今回はメタバース空間で経済圏を作るうえで必須になってくるデジタルマネーの仕組みについて深掘りしていきます!

メタバース空間というデジタルの世界の中で何にお金が使われて、どのような方法でやり取りが行われているのか、といった疑問を丁寧に紐解いていきましょう。

今回のキーワードは、「DAO(分散型自立組織)」と「ブロックチェーン」、「スマートコントラクト」です。

それぞれの言葉を聞いただけでは、どういったものなのかを理解するのは難しいと思う方もいるかもしれません。

しかし、どれもこれからのメタバースの発展とは切り離せないものになっています。

メタバースをより楽しむためにもこれらのキーワードをしっかり理解していきましょう。

 

|DAO(分散型自律組織)とは

DAO(Decentralized Autonomous Organization)は日本語にすると「分散型自律組織」と呼ばれており、ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織体系のことを指します。

DAOの一番の特徴がこの組織を管理・運営するリーダーや権力を持っているような人物がいないことにあります。

リーダーやトップとなる人物がいないのに、どうやって運営を行っているのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、DAOはガバナンストークンのホルダーによる投票によって意思決定やルール変更が行われます。

意思決定などの反映には時間がかかってしまいますが、一部の人の独断などで突然大きな変更などは起こらない点に関しては透明性を高め、また投票結果はブロックチェーンにすべて記載されるため、非常に民主的な組織だと言えます。

また、DAOは世界中どこからでも誰でも参加することが可能であり、匿名性も認められるため、実名を明かすことなく働くことができる点も組織としての大きな特徴と言えるでしょう。

 

|DAOの仕組み

次にDAOはどういった仕組みで成り立っているのかを見ていきましょう。

リーダーや支配する人がいる構造は必ずしも悪いことではありません。まとめる人物がいないと組織としての連携が取れなくなり、成り立たなくなるからです。

それでは、DAOはどうやって組織として成立させているのでしょうか。

それには、「ブロックチェーン」、「スマートコントラクト」、「ガバナンストークン」の3つの要素が必要となってきます。

まずブロックチェーンについてですが、後でも詳しく解説しますがブロックチェーンは取引内容を記載する履歴を保存するデータベースであり、特徴として改ざんが難しいことにあります。

これによって、組織内の不正などによる不利益を防ぐことにつながります。

スマートコントラクトは、こちらも後ほど詳しく解説しますが取引や契約などの取引履歴を自動実行するプログラムのことを指します。

一部の組織の人間が勝手に取引を行うことができず、民主的な組織運営が可能となります。

ガバナンストークンは、イーサリアム上のプロジェクトが新しい機能の追加や除去、割合などを変更したり、新たな提案を行う権利を付与するトークンを指します。

このトークンによって組織内で投票というシステムを成立させています。

その投票のシステムには2種類あり、トークンベースというトークンを利用するものが主になるシステムです。

ガバナンストークンに関しては、DEX(分散型取引所)で自由に取引することができます。

一般的には、広範な分散型プロトコルやトークン自体を管理するために使用されます。

2つ目は、シェアベースであり、密接な関係を持つ人間中心の組織に使用されます。

組織に提供するトークンのシェアによって投票権が左右されてきます。DAO への参加希望者は、トークンや作品といった何らかの価値のある物を提供することで、自分の DAO への参加提案を行います。

 

 

|ブロックチェーンとは

ブロックチェーンという言葉をこれまで使っていましたが、そもそもこの言葉自体に聞き馴染みがない人もいるかもしれません。

ブロックチェーンとは、「分散型台帳技術」と呼ばれる技術の一つであり、主に仮想通貨の取引記録をネット上で管理するために使用されています。

先述した通り、改ざんが非常に難しいという点がインターネット上の重要な取引に利用するのに向いているということから近年注目されている技術となります。

 

 

・ブロックチェーンの歴史

ブロックチェーンの誕生は2008年ごろになります。

「サトシ・ナカモト」と呼ばれる人物によって金融機関を仲介せず、個人間でお金を取引できる仕組みを考案されました。

この「サトシ・ナカモト」と呼ばれる人物は、名前は日本人なのですが、その正体は不明であり、国籍・性別・年齢だけでなく、そもそも個人なのか組織なのか分かっていません。

ブロックチェーンの名前の由来は、取引履歴が記録される際に「一つのブロック」にまとめられ、現在から過去に遡ってブロックが「チェーンのように」繋がっていることから、「ブロックチェーン」と呼ばれています。

 

・ブロックチェーンの特徴

これまではブロックチェーンの歴史と簡単な活用メリットなどを見てきましたが、次はそれ以外の特徴やメリットなどを確認していきましょう。

 

・管理する主体がいない

この特徴はDAOでも似たような特徴があることを見てきましたが、ブロックチェーンにおいても管理するための中央集権的な仕組みにはなっていません。

例えばATMを利用した取引やQR決済などの取引はサービス提供企業によって管理されていますが、

ブロックチェーンは特定の政府や企業によって管理されているのではなく、不特定多数のブロックチェーンネットワーク参加者によって共同管理されています。

つまり、DAO同様に世界中の管理者によって協力して相互に管理・運営がなされている分散型となっています。

ブロックチェーンは世界中をまたにかけてネットワークが張り巡らされているものになります。

そのため、特定の人物や企業によって勝手な運営などが行うことができなくなります。

 

 

・取引記録の改ざんが困難

2つ目の特徴はさまざまな暗号アルゴリズムを活用しているため、データが一方向にしか流れない/一連の鎖になっています。

故に、改ざんされにくいデータ構造を有していることになります。

一方通行の鎖状になっている構造上、後から前のデータを書き換えようとしても戻ることができなくなっています。

また、仮に書き換えられたとしても分散型の管理がされているため、書き換える前のデータと同じデータを複数の管理者が所持していることになり、複数のデータを比較することですぐに改ざんを発見することが可能です。

これらの仕組みや技術、管理方法により、高いセキュリティーを担保でき、データの耐改ざん性・透明性が実現できます。

インターネット上の金銭の重要な取引は高いセキュリティーなどが必要となってくるので、ブロックチェーンの活用が多くなされています。

 

 

・いつでも追跡ができる

3つ目の特徴は、正しいと認められたデータが、保存され、過去にさかのぼってデータを参照することができることにあります。

先ほども述べたように同じデータを複数人が持っているので、仮に一部の管理者のサーバーが落ちてデータを取得できなくなっても他の管理者のデータを取得すれば、落ちた期間においてもデータを取得することが可能です。

このようにシステムが止まらずに動き続けることを「ゼロダウンタイム」と呼びます。

もちろん常に動き続けるというのはメリットではありますが、常に取引の記録に複数管理者を必要とするため、取引に時間を要する点はデメリットとなります。

日常的なネットショッピングなどで10分以上の待ち時間が発生することになるブロックチェーンは現段階ではあまり利便性としては高くないとも言えます。

 

|スマートコントラクトとは

スマートコントラクトとはブロックチェーン上で、人の手を介さずに取引や契約を自動実行するプログラムのことを指します。

ブロックチェーン上に記録された実効性のある取引・契約について、その発効などの条件をプログラムとして記述し履行管理を自動化することで、様々な業務をシームレスに繋げられると期待されています。

スマートコントラクトはよく、自動販売機に例えられています。

先ほどの話と照らし合わせると、契約成立のための発動条件とは「商品に表示されている料金以上のお金を投入し、商品のボタンを押す」であり、成果とは「その商品が出てくる。おつりがあればおつりが出てくる」ことにあたります。

スマートコントラクトは、IoT技術と組み合わせて、「自動車ローンの返済が滞った場合に、対象となる自動車をロックする」といった自動処理が実現できると考えられます。

自動的に取引や契約を実行することで、取引相手の信頼度などに関係なく公平性や透明性を確保することができます。

 

 

|ガバナンストークンとは

イーサリアム上のプロジェクトが新しい機能の追加や除去、割合などを変更したり、新たな提案を行う権利を付与するトークンを指します。

ステークホルダーの権限と責任を分散させることを「オンチェーンガバナンス」と呼びます。

ランザクション数や利用する企業数が増加することでネットワーク価値が上がれば、投票によって影響を与えられることは希少なリソースになります。

ネットワークの投票権の価格は、保証するネットワーク価値によって指数関数的に上がることになり、これがガバナンストークンの価値につながります。

ガバナンストークンを持っていることで、投票に参加できる権利が与えられるというのが重要な価値となります。

DAOにおいては最初に述べた通り、民主的な組織運営のために重要なピースとなっています。

 

 

 

|まとめ

今回は、DAO(分散型自律組織)について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

インターネット上で世界中の人々をまとめ上げる組織の仕組みや運営方法として、注目を集めているDAO。

まだまだ、法的な整備が追い付いていないため、法人化して一般の企業と同じような権利などを認められるには課題が残っていますが、アメリカやヨーロッパの一部地域では法人として認められるようになっておりと着実に課題解決へと進んでいます。

今後、世界をまたにかけるような大きな組織や小さなコミュニティでも採用される可能性がある組織形態、皆さんも組織を作ることがありましたらDAOの適用を考えてみてはいかかがでしょうか。