メタバースは、インターネット上に構築された3D空間のことを指します。
ユーザーはアバターを通じて他者と交流したり、商品やサービスを体験したりできます。
近年では、VRやARといったテクノロジーの進化により、メタバースの利用がビジネス領域にも広がっています。
本記事では、メタバースのビジネス活用の例と、導入メリットについて解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
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- 1 |メタバースとは
- 2 |メタバースをビジネスに活用するメリット
- 3 |メタバースのビジネス活用事例
- 3.1 桑名市:メタバース役所
- 3.2 横須賀市:メタバースヨコスカ
- 3.3 大阪労働局:バーチャルハローワーク
- 3.4 ドン・キホーテ:METAドンキ
- 3.5 カヤック:バーチャルカラオケボックス
- 3.6 Flamers:恋愛メタバース「Memotia(メモティア)」
- 3.7 NEXCO東日本:NEXCO東日本 ハイウェイワールド
- 3.8 ハイネケン:仮想ビール醸造所
- 3.9 ローソン:バーチャルマーケット
- 3.10 三越伊勢丹:バーチャル伊勢丹新宿店
- 3.11 セブン&アイ・ホールディングス:Virtual World
- 3.12 阪神阪急ホールディングス:JM梅田ミュージックフェス
- 3.13 イオン:開花メタバース
- 3.14 清水建設:メタバース検査システム
- 3.15 大日本印刷:バーチャル秋葉原
- 3.16 奥村組:メタバース技術研究所
- 3.17 みずほ銀行:バーチャルマーケット
- 4 |まとめ
|メタバースとは
「メタバース(Metaverse)」は、「meta」(超越的な、高次の)と「universe」(宇宙、世界)の合成語であり、仮想現実技術によって作り出された仮想空間上の架空の世界を指します。
メタバースの歴史は比較的新しく、1992年にSF作家のニール・スティーヴンスンが小説「スノウ・クラッシュ」で、仮想空間での社会やビジネスが描かれました。
その後、第一次ドットコムバブルの時期には「セカンドライフ」という仮想世界が登場し、ビジネスの可能性を模索する動きが見られましたが、利用者数はピーク時で100万人程度に留まりました。
しかし、最近では仮想現実技術の進化やブロックチェーン技術の発展によって、メタバースの構築や運営が容易になり、ビジネスの場でも注目を集めています。
さらに、新型コロナウイルスの影響によってオンライン上でのコミュニケーションやビジネスが求められるようになり、メタバースの重要性が高まっています。
今後、VR技術やブロックチェーン技術の発展によって、メタバースがますます拡大し、ビジネスの世界に大きな影響を与えることが期待されています。
メタバースについては、下記記事をご覧ください。


|メタバースをビジネスに活用するメリット
メタバースは、単なるエンターテインメントの枠を超えて、従来のオンライン施策では難しかった体験型マーケティングやグローバル展開を可能にします。
顧客体験の向上とブランドの差別化
メタバースを活用することで、従来のWebサイトやSNSでは実現が難しかった没入型体験を顧客に提供できます。
例えば、バーチャル店舗での買い物体験や、3D空間での製品展示などが挙げられます。
これにより、他社との差別化が可能となり、ブランド価値の向上にもつながります。
地理的制限を超えたマーケティング・販売活動
物理的な距離に関係なく、世界中のユーザーに情報やサービスを届けられる点も大きな魅力です。
特に海外展開を視野に入れた企業にとっては、低コストかつ効率的にプロモーションを行える手段となります。
また、営業時間の制限がないため、24時間365日、顧客との接点を保つことができます。
|メタバースのビジネス活用事例
ここからは、実際にメタバースを活用している企業の事例を紹介します。
桑名市:メタバース役所
出典:https://www.dnp.co.jp/news/detail/20171384_1587.html
三重県桑名市は、大日本印刷株式会社と共同で「メタバース役所」の実証実験を開始しました。
これは、年金や介護などの行政サービスをオンラインのメタバース空間で受けられるようにする取り組みです。
市民は、自分の分身であるアバターを通して「メタバース役所」を訪れ、各種電子申請や住民相談、交流活動などのサービスを利用できます。
メタバース空間での行政サービスの提供は、市民の利便性向上につながる画期的な取り組みといえるでしょう。
なお、この取り組みに関連し、弊社も一部協力させていただきました。
横須賀市:メタバースヨコスカ
出典:https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2150/2720231027metaverse.html
横須賀市は、観光振興を目的とした仮想空間「メタバースヨコスカ」を公開しています。
市の人気観光スポットであるドブ板通りと三笠公園をメタバースプラットフォームVRchat上に再現しました。
この仮想空間内には、「よこすか海軍カレー」などの市の名物をアイテム化して配置し、来訪者に横須賀の魅力を体感してもらえるようにしています。
さらに、アバター用の「スカジャン」を無料配布するなど、ユニークな方法で市の特色をアピール。
オープンしてから約2ヶ月で、スカジャンの3Dアイテムが1万ダウンロードを記録するなど、非常に人気を博しています。
詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。

大阪労働局:バーチャルハローワーク
出典:https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-hellowork/kanren/virtualwakamono.top.html
大阪労働局は、クラスター社と共同で、メタバース上に「バーチャルわかものハローワーク」を開設しました。
若者の完全失業率が高止まりしている中、メタバース上で就労支援を行うことで、ハローワークの利用ハードルを下げ、就職相談のきっかけを作りたい考えです。
このバーチャルハローワークでは、アバターを使って匿名性を保ちながら、職員への就職相談やセミナー動画の視聴、企業説明会への参加などが可能です。
開設から約1ヶ月で、新規訪問者は978人、総入場者は延べ4,127人に上り、利用者同士の交流の場としても機能しています。
この取組みは、国内で初の試みであり、メタバースを活用した新たな就労支援の形として注目されています。
ドン・キホーテ:METAドンキ
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000110582.html
ドン・キホーテは、メタバース上に「METAドンキ」を3日間限定オープンしました。
このメタバースは、ブラウザ版仮想空間プラットフォーム「DOOR」に構築され、PCやスマートフォンなど、多くのデバイスから参加できます。
METAドンキでは、限定イベントへの参加や、従業員と同じユニフォーム「ドンポロ」を着用したり、キャラクターと写真撮影など、バーチャル空間ならではの体験が満載です。
店舗というよりは、アミューズメントに近いサービスを提供するメタバースと言えます。
これにより、新しい顧客へのリーチとエンゲージメントを獲得し、実ビジネスとの相乗効果を期待しています。
現在のメタバースはまだ発展途上ですが、ドンキのこの取り組みは、メタバースをより身近なものにし、新しい顧客体験を創出するための一歩となるでしょう。
カヤック:バーチャルカラオケボックス
出典:https://www.kayac.com/news/2023/10/metaverse
カヤックとカヤックアキバスタジオは、バーチャルカラオケボックス「カラオケボックスαU」を期間限定でオープンしました。
このバーチャルカラオケボックスでは、JOYSOUNDの人気楽曲100曲を歌うことができ、キーの調整や音程チェック、採点機能も搭載されています。
アバター同士で歌を楽しみ、スコアを競い合うなど、ユーザー間の交流を促進します。
バーチャルカラオケボックスは、メタバースの匿名性により初対面でもコミュニケーションが生まれやすいため、同じ趣味を持つ人同士をつなぐ新たな出会いの手段となり得るでしょう。
Flamers:恋愛メタバース「Memotia(メモティア)」
出典:https://memotia.com/
株式会社Flamersは、恋愛メタバース「Memotia(メモティア)」を提供しています。
Memotiaとは、一言で言えば、メタバース版マッチングアプリです。
従来のマッチングアプリでは、チャットなどテキストベースのコミュニケーションからスタートしますが、Memotiaではアバターを介しての会話からスタートします。
マッチングが成立すると、仮想空間内のさまざまな場所でデートしながら、少しずつ関係を深められます。
会話をサポートする仕組みも用意されており、自然と会話が続くような仮想空間ならではの工夫がされているのが特徴。
例えば、「話題サイコロ」を振ってテーマトークをするゲームなど、デジタルな仮想空間なら自然な流れで入ることができます。
なお、「Memotia(メモティア)」は、2024年2月にサービス名が変更されており、以前は、「Memoria(メモリア)」のサービス名で展開していました。
Memotiaについての詳しい情報は以下の記事をご覧ください。

NEXCO東日本:NEXCO東日本 ハイウェイワールド
出典:https://www.e-nexco.co.jp/pressroom/head_office/2023/1019/00013054.html
NEXCO東日本とREALITY XR cloud株式会社は、スマートフォン向けメタバース「REALITY」上に、「NEXCO東日本 ハイウェイワールド」をオープンしました。
この企画は、2023年の11月に行われた1ヶ月間の期間限定イベントで、仮想空間上に高速道路やサービスエリアを再現したもので、オープンカーでドライブを楽しんだり、各地のSAを散策したりできます。
イベント期間中は、リアルのSAとも連携し、デジタルサイネージにアバター画像を映したり、等身大パネルを設置したり、現地イベントとのコラボレーションも行われました。
これは、メタバース上で高速道路空間を再現する初の試みであり、新しい形の高速道路体験を提供するものとして注目されています。
ハイネケン:仮想ビール醸造所
出典:https://youtu.be/-9-lhuSkiMs?si=ovuyjqVuB16lsbca
オランダのビールブランド「ハイネケン」は、メタバース上の醸造所でバーチャルビール「Heineken Silver」を新たに開発したと冗談まじりに発表しました。
ハイネケンは、次世代のブロックチェーン型のメタバース「Decentraland」上に、ビール醸造所を公開し、話題を作ることで新たな顧客層へリーチすることが狙いとしてあるのでしょう。
ハイネケンのグローバルヘッドBram Westenbrink氏は、「ハイネケンのバーチャルビールは皮肉的な冗談です。現実世界で一番楽しめるプロダクトで、さまざまな人やブランドが興味のあるメタバースに飛び込み、ファンに楽しんでもらうアイデアなのです」とコメントしています。
この取り組みは、メタバースというトレンドに合わせた新しいマーケティング手法の一つと言えるでしょう。
ハイネケンは、メタバース空間でも自社ブランドの存在感を示すことで、ファンとのつながりを強化しようとしています。
ローソン:バーチャルマーケット

コンビニエンスストアのローソンは、2021年にメタバース上で開催された世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2021」に初出店しました。
店舗内では、ローソンのオリジナル商品の紹介に加え、素材とケーキを組み合わせて作る「オリジナルクリスマスケーキ」や「からあげクン」などの体験コンテンツを提供しています。
この取り組みは、リアル店舗では提供が難しい新しいエンターテイメント体験を提供し、若年層を中心に新たな顧客層の開拓につながりました。
また、メタバース上での活動を通じて、技術革新に積極的に取り組む企業イメージの向上にも貢献しています。
三越伊勢丹:バーチャル伊勢丹新宿店

三越伊勢丹は、メタバースアプリ「REV WORLDS」内に「仮想伊勢丹新宿店」を出店しています。
このバーチャル店舗では、実際の伊勢丹新宿本店の特徴的な外観を再現しつつ、店内では実店舗の空間を再現したデパ地下や、バーチャルならではの様々なショップ空間を展開しています。
一番の特徴は、実際の伊勢丹新宿本店のスタイリスト(販売員)を3Dスキャンして作成したアバタースタイリストがバーチャルストアで接客する点です。
これにより、リアル店舗での買い物体験に近い接客サービスをメタバース上で実現しています。
また、24時間どこからでもアクセスできる利便性と、新宿東口の街の一部エリアも再現されており、単なるショッピングだけでなく街歩きの楽しさも体験できる点が特徴です。
イベントの開催や商品の拡充・アップデートも定期的に行われており、リピーターの獲得にも成功しています。
セブン&アイ・ホールディングス:Virtual World

セブン&アイ・ホールディングスは、2023年2月に「セブンマイルプログラム」主催のメタバース空間に「Virtual World」を期間限定でオープンしました。
このバーチャル空間は、セブン&アイグループ共通の会員ID「7iD」利用者に向けた体験価値の提供を目的としています。
「Virtual World」内では、人気VTuberによるライブイベント「VIRTUAL WORLD LIVE Powered by SEVEN MILE PROGRAM」を開催し、にじさんじ所属の三枝明那と椎名唯華が出演しました。
セブンマイルを使ってVTuber LIVEの鑑賞やオリジナル特典のスマートフォン壁紙との交換が可能になるなど、新たなエンターテインメント体験を提供しています。
この取り組みを通じて、7iD会員の獲得拡大と顧客エンゲージメントの強化を図りました。
阪神阪急ホールディングス:JM梅田ミュージックフェス

阪神阪急ホールディングスは、大阪・梅田の街をメタバース上に再現した「JM(Japan Multiverse)梅田」を構築し、その中で「JM梅田ミュージックフェス」を開催しました。
このイベントでは、メタバースならではのコンテンツとリアルな街並みが交差した空間で、にじさんじやまりなすなどの人気VTuberを含めた総勢30名を超えるバーチャルアーティストが出演しました。
このプロジェクトの特徴は、実際の梅田の街並みをベースにしながらも、メタバースならではの演出やイベント空間を創出している点です。
阪急阪神ホールディングスはこれにより、リアルな梅田の街の魅力をデジタル空間でも体験できるようにし、新たな顧客接点の創出に成功しています。
イオン:開花メタバース

イオンモールは、メタバースアプリ「REV WORLDS」内に「バーチャルイオンモール」を出店しています。
このバーチャルモールは「開花メタバース」というコンセプトで展開され、リアルのイオンモール同様にメタバースの世界でも「花を咲かせる」ことを目指しています。
バーチャルイオンモールの特徴は、時間の経過による空間の変化を楽しめる点で、夕方になると空の色が変わり、異なる雰囲気を味わうことができます。
店内には障がい者アート作品グッズ「IBLIV」やアール・ブリュットグッズ、推し活グッズなど多種多様な商品が販売されており、多様な才能を次世代の力として開花させる取り組みを反映しています。
清水建設:メタバース検査システム

清水建設は、建物の中間検査や完了検査を遠隔地から実施するためのメタバース検査システムを開発しました。
このシステムでは、クラウド上にある建築確認を受けたBIM(3次元)データと施工中建物の空間をスキャンした3次元点群データを結合し、メタバース空間内で検査を行います。
従来の検査では、確認検査員が現場に出向き、2D図面と実物を目視で比較する必要がありましたが、このシステムを使うことで遠隔地からの検査が可能になりました。
その結果、検査員の移動時間が大幅に削減され、業務効率化につながっています。
大日本印刷:バーチャル秋葉原

大日本印刷(DNP)は、AKIBA観光協議会とともに「バーチャル秋葉原」を開発し、メタバース上に再現しました。
このバーチャル空間では、秋葉原の実際の街並みを高精細に再現しつつ、バーチャルならではのショップやコンテンツを配置しています。
「バーチャル秋葉原」の主な特徴は、リアルな街並みとバーチャルショップの共存、アバターが集える大型モニターやギャラリーの設置、そしてアニメ・マンガの聖地としての魅力発信です。
奥村組:メタバース技術研究所

奥村組は、メタバース上での施工シミュレーションにより設計・施工の工数削減を目指すため、「メタバース技術研究所」を構築しました。
このバーチャル空間では、実験棟における実験に伴う増改築工事のシミュレーションが行われています。
メタバース技術研究所では、実験仮想環境シミュレーションにより、日射条件を4通りに変更し、室内環境の快適性や省エネルギー性に及ぼす影響を検証することができます。
このように、実際に工事を行う前にバーチャル空間で様々な条件下でのシミュレーションを実施することで、潜在的な問題点を事前に発見し、設計・施工工数の削減につなげています。
みずほ銀行:バーチャルマーケット

みずほ銀行は、メタバースビジネスへの参入を見据え、2022年に世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」に出展しました。
メタバース空間「パラリアル大阪」内に、みずほカラーに染まった建物が設置され、来場者はアバターを通じてこの空間を訪れることができました。
みずほ銀行がメタバースを活用する狙いとしては、①既存の金融サービスの新たな営業チャネルとしての活用、②既存の金融サービスの体験価値向上、③新しい金融サービスの創出の3つが挙げられます。
このイベント出展はその第一歩として位置づけられていました。
その後も、みずほ銀行はメタバースを活用した社内コミュニケーションの取り組みも行っており、梅宮最高デジタル革新責任者(CDIO)がアバターとなって社員にメッセージを発信するなど、内部でもメタバース技術の活用を進めています。
これらの取り組みを通じて、将来的なメタバースでの金融サービス提供に向けた知見の蓄積を図っています。
|まとめ
メタバースは、単なるバーチャル体験にとどまらず、企業にとって顧客接点の拡張、新たなブランド価値の創出、業務効率の向上といった多様な可能性を提供しています。
2025年現在、メタバースは一時的なブームではなく、戦略的に取り組むべき成長領域として定着しつつあります。
これから導入を検討する企業にとっては、先行事例から学び、自社に最適な形で取り入れていくことが成功のカギになるでしょう。
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