デジタル技術の進化は、私たちの日常を変えているばかりでなく、未来そのものを再定義しています。

その最先端を行くテクノロジーの一つが「メタバース」です。

日経BPが行った調査では、メタバースのビジネス活用は、2024年以降活発化するとされています。

本記事では、メタバースがどのように未来を形作り、私たちの日常やビジネスにどのような影響を与えているのか、徹底的に解説いたしますので、是非最後までご覧ください。

|メタバース業界動向ハイライト【2023年】

まず、2023年の一年間の業界動向を振り返ってみましょう。

2023年は、前年に比べてメタバースの注目度が安定した年でもありました。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に変更され、これによりコロナ禍における制約が和らぎ、メタバースの潜在的な利用に真摯に取り組む企業では、ビジネス展開を促進するための環境が整ったと言えます。

また、メタバースの定義については、現時点で一義的な認識が確立されていません。

総務省の報告書によれば、メタバースは「ユーザー同士が『コミュニケーション』が可能な、インターネットを介した仮想的なデジタル空間」とされ、その性質として、利用目的による臨場感や再現性の提供、自己投射性や没入感の具現化、そして(通常はリアルタイムでの)インタラクティブ性が挙げられ、誰もが仮想の世界に参加できる(オープン性)という特性を備えているとされました。

|世界のメタバース市場規模

2020年時点での世界のメタバース市場は驚異的な規模で、約68兆円に達していました。

さらなる拡大が見込まれ、2024年には約111兆円にまで成長すると予想されています。

この予測は、デジタル技術の急速な進化とデジタル空間への需要の増加を反映しています。

2020年において、メタバース市場は476億9,000万米ドル(約6兆9,151億円)に達し、年率43.3%で拡大しました。

この成長は驚異的で、2028年には8,289億5,000万米ドル(約120兆1,978億円)に到達する見込みです。

こうした数字は、メタバースがますますビジネスやエンターテイメントなど多岐にわたる領域に影響を与え、その利用が急速に拡大していることを示しています。

さらに、2022年にはメタバース市場が655.1億ドルから始まり、2030年には9,365.7億ドルまで拡大する見通しです。

この予測からは、今後数年間でメタバースがますます注目を集め、世界中でその市場が拡大していくことが期待されます。

|日本のメタバース市場規模

2021年度の国内メタバース市場規模は744億円に達し、2026年度には1兆円を超えると予測されています。

この予測は、メタバースが急速にビジネスおよびエンターテイメントの分野での活用を拡大し、新たなデジタル体験の需要が急増していることを反映しています。

さらに、2022年時点での日本のメタバース市場規模は既に1,825億円に達しており、これはますます拡大する市場においてインパクトを与えています。

企業や個人がメタバースの可能性に注目し、その利活用方法を模索する中、市場は年々着実に拡大しています。

|メタバースがもたらす未来への可能性とは

ここからは、メタバースが未来にもたらす新たな経済圏やビジネス、体験についてご紹介していきます。

新たな経済圏

メタバースでは様々な空間を自由に作ることができるので、音楽ライブなどの2DアプリやWebでは再現が難しい没入感を、ユーザーに提供することができます。

音楽ライブに限らず、メタバースはその自由度の高さから、様々な用途の空間やいろいろな価値や体験をユーザーへ提供することができます。

それに加え、NFTの登場により、仮想空間内で使用するアバターやアイテム、土地や建物などのデジタルアイテムの暗号通貨を用いた売買が可能になり、

メタバース内での経済活動を現実世界に還元することが可能となっているのです。

メタバースは現実世界に次ぐ、新たな経済圏へと成長しています。

今後、現実世界ではなくメタバース空間でお金を稼ぎ、生活するということが当たり前になる時代が来るかもしれません。

新しいビジネスの実現

メタバースという新たな経済圏の誕生により、メタバースに特化した様々な新しいビジネスが今後展開されていくと予想されています。

例えば、バーチャルオフィスビジネスです。

バーチャルオフィスが実現することによって、わざわざ会社まで出社する必要がなく、働く人が内装を自由にカスタマイズでき、自分の働きやすい環境をつくることで時間の節約や仕事効率の上昇が可能になります。

さらに、都心から遠く離れた場所に住んでいる人、過疎化が進んでしまっている地域に住んでいる人で、働く環境が無いという人々にも、

メタバースにより平等なビジネスチャンスが得られる可能性があります。

イベントに参加

メタバースであれば、コンサートや各種イベントに参加する際に、

直接その場にいく必要がないため、コロナ禍の現在でも、感染リスクを気にせずに友人の方とコミュニケーションが取りながら、

実際にその場にいるような臨場感を体験することができるようになります。

|メタバースが持つ課題

メタバースが急速に発展する中で、いくつかの重要な課題が浮かび上がっています。

これらの課題は、技術、倫理、経済など様々な面にわたり、メタバースの発展と普及に影響を与える可能性があります。

プライバシーとセキュリティの懸念

メタバースは、個人のデジタルな存在が強調される空間であり、プライバシーとセキュリティの問題が浮き彫りになっています。

個人のデータや行動パターンがリアルタイムで収集される可能性があり、それに対する適切な保護が求められています。

デジタル格差の拡大

メタバースの利用には高度なデジタル技術が必要であり、これがデジタル格差を拡大させる可能性があります。

経済的な要因や技術的なアクセスの制約により、一部の人々がメタバースの恩恵を享受できないという問題が生じる可能性があります。

倫理的な課題

メタバースの拡大に伴い、仮想世界においても現実と同様に倫理的な問題が発生する可能性があります。

仮想環境での行動規範や法的なルールの整備が不十分な中、不適切な行動や悪用が増加する可能性があります。

デジタル中毒とメンタルヘルスの問題

長時間のメタバース利用や仮想の現実との区別がつかなくなることが、デジタル中毒やメンタルヘルスの懸念を引き起こす可能性があります。

現実社会とのバランスを保つことが課題となります。

法的な不確実性

メタバースが従来の法的枠組みに適応するのは難しく、知的財産権や契約の実効性などにおいて法的な不確実性が残っています。

メタバースにおける法的な基準や権利保護の確立が必要です。

|メタバースにおけるキーテクノロジー

最後に、メタバースの未来に大きな影響を支えると予想される2つのテクノロジーをご紹介します。

Web3.0

Web2.0は、現在私たちが使用しているTwitterやFacebookなどのSNSやYoutubeなど誰でも簡単に情報発信ができるのに対し、Web3.0は、次世代のWebのあり方のことを指します。

Web2.0ではプラットフォームを運営する企業に個人情報が集約されることによるプライバシー問題、中央集権型のサーバーに依存していることにより、

サーバーがダウンするとシステム全体もストップしてしまうという問題を抱えています。

Web3.0は、後述するブロックチェーン技術などを用い、大企業が中央集権敵に集約していたデータをユーザーの手に戻し、

分散して管理できるようになるので、前述した問題が解決すると言われています。

メタバースは、Web3.0と深く関わっているNFT、ブロックチェーンと相性が良く、Web3.0の成長とともに今後発展していくと考えられています。

ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、データを多数のユーザーに分散して持たせることで非中央集権的なサーバーを実現します。

システムダウンが起きづらい、また、「ハッシュ」や「電子署名」という暗号技術を用いることで、そのデータは改ざんが非常に困難である技術のことを指します。

ブロックチェーンを用いれば、改ざんや複製、不正アクセスが行われた場合すぐに検出することができるようになります。

前述のNFTやWeb3.0を可能とするのも、ブロックチェーン技術なので、このブロックチェーン技術はメタバースの発展には必要不可欠な技術であると言えます。

|まとめ

様々な最新技術に支えられたメタバースは、今後、私たちの生活を良い方向に大きく変えていってくれるでしょう。

そして、そこに潜むリスクや懸念点などに無視せず向き合っていくことが、メタバースの普及を後押しし、

メタバースをより良いものにする一助になると思います。

この記事を読んで、少しでも皆さんがメタバースの未来に興味を持って頂けたら幸いです!