メタバースの最新技術や市場動向に加えて、メタバースによって未来の生活がどう変わるかなど、「メタバースの現在と未来」について気になったことはありませんか?
・メタバースの歴史
・メタバースのキーテクノロジー
・メタバースがもたらす未来への可能性
・メタバースのリスク・懸念点
今回は、4つのトピックに分けてわかりやすく解説していきます。
本記事をお読みになれば、メタバースの歴史から今後予想される影響まで知ることができるので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
|2022年はメタバース元年?
2007年頃、iPhone等のスマートフォンが登場したことをきっかけに、ガラケーに取って代わって、スマートフォンが急速に普及し始めるということが起こりました。
これを例に、2022年から数年かけて、スマートフォンからメタバースデバイスが主流になっていくと考えられています。
こういった経緯で、2022年はメタバース元年になるという見方があります。
今後どんどん私たちの生活に入り込んでくることになるであろうメタバースについて理解を深めるために、
そもそもメタバースがどのように進化していったのか見ていきましょう。
・メタバースの歴史
メタバースは一見とても新しい概念のように見えますが、1980年に既に存在していました。
「メタバース」という言葉自体は、「Meta(高次の)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、1980年代にSF作家Neal Stephensonによって発表されたSF小説「スノウ・クラッシュ(Snow Crash)」という作品内に登場する仮想空間サービスがルーツになっています。
その後、2003年にLinden Lab社が、仮想空間の中で他ユーザーとコミュニケーションが取れ、
さらに商品の売買もできる「Second Life(セカンドライフ)」というまさにメタバースの先駆けとも言えるプラットフォームをリリースし、
一世を風靡したものの、プレイするのに高スペックなPCが必要であったり、操作が煩雑といった理由で急速にユーザーが離れ、下火になりました。
このように、今のメタバースとほぼ同じようなものが20年前に存在していたのです。
ここだけ見ると「メタバースもセカンドライフのように廃れていってしまうのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、
現在ではセカンドライフの頃より遥かにスペックが向上したPCやスマートフォンも普及しています。
そういった意味で、現在はメタバースが普及していく下地が整っている時代となります。
バーチャル空間へアクセスするための技術の進歩や普及が、両者の違いと言えます。
・メタバースの現在
2020年、新型コロナウイルスの大流行によりオンライン化が急速に進み、メタバース事業への注目が一気に加速しました。
身近なメタバースの例として、プレイヤーが独自の世界を構築することができる「フォートナイト」や、特定の目的がなく、
他プレイヤーと協力して世界を探索、構築することができる「マインクラフト」、
アバターや自宅を自由にカスタマイズでき、他プレイヤーとの交流も可能な「あつまれ どうぶつの森」などの有名タイトルが挙げられます。
また、ソーシャルメディア会社として有名なフェイスブック社も社名を「meta」変更し、
メタバース会社へと転換したことから、大きな話題となりました。
|メタバースにおけるキーテクノロジー
さて、ここまでメタバースの過去と現在について解説してきました。
ここからは、そんなメタバースを支える二つの最新技術、
・Web3.0
・ブロックチェーン
についてご紹介します。
・Web3.0
Web2.0は、現在私たちが使用しているTwitterやFacebookなどのSNSやYoutubeなど誰でも簡単に情報発信ができるのに対し、Web3.0は、次世代のWebのあり方のことを指します。
Web2.0ではプラットフォームを運営する企業に個人情報が集約されることによるプライバシー問題、中央集権型のサーバーに依存していることにより、
サーバーがダウンするとシステム全体もストップしてしまうという問題を抱えています。
Web3.0は、後述するブロックチェーン技術などを用い、大企業が中央集権敵に集約していたデータをユーザーの手に戻し、
分散して管理できるようになるので、前述した問題が解決すると言われています。
メタバースは、Web3.0と深く関わっているNFT、ブロックチェーンと相性が良く、Web3.0の成長とともに今後発展していくと考えられています。
・ブロックチェーン
ブロックチェーンとは、データを多数のユーザーに分散して持たせることで非中央集権的なサーバーを実現します。
システムダウンが起きづらい、また、「ハッシュ」や「電子署名」という暗号技術を用いることで、そのデータは改ざんが非常に困難である技術のことを指します。
ブロックチェーンを用いれば、改ざんや複製、不正アクセスが行われた場合すぐに検出することができるようになります。
前述のNFTやWeb3.0を可能とするのも、ブロックチェーン技術なので、このブロックチェーン技術はメタバースの発展には必要不可欠な技術であると言えます。
|メタバースがもたらす未来への可能性とは
ここからは、メタバースが未来にもたらす新たな経済圏やビジネス、
体験についてご紹介していきます。
・新たな経済圏
メタバースでは様々な空間を自由に作ることができるので、音楽ライブなどの2DアプリやWebでは再現が難しい没入感を、ユーザーに提供することができます。
音楽ライブに限らず、メタバースはその自由度の高さから、様々な用途の空間やいろいろな価値や体験をユーザーへ提供することができます。
それに加え、NFTの登場により、仮想空間内で使用するアバターやアイテム、土地や建物などのデジタルアイテムの暗号通貨を用いた売買が可能になり、
メタバース内での経済活動を現実世界に還元することが可能となっているのです。
メタバースは現実世界に次ぐ、新たな経済圏へと成長しています。
今後、現実世界ではなくメタバース空間でお金を稼ぎ、生活するということが当たり前になる時代が来るかもしれません。
・新しいビジネスの実現
メタバースという新たな経済圏の誕生により、メタバースに特化した様々な新しいビジネスが今後展開されていくと予想されています。
例えば、バーチャルオフィスビジネスです。
バーチャルオフィスが実現することによって、わざわざ会社まで出社する必要がなく、働く人が内装を自由にカスタマイズでき、自分の働きやすい環境をつくることで時間の節約や仕事効率の上昇が可能になります。
さらに、都心から遠く離れた場所に住んでいる人、過疎化が進んでしまっている地域に住んでいる人で、働く環境が無いという人々にも、
メタバースにより平等なビジネスチャンスが得られる可能性があります。
・イベントに参加
メタバースであれば、コンサートや各種イベントに参加する際に、
直接その場にいく必要がないため、コロナ禍の現在でも、感染リスクを気にせずに友人の方とコミュニケーションが取りながら、
実際にその場にいるような臨場感を体験することができるようになります。
|メタバースのリスク・懸念点
ここまでメタバースの良い点を見てきましたが、
当然メタバースには何の問題点も無いという訳ではありません。
ここからはメタバースが抱える問題点を、過去に実際に起こった事例も踏まえながら、2つ程ご紹介していきます。
・ウォレットの脆弱性
メタバースの抱える問題点としてまず挙げられるのが、ウォレットの脆弱性です。
2022年3月、ブロックチェーンプラットフォーム「Ronin Network」のウォレットがハッカーの侵入を受け、
暗号資産が約6億2000万ドル(約750億円)不正に引き出されたという事件が起きました。
これは暗号資産のハッキングによる被害額としては過去二番目の大きさとなりました。
ブロックチェーン解析企業のチェイナリシスによると、近年の暗号資産の普及に伴い、
こういった不正行為が急増しているとのことです。
メタバースと切ってはきれない関係であるブロックチェーンは、
まだまだ生まれたての技術ということもあり、
仮想通貨の流出などの危険性があることも理解する必要があります。
・メタバースへの依存
メタバースが抱えるもう一つの問題点が、その中毒性の高さです。
VRデバイスを用いたメタバースの体験は、通常のゲームに比べて、
依存性が約44%高いことが中国伝媒大学教授のRuiChen氏の研究で明らかになっています。
しかし、この依存性は麻薬やギャンブルなどと比べて必ずしも心身に悪影響を与えるようなものではなく、
むしろ良いモチベーションを与える可能性があるものであることも分かっています。
現段階ではまだメタバースが普及しきっていないため、正確なことは誰にも分からない状況ですが、
依存症を引き起こすリスクがあるということも頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。
|まとめ
様々な最新技術に支えられたメタバースは、今後、私たちの生活を良い方向に大きく変えていってくれるでしょう。
そして、そこに潜むリスクや懸念点などに無視せず向き合っていくことが、メタバースの普及を後押しし、
メタバースをより良いものにする一助になると思います。
この記事を読んで、少しでも皆さんがメタバースの未来に興味を持って頂けたら幸いです!