2020年から始まったコロナ渦は、学びの形を変えた大きなきっかけとなりました。
小学校、学習塾ではオンライン授業が取り入れられ、zoomなどのビデオ会議ツールを用いた授業が展開され、学校や塾に行かなくても授業を受けることができるようになりました。
そんな中で、遂にメタバース上で学習塾が開校されたとのニュースが飛び込んできました。
どのような学習効果が期待できるのか、今後の可能性も踏まえながら解説していきます。
目次
|メタバースとは
まずは、メタバースについて改めて触れておきます。
メタバースとは「web上に構築されている三次元仮想空間およびサービス」を指します。
メタバースというワード自体は既存のものではなく、「超越(Meta)」と「宇宙・世界(univese)」を組み合わせた造語です。
このメタバース上でアバターを使い、世界中の人とコミュニケーションは勿論のこと、イベント開催・参加やショッピング、仕事などにも利用することが可能です。
近年ではビジネスにも活用されています。
尚、メタバースについては過去の記事で詳しくご紹介しています。
また、3分でメタバースについてまとめた動画もございますので、併せてご覧ください。
|メタバース学習塾におけるメリット
では、メタバース学習塾にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
実はたくさんのメリットを秘めているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
学習効果が高い
国際会計事務所PwCの調査によると、メタバースでの学習は集中力の向上とともに学習効率を4倍にまで引き上げるということが判明したそうです。
理由として、能動的に学ぶ環境があり、疑似的な体験をして失敗しながらも楽しく学ぶことができること等が挙げられます。
ただ教室でぼーっとして過ごすのは時間の無駄ですよね。
子供たちが前のめりになって学べるのであれば、保護者も安心できるのではないでしょうか。
また、普段は恥ずかしくてなかなか先生に質問することができない生徒も、アバターの姿であれば質問できるでしょう。
周囲の視線を気にせずに質問できるというのも、リアルとは違ったメタバースの良さですね。
さらに、オンライン授業とは違って自分でアバターを動かさなければいけないということもあり、リアルに近い感覚かつ積極的に学習に取り組む生徒が多いようです。
どこにいても通える
どこにいても通うことができるのは、メタバースのメリットが最も活かされているといえるでしょう。
塾を選ぶにあたって「家から通いやすいか」を重視するという保護者も多いかと思います。
中には周りに学習塾すらないという地域もあるかもしれません。
また、よりハイレベルな学習を受けたいという人もいるでしょう。
メタバース学習塾であれば、インターネット環境とデバイスさえあればどこにいても関係ありません。
また、自宅から授業を受けられるので「1人で通わせるのは不安」という方も安心ですね。
体験できないことを体験できる
これもメタバースならではの特徴ですね。
現実世界ではなかなか体験できないようなことをメタバースでは体験できます。
例えば、理科の授業を思い浮かべてみてください。
理科といえば「実験」。しかし、実験には危険が伴います。
ただ、言葉で説明するだけでは「何が危険なのか」イメージがつきにくいこともあります。
だからといって、わざと失敗するということはできません。
そこで、メタバースが役立ちます。
実際に失敗したらどうなるのかを疑似体験させることで、生徒は「なぜ危険か」を理解することができます。
学習塾では実験をすることは基本的にありません。
だからこそ、テキストだけでは理解できないことを疑似体験することで生徒が主体的に学ぶことができるのです。
|メタバース学習塾におけるデメリット
ここまで、メタバース学習塾におけるメリットをご紹介しました。
一方でデメリットもいくつか存在しますので、こちらで解説していきます。
環境の整備が必要
先ほどメタバース学習塾は「どこにいても通える」ことがメリットであるとお伝えしましたが、授業を受ける場所の環境整備が必要です。
メタバースで入室するならスマートフォンだと画面が小さく操作もしづらいので、スペックに問題のないPCやタブレット端末が必要になります。
また、インターネット環境、ヘッドセットなども必要です。
さらに、共働きというご家庭であれば、もしかしたら子供1人でデバイスを立ち上げ、メタバース空間に入室しなければいけないということもあるでしょう。
それがまだ幼い年齢の子供であれば、予め1人でできるように練習が必要な場合もあります。
健康への懸念がある
自宅から気軽に参加できるメタバースですが、心身における悪影響を及ぼす場合があります。
ドイツのコーブルク大学の研究チームによると、画面を注視することによる眼精疲労や姿勢の悪化だけでなく、不安感やフラストレーションが増加し、生産性やタイピング速度が低下するというデータを発表しています。
ただし回数を重ねていくにつれて悪影響は減少したようですので、開始直後は特に注意が必要です。
|メタバース学習塾の事例
メタバース塾KAI
メタバース塾KAIは、山梨県や長野県、静岡県で展開されている学習塾の甲斐ゼミナールが2023年4月に開校したメタバース学習塾です。
メタバース塾KAIは、全国のどの塾よりも先駆けて、2021年頃から何度か講習をメタバース上で開催してきました。
そして、2023年3月に甲斐市と連携協定を締結し、満を持して開校した形となります。
実際の動画もありますので、ぜひご覧ください。
総合型選抜専門塾AOI
株式会社花形が運営する「総合型選抜専門塾AOI」では、メタバース校を開校しました。
ここでは「総合型選抜(旧AO入試)」の指導をメインとしています。
通常の受験と異なり、生徒と大学の想いがマッチするかどうかで選抜されます。
ですので、生徒と講師でコミュニケーションを密にとりながら、小論文や志望理由書、面接対策などを実施しています。
校舎はMetaLife(メタライフ)が採用されており、校舎内でのコミュニケーションも盛んなようです。
高校生は部活動もあり、なかなか通塾ができないといった生徒もいます。
また、総合型選抜入試自体を受験する生徒が周りにいないので、孤独を感じる生徒も少なくないとのことです。
そういった生徒たちが全国各地から集まり、お互い励ましあいながら受験へと向かうことのできる学習塾となっています。
総合型選抜入試を選択した高校生におすすめのメタバース学習塾です。
学研オンエア
学研オンエアは、株式会社学研ホールディングスが2023年4月に開校したメタバース学習塾です。
アバターでバーチャル校にログインし、授業を受けたり、自習したり、相談やコミュニケーションを取ることができます。中でも自習室は深夜0時まで利用できるようです。
その他、AIが搭載されたデジタル教材や授業欠席時の録画視聴、学習インストラクターによるサポートを受けることができるなど、支援体制も充実しています。
「勉強しなさい!はもう言わなくていい!自学自習できるお子様に!」をキャッチフレーズとしていますので、自宅での学習習慣を身につけさせたいお子様にはぴったりです。
メタバ塾
メタバ塾は、不登校児童を対象とした、メタバースとゲームを組み合わせた学びの場を提供している学習塾です。
日本では今、不登校児童数が年々増加しています。
そのため、不登校児童への支援体制強化が国全体としての課題ともなっています。
そんな中で、近年のゲーム需要増加により、子供たちの居場所が「ゲーム」となっていることに着目したのがこのメタバ塾です。
MinecraftやFortnite、Robloxといったゲームを教材として学びを創造しています。
ゲームを通じて十分にコミュニケーションを取った後には、農業体験や外出同行などといったアクティビティも用意されています。
いずれまた外の世界で人間関係を築けるようになる1つのきっかけとしての支援を行っている学習塾です。
|まとめ
今回は「メタバース学習塾」についてご紹介しました。
学習効果も高く、能動的に学ぶことができる場であり、全国どこにいても通うことができるのは素晴らしいですね。
ただし懸念点もいくつかありますので、それらも把握したうえで通塾を検討することをおすすめします。
本記事でいくつかメタバース学習塾もご紹介しております。
興味のある方、検討したいという方は、ぜひ本記事を参考にしていただき、お子様の学習目的に合わせた学習塾を選んでみてくださいね。