技術の進化によりARが日常生活に溶け込み、当たり前に存在するようになりました。

iPhoneの「計測」アプリやInstagramの撮影機能などARのカメラ機能を活用し、生活に役立つアプリからエンターテインメントを拡張させるアプリまで、使ってみたくなるアプリはさまざま存在します。

この記事では「ARとはなにか?」という部分から、ARのカメラ機能を使ったおすすめアプリの紹介まで生活に身近なARのご紹介をします。

|ARとは

ARとは「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)の略称で、

一般的には「拡張現実」と表現されています。

目の前にある空間や物体に対して、そこには存在しない画像や音声、

映像などのデジタル情報をデバイスを通して重ね合わせる技術です。

例えばスマートフォンやタブレット、ARグラス等のデバイスでARアプリを起動させると、

カメラを通して映し出された空間に、3Dで生成されたキャラクターや商品、建物などの物体、商品を補足するマニュアルなどを重ね合わせて表示することができます。

このようなAR技術はゲームやエンターテインメントだけではなく、体験学習として教育の現場で活用されたり、ECショップで実物が手元で確認できないショッピングなどで活用されたりとさまざまです。

AR技術で現実世界を拡張する情報を付加し、デジタル情報だけでは出来なかった表現方法や体験を提供することが可能になり、新たな「付加価値」を生む技術として注目されています。

AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説
AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説

|ARとVR・MRの違い

ARに類似した技術としてVR(仮想現実)・MR(複合現実)が存在します。

デバイスを使ってアクセスすることは共通していますが、

それぞれの技術で特徴が異なりますので、活用事例も交えながら解説していきます。

VRとの違い

まずVRとは「仮想現実(Virtual Reality)」と呼ばれています。

デジタルで表現された仮想空間に「アバター」という自身の分身で、入り込むことができる技術です。

仮想空間へはパソコンやスマートフォン、タブレット以外にヘッドセットゴーグルやコントローラーを使用することで、仮想空間へ強い没入感を得ることができます。

VRでは現実世界で不可能な世界観や体験を作り込む事ができるのが特徴で、主にゲームの分野で発達してきました。

しかし、デバイスの発達や通信網の拡大・安定により教育やビジネスの現場でもVR技術は注目され、例えば仮想空間でアバターを通してリモート会議や授業を可能にしただけではなく、医療や製造業に関連する危険を伴う作業シミュレーションなどにも活用されています。

MRとの違い

MRとは「複合現実(Mixed Reality)」と呼ばれています。

現実世界にデジタル情報を重ねるという部分ではARと似ていますが、根本的に違うところは「現実空間」と「仮想空間」の融合です。

例えばARは現実に存在するものにデジタル情報を投影させて、その画像を変化させたり、投影させた物体の情報を同一画面上でテキストで補足したりすることができます。

一方、MRではAR技術よりも高度な情報処理を行います。

複数のカメラやセンサーを利用して現実世界をスキャンし、そこに作り込んだ3Dデータを投影します。

つまり現実世界にデバイスを通して直接触れられる仮想空間を表現することが可能です。

イメージとしては映画「アイアンマン」で主人公が研究所で一人でスーツを設計しているシーンがMRのイメージに近いと言えるでしょう。

|ARの種類

AR技術は用途によって、現実世界に重ねるデジタル情報をコントロールすることが可能です。

シチュエーションにあわせた技術を用いることでARのメリットを最大限に活かすことができます。

ここではARの種類と活用事例をご紹介いたします。

マーカー型

マーカー型ARとはAR情報を登録した特定の物体や空間、画像やイラストなどを事前にアプリに登録し、その事前登録したものをカメラで読みこむと表示したいコンテンツや補足情報が画面に投影される技術です。

マーカー型は限定的な空間や特定の物に対して精度の高いARを使える事がメリットです。

例えば広告やイベント会場であれば、宣伝したい商品やキャラクターなどをARで投影することでコストを抑えたプロモーションが可能です。

地域おこしの一環として、各地の名所にアニメや映画のキャラクターが登場する仕掛けをAR技術で仕込み、その世界観に没入させる実例もあります。

マーカー型は比較的簡単に実装できるため、一番実用化が進んでいるARです。

GPS型

GPS型のARはスマートフォンやタブレットなどGPS機能を搭載したデバイスの位置情報とARを掛け合わせた技術です。

実装例としては地図アプリと連動して、映し出された実際の道にナビゲーションや補足情報を投影します。

GPS型のメリットは位置情報を軸とすることで、リアルタイムに移動しながら使用できる、現実世界に密着したARを体験する事ができることです。

地図以外にも、建築物やゴルフ場、観光地などでのインフォメーションにも活用できたり、ゲームアプリと連動してゲームの世界と現実世界がシームレスに感じやすくなり、ゲームの世界に没入することもできるでしょう。

注意点は屋内や地下など、GPS信号が弱くなってしまう場所では正確な情報が提供できない場合があります。

平面認識型

平面認識型ARは任意の空間に、あらかじめARで作成した3Dデータを投影できる技術です。

平面認識型ARの特徴は「すきな場所にARを投影できる」という点です。

例えば、自分の部屋に置いてみたい家具の3D画像を投影したり、旅先の綺麗な景色の中に自分の好きなキャラクターや、メタバースで使用している自分自身のアバターなどを投影したりなどすることができます。

また、機材の設置、商品のディスプレイなどの配置確認ができることで、オペレーションの確認を現物を使わずに行うことが可能です。

そのため、物質的なコストや時間など効率的に運用できる側面もあり、産業分野ではマーチャンダイズにARを取り入れる企業もあるでしょう。

物体認識型

物体認識型ARはマーカー型のARに類似しています。

認識した物体に対して画像を投影する用途は同じですが、

物体認識型ARはマーカー型より、詳細なデータを構築することに優れています。

例えば広告のプロモーションのためのARマーケティングをはじめ、美術館や博物館の展示物を読み込めば詳細なテキスト情報を投影できたり、3D画像で自分の好きな角度で鑑賞したりと、ひとつの物体に対して作り込んだデジタル情報を付加できることが特徴です。

身近なものであればショッピングアプリで活用し、

商品の詳細情報から購入手続きまでの提供を行なったり、自動車や家電製品など多様な操作が求められる製品のマニュアルとしてAR技術が注目されています。

|ARカメラを使ったおすすめアプリ

では、実際にARカメラを使ったおすすめアプリのご紹介を致します。

スマートフォンやタブレットで手軽にはじめられ、年代を問わず基本無料で楽しめるアプリを厳選していますので、ぜひARを体験してみてください。

みくちゃ

出典:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.sorasu.armiku&hl=ja&gl=US

「みくちゃ」とはボーカロイドで最も有名な「初音ミク」を使用したARアプリです。

平面認識型ARを応用したアプリで、スマートフォンやタブレットのデバイスを通して自分の好きな空間に3Dで生成された初音ミクを出現させ、好きなポージングとアングルでスナップショットが撮れます。

キャラクターの拡大、縮小をする事でリアリティのある構図から、非現実的な構図まで撮影ができるので音楽の世界観に合わせたクリエイティブなビジュアルも作成できるでしょう。

またキャラクターを活かす機能として、風景やアングルに合わせた陰影や光量をキャラクターに反映させたり、物陰からキャラクターが覗き込む仕草や物体から通り抜けてくるようなアニメ的な世界観を表現する「マスク機能」などもあり、撮影に特化したARです。

ホロリー

出典:https://play.google.com/store/apps/details?id=tv.hololive.life&hl=ja&gl=US

「ホロリー」とはVTuberのアバターを使用したアプリです。

VTuber事務所「ホロライブプロダクション」に所属しているVTuberのアバターをスマートフォンやタブレットを通して自分の好きな場面に登場させる事が出来ます。

平面認識型ARを使用しており、好きなシチュエーションに好きなVTuberを登場させオリジナルのスナップショットが撮影できるだけではなく、中でアバターが自動で動き喋る設定もあるので、ただスナップショットを撮るだけではなくVTuberと一緒にいる様な空間をARカメラを通して演出をしているので、没入感をいっそう強く感じるでしょう。

また、課金システムを実装しており、課金する事でオリジナルのポージングやアングル、オリジナルのボイスやモーションを手に入れることができ、推しのVTuberを応援すると同時にオリジナルの世界観を楽しむ事が出来るアプリです。

Monster Park- ディーノ世界

出典:https://apps.apple.com/jp/app/monster-park-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8E%E4%B8%96%E7%95%8C-ar/id1259767702

「Monster Park- ディーノ世界」はデバイスを通して現実世界に恐竜を登場させ       写真撮影したり、恐竜のモーションを楽しんだり出来るアプリです。

没入感を高める仕掛けとして鳴き声の音声や恐竜のアクションにもこだわりを感じます。

例えば近づいてくる恐竜のモーションに合わせて鳴き声が入ったり、カメラを動かしながら恐竜に動いて欲しい場所まで画面をタップし誘導したりできます。

また、現実世界とARをつなぐシームレスな演出として、パラレルワールドを設定しており、恐竜のいるワールドから現実世界に呼び出すような仕掛けや、逆に現実世界から恐竜のいるワールドへARカメラを通じて入ることもでき、現代と太古をつなぐ世界観を上手く表現しています。

mixta AR

出典:https://apps.apple.com/jp/app/mixta-ar-%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%BF-ar/id1450324915

「mixta  AR(ミクスタ)」は日本テレビが提供するARアプリです。

TV番組やタレント、スポーツ選手などとコラボし、独自のコンテンツを配信しています。

例えば、番組コンテンツであればデバイスを通してマスコットキャラクターや出演者と握手ができる擬似体験ができたり、歌番組でアーティストが出演した映像を自分の好きな場所に投影して楽しんだり出来ます。

また、TV番組と連動しニュースやお天気情報などデバイスを通して番組内容を拡張させる事で、ただTVを見ているだけでは味わえない没入感を演出して映像コンテンツの幅を広げるアプリとして注目を集めています。

一部有料コンテンツもありますが、年代問わず楽しめるARアプリです。

IKEA Place

出典:https://apps.apple.com/jp/app/ikea-place/id1279244498

世界に展開している家具メーカー「IKEA」がAppleと共同開発し提供するアプリです。

AR技術を駆使して、家にいながら大きな家具をシミュレーションして購入する事が出来ます。

インテリアや家具は置きたい場所の寸法や部屋の配色にマッチするかなど、実際に店舗で実物を確認しないとイメージが難しく、ミスマッチが起こりやすい商品です。

IKEA Placeはそれらを解消し、ネットでの買い物をしやすくしています。

販売する小さなインテリアから大きな家具まで3D映像で表現され、約2,000点以上のアイテムがデータベースにあり、その3D家具のサイズの再現度はIKEAのプレスリリースによると98%程になる様子です。

Star Walk 2

出典:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.vitotechnology.StarWalk2Free&hl=ja&gl=US

「Star Walk2」はGPS型認識ARを利用した天体観測アプリです。

夜空に限らず、上空にスマートフォンやタブレットのデバイスを向けると画面にはその時間、季節に観測できる星座や星の名前が投影されます。

このアプリの優れている所はリアルタイムにデータが更新され、時間や方角によって見える星座や星が連動する事です。

そのため、日中であったり屋内であったりしてもその方角に現在見える天体図がデバイスを通して表示されます。

また、天体図を表示するだけではなく観測する星の方法や星座にまつわる伝説などをテキストや画像を投影して補足します。

有料のモードでは現在研究が進んでいる最新の情報も見れる様子。

遊ぶだけではなく、学習教材としても活用できるアプリです。

SNOW

出典:https://apps.apple.com/jp/app/snow-%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC-ar%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9-ai%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC/id1022267439

「SNOW」はもっとも身近なARアプリです。

SNSでもSNOWを利用した投稿をみない日はありません。

世界で約4億人が利用しており、人物を検出してさまざまなエフェクトを使って自撮りやスナップショット、動画撮影が楽しめ、スタンダードな機能としては「美白」や輪郭の修正など、いわゆる「ちょっと盛れた」写真を撮影したり、動物の鼻や耳が自身の顔に投影され「カワイイ」印象を与えるスタンプ機能などを使用して写真や動画が撮影出来ます。

現在では自身が綺麗に見える美容を軸とした機能も発展し、過度になり過ぎないナチュラルな加工から、使ってみたくなるようなスタンプ機能の更新など、新しいトレンドを常に発信しているARアプリです。

|まとめ 

今回はARカメラを使ったおすすめアプリの紹介と、改めてARについて解説いたしました。

ARの技術は日々進歩しています。

AR(拡張現実)は現実世界の補足だけではなく、現実世界に感覚的なデジタルを取り入れる事で新たな価値を付与できる技術です。

ゲームやエンターテイメントから発展し、今では教育現場やビジネスの場面でも活用されています。

手軽に使えるARをまずは体験して技術の発展を感じるのも楽しみの1つですね。