近年、「メタバース」という言葉を世間的に耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

実は、その流行はエンターテインメント業界に大きな影響を及ぼしています。

特に、バンダイナムコグループはメタバースへの大規模な投資を打ち出すとした新中期計画を発表しました。

今回は、そのバンダイナムコ社のメタバースへの取り組みの中でも、ガンダムの分野に焦点を当てて、解説していきます。

|ガンダム関連事業の展望

2022年3月29日にバンダイナムコエンターテインメントは「第3回ガンダムカンファレンス」をオンラインで開催しました。

そのイベントでは、バンダイナムコグループでガンダム事業を統括するチーフガンダムオフィサー(CGO)の藤原孝史氏がバーチャルステージに登壇し、

バンダイナムコグループのガンダム関連事業の現状と展望について解説しました。

藤原氏の解説では、バンダイナムコグループとして21年度のガンダム関連事業の売上は1080億円であり、

22年度は1150億円を計画していると発表し、「25年度の売上1500億円という目標に向けてターニングポイントとなる年」と定義されました。

また、藤原氏は以前から提示している「ガンダムをキャラクターIPから社会的アイコンSP(Social Property)へ成長させる」という目標に言及し、

世界的に話題を創出するワールドワイド戦略軸、ターゲット別に玩具などの商品とも連動させて展開する作品軸、ガンダムを通じてサステナブルなどの社会的問題に取り組むGUDA(GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION)軸という3つの軸で事業を推進する方針を示しました。

この3つの軸の中で、最も話題性があるのがワールドワイド戦略軸であり、そこに位置付けられた「ガンダムメタバースプロジェクト」です。

|「ガンダムメタバースプロジェクト」の概要

出典:https://gmpj.bn-ent.net/ja/pr/

では、最も話題性のある「ガンダムメタバース」とは一体何なのでしょうか。

概要や目指す姿、目標に対する計画について、詳しく解説していきます。

世界中のガンダムファンが楽しめる場を提供

「ガンダムメタバースプロジェクト」ができた背景として、バンダイナムコグループが2022年4月からグループの最上位概念となる「パーパス」“Fun for All into the Future”を導入したことが大きく起因しています。

このパーパスで特に重要な要素は、“つながる”“ともに創る”という要素で、バンダイナムコ社とファンが「夢・遊び・感動」を通じてつながることを目的としています。

このパーパスのもと、同月にスタートする新中期計画では世界中のIPファン、あらゆるパートナー、グループ社員、社会と常に向き合い、深く、広く複雑につながる存在を目指すため「Connect with Fans」という中期ビジョンを掲げました。

その新中期計画の第一弾として実施する「ガンダムメタバース」で、バンダイナムコグループは世界中のガンダムファンが集い、語り合い、さまざまなカテゴリーのコンテンツに出会い、ふれあうことができる場を創出しようとしています。

今後の「ガンダムメタバース」の展望として、すぐにメタバース空間の完成形を目指すのではなく、ファンにとって魅力的な場を共創し、ファンとともに成長できるメタバースをつくることが予定されています。

|「SIDE-G」というメタバース宙域を創る

創出したコミュニティは、ガンダムの世界観になぞらえ、仮想空間という広大な宇宙にあるスペースコロニーとし、それらをつなぐことで「SIDE-G」という一つのガンダムメタバース宙域を創り上げようとしています。

今後、SIDE-Gを構成するアニメ、ガンプラ、ゲーム、音楽など、さまざまなカテゴリーが主体となるスペースコロニーを、続々と仮想空間内に打ち上げられていく予定になっています。

「SIDE-G」の取り組みとして、現在ガンプラとesportsの2つのコロニーを創出しようとしております。具体的にどのような内容か記述していきたいと思います。

ガンプラコロニー

「SIDE-G」の完成を目指し、「ガンプラコロニー」を最初に打ち上げます。

このガンプラコロニーとはガンプラにまつわるさまざまな体験を提供する仮想空間のことです。

2021年にテスト運用を行った、世界中どこからでも遊びに行くことができるバーチャルガンプラエンターテインメント総合空間「ガンダムベースバーチャルワールド」を「ガンダムベースガンプラコロニー店」として正式サービスインを目指し、2022年秋には、期間限定でテストオープン予定となっています。

バンダイナムコIDによるマイルーム機能を実装し、ガンプラの作品を通じたコミュニティ形成を推進し、さらに、将来的にはガンプラをスキャンして戦うことができる「ガンプラバトル」や「ガンプラコンテスト」の開催、ガンプラオンライン講座など、デジタルとフィジカルを融合させたエンターテインメント区画を充実させ、「ガンプラコロニー」の完成を目指しています。

2023年10月には実際に「ガンプラコロニー」がテストオープン。

現在はファンの意見をもとに居心地の良い空間を目指して開発が進められており、今後の進展に注目が集まっています。

|2023年10月に期間限定アクセスが実施される

様々な取り組みが進められているガンダムメタバース。

今後さらなる発展が期待されていますが、2023年10月には人数制限無しとなる「一般アクセス」が開始され大きな注目を集めました。

こちらでは、期間限定で実施された一般アクセスの状況について、以下の項目に沿ってそれぞれ解説します。

  • スマホ経由でのアクセスが可能
  • イベント限定ガンプラの販売
  • 複数コンテンツが提供される

スマホ経由でのアクセスが可能

2023年12月現在、メタバースが一般的に普及してきたとはいえまだまだVRゴーグルの所有率は高いとはいえません。

そのため、メタバースへのアクセスはスマホやパソコンといった様々な端末から行えることが重要となるでしょう。

ガンダムメタバースへのアクセスはスマホ、パソコンの両方に対応していました。

パソコンからはガンダムメタバースを完全に体験できますが、残念ながらスマホ経由のアクセスの場合一部機能に制限。

しかし、幅広いユーザーが自身の端末で体験できる環境は魅力的だといえるでしょう。

アクセス方法も「バンダイナムコID」からログインするだけの簡単操作で完了する上に、ブラウザもしくは「ガンダムアプリ」からのアクセスが可能。

アクセスすると、空間内を歩き回るユーザーの様子や、開催されているイベントがライブカメラ経由で確認できます。

メタバース内のショップをいつでも覗けるなど、ユーザーの環境に応じた楽しみ方が提供されました。

イベント限定ガンプラの販売

ガンダムメタバース内に展開されるショップにて、イベント限定となるガンプラが複数販売されました。

作品に登場するガンダムを精巧に再現した「プラモデル」の人気は高く、これまで数多くのファンによって支えられてきた一大コンテンツです。

そうした貴重な限定ガンプラをメタバースで販売することは、多くのファンの注目を集めました。

イベント限定のガンプラは全6種の展開となり、以下のラインナップが並びました。

  • HG 1/144 ガンダムエアリアル[リサーキュレーションカラー/ネオンブルー]
  • ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム[クラシックカラー]
  • MG 1/100 フリーダムガンダム Ver.2.0(リアルタイプカラー Ver.)
  • MG 1/100 ジャスティスガンダム(リアルタイプカラー Ver.)
  • 1/1 ザクプラくん
  • ラーガンダム 試作壱

それぞれの商品はメタバース空間に展示されており、現物をデジタル上で確認した上で購入可能。

購入した商品は後日自宅へ配送されるといった対応が取られました。

今後ガンダムメタバースが普及するに伴い、限定ガンプラの展開も広がることが考えられます。

複数コンテンツが提供される

ガンダムメタバースではガンプラ販売だけではなく、様々なコンテンツが提供され訪れるファンを楽しませました。

ライブスペースでは、過去のガンダム作品に関連するアーティストがメタバースライブを実施。

今回のイベントでは「yama」「BACK-ON」「LINKL PLANET」というアーティスト達が、それぞれ担当した作品テーマを披露しました。

また、「ガンダムビルドメタバース」の1話〜3話が配信される、「アニメウォッチパーティ」も開催。

メタバース空間でのライブ体験や、アニメ視聴といったコンテンツが提供されました。

他にも、自身のアバターをカスタマイズする楽しみや、ファンが制作したガンプラの写真やスキャンしたCGを楽しめる動画も展示。

メタバース空間の案内は、AIキャラクターの「メロウ」が担当しました。

各種機能の説明だけではなく、ファンとの会話で空間を盛り上げるなど幅広い役割を担いました。

|IPメタバースの目標

バンダイナムコグループはこういったIPメタバースに一つはデジタルとフィジカルの融合と他企業の参入およびCtoCビジネスの推進という二つの意味を2つの意味を込めています。

具体的にどういう意味なのか例を用いて解説していきます。

デジタルとフィジカルの融合

近年、バンダイナムコグループでは、グループの強みを生かした「デジタルとフィジカルの融合」を推し進めています。

今回のメタバースガンダムでも、それが強く意識されています。

例えば、ガンダムカンファレンスで流れたイメージ映像では、あるユーザーが作り、スキャンしてメタバース内に公開したガンプラを、それに興味を持った別のユーザーが、メタバース内のECサイトで購入し、後日、現実世界の自宅に届くといったシーンを紹介していました。

「デジタルとフィジカルの融合」はガンダムメタバースのテーマのひとつでもあり、仮想空間でのサービスのみではなく、現実空間とリンクすると語られました。

ガンダムにおける他企業の参入およびCtoCビジネスの推進

ガンダムメタバースは、バンダイナムコグループのIPに特化したものでありながら、外部に開かれていることも一つの特徴です。

メタバース上でのビジネスにはグループ外の企業の参入が可能となっております。

また、一般ユーザーがガンダムを活用したビジネスを実現できる場にもするため、

UGC(ユーザー生成コンテンツ)の許諾や、それを他のユーザーに販売するCtoCビジネスの推進を図ろうとしています。

こういった取り組みからバンダイナムコグループは新たな経済圏の創出を目指しつつ、

外部にも開かれた姿勢とることにより、ファンやパートナー企業とも手を組み、社会課題やサステナブルなテーマに取り組んでいることを示そうとしています。

|まとめ

いかがでしたか?ガンダムメタバースの今後の展望や、目指す姿について少しでも理解は深められたでしょうか。

特定の分野でコミュニティを形成し、そこで経済圏を創出することは非常に興味深いことです。

また、バンダイナムコ社は、ガンダムメタバースを「IPメタバース」の第一弾と表現しており、他のIP(「パックマン」や「アイドルマスター」、「鉄拳」など)ごとのメタバースが構築する可能性が高いと考えられます。

常に新しい情報を確認しながら、今後もバンダイナムコグループのメタバースへの取り組みに注目していきたいと思います!