラットフォームについてご紹介します。
海外で有名な7つのメタバース
海外で有名な7つのメタバース
海外で有名なメタバースは以下の7つです。
- Fortnite(フォートナイト)
- Roblox(ロブロックス)
- Minecraft(マインクラフト)
- Decentraland(ディセントラランド)
- Horizon Worlds(ホライゾンワールド)
- VRChat(ブイアールチャット)
- ZEPETO(ゼペット)
詳しくみていきましょう。
①Fortnite(フォートナイト)
Fortnite(フォートナイト)は、アメリカに拠点を置くゲーム開発会社Epic Games(エピック・ゲームズ)によって提供されているバトルロイヤルゲームです。
2017年にリリースされ、現在では推定ユーザー数5億人ともいわれる超人気ゲームになります。
基本的に無料でプレイ可能で、カートゥーン風の独特なグラフィック、豊富なゲームモードが人気の理由です。
また、世界中のアーティストによるバーチャルライブも数多く開催され、ゲーム内で行われる多様なイベントがプレイヤーを引きつけています。
さらに、クリエイティブモードによってユーザー自身が独自の世界やゲームを創造できる自由度の高さも、人気の理由の1つです。
②Roblox(ロブロックス)
Roblox(ロブロックス)は、2004年にRoblox Corporationによってリリースされたゲーム型メタバースプラットフォームです。
総ユーザー数は約4億人、デイリーアクティブユーザー数は約5000万人に達しており、2021年3月には米ナスダックに上場し、時価総額は最大3兆円規模ともいわれています。
Robloxでできることは主に2つです。
一つは、他のユーザーが作成した様々なジャンルのゲームを楽しむこと。もう一つは、ユーザー自身がゲームやアイテムを制作し、それを共有することです。
さらに、Roblox内での活動は経済的な収益をもたらす可能性もあり、ユーザーにとっては遊びながら学び、創造し、稼ぐことができる環境となっています。
③Minecraft(マインクラフト)
Minecraft(マインクラフト)は、スウェーデンのゲーム開発会社Mojangが開発し、2009年に公開されたレゴブロック風のメタバースゲームです。(※2014年にマイクロソフトが買収)
世界中で非常に人気があり、プレイヤー数は数億人に上ります。
Minecraftの人気の秘訣はその自由度の高さです。
プレイヤーは無限に広がるワールドで、採掘、建築、探検、クラフトといった活動を自由に行えます。
さらに、マルチプレイヤーモードで友達と一緒に冒険したり、巨大なプロジェクトを共同で作り上げたりすることもできます。
レゴブロック風のデザインであることから教育にも利用されており、子供だけでなく幅広い年代に支持されているプラットフォームです。
④Decentraland(ディセントラランド)
Decentraland(ディセントラランド)は、カリフォルニアに拠点を置く非営利団体「Decentraland Foundation」が2017年に開発したブロックチェーンゲームです。(※正式リリースは2020年)
2021年初頭には約4万人だったユーザー数が現在では80万人以上に増加しており、順調に成長を続けています。
Decentralandはブロックチェーンを活用しているため、ゲーム内で取得したアイテムや土地(LAND)が実際の資産として保有でき、自由に売買が可能です。
これにより、ユーザーは自分だけの空間を作り上げ、そこでビジネスを展開したり、他のユーザーと交流したりすることができます。
また、「DAO(分散型自立組織)」による運営が行われている点も、Decentralandをユニークな存在にしています。
⑤Horizon Worlds(ホライゾンワールド)
Horizon Worlds(ホライゾンワールド)は、2021年12月にMeta(旧Facebook)がリリースしたメタバースプラットフォームです。
Horizon Worldsではアバターを通じてビジネス会議やプレゼンテーションなど、ビジネスコミュニケーションを仮想空間上で行うことができます。
また、他のメタバースプラットフォームと同じようにゲームやパーティ、コンサートなど様々なエンターテインメントイベントを楽しめます。
利用するには基本的にMeta社のXR専用ヘッドセット「Meta Quest」が必要ですが、それさえ購入してしまえば高品質のVR体験をフルで堪能できます。
⑥VRChat
出典:https://hello.vrchat.com/
「VRChat」は2014年にリリースされたメタバースサービス。
2024年現在では世界最大規模のメタバースプラットフォームとして世界中のユーザーからのアクセスを集めています。
無料で利用できますが、そのサービスは本格的です。
ユーザーはアバター姿でメタバース空間へアクセスし、世界中の人達と音声通話、身振り手振りといったコミュニケーションが実現します。
VRChat内には「ワールド」と呼ばれる無数のメタバース空間が存在しています。
それぞれで多種多様なイベントが開催されている上に、新たなワールドを作成することも可能です。
PCからのアクセスも可能ですが、VRゴーグルを着用することでより高い没入感が味わえるでしょう。
⑦ZEPETO
「ZEPETO」はスマートフォン経由でのアクセスが可能となるメタバースサービスです。
SNS的な側面が強く、アバターを通じて参加する新しいSNSであるともいわれています。
世界での利用者数は3億人を超えており、世界中の若者から絶大な支持を集めているのです。
その理由は画像、動画の投稿機能やゲームといった若者が日頃から利用する体験を提供している点にあります。
メタバース空間においてアバター姿を通じたコミュニケーションは、若者に対して現実世界とは異なる居場所を提供することに繋がっています。
高い操作性やスマホからのアクセスといった点に加えて、アバターに着用できるファッションアイテムが多いことも特徴。
今後さらなる伸長が期待されているメタバースサービスの一つです。
より詳しい内容を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
日本国内で有名な7つのメタバース
日本国内で有名なメタバースプラットフォームは以下の7つです。
- cluster(クラスター)
- バーチャルマーケット
- ZIKU
- REALITY
- V-expo(ブイエキスポ)
- HIKKY(ヒッキー)
- XR CLOUD
順にみていきましょう。
①cluster(クラスター)
cluster(クラスター)は、2017年にクラスター株式会社によってリリースされた国産メタバースプラットフォームです。
ユーザー数はリリース以来急速に増加しており、総ダウンロード数は100万回以上、累計総動員数は2,000万人以上に達している日本最大のメタバースプラットフォームとしても知られています。
日本独自のアニメ風グラフィックのアバターが特徴で、「にじさんじ」をはじめとする人気Vtuberとも多数コラボしています。
自分だけの独自の「ワールド」を無料で簡単に作成することもでき、Unityと連携すればカスタマイズの幅も拡張可能です。
また、cluster内の独自通貨「クラスターコイン」を使って、アバターやアイテムの売買も可能です。
②バーチャルマーケット(Vket)
バーチャルマーケット(Vket)は、株式会社HIKKY(ヒッキー)が主催する世界最大級のVRイベントです。
2018年から開催されており、世界中から100万人以上の来場者が訪れるほどの人気を博しています。
バーチャルマーケットでは、アバターや3Dアイテムの購入だけでなく様々なリアル商品の購入も可能です。
本イベントでは、特定のテーマに沿った複数の「ワールド」が設置されており、それぞれ異なる体験ができるようになっています。
例えば、VRChatやHIKKY独自のメタバース開発エンジン「Vket Cloud」を使用したWebブラウザ会場で、アートの展示や音楽ライブ、ファッションショー、コミュニティイベントなど、様々なアクティビティに参加することができます。
③ZIKU
「ZIKU」は主にビジネスの場での活用を想定してリリースされたメタバースサービスです。
そのためバーチャル展示会、セミナー、研修といった様々な場面で活用することが想定されています。
「出会う・つながる・体験する」という3点を強く訴求しており、メタバース空間でのビジネス発展に繋げるということを目的にしています。
そのため来場者の情報、ログ確認機能といったデータ蓄積機能など、現実世界での展示会では難しい情報もハックできます。
また、ブラウザからのアクセスが可能ですので幅広いビジネスマンからの利用も可能です。
CG作成の手間もいらないため、誰でも簡単に理想の会場を作成できるでしょう。
すでに様々な企業がZIKUを活用しており、今後のその数を増やしていくことが考えられています。
詳しい内容が知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
④REALITY
REALITY(リアリティ)は、グリー株式会社の100%子会社であるREALITY株式会社によって運営されているメタバースサービスです。
2018年8月にサービス提供を開始し、2022年10月時点で全世界のダウンロード数が1,000万を突破しました。
REALITYを使えば、スマホ一つでアニメ調のカワイイアバターでバーチャルライブが簡単に配信できます。
最近では個人でVTuber活動を始める方も多くなりつつあり、そういったトレンドに応じて徐々に存在感を増してきました。
基本的に無料から始められるので、ライブ配信に興味のある方はぜひ一度触ってみたいメタバースサービスです。
⑤V-expo(ブイエキスポ)
「V-expo」は株式会社m-Labがリリースしたメタバースサービスです。
主にユーザー同士の交流を目的にしており、様々なイベント開催が容易に可能となっています。
例えば、ステージから登壇者が複数人に話をする「セミナータイプ」では、参加者はミュートモードで参加することになります。
登壇者がミュート解除することで発言できるため、スムーズな進行が実現するでしょう。
また「オフィスタイプ」では定額を支払うことでバーチャル空間に再現されたオフィスの利用が可能となります。
同時接続できる人数によって価格は異なり、一例としては10人接続する場合は月額10万円程度です。
リモートワークが浸透した現在において、今後もバーチャルオフィスの需要が増加することが考えられます。
今後もV-expoに対する注目は高まるでしょう。
詳しい内容を知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
⑥HIKKY(ヒッキー)
「HIKKY」は2018年に創業した株式会社HIKKYが提供するメタバースサービス。
世界規模の展示会として話題となった「バーチャルマーケット」の運営を手掛けたことで大きな注目を集めました。
現実世界とメタバース空間の融合による新しい価値提供を目的にしており、文化と経済発展を促進しています。
メタバース空間の提供だけではなくVRコンテンツにも注力しており、様々な要望に応えることが可能。
完全オーダーメイドでのメタバースサービスが実現しますので、各企業に沿った最適な仮想空間を生み出せるのです。
すでに国内外の複数企業に対して事業提供を行っており、今後もその数は増えていくことが想定されてるでしょう。
詳しい内容を知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
⑦XR CLOUD
「XR CLOUD」は、monoAI technology社が提供するメタバースサービスプラットフォームです。
同社は2022年12月20日に上場を果たし、翌年1月には東証グロース市場で売買代金約95億円(560社中2位)を達成している日本のメタバース産業におけるリーディングカンパニーです。
現在リリースされている一般的なメタバースサービスは、通常100〜1,000名以上の同時接続にもなると、サーバーに負荷がかかり過ぎてしまい大規模イベントを開催するのが難しい状況でした。
しかし、XR CLOUDは独自開発した大規模5G通信ゲームエンジン「モノビットエンジン」を搭載し、数万人規模の同時接続にも容易に耐えることが可能です。
マルチデバイス対応なので一般消費者から企業まで、全てのユーザーをターゲティングできるのも嬉しいところ。
既に大企業から中小企業まで多くの導入実績もあり、信頼性においても十二分です。
「メタバースを自社ビジネスに導入したいけどやり方がわからない…。」
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|高い将来性を持つメタバース
メタバースのような新技術にはお約束ともいえますが、
「メタバースを利用してみたけど思ったよりも使いづらかった」
「セカンドライフが失敗したんだから今のメタバースに将来性はない」
といった意見もよく耳にします。
確かに、現状のメタバースはまだまだ未成熟な技術であることは否めません。
では、メタバースに将来性はないのでしょうか?
ここからは、2024年3月時点でのメタバースの将来性について解説します。
世界市場は2030年までに720兆円規模へ成長予測
世界のメタバース市場をみてみると、今後急激に市場が成長することが予測されています。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートによれば、メタバースの市場規模は2022年時点で約930億ドル(約14兆円)規模と推定されており、2030年までには5兆円(約750兆円)への成長が予測されています。
(参考:メタバースの価値想像)
このデータをもとに年平均成長率(CAGR)を算出すると、世界のメタバース市場は2030年までに「約64.5%」という驚異的な数値で成長することになります。
ちなみに、一般的な成長産業の年平均成長率(CAGR)は5〜15%程です。
この驚異的な成長予測は、メタバースが単なる一時的な流行ではなく、持続的な発展を遂げる将来性の高い技術であることを示唆しています。
日本国内市場は2030年までに約24兆円規模へ成長予測
世界的には驚異的な成長が予測されているメタバース市場ですが、日本国内に関してはどうでしょうか?
三菱総合研究所による調査では、2023年の国内メタバース市場は2,851億円(前年度比207%増)でしたが、2030年には約24兆円規模へと成長することが予測されています。
(参考:メタバースの国内市場は2030年に約24兆円規模へ、三菱総研が調査)
このデータをもとに年平均成長率(CAGR)を算出すると、日本では2030年までに「約88.4%」という驚異的な速さでメタバース市場は成長していくことになります。
意外にも、日本のメタバース市場は世界のメタバース市場を凌ぐ勢いで成長していくことになりそうです。
以上の観点からみても、メタバースに将来性がない、意味がないというのは少々無理があるといえるでしょう。
企業が積極的に参入し始める
2024年現在、メタバースはエンタメ分野といった限定した活用方法ではなく、本格的にビジネスシーンにおいて活用され始めてきました。
2022年3月に実施されたPWCコンサルティングの調査によると、メタバースの活用を本格的に検討している企業は「BtoB」で37%、「BtoC」で44%という結果になりました。
また、活用シーンとしては「オンラインミーティング」「オンラインイベント・セミナー」が上位に並びます。
こうした活用はすでに複数企業で事例があり、今後もその数を伸ばしていくことが想定されます。
新技術の浸透に時間がかかることはスマホの事例などを考えれば明らかです。
メタバースの登場から10数年が経過した現在、徐々にメタバースが身近な存在になる状況は整いつつあるといえるでしょう。
こうした企業の積極参入が続くことを考慮すると、メタバースの未来は非常に明るいといえるはずです。
|さらなる普及に向けた課題
ゆっくりではありますが、確実に世間に浸透しつつあるメタバース。
今後さらなる普及に向けた課題について、主に以下のような内容があげられるでしょう。
- デバイスの普及
- ユーザーの囲い込み
- 安定したビジネス利用
- 業界標準の規格確立
デバイスの普及
メタバースの仮想空間をリアルに体験するためには、VRゴーグルを始めとした専用機器の存在は欠かせません。
もちろん、スマホやPC画面からメタバース空間へアクセスすることも可能ですが、より一層の没入感や感動を味わうためにはどうしても専用デバイスが必要になるでしょう。
現在では数年前と比較して小型で安価な機器も登場しましたが、それでもまだ数万円レベル。
「ちょっと試してみようか」と考えるユーザーにとって、まだまだ手が出しにくい存在であることは否めないでしょう。
スマホのように1人1台、もしくは1家に1台という状態にまでデバイスが普及すれば、メタバース市場は急激に発展することが期待されます。
ユーザーの囲い込み
仮想空間であるメタバースにアクセスしてもらうための導線、仕組みづくりも重要となります。
VRデバイスを購入し、日常的にアクセスするユーザーを増やすためには魅力的なコンテンツが大事です。
メタバース上でのライブやイベント、セミナーなどの実施は頻繁に行われていますが、まだまだ日常的にメタバースへアクセスさせるための仕組みは発展途上といえるでしょう。
こうしたユーザーの囲い込み、盛り上がりが今後のメタバース発展に求められるはずです。
安定したビジネス利用
多くのユーザーにメタバースサービスを提供するためには、ビジネスとして安定した収益を生み出す必要があります。
現在ではライブ、イベント、セミナーといった現実世界で必要となる会場を再現することが多いメタバース。
こうした一時的な収益モデルではなく、メタバース空間を活用した広告やサブスクリプションサービスの提供といった、継続した収益体制を構築することが重要となるのです。
業界標準の規格確立
急激に発展したメタバース市場ですが、その反動として現在は世界各国の企業が様々なサービスを並行して展開している状況が生まれました。
デバイスとサービスの規格といった利用しやすいサービス環境の提示はもちろん、各国の法整備といった面も発展途上。
こうした汎用性、そして安全性が高まれば高まるほどメタバースへの参入ハードルは下がり、より多くのユーザーが楽しめる環境が生まれると期待されるのです。
|メタバースとは要約すると「仮想空間」のことで将来性が高い!
本記事では「メタバースとは?」について徹底的に解説しました。
メタバースとは「仮想空間」のことであり、現実とは異なる新しい世界、空間を創造することができます。
すでに様々なサービスが提供されており、世界各国で日々メタバースのポテンシャルを引き出した開発が進められているのです。
また、メタバースは今後新たなビジネス市場を生み出す可能性が高く、その市場価値についても大きな注目が集まっています。
今後の発展が期待されるメタバースの動向に、今後も注目しましょう!
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