「今、世界中の企業がメタバースに注目しています!」と連日報道されていますが、耳にする企業名はFacebookやMicrosoftなど海外企業が多いのではないのでしょうか。
ですが、やはり日本に住んでいる以上日本企業の取り組みは気になるところ…そこで今回はメタバースに取り組む日本企業とメタバースの良い面、今後解決すべき課題について見ていきましょう!
はたして、将来訪れると予想されるメタバース時代にて日本企業は輝くことはできるのでしょうか?
目次
|メタバースとは?
さて、このサイトでも何度も紹介していますがメタバースについて復習です!メタバースというワードは超越した様子を意味する「メタ(meta)と宇宙を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語です。
メタバースの空間はコンピューターグラフィック(CG)で表現された仮想空間ですので、現実とはかけ離れた世界を構築することも可能です。
つまり、現実のような敷地の制限もなく、理論上どこまでも大きな空間を作ることも可能です。
そうした現実を超越した(meta)どこまでも広がる空間(universe)を表した言葉です。
その超越した仮想空間の中で自分自身を投影したアバターの姿で参加し、他ユーザーと会話や経済活動などのコミュニケーションをとることができる場所がメタバースです。
近年では新型コロナの影響によるリモートワークの普及や米Facebook社のMetaへの社名変更のニュースなどにより、
エンターテインメントに留まらずビジネスにおいても大きな注目を集めています。
市場規模も2028年には100兆円規模へ拡大が予想されています。
詳細は、話題のメタバースに注目!! 技術詳細、注目の背景、仕組み等ビジネスで活用される理由を解説! をご覧ください。
|世界的なメタバースブーム
そんな背景からか世界的企業がどんどんメタバース事業へ関心を高めています。
その筆頭がMeta社です。社名変更以外にも「Horizon Worlds」と呼ばれるメタバースプラットフォームを展開中です。
このプラットフォームでは会議などのビジネス用途での使用も想定されたサービスになっています。
Microsoft社は同社の持つオンライン会議ツール「Teams」を拡張し、仮想空間で会議・交流ができるようになった「Mesh for Microsoft Teams」を発表しました。
ちょっとした身振り手振りで表現がしやすくなる点が魅力的なサービスです。
またDisney社もメタバースへの関心を見せています。
新テクノロジーとなる「バーチャルワールド・シミュレーター」に対し、米特許当局から承認が下りました。
近い未来、メタバースが導入された画期的なアトラクションを楽しめるかもしれませんね!
中国のIT系大企業であるアリババグループはメタバース空間構築技術をもつJP GAMESと技術連携し、法人のお客様がデジタルワールドで新しいビジネスを開拓できるようなソリューションを共同で開発し提供していくことが発表されました。
仮想空間での音楽コンサートや展示会、物件見学などを簡単に行えるようなサービスを目指しています。
|日本企業のメタバースへの取り組み
このように世界的な規模でブームとなっているメタバースですが、日本企業の取り組みはどのようになっているのでしょうか?
次からはメタバース事業に力を入れている日本企業の事例を6つ見ていきましょう!
・キヤノン
出典:https://www.pronews.jp/news/202201061354259850.html
カメラの技術に定評のあるキヤノンですが、その技術をメタバース事業にも活用しています。
同社はデジタルカメラで撮影した人物を3次元で仮想空間に再現できるアプリ「AMLOS」の開発を進めていると発表しました。
マイクロソフトとの協力で製品開発を進めています。
カメラ1台でプレゼンター、ホワイトボード、会議室全体を映し出すことができ、リモートワークであっても同じ会議室にいるかのような臨場感の高いオンライン会議を実現できるコラボレーションミーティングソリューションとなっています。
1台のカメラをミーティングルームに置くだけで、複数のビューを離れたユーザーに届けられるシンプルさが売りとなっており、
静止画として会議を切り取ってズームして確認するなども可能となっています。
・ソニー
音楽やゲーム、アニメなど多種多様な事業を行うソニーですが、2022年5月18日に経営方針の説明会を開き、
今後成長が見込まれる分野としてメタバース関連のサービスを強化していく方針を発表しました。
ソニーグループはメタバース関連の技術に強みを持っているゲーム会社の買収に動いており、
ソニーが持つメタバースに親和性の高い事業を絡めて新しいサービスを作っていく方針を掲げています。
またソニーはスポーツの判定を支援するカメラシステム「ホークアイ」を活用したサービスを発表しています。
ライブ映像でとらえた動きを光学トラッキング技術とAI技術を駆使してデータを映像化し、
リアルタイムで仮想空間上に再現することが可能です。
また視聴者はこの仮想空間内ではあらゆる視点から視聴することが可能で、選手目線で試合を楽しめるなど夢のあるサービスになっています。
・リコー
出典:https://accelerator.ricoh/rvwp/
リコーは「リコーバーチャルワークスペース」というサービスを提供しています。
このサービスは建設業やBtoBビジネスで使える産業用メタバースです。
建築・土木の建物や現場などユーザーが希望した空間へ各自がVRヘットセットを使って入り、その中で現場の状況把握や相互の打ち合わせが可能です。
実際に建設中の建物や現場にいる感覚を持つことができ、作業の進行の様子を複数人であらゆる角度から確認できるため品質や安全性の向上、DXに貢献するサービスになります。
・パナソニック
出典:https://www.businessinsider.jp/post-249702
日本の代表的な家電メーカーであるパナソニックは2018年4月に完全子会社としたシフトールを通じて来年の夏までにメタバース向けのVR機器「MeganeX(メガーヌエックス)」「Pebble Feel(ぺブルフィール)」「mutalk(ミュートーク)」の3製品を発売すると発表しました。
「MeganeX」はSteamVRに対応した眼鏡型の超高解像度のVRヘッドセットです。一番の特徴はその軽さであり、
年間2000時間以上をメタバースで過ごすといわれるヘビーユーザーに快適なプレイ環境を提供します。
背中に装着する小型のパーソナル・エアコン「Pebble Feel」は専用のSteamVR用のアドオンを利用することでメタバース空間における寒さ・暑さを体験することが可能です。
もちろん、メタバースにいない時でも涼んだり、温まったりするための道具として利用可能です。
「mutalk」とは自分の声を周りに聞こえにくくする音漏れ防止機能付きのBluetoothマイクです。
口に装着するとハンズフリーで扱えるようになりつい熱くなってしまい大声を出しても家族や隣人に迷惑をかけることがなくなります。
・KDDI
続きまして我々一般消費者が楽しむことのできるメタバース空間を提供している企業のご紹介です!
KDDIはメタバース用プラットフォーム「VIRTUAL CITY」を提供することを発表しました。
現在は渋谷と原宿がバーチャル空間として再現されていますが、大都市へ順次拡大予定です。
こちらのプラットフォームは実店舗と連動してバーチャルセレクトショップを開設し、商品を購入した場合実際に商品が届くといったサービスを想定するなどバーチャル空間とリアル空間の融合をテーマに掲げたサービスになります。
・NTTドコモ
出典:https://official.xrw.docomo.ne.jp/
NTTドコモの「XR World」はウェブブラウザから無料で参加できるマルチデバイス型メタバースプラットフォームです。
アプリのダウンロードやアカウント登録が不要で基本無料のサービスのため音楽・アニメ・ダンスなどのエンタメコンテンツをはじめスポーツ・教育・観光といった幅広いコンテンツを気軽に楽しむことができます。
「XR World」では藍井エイルさんや南條愛乃さんら全18組のアーティストの映像の配信やタワーレコードのレーベルに所属するアーティストの楽曲が楽しめる専用ワールドなど、サービス開始当初の今では音楽コンテンツが充実しています。
今後VRヘッドセットにも対応予定で将来的にはより没入感のある世界を楽しめそうです!
|メタバースへの参入メリットと目的
このように海外の企業のみならず多くの日本企業もメタバースビジネスに進出しています。
これほどまでに多くの大企業を引き付けるメタバースの魅力や各企業のメタバース事業進出の目的はどんなものでしょうか?
この章でみていきましょう!
・仮想空間ビジネスのメリット
メタバース空間をビジネスに活用することのメリットとして主に以下の3点が挙げられるでしょう。
・場所・空間、人数等の物理的な制約がない
・非現実的・非日常的な体験
・他者と気軽に交流できるコミュニティ
いずれもアバターを介してデジタル空間に入るスタイルのメタバースの特徴が出ているメリットですね。
メタバースビジネスを成功させるためにはこのリアル開催や他のオンラインビジネスでは代替できないようなメリットが存分に発揮できるものであるかがカギになりそうですね。
|仮想空間ビジネスの目的
世界各地の企業がこれほどまでにメタバースビジネスに力を入れ始めたその目的とはどんなものが挙げられるでしょうか。
ここでは次にあげられる3点をご紹介したいと思います!
・新規事業
新型コロナウイルスの流行もあってかリアルの事業をメタバース空間内で新規事業として展開する事例が多くみられます。
例として参加料で収益を確保するバーチャルイベントやバーチャル観光が挙げられます。
しかし、先にも述べたようにいかにリアル開催では出せないメタバースならではのメリットをお客様に感じてもらうかが、アフターコロナの未来を見据えた事業の成功のポイントになるでしょう。
またNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)の登場により、デジタルアイテムの価値が保証されるようになりました。
これによりメタバース空間内でアバターや美術品、デジタルな土地に至るまで様々なものが取引されるようになり、
デジタルコンテンツのn次利用のビジネスが今後より活性化されると考えられます。
・マーケティング
イベントの参加者から料金をいただく収益化を目指す活用法だけでなく、リテラシーの高いミレニアル世代やZ世代といった若い世代へのリーチの場所としての活用法や仮想空間ならではの体験を提供し、顧客のエンゲージメントを高めることを目的とした活用法もあります。
例として海外の大手自動車会社の活用法が挙げられます。
自動車のような高単価商材は、顧客側からすると失敗のできない買い物であるため一度は試乗したいものですが、
何度も店舗に足を運ぶことや車を乗り換えることは億劫なことです。
そこでこの会社はメタバース空間上に自社の車両を試乗できるサービスを提供し、顧客のエンゲージメントを高めることに成功しました。
こういった体験は成約率上昇にもつながるため、気軽に行える場をメタバース上に用意することは事業者と顧客双方にメリットがあると言えます。
・生産性の向上
社員同士のコミュニケーションを円滑にする目的で仮想空間を活用する事例も多くあります。
特に近年は新型コロナウイルスの流行に伴う爆発的なリモートワークの普及により希薄になりがちなコミュニケーションの解決策としてメタバースに注目しているという企業も多いでしょう。
勤務時間などの無駄な時間を削りつつ、リモートワークの欠点であるコミュニケーションの取りにくさを改善することで従業員の生産性の向上に貢献しています。
また、現実では対応しにくい災害シミュレーションや高所や被災地域といった現実では危険な場所での作業の研修になどにも活用されています。
|仮想空間ビジネスの課題点
ここまでメタバースビジネスのいい点について解説してきましたが、新しい技術には課題が付き物です。
そしてメタバースにおいてもそれは例外ではなく、まだまだたくさんの課題を抱えています。
しかし、課題の分だけ伸びしろが大きいとも言えます。
最後に3つみていきましょう!
・新しい仕組みのため前例が少ない
革新的な技術共通の課題ですが、ほとんどのケースで前例がなく、ビジネスを一から検討し構築していく必要があります。
また、クライアント側としてもメタバース空間で何ができるか、顧客側は何を求めているかを具体的に考え切れてないケースも多くあります。
全く新しいビジネスということで先入観なくビジネスを展開できる点はメリットでもある一方で、求められる労力も大きくなりがちな点は注意しておきましょう。
・法規制が追い付いていない
現在ある法律はほとんどメタバース空間でのビジネスを想定しておらず、現実世界を模した仮想空間において現実の法律をそのまま適応してもよいのかといった法的問題をどう適応させるか現在明確に決まっていません。
そのため、新しい取り組みを行う際には現行のどの法律が該当し、合法か違法かを慎重に検討する必要があります。
例えば現実空間を模した仮想世界において映り込みをどう処理するか、アニメや漫画を再現した空間、アバターをサービスの利用者は気軽に作れるのかなどの著作権関連の問題やデジタルアイテムに対しては現実のものと同じような財産的権利を認めるべきか等の法的問題があります。
このようにメタバース上でのビジネス展開の相談に応じるためには、メタバース関連のデジタルに関する知識のみならず法令についての知識も不可欠です。
・ガジェットの導入が難しい
メタバースのサービスを快適に利用するためにはある程度のスペックのPCが必要です。
また、より仮想空間ならではの没入感を味わうためにはVRデバイスが必須でしょう。
これらのデバイスの導入コストは決して低くなく、従業員に新たにメタバースへの出勤を命じる場合は従業員分導入コストが膨らんでいくことになります。
また、日々こうしたデバイスは進化しているとしてもひとによっては重く感じたり、酔いやすくなってしまったりする方もいます。
こうした身体的負担を重くとらえる方、長時間利用したい方にとってはまだまだ課題として残っているでしょう。
|まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本企業の取り組みを中心にメタバースビジネスの良い面、悪い面を見ていきました。
新しい技術ということもあり、メリットもたくさんありますが解決難易度の高い問題点も相当にあるような印象でしたね。
近年のデジタル環境はすっかり米企業、特にGAFAと呼ばれる企業に牛耳られていますがこれから来るであろうメタバース時代ではこういった問題点が解決され躍進する日本企業がみられるように頑張ってほしいですね!
今後も注目していきましょう。