2021年10月28日、Facebook社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が「Facebookはメタバース企業になる」と発言。
社名を「Meta(メタ)社」に変更し、同年だけで約100億ドル(約1兆1000億円)の巨額の資金をメタバース事業に投資することを発表しました。
それ以降、GAFAなどの米大手ITテックが次々にメタバースに投資を発表するなど、メタバース市場は着実に盛り上がりつつあります。
このような世界的トレンドの中で、もはやメタバースなどの仮想空間サービスをビジネスに活用するのが必須となる時代も近づきつつあります。
そこで本記事では、メタバースの仮想空間サービスが注目されている理由や、仮想空間サービスの事例だけではなく、現在注目されている仮想空間サービスや今後の課題についても解説します。
最後までお読みいただければ、メタバースの仮想空間サービスの全貌を短時間で知ることができるので、ぜひお付き合いください。
目次
|仮想空間サービス(メタバース)とは?
仮想空間サービスとは、インターネット上の3次元の仮想空間で行われるサービスです。
最近では、仮想空間サービスを総称して、メタバースと言われることが一般的になっています。
メタバースは、「超越」という意味の「メタ(meta)」と、「宇宙」という意味の「ユニバース(universe)」による造語です。
仮想空間では、「アバター」と呼ばれる仮想空間上の自分を使って自由に移動したり、他のユーザーと集まって遊んだりできます。
また、大勢の人が集まれる大規模なイベントや会議の開催も可能で、ビジネスへ活用できることも特徴です。
|仮想空間サービス(メタバース)が注目されている理由3つ
仮想空間サービス(メタバース)は、なぜここまで注目されているのでしょうか。
メタバースのような仮想空間サービスは、まだ完全に私たちの生活基盤の一つとなっていないので、実感が湧かない人も多いでしょう。
ここでは、メタバースが注目される理由を3つ厳選してご紹介します。
現実世界と同じような社会活動ができる
私たちは現実世界で様々な社会活動を行います。
例えば、友人や家族との交流、ビジネスミーティング、教育、娯楽、さらにはショッピングやイベントへの参加など、日常生活の多くを社会的な活動に費やしています。
仮想空間サービスは、自分の分身であるアバターを使って、これらの社会活動を仮想空間上で再現できることが一つの大きな強みです。
現実世界では、どうしても物理的制約に阻まれて社会活動はある程度制約されてしまいます。
一方、メタバースを利用した仮想空間サービスでは、現実世界で障壁となる「時間」「場所」などの制約を受けることはありません。
これは特に、日本のような島国では大きな利点となります。
日本はこれまで海外展開が苦手と言われてきましたが、メタバースが社会インフラとして定着すれば、企業の経営者は事業の海外展開をしやすくなります。
VR技術の発展によって身振りや手ぶりなどの表現も仮想空間上で再現可能になってきているので、VR技術の発展にも期待したいところです。
新たなビジネスチャンスが期待できる
2つ目の理由は、「新たなビジネスチャンスを期待できる」という点です。
これは特にNFTの発展によるところが大きいといえるでしょう。
NFTとは、「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略称で、ブロックチェーン技術を使用して作成されるデジタル資産です。
それぞれのNFTは一意の情報を持っており、その所有権をデジタル的に証明できます。
つまり、デジタル上の資産を現実の資産と同じように扱える技術です。
NFTの発展によって仮想空間内でのデジタルデータの所有権を明確に示せるようになり、売買が安全にできるようになりました。
これにより、仮想空間内でのバーチャル上のアイテムを販売しやすくなったのです。
例えば、ファッションブランドが仮想空間上でアバターに着せるアイテムをNFT化すれば、それは現実の資産と同じように扱えます。
事実、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン) ・ Gucci(グッチ) · Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)などのアパレル大手は既にNFTブランドの確立に注力しています。
このように、今後はNFT技術を活用した経済活動が仮想空間内で行われることが予想されます。
日本のメタバース市場の成長速度が早い
「IT分野で日本は周回遅れ」
という風潮はよく耳にしますが、メタバースにおいては単純にそうとは言い切れません。
令和5年版情報通信白書によれば、世界のメタバース市場は2022年に約655.1億ドルであり、2030年までに9365.7億ドルに拡大すると予測されています。
一方で、日本のメタバース市場は2022年度に約1,825億円で、2026年度までには1兆42億円に達すると予測されています。
このデータに基づいて年間平均成長率(CAGR)を算出すると、世界のメタバース市場の年間平均成長率が約39.45%なのに対し、日本のメタバース市場は約53.16%という驚異的な数値です。
一般的な成長産業の年間平均成長率は10〜20%です。
スマホが急激に普及し始めた頃の年間平均成長率が約50%と言われているので、この数値がいかに大きいことが理解できるかと思います。
要因はいくつか考えられますが、日本ではメタバースの基盤技術である人工知能(AI)への価値観が他国と比較して寛容である点が要因の一つとされています。
現在、「AIが人類の仕事を奪う」として世界各国でAIに関する規制が強まっていますが、日本ではその動きは比較的遅いです。
また、仮想空間サービスと相性のいいアニメ・マンガ文化の最先端国とあるという点も大きな影響を与えているのかもしれません。
|仮想空間サービス(メタバース)の種類
仮想空間サービス(メタバース)は非常に応用範囲の広いサービスといえます。
そのため、ビジネスとして展開できるサービスには多くの種類が存在します。
ここでは、仮想空間サービスの種類として代表的なものをいくつか見ていきましょう。
メタバース×ゲーム
仮想空間サービスとの相性が良く、現在の仮想空間サービスで先行しているのがゲームの分野です。
これは、ゲームに使用しているデバイス性能の向上やVRデバイスの普及利用によって、没入感のある体験ができるようになった点が非常に大きいです。
例えば、デバイスの性能の向上により、メタバース内の3DCGの細やかで美しい描写を可能にしました。
これにより、ゲーム内での没入感がさらに高まり、より現実に近い感覚を体験できるようになっています。
また、仮想通貨やNFT技術の発展により、ゲーム内でのアイテム売買ができるようになった点も大きな影響を与えています。
代表的な仮想空間(メタバース)ゲームとしては、「 The Sandbox(サンドボックス)」、「Decentraland(ディセントラランド)」、「Fortnite」、「Roblox」などが有名です。
The Sandbox(サンドボックス)
The Sandbox(サンドボックス)は、仮想空間サービスとしては最も有名ともいえるゲームです。
イーサリアムのブロックチェーン技術を基盤にした「ユーザー主導のゲームプラットフォーム」として位置づけられており、その特徴と魅力は多岐にわたります。
『The Sandbox』では、ユーザーが仮想空間上(メタバース)でLAND(土地)を購入またはレンタルし、オリジナルのゲームやアイテム、キャラクター、サービスを作成することができます。
特に、マインクラフトなどのシミュレーションゲームが好きなゲーマーに人気です。
ユーザーは、自らが所有するLANDやアイテム、キャラクターをEthereumブロックチェーンを活用した代替不可トークン(NFT:Non-Fungible Token)として、プラットフォーム上で自由に売買することが可能です。
これにより、プレイヤーはゲーム内での創造活動を通じて、実際の経済価値を生み出すことができるのです。
ダウンロード数は4,000万回を超え、月間アクティブユーザー数はピーク時には100万人を超えるなど、その規模は大きく拡大しています。
また、シリーズ最新作は世界で最も期待されているブロックチェーンゲームトップ50の13位に選出されるなど、その注目度は高まり続けています。
Decentraland(ディセントラランド)
Decentraland(ディセントラランド)は、メタバース構想における長い歴史を持つブロックチェーンプロジェクトです。
イーサリアムブロックチェーンを基盤にしており、世界中の投資家や企業から支援を受けています。
Decentralandは、ユーザーが主体となってメタバースを形成する新しいアプローチを採用しており、Sandboxと同様にユーザーは仮想空間内でLANDと呼ばれる土地を購入し、そこに自分たちのコンテンツを作り上げることが可能です。
これにより、多様なクリエイティブな体験が生まれ、新しいコミュニティの形成を促進しています。
DecentralandはすでにBETA版が公開されており、ユーザーはさまざまな施設を利用したり、ゲームをプレイすることができます。
また、従来のメタバースプロジェクトとは異なり、「DAO(分散型自立組織)」によって運営されており、ユーザーが直接メタバースの発展に関与し、その姿を形作ることが特徴です。
このように、ユーザー主導でコンテンツを拡充し、誰の所有物でもない恒久的なメタバースを構築することが、Decentralandの目指すところです。
FortniteやRoblox
Fortnite(フォートナイト)とRoblox(ロブロックス)は、仮想空間ゲームにおいて、それぞれ確固たる地位を確立している人気タイトルです。
Fortniteは、Epic Gamesによって開発されたバトルロワイヤル型のゲームで、特に若年層を中心に世界的な人気を誇ります。
ゲームコンセプトは、プレイヤーが100人の他のプレイヤーと戦って最後の一人になるまで生き残るというコンセプトです。
ゲーム内では、独自のアバターをカスタマイズすることができ、定期的に開催されるイベントやコラボレーションによって、継続的なエンターテイメントを楽しめます。
一方で、Robloxは、プレイヤーが自分だけのゲームを作成し、他のユーザーと共有できるプラットフォームです。
Roblox Corporationによって開発され、子どもたちや若者たちにプログラミングとゲームデザインの基本を教えるツールとしても利用されています。
プレイヤーは「Roblox Studio」というツールを使って、自分だけのゲームや体験を作り出すことができ、作品は他のユーザーもプレイ可能です。
FortniteとRobloxは、それぞれ異なるアプローチで仮想空間ゲームの世界に貢献しており、世界中の数百万人のユーザーに愛されています。
メタバース×コミュニケーションツール
仮想空間サービス(メタバース)は、コミュニケーションツールとしても活用可能です。
例えば、Meta社(旧Facebook)が開発した「Horizon Workrooms」という社内コミュニケーションプラットフォームでは、リアルなオフィス環境を仮想空間で再現し、リモートで働くチームメンバーが一堂に会して会議を行うことができます。
新型コロナウィルスにより、リモートワークへの対応が急務とされている昨今では、このようなメタバースを利用したバーチャルオフィスは拡大傾向にあります。
日本でも、「oVice(オヴィス)」と呼ばれるバーチャルオフィスプラットフォームが登場し、約2年で登録者数が18万人を超えるなど、その需要は上昇傾向です。
既存のWeb会議ツールやチャットツールを利用したテレワークでは、オフィスにいる時のような気軽な会話が難しく、部署内のコミュニケーションが不足している状況でした。
しかし、仮想空間サービスのバーチャル仮想オフィスを活用すれば、自分がオフィスにいるような感覚で仕事ができます。
また、VRデバイスを装着することで、隣に上司や同僚がいる感覚になり、身振り手振りのコミュニケーションも可能です。
メタバース×イベント
仮想空間サービス(メタバース)はイベントビジネスとも相性がいいです。
仮想空間のイベントは場所や収容人数(サーバーの容量にもよる)に関係なく開催できます。
現実世界ではイベントの開催場所が自宅から遠距離の場合、参加費の他に時間と交通費がかかりますが、メタバース内でのイベントなら参加費だけです。
実際に有名バンドのコンサートや大規模な展示会などのイベントが、すでに仮想空間内で開催されていて大きな注目を集めています。
<仮想空間サービス(メタバース)を利用したイベントの例>
- バーチャルマーケット
- NTTドコモ「XRシティ」
- サンリオバーチャルフェス
- 東京ガールズコレクション
- バーチャル渋谷 au 5G ハロウィンフェス
- メタバース就職フェス『METANAVI』
また、大規模なイベントばかりではなく、現状のアプリを使用すれば個人でイベントを開催できます。
メタバース×アニメ
アニメ大国として世界に名を馳せる日本にとって嬉しいのが、メタバースはアニメとも非常に相性がいいという点です。
まず、メタバースの産業構造において、コンテンツ制作や空間構築は日本の強みが活きる領域です。
アニメやマンガ、ゲームなど、日本が世界に誇るコンテンツは、メタバースにおいても重要な役割を果たすと考えられます。
これらのコンテンツは、メタバースの中で新しい形で展開され、ユーザーに独特の体験を提供することが可能です。
また、日本はソーシャルゲーム大国でもあります。
ソーシャルゲームの開発において培われた技術や人材は、メタバースの発展においても重要な要素となるでしょう。
これらの人材や技術をメタバースに転用することで、より高度なアニメーションやインタラクティブな体験を生み出すことが可能になります。
メタバース×アパレル
前項で少し紹介しましたが、仮想空間サービス(メタバース)とアパレル(ファッション)も非常に相性がいい分野です。
これにはいくつかの理由があります。
まず、メタバースは消費者にとって新しいショッピング体験を提供します。
バーチャル店舗では、リアル店舗のように自由に歩き回って商品を選んだり試着が可能です。
このような体験はECサイトでは得られないものであり、顧客の満足度を高めるとともに、エンゲージメントを向上させます。
次に、コスト削減の面からもメリットがあります。
メタバース上でのアパレル商品は、デジタルでのみ存在するため、原料や廃棄、輸送が不要です。これは環境への影響が少なく、SDGsの観点からも非常に重要です。
既に世界の有名ファッションブランドはメタバースでのNFTファッションに注力しています。
<メタバースに参入する有名ファッションブランドの例>
- BALENCIAGA(バレンシアガ)
- Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)
- NIKE(ナイキ)
- GIVENCHY(ジバンシイ)
- Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)
- BEAMS(ビームス)
このように、メタバースとアパレルは顧客体験の革新、コスト削減、新規顧客層の獲得という点で非常に相性が良く、アパレル業界に新たなビジネスの可能性をもたらしています。
|今話題の仮想空間サービス(メタバース)7選
ここまで、仮想空間サービス(メタバース)の特徴や種類について解説してきました。
では具体的に、どのようなサービスがリリースされているのでしょうか。
企業の担当者やビジネスマンにとっては、この部分がもっとも気になるところでしょう。
以下に、現在話題になっている仮想空間サービスを7つ厳選してご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
XR CLOUD
「XR CLOUD」は、リアルとバーチャルが融合する新しい形のメタバースプラットフォームです。
従来のイベント体験を一新し、在宅でも参加可能なバーチャル空間の構築を可能にしています。
イベントだけでなく、オフィスや様々なリアルイベントでもバーチャルとのコラボレーションが実現でき、新しいコミュニケーションの形を簡単に実現可能です。
また、独自の接続エンジン技術により、PCやモバイルを通じて大規模な同時接続が可能であり、1,000名規模のイベント開催も実現できます。
ほぼ全ての主要Webブラウザに対応し、パソコンやスマートフォンから手軽に参加できる利点も人気の要因です。
競合サービスと比較しても、大人数での接続が圧倒的な強みとなっており、数万人規模での同時接続が可能です。
カスタマイズ性にも優れ、あらゆるシーンに合わせた空間作りが可能です。
ご相談は無料なので、下記リンクからぜひ一度ご相談ください。
VRChat
VRChatは、2017年にリリースされた無料で楽しめるソーシャルVRアプリで、現代の仮想空間サービスの中でも特に人気を集めています。
ユーザーがVR機器を装着してアバターになり、世界中の他のユーザーと会話やゲームを楽しむことができるプラットフォームです。
VRChatの魅力の一つは、その内に無数に用意されている「ワールド」、すなわちメタバース空間です。
ユーザーは自分の気分や興味に合わせて、さまざまなワールドで遊ぶことができます。ワールドは非常に多様で、日常から非日常まで、幅広い体験が可能です。
また、ユーザー自身が3DCG開発ソフトを使ってオリジナルのワールドを作成し、他のユーザーと共有することもできます。
最近では、VRChatは単なる交流の場にとどまらず、「バーチャルマーケット」のような大規模な商用イベントの開催場所としても利用されています。
新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした巣ごもり需要の影響で、VRChatの利用者数は急増しており、現在では30,000人を超えるユーザーがいます。
この数字は今後も増加することが予想されており、VRChatはますます活発なコミュニティを形成していくでしょう。
cluster(クラスター)
「cluster(クラスター)」は、クラスター株式会社が企画・開発・運営するバーチャルSNSで、メタバースを活用した独特な仮想空間サービスです。
パソコンやスマホなどの端末からアクセスし、世界中のユーザーと交流したり、各種イベントやゲームに参加することができます。
clusterの大きな特徴の一つは、どこでもアクセス可能な点です。
インターネットに接続されていれば、ユーザーはアバターを操作して仮想空間上で世界中の人々と交流できます。
さらに、パソコン版ではVRヘッドセットを使って、より没入感のある体験が楽しめます。
clusterは日本最大のメタバースプラットフォームとして、2022年7月時点で100万ダウンロードを達成し、累計総動員数は約800万人以上にのぼっています。
バーチャルハロウィーンなどのイベントでは、55万人ものユーザーが参加し、世界的な盛り上がりを見せている注目の仮想空間サービスといえるでしょう。
CYZYSPACE(サイジー・スペース)
「CYZY SPACE(サイジー・スペース)」は、スマホやWEBブラウザを使用してアクセスできる、仮想空間レンタルサービスです。
一人で閲覧する従来のVRではなく、複数の人が様々なデバイスを使用して同時に接続し、社会的な交流が可能なソーシャルVR空間が特徴といえます。
CYZY SPACEは、リモート展示会やイベント、店舗や公共施設の代替場所として利用できるほか、ビデオ通話、AIアバター、ChatGPT接客機能を備えた三次元VR空間を構築・運営することが可能です。
他のサービスと比較して、CYZY SPACEはシステムとデザインのカスタマイズが可能である点が魅力の一つといえるでしょう。
Horizon Worlds
「Horizon Worlds」は、Meta社(旧Facebook)によって開発・運営されているメタバースプラットフォームで、VR機器を用いた没入型のバーチャル体験を提供します。
もともとは「Facebook Horizon」として2019年にリリースされ、後に社名変更に伴い「Horizon Worlds」と改称されました。
Horizon Worldsでは、ユーザーはVR機器を装着してアバターとなり、バーチャル世界に入ることができます。
ここで、様々なミニゲームを楽しんだり、他のユーザーとコミュニケーションをとったりすることが可能です。
また、自らがクリエイターとなり、自作の仮想空間を作成することもできます。
現在、Horizon Worldsではユーザーが制作したアイテムをマネタイズする機能をテスト中です。
この機能を利用することで、アバター用のファッションアイテムや特定エリアへのアクセス権などを販売することが可能となり、ユーザーが自らのクリエイティビティを経済的価値に変えることができます。
公式ツイッターによると、1万を超える仮想空間が既に作られており、ユーザーによる創造性が豊かなコミュニティを形成しています。
V-ket(バーチャルマーケット)
「V-ket(バーチャルマーケット)」は、株式会社HIKKYが運営する世界最大規模のバーチャル展示会で、仮想空間での売買を可能にする画期的なイベントです。
2018年に初開催されて以来、爆発的な人気を誇り、ギネス記録に認定されるほどの規模に成長しました。
V-ketの注目ポイントは、3Dアイテムやリアル商品(洋服、PC、飲食物など)をバーチャル空間で売買できる点にあります。
バーチャルマーケットは、商業施設のような空間的制約がないため、出店する企業にとって新たな販路やショールーム空間を実現するのに非常に便利です。
また、豊富なアバターやアクセサリー、VR空間上の家具や部屋など、様々なバーチャルアイテムの鑑賞や購入も可能です。
エンタメからアパレルブランドまで、多様なジャンルの企業が参加しており、来場者は幅広い商品を体験できます。
入場料は基本無料で、世界中の誰でも参加できるV-ketは、仮想空間での新しい買い物体験を提供し、今後もVRイベントとしてのさらなる発展が期待されています。
バーチャル秋葉原
「バーチャル秋葉原」は、2022年4月にオープンした現実世界と仮想空間が融合した仮想空間上の街です。
ユーザーはパソコンやVRデバイスを利用して参加できます。
バーチャル秋葉原の特徴は、中央通りの万世橋から神田明神下交差点のリアルな再現や、大型モニター・ショップ・ギャラリーの配置などです。
また、知的財産の二次創作ができるビジネススキームを構築して、バーチャル秋葉原内で販売しています。
さらに、世界中のアニメファンの交流スペースを設け、海外ユーザーへの認知拡大も積極的です。
これらの取り組みによって現実世界と仮想空間が融合した「第三のチャネル」として活用を目指しています。
現在は、バーチャル空間内でショッピングが行える「そらのうえショッピングモール」との連携が行われており、それぞれの空間を行き来することが可能です。
|仮想空間サービス(メタバース)の今後の課題は?
メタバースの今後の展開において、特に重要な課題として「デバイス環境による制限」、「セキュリティ」、そして「ユーザー数」が挙げられます。
まず、メタバースを存分に楽しむためには、VRヘッドセットなどの特定のデバイスが必要な場合が多いです。
これらのデバイスは、現状では非常に高価なものが多く、一般市民が容易にアクセスできるものではありません。
また、VR機器を使用するには、高性能なコンピュータや高速なインターネット接続が必要となるため、技術的な障壁も存在します。
加えて、メタバース空間はリアルな社会活動の延長として機能するため、個人情報の保護やデータのセキュリティが重要な課題です。
ユーザーの行動データや個人情報がどのように収集、利用されるかについての明確なガイドラインや規制は政府も現在検討中であるため注意が必要です。
最後に、メタバースの成功は活発なコミュニティとユーザー数に依存しています。
ユーザー数が少ないと、メタバースは魅力を失い、新しい参加者を引き付けることが難しくなります。
特に初期段階でのユーザー獲得と維持は重要で、メタバースが提供するコンテンツや体験が十分に魅力的でなければなりません。
また、多様なユーザー層を惹きつけ、包摂的な環境を作り出すことも、コミュニティの成長には不可欠です。
|仮想空間サービス(メタバース)は今後も目が離せない
仮想空間サービス(メタバース)は、現実世界と同じような活動ができたり、ビジネスとして活用できたりと、多くの注目を集めていることがご理解頂けたかと思います。
仮想空間サービスは決して未来の話ではなく、現在でもゲームや社内コミュニケーションツール、イベントなどで活用されている最中です。
ただし、現状ではいくつかの課題も残されており、「メタバースは儲かる!」という安易な理由をもとに活用すると思わぬ落とし穴に陥る可能性もあります。
そのような事態に発展しないためにも、仮想空間サービスを利用した最新事例には常に目を光らせておきましょう。
最新事例については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考までにぜひご覧ください。