2024年に入り、ChatGPTをはじめとしたAI技術を筆頭に、様々な先進技術が著しく発展しています。
こうした状況を背景に、「DX」という言葉も頻繁に耳にするようになりました。
「DX」とは「Digital Transformation」の略語であり、様々なデジタル技術を通じて現在の問題を解決することを意味しています。
現在の日本国内は少子高齢化に伴う労働量力不足、インバウンド需要や「2024年問題」といった現場の混乱といった様々な課題に直面しています。
従来の環境では業務環境の改善に最も有効な手段は人員の確保でしたが、こういった状況を背景に非常に厳しくなっているのです。
そこで、デジタル技術を活用することで業務の効率化を図り、さらなる発展を目指す考えが「DX」なのです。
本記事ではそんな「DX」について、基本的な概要からすでに実施されている各業界の先進事例までを紹介。
一読いただければ「DX」に関する内容を理解できるようになっています。
ぜひ最後までご覧ください。
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資料をダウンロードする目次
|DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
そもそも、DXとはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。
実は、DXとはDigital(デジタル)とTransformation(変革)という2つの単語を合わせた「造語」です。
2004年にスウェーデンのエリック・スタルターマン教授によって提唱されたものであるため、聞き馴染みがなく、その意味が理解できなくて当たり前といえるかもしれません。
DXの内容とは、「IT化や、IoTやAIなどのデジタル技術を活用するだけではなく、デジタル技術を利用し、従来とは異なる新しく便利なビジネスモデルを構築すること」です。
つまり、IT化のような単なるデジタル化だけではなく、その技術を利用した上でより良い生活や仕事環境を作るといった意味合いになります。
なぜ「DX」と略すのか
DXとは、Digital(デジタル)とTransformation(変革)という単語を合わせたものですので、「DTになるはずでは?」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。
確かに、単純にそれぞれの頭文字を取った造語としては、「DT」と表記するほうが適切かもしれません。。
しかし、Transformationは「交差」を意味する「X」と置き換えられることがあります。
Xが交差点のように見えることから、このように省略されることになっているのです。
DXの定義
DXについては、経済産業省が発表した「DX推進ガイドライン」においてその定義が定められています。
こちらは、以下の2点の内容で構成されています。
- DX推進のための経営のあり方、仕組み
- DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
この内容を元に、具体的には以下の通りとして定義をまとめています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用元:https://www.smartmat.io/column/business_efficiency/8033
|DXとIT化の違い
すでに「IT」は日常的に使用される言葉ではありますが、DXとの違いが曖昧になりがちです。
ITとはInformation(情報)とTechnology(技術)の略称であり、コンピューターやインターネット技術を総称した内容を指します。
「アナログな業務環境をIT化させる」と表現するように、既存の業務内容を効率化させ、生産性を高めるといった意味合いで使用されます。
対して、DXは前述したようにIT技術を利用した上で、より良い生活や仕事環境を作ることを目的にしています。
つまり一業務だけではなく、社会や組織全体、さらにはビジネスの根本的な仕組み自体を変革するということです。
そのため、IT化もDX推進における1つの手段でしかないのです。
なぜDXが必要なのか
冒頭にも記載した通り、現在の日本国内は様々な問題に直面しています。
こちらでは「なぜDXが必要なのか」について、以下の項目に沿ってより詳しく解説していきます。
- 経済成長
- 競争力の強化
- 顧客満足度の向上
経済成長
現在、世界経済をけん引している企業といえば「Google」「Apple」「Microsoft」といった巨大IT企業が思い浮かぶでしょう。
実際、革新的な製品やサービスを次々にリリースし続け、世界各国でそのユーザーを獲得し続けています。
こうした企業がここまで成長した要因は複数存在していますが、特にIT社会におけるプラットフォームを築いた点は重要です。
そして、本記事を読むために使用しているスマホ、PCといったデバイスを通じて新たなサービスを提供し、これまでになかった価値を創造していきます。
こうした社会において、従来のアナログ環境での仕事を続けていれば、経済的な成長は比べ物にならないほど遅れてしまうのです。
日本の経済を成長させるために、DXは必須といえるでしょう。
競争力の強化
DXはこれまでの労働環境とは比べ物にならないほど早く、なおかつ効率的な成長を実現します。
そのため、従来の環境で仕事を進める企業に対して大きな優位性を生み、市場の中での圧倒的な存在感を獲得できるのです。
しかし、実際には業界内においてDXが進めば、同業他社も負けじと新たなサービスを生み出すために動きます。
こうした競争力が強化されることで、市場全体の活性化に貢献することが期待されるのです。
また、DXが他社よりも優れて実施できた場合は、圧倒的な差別化ポイントにも繋がります。
ユーザーに優れたサービスを提供することで、前述した経済成長にも発展するでしょう。
顧客満足度の向上
現在、SNSといった各種サービスの普及によって、顧客ニーズは非常に細分化されています。
従来のようにマニュアルに沿った対応では、本当の意味で満足いくサービスの実現が難しくなっているのです。
マンパワーでの対応が困難、もしくは不可能となっている状況において、AIなどの技術を活用したDXは欠かせません。
顧客のニーズに迅速に応え、それぞれに対する最適な対応を実施。
そこから得たデータを蓄積し続け、さらなるサービス改善に繋げるというサイクルを圧倒的な速度で実現させます。
AIによるボット対応や音声認識によって、顧客を待たせること無くトラブル解決できれば、次回も同サービスを利用してくれる可能性は高まるでしょう。
ネット通販が一般化しつつある現在において、こうした顧客満足度の向上に直結するDXはより存在感を増していくことが考えられているのです。
|DXの進め方・手順
DXの進め方について、具体的なイメージを思い浮かべられる方は多くないかもしれません。
こちらでは、その進め方と手順について、5つの行程に分けてそれぞれ解説していきます。
現状を分析
まず、自社のビジネスや業務内容について、適切な分析をおこなう必要があります。
自社において何が課題なのか、何を解決すべきなのかといった内容をまとめ、可視化出来る状況にしておきましょう。
DXを進める上での最大の目的は、業務過程をより速く、より簡単にすることによる効率化です。
一例としては、膨大な紙の書類をデジタル化することで、必要なデータを瞬時に検索することが可能になります。
このように、現状において「この業務を効率化したい」といった考えや「この業務を簡略化できれば」と感じる部分を出し合いましょう。
この作業は、DXによって解決すべき問題を定義するためにも役立ちます。
この後の計画策定にも影響する作業ですので、じっくりと進めることをおすすめします。
綿密な調査・計画の策定
自社の現状を分析し、DXによって解決すべき問題が洗い出せたら、その問題を解決するための計画を立てていきます。
この時、どのようなツールを利用すれば、実際に問題が解決できるのかといった、市場理解も必要になります。
漠然と「現在困っている作業を簡略化したい」という思いだけで計画を立ててしまうと、進める中でそれを実現できるツールが存在しない事態もありえるからです。
そのため、新しい技術を効率的に、なおかつ確実に導入するためにはその市場に関する知識が必要といえるでしょう。
導入を検討するツールを大まかに網羅し、必要な費用や期間なども含めて多角的な計画を策定する必要があります。
DXに関するビジョンを固めながら、実現可能な計画かも同時に調査しましょう。
DX推進体制の構築
DXは社内システムを根本から変化させていく作業です。
そのため、スムーズにDX化を推進させるためには、全従業員の理解と強力が必要不可欠になります。
従業員を巻き込んだ取り組みにするためにも、研修の実施や制度を整えるなどの工夫が必要になるはずです。
業務効率化が実現することは誰にとってもメリットが大きいことですが、長年使い慣れた業務システムからの乗り換えは多少の労力を伴います。
また、社外に対する説明や同意も必要になります。
なぜなら、取引先がDXに関する技術を導入していない場合、想定される効果が半減してしまうかもしれないからです。
このように、DXに対して全員が前向きに取り組み、推進体制を構築するためにも進捗情報などはこまめに共有し、スムーズに進められる環境をつくりましょう。
実行
ここまで自社での問題を明確にし、解決するための計画を策定、導入すべきツールなどの市場調査を進めてきました。
そして、社内外に対してDX化に伴う理解を得てもらい、スムーズに推進する体制が出来上がりました。
この段階でようやく、DXを活用した業務を実行していきます。
事前にDXに関する研修を進めていたとしても、新しいシステム環境に社内が順応するには多少の時間を要するでしょう。
そのためDX実行後にも、社員からの意見を集め、それらの問題を解決する手段などを提示することをおすすめします。
そして、単にデジタイゼーションやデジタライゼーションを推進していくのではなく、どのように業務が効率化され、生産性が向上したのかという結果も測りましょう。
ビジネスモデルの変革まで繋げる
期間が経過するにつれてDXに関するシステム運用が社内でスムーズに進み、業務効率に関するデータも蓄積されていくでしょう。
その中でも、想定していたデータと運用後の数値を確認しながら、課題があると思われる業務については実践する内容を微調整していく必要があります。
DXは単に実行するだけではなく、推進していく過程においてPDCAサイクルを回し続けることが重要です。
解決した課題に対する評価、残っている課題に対する評価を確認しながら、常に業務環境のブラッシュアップを重ねていきます。
長期的な視点でPDCAサイクルを繰り返し、推進していくことでビジネスモデルの根本を変革できるでしょう。
|各業界のDX推進事例
こちらでは実際に、各業界ですでに実施されているDX推進事例を紹介します。
以下の項目に沿って解説しますので、自身に近い業界や事例を確認してみましょう。
- 地方自治体
- 医療現場
- 物流業界
- 小売業界
- 介護業界
- 建設業界
- 教育現場
地方自治体
DXのような先進事例は民間企業で進められていると思われがちですが、すでに全国各地の地方自治体において様々な事例が存在しています。
一例として、三重県ではデジタル社会の実現に向けて「デジタル社会推進局」を設立。
社会全体と行政のDXをシームレスに進めることを目的に、様々な活動を推進しているのです。
また、福島県会津若松市ではSNSサービスの「LINE」を活用したAI自動応答サービスを導入しました。
市民がより活用しやすいデジタルサービスを提供するために実施され、24時間体制で応対できることから多くのユーザーに活用されています。
都心部と比較して、地方自治体は少子高齢化といった社会問題が顕著に表れています。
そのため、DX推進による活性化が強く求められる業界だといえるでしょう。
医療現場
労働時間の制限などに起因する様々な問題が指摘される「2024年問題」。
医療現場における医師についても本問題は懸念されており、患者の容態に合わせた柔軟な勤務実施が難しくなることが考えられているのです。
こうした状況などを背景に、政府は医療現場に対して「医療DX令和ビジョン2030」として様々な計画を推進。
医療現場のIT化を達成させることで、現場の効率化、サービス品質の向上が見込まれているのです。
医療現場のDXは医療関係者だけではなく、患者にとっても大きなメリットが生まれます。
他業界と比較して、全体的な電子化が遅れている業界ではありますが、電子カルテの企画標準化など少しずつDXに向けた取り組みが進められています。
物流業界
前述した「2024年問題」が最も強く懸念されている業界の一つに、物流業界があげられます。
コロナ禍によるEC通販市場の拡大に対して、トラックドライバーや倉庫作業員が圧倒的に不足。
こうした状況で労働時間の制限が進められることで、国内の物流環境が麻痺してしまうことが考えられているのです。
そこで佐川急便は「ロボティクス」と「AI」を活用した庫内業務やトラック搬入の自動化を達成しています。
また、これまでドライバーの経験に頼っていた配送ルートについても、AIが最適な道筋を割り出すことで、圧倒的に効率の良い配送が実現しました。
陸路だけではなく海運といった分野にも拡大しており、持続可能な物流環境の構築に向けたさらなる取り組みが期待されています。
小売業界
スーパーや百貨店、コンビニを筆頭とした小売業界は現在、深刻な人手不足に直面しています。
ビジネスモデルに起因する給与体系の問題、長時間労働、アルバイト確保の困難といった問題に加え、コロナ禍による業績不振、業務増など一筋縄ではいかない状況だといえるでしょう。
こうした状況を根本的に解決し、業界の活性化に繋げるためにDXは大きな期待を寄せられています。
スーパーのセルフレジといった対策は、小売業界のDXを代表する事例です。
イオンでは「レジゴー」サービスによって、顧客のスマホを通じた瞬時決済も導入しました。
人員を削減しつつ、効率的な購買サービスの提供を実現したのです。
また、顧客の購買データをAIが分析することで、季節に応じた最適な訴求も可能となります。
これまでと変わらない労力で売上の向上が可能となった事例も存在しているのです。
介護業界
介護業界においても人材不足は深刻な問題です。
今後の需要増が想定される業界ですので、AIやIoTといったデジタル技術を駆使したDXが急務とされています。
「介護DX」と称される取り組みでは、「尊厳を保持した生活」という介護保険法に則った取り組みを推進しています。
ロボットなどを活用しつつ、労働者と介護者の双方にメリットの生まれる環境構築が進められているのです。
ICタグを活用した時間管理、AIによる利用者状況の検知など、これまで以上に快適なサービスが生まれつつあります。
建設業界
建設業界におけるDXには、デジタル技術をフル活用した業務効率化が求められています。
長い時間とたくさんの人員を必要とする建設現場ですので、一つの作業を効率化すれば大きな効果が期待できます。
清水建設では建設現場の状況を共有し、把握することを目的にしたサービスを提供しています。
動画配信といった方法から、360度カメラを活用した死角のない現場環境の共有、指示の実施が実現しました。
コロナ禍においても一定の成果を発揮しており、今後のさらなるサービス拡充、普及が期待されているのです。
教育現場
教育現場ではコロナ禍によってオンライン授業の導入を余儀なくされましたが、これをきっかけに「GIGAスクール構想」と呼ばれる計画が前倒しで実現しました。
1人1台のデジタルデバイスを通じた教育環境が普及し始めたのです。
これにより、従来書面でのやり取りが多かった内容の多くが、メールといったデジタル環境に移行し、教師の負担を大きく削減することになりました。
テストについても「CBT試験」の導入により、生徒一人ひとりに応じた最適な問題が実現できます。
問題の印刷コスト、手間を省きつつ、より効率的な始動環境が整いつつあるのです。
|まとめ
DXに関する基本的な内容から、実際の事例までを紹介しました。
現在日本社会は少子高齢化をはじめ、様々な社会課題に直面しています。
こうした状況に対応し、さらなる成長を実現させるためにはIT技術を活用する以外にありません。
DXの推進は労働者、業界を救い、結果的に日本社会全体の発展に貢献します。
まずはできる範囲でIT技術を導入し、作業の効率化を図ることをおすすめします。
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