バンダインナムコグループは今回発表の中期計画の中でIP事業とメタバースを組み合わせる「IP×メタバース」の方針を打ち出し、

メタバース事業とIP事業の強化と連携を大々的に発表し、様々な業界に大きなインパクトを与えました。

・具体的な発表の内容は?

・IP×メタバースとは?どんなことができるの?

・今後どうなるの?

そんな疑問にお答えするために、今回はバンダイナムコの決算発表からIP×メタバースについて深堀して解説していきます。

 

 

 

|中期計画「Connect with fans」とは

バンダイナムコ社は今回の決算発表で、経営上の方針である中期計画として「Connect with fans」と名付けた計画を発表しました。

「Connect with fans」の内容として、「IP軸戦略」「人材戦略」「サステナビリティー」の3点を重点戦略とし、

その中で今回のIP軸戦略ではさらに重要な点として「IP×Fan」「IP×Value」「IP×world」という三点をあげています。

この中で記事の本題である「IP×fan」でバンダイナムコ社が持つIPごとのメタバースの開発をするという記述があり高い注目を集めました。

 

|バンダイナムコの重点戦略「IP軸戦略」

バンダイナムコ社の重点戦略の「IP」戦略とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

ここからはバンダイナムコ社の3つのIP戦略についてお伝えしていきます。

バンダイナムコ社の3つのIP戦略には、「IP×FUN」、「IP×VALUE」、「IP×WORLD」と題名がつけられており、

「IP×FUN」ではバンダイナムコ社の持つIPとファンを繋げていく方針を示していて、この「IP×FUN」の記載の中にバンダイナムコ社のIPごとのメタバースをつないでいくという事業方針も示されています。

「IP×VALUE」では既存のバンダイナムコ社のIPのブランド力や商品価値をさらに磨いていくという方針が示されています。

「IP×WORLD」ではバンダイナムコ社のIPと世界を繋げていく方針を掲げています。

これら三つをIP戦略の中の目標として掲げ、IP事業をさらなる拡大と、ファンを巻き込んだ事業を進めていく方針であることが見て取れます。

 

 

・IPでファンと繋がるIP×FUN

先ほども申し上げたように、バンダイナムコ社はIP戦略の中でIPごとのメタバースを開発する方針を打ち出しました。

IPごとのメタバースを開発するために、バンダイナムコ社はデータ基盤やコンテンツの開発投資として、なんと1500億円もの多額の資金を充てることを発表しました。

バンダイナムコ社が開発するIP×メタバースではファン同士がオープンにコミュニケーションをとることが可能になる仕組みや、またフィジカルな商品とデジタルな場が融合する仕組みもメタバースの中に想定しているそうです。

 

・IPの価値を磨く「IP×VALUE」

先述したIP×VALUEでは、バンダイナムコ社の既存のIPだけでなく、新規のIPの創出を促進していくこと、IPのプロデュース力を強化していく方針を打ち出しました。

また、IPを活用したメタバースを含む様々な事業をさらに促進させ、IPの持つブランド力や商品価値をさらに上げていく方針として打ち出しました。

 

・IPで世界とつながる「IP×WORLD」

IP×WORLDでは、世界中の各地域の人々や企業とバンダイナムコ社の持つIPが連携し、戦略的に推進していく方針を打ち出しました。

アニメやコンテンツ事業にこだわらず様々な事業や日本のみならず世界中の地域を横断したプロジェクトに取り組むこと、

そして、各地域発のIP創出にも積極的に取り組んでいく方針を明らかにしました。

 

 

|IPメタバースとは

IPメタバースとは、一体何なのでしょうか。

IPとメタバースの単語を分解してわかりやすくご紹介します。

IPとはintellectual property(日本語で訳すと知的財産権、知財)のことで、基本的にはIPはアニメや、ゲーム、小説などの作品名をさすことが多いです。

バンダイナムコ社の持つIPといえば、「機動戦士ガンダム」「アイドルマスター」「パックマン」と日本を代表するようなIPが多数あります。

そして、メタバースとは一般的に、インターネット上に作られた3DCGの空間に人が同時接続された仮想空間のことです。

メタバースでは、メタ社のVRchatをはじめ、様々なコミュニティーが形で作られつつあります。このIPとメタバースをかけ合わせることで、様々な作品を仮想空間内で楽しむことができたり、

その作品のファンたちが空間内で交流したり、実際に空間内で交流したり、実際に空間内で作品にまつわるアイテムを購入したりと、IPとメタバースのかけあわせはまだ世にない全く新しいエンターテイメントの形と言えるでしょう。

 

 

|バンダイナムコが目指すIPメタバース

ここからは、バンダイナムコ社が目指すIPメタバースとは具体的のどのようなものなのかご紹介します。

バンダイナムコ社の決算発表によると、バンダイナムコ社のIPメタバースの内容としてIPを通じてファン同士が長期にわたって深く、広く、複雑につながる関係を構築し、「つながり方の質を追求する」としています。

つまり、バンダイナムコ社の言うIPメタバースとは、エンターテイメントだけでない新しいファンコミュニティーの場を形成することをさしていると言えそうです。

バンダイナムコ社といえば、すでに様々なIPを持っていることで有名です。

例えば、子供から大人まで幅広い層に人気のある「ガンダム」や「ウルトラマン」、世界にもファンがいる「ドラゴンボール」や「ワンピース」など幅広いIPを抱えている企業です。

豊富なコンテンツの世界観を反映したメタバースを楽しめるでしょう。

また年齢、国籍を超越した様々なファン層を抱えているため、様々なコミュニケーションが発生することも想定できます。

また現実とメタバースとの商品やコンテンツのリンクも考えているため、これまでに体験したことのないコンテンツとして提供されることになりそうです。

 

 

|IPメタバース構築のための取り組み|『Bandai Namco Entertainment 021 Fund』

バンダイナムコ社はこういったメタバースの取り組みの先行例としてIPメタバース構築のためのスタートアップファンドとして『Bandai Namco Entertainment 021 Fund』を立ち上げました。

『Bandai Namco Entertainment 021 Fund』の戦略や取り組みを知ることで、現在~未来のIP×メタバースの動向を知ることそのものだと言えるでしょう。

IP×メタバースの理解を深めるためにここからはファンドの戦略と取り組みについて詳しくお伝えしていきます。

 

・『Bandai Namco Entertainment 021 Fund』立ち上げの背景・目的

『Bandai Namco Entertainment 021 Fund』の立ち上げの背景と目的を、バンダイナムコ社4月発表のプレスリリースよりご紹介します。

 

ファンドの立ち上げの背景として、バンダイナムコはこれまで「長く深く遊べるコンテンツ」と「多彩なエンターテインメント」を世界中のお客様にお届けすることを基本方針に持ってゲーム以外の様々なエンタメ事業に挑戦してきたことを前提とし、Web3.0の到来とメタバースの進展を見据えて、様々なスタートアップ企業と業務提携をすでに始めていると説明しています。その取り組みをさらに進める形で今回のファンドを立ち上げたとプレスリリースでは説明しています。また今回のファンドの立ち上げの目的として、IPでファンと繋がるための新しい仕組みとして、IPメタバースの開発に着手することを説明し、その開発を先導する企業として、この目標の実現のために、あらゆるパートナーとオープンに協業し、IP企業として培ってきた戦略とノウハウをかけあわせることで、IPメタバースの構築と新たなエンターテインメントを創出することが目標と説明しています。

参考:https://www.bandainamcoent.co.jp/corporate/press/top/single.html?q=FceWU50yG

 

・『Bandai Namco Entertainment 021Fund』3つの投資戦略

では『Bandai Namco Entertainment 021Fund』はどのような投資戦略をもって投資を行っていくのでしょうか。4月発表のプレスリリースよりご紹介します。

 

『Bandai Namco Entertainment 021Fund』の投資戦略は「創り出す~エンターテインメントを創り出す~」、「届ける~エンターテインメントを届けて、人々をつなげる~」「つながる~エンターテインメントとのつながりをより熱く、より強くする~」、の3つの投資戦略のテーマがあげられています。

一つ目の「創り出す~エンターテインメントを創り出す」では、新しい技術を活用し、既存のエンターテインメントの強化、拡張をおこなう取り組みや、全く新しいエンターテインメントを生み出す取り組みを対象に、それらを加速させるために投資するとしています。

二つ目の投資戦略である「届ける~エンターテインメントを届けて、人々を繋げる~」では、エンターテインメントをクリエイトする人と、楽しむ人々を適切に繋ぐために、エンターテインメントを届ける技術活動に投資するとしています。

三つ目の投資戦略の「つながる~エンターテインメントとのつながりをより熱く、より強くする~」バンダイナムコは、近い将来、個人の活動領域は、メタバースなどの普及によってバーチャル空間でより活発化していくと考えられます。

その中で、エンターテインメントと人々のつながりをより熱く強くするための活動に投資を行うとしています。

このようにIPの創出と、拡張、そしてIPを通じたファンコミュニティーの形成にこれからバンダイナムコ社は投資を行っていく方針を固めたといえるでしょう。

参考:https://www.bandainamcoent.co.jp/corporate/press/top/single.html?q=FceWU50yG

・『Bandai Namco Entertainment 021Fund』の投資対象と規模

ここまでは、『Bandai Namco Entertainment 021Fund』の投資の背景、目的、戦略についてご紹介してまいりました。

では本ファンドでは、具体的にどのような企業や組織に投資をするのか、また、どれほどの規模の投資を行うのか、こちらも4月発表のプレスリリースよりご紹介します。

プレスリリースの中でバンダイナムコ社は主な投資対象として、国内外のブロックチェーン、VR/AR/xR、AIなどの技術を活用したエンターテインメントに関連するプロダクトやサービスの提供、また、メタバース、Web3.0関連の事業を行うスタートアップ企業などの投資をすると発表しています。

投資対象の企業の規模として、プレシードからレイターステージまでの幅広い成長ステージの企業を対象にすると発表しました。

投資の規模としては、年間10億円(3年間で30億円)程度の出資を想定しており、一企業への投資額の目安のチケットサイズは数千万円から~5億円としています。

このようにバンダイナムコはIP事業に新たな革新を起こす可能性がある幅広い分野、規模の企業に多額の投資を行うことを決定しました。

 

参考:https://www.bandainamcoent.co.jp/corporate/press/top/single.html?q=FceWU50yG

|まとめ

今回の記事では、バンダイナムコ社のIP戦略から今後のIPメタバースの進展についてお伝えしました。

今後もIPメタバースの分野について、注目していきます!

ここまで読んでいただきありがとうございました。