「最近Matterportってよく聞くけど何のツールなの?」

「便利なのは知っているけどどう活用すればいいのかわからない」

Matterportは、近年急速に注目を集めているデジタルツインツールです。

この記事では、Matterportについて何も知らない初心者のために、Matterportの特徴やメリットについて、活用事例も併せてわかりやすく解説しています。

この記事を読めば、Matterportについて深く理解し、実際に導入するかどうかの判断ができるようになります。

スキマ時間に読み切れる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

|Matterport(マーターポート)の基本情報

出典:https://matterport.com/ja

近年、需要が高まっているMatterport。

ここでは、Matterportとは何なのかを詳しく知るために、基本情報について解説します。

  • Matterportとは?
  • Matterport社の概要
  • Matterportの普及状況と市場動向

|Matterportとは?

Matterportは、世界中の多くの企業が利用しているデジタルツイン技術です。

デジタルツインとは、現実世界の建物や空間を3Dで再現したデータのことです。

この技術を利用することで、物件の良さを分かりやすく伝えたり、移動時間やコストを節約したりすることができます。

また、どこからでも建物内を見ることができるので、仕事がスムーズに進むことが期待できます。

Matterportでは、スマートフォンや専用の3Dカメラを使って、簡単に空間のデータを取得できます。

また、クラウド上で3Dモデルを管理したり、他の便利なツールと連携することもできます。

さまざまな業界で活用されており、建築や不動産、小売業界などで効果を発揮しています。

例えば、不動産業界では、仮想空間で物件を見ることができるため、実際に現場を訪れることなく物件の魅力を伝えることができます。

Matterportは、様々な空間をデジタル化することができます。

自分で撮影することもできますし、専門のスタッフに撮影を依頼することも可能です。

また、世界最大級のデジタル空間データライブラリを持っており、新しいアイデアや技術の発展に役立てられています。

Matterport社の概要

Matterport社は、空間データの分野で大手企業として知られており、構築された世界をデジタル化し、インデックス化することに焦点を当てています。

同社のオールインワン3Dデータプラットフォームにより、正確で没入型のデジタルツインを作成でき、あらゆるスペースの設計や構築、運用、宣伝、理解に活用されています。

Matterport社の本社は、アメリカのカリフォルニア州サニーベールに位置しており、他にもサンフランシスコ、シカゴ、カンザス、ロンドン、シンガポールにオフィスを展開しています。

同社は2011年に設立され、2021年7月に株式市場に上場しています。

読み方については、「マーターポート」が正式名称です。

異なる呼び方も存在しますが、正しい読み方は「マーターポート」となります。

Matterportの普及状況と市場動向

Matterport市場は現在、新しいシステムが続々と開発される中で利用者が増加しています。

2021年5月に、Matterportによって制作されたバーチャル空間が累計500万件に到達したことが発表されました。

この空間には、住宅、教育施設、美術館・博物館、飛行機など、さまざまなジャンルの施設が含まれています。

また、生成される空間が増加することで、Matterport映像の閲覧数も合計20億回を超える勢いとなっています。

2020年5月以降、iPhoneでの映像閲覧が可能になり、Matterportのデジタルツインは2倍に増加しています。

さらに、2021年にはAndroidデバイスでも閲覧が可能になり、175カ国のAndroidユーザーがアクセスできるようになりました。

このことから、2023年以降も利用者数が増加することが予想されています。

|Matterportの魅力:なぜ今注目されているのか?

Matterportは、なぜ今注目されているのでしょうか。

Matterportの魅力を知るうえで、その背景を正しく理解しておくことは重要です。

ここでは、Matterportの注目理由について詳しく解説します。

  • 新型コロナウイルスの影響と消費者行動の変化
  • 費用対効果の高さと多機能性
  • ユーザーの体験価値を重視する時代のニーズ

新型コロナウイルスの影響と消費者行動の変化

新型コロナウイルスの影響により、多くの実店舗や施設を運営する事業者が集客に苦戦し、売上への影響を受けています。

従来は実店舗で魅力やブランド価値を伝えることが可能でしたが、感染防止のための自粛や広告予算の削減が広がる中で、集客施策が困難になってきました。

こうした中、Matterportは実空間をオンライン上のバーチャル空間として再現し、写真や動画を超えた疑似体験を提供することができます。

リアルな交流が制限される中でも、オンライン上でのつながりを実現するツールとして、Matterportが活躍する機会が増えています。

費用対効果の高さと多機能性

Matterportは、その高い費用対効果と多機能性から、多くの業界で注目を集めています。

例えば、不動産業界のColdwell Banker Richard Ellis(CBRE)は、Matterportで制作されたバーチャル物件内覧を活用し、オフラインでの物件内覧をオンラインに効果的に移行しています。

CBREによると、その結果、物件内覧の回数を減らし、顧客対応の効率化を実現しています。

さらに、顧客満足度も向上し、成約件数の増加につながっていると報告されています。

また、Matterportで開発された3Dカメラは独自のものであり、リアルな店舗の魅力をデジタル上に忠実に再現できることが強みとなっています。

これによって、オンライン体験のコンテンツとして導入が広まっています。

ユーザーの体験価値を重視する時代のニーズ

近年、消費者の嗜好は商品やサービスの単純な購入から、体験価値に重きを置く傾向へと変化しています。

この変化を受けて、企業は従来の販売戦略を見直し、ユーザーの期待に応える新たな取り組みが求められています。

Matterportのようなバーチャル体験技術は、このニーズに応えるべく開発されています。

Matterportは、リアルな空間をデジタル上で再現し、ユーザーに臨場感あふれる体験を提供することで、顧客満足度を高めることができます。

例えば、不動産業界では、Matterportを活用したバーチャル内覧が増えており、顧客は自宅からでも物件の詳細を確認できるようになっています。

また、観光業界でも、バーチャルツアーが利用されることで、遠隔地から観光地を訪れることが難しい人々にも、その魅力を届けることが可能です。

|Matterportの主な機能と特長

Matterportは、誰でも簡単に3Dデータを制作できるツールですが、他にも多くの機能や特徴があります。

ここでは、Matterportの主な機能と特長について、詳しく解説します。

  • 4K技術によるリアルな映像
  • 3視点映像による空間網羅
  • PC、スマホとの接続性

4K技術によるリアルな映像

Matterportは、4K技術を採用しており、高画質でシームレスな映像を制作できます。

これにより、「細部が見えない」「画質が悪い」といったストレスを排除し、リアルな空間表現が可能になります。

オフラインで行っていたサービスをオンラインに移行する際、映像のクオリティーが低くリアルな空間を再現できないことが問題点でした。

しかし、Matterportの高品質な4K画質により、細かい部分も精細に描写できるメリットがあります。

3Dモデルとリアル空間のギャップも少なくなるため、ユーザーの満足度や好感度の向上効果も期待できます。

3視点映像による空間網羅

Matterportは、3視点の映像によって空間を網羅的に把握することができます。

施設における「平面図(フロアマップ)」は、真上視点から撮影された空間をそのまま平面に落とし込んだものです。

この視点は、自分の居場所を明確にするために使用され、規模の大きな空間、区切りのある空間で活用されることが多いです。

「立体空間(ドールハウス)」は俯瞰的な視点で、さまざまな角度から模型のように空間全体を楽しめます。

「空間移動(ウォークスルー)」はウォークスルー機能です。

Googleストリートビューのように、床に表示される白丸をクリックするとそのポイントに移動でき、まるで実際に移動しているかのように感じることが可能になっています。

これらの3視点映像を組み合わせることで、Matterportはリアルな空間表現を実現しています。

企業のDX化支援

Matterportを活用すれば、日本の喫緊の課題とされるDX化(デジタルトランスフォーメーション)も実現できます。

例えば、不動産業界のリーディングカンパニーである三菱地所レジデンスは、マターポート社と提携し、マンション販売におけるDXを実現しています。

三菱地所レジデンスは、販売物件の90%以上のモデルルームを3Dデータ化し、1か月の訪問客数が11,800人以上を記録しました。

また、コロナ禍を受けて、お客様が自宅からでも物件の詳細を確認できるよう、3Dコンテンツ活用を強化しています。

Matterport導入の効果は、コスト削減や3Dデータ製作の短期化だけでなく、購入決定までの期間短縮にも貢献しています。

遠隔地にいる関係者からのアドバイスも簡単にもらえるため、従来は現場への来場が必要だった高額物件も成約できるようになり、大きな効果を挙げています。

今後も、不動産業や建築業など多くの分野で活用され、物件内覧や施工進捗管理、施設管理、マーチャンダイジング管理などに役立つことが予測されています。

PC、スマホとの接続性

Matterport は、アプリ版も提供されています。

アプリをスマホにインストールするだけで、高性能なMatterportの一部機能が使えます。

アプリ版では、賃貸物件の紹介や店舗の最新情報の共有、ソーシャルディスタンス対策を考慮した店舗レイアウトの周知など、様々な目的に活用することができます。

さらに、建築士や工務店が現場状況を記録する際にも役立ちます。

特別なカメラは必要なく、対応するスマホであれば、デジタルツインを作成し、いつでも誰とでも共有することができます。

|Matterportを導入するメリット

Matterportを導入すると、多くのメリットを享受することができます。

ここでは、そのメリットについて代表的なものをいくつか紹介します。

  • コスト削減と業務効率化
  • 独自性を活かしたPR
  • 顧客満足度向上と決断スピードの加速

コスト削減と業務効率化

Matterportの導入により、コスト面と業務面で大幅な効率化が図れるのは、大きなメリットです。

物件の魅力をより魅力的に伝えられるようになるので、内覧者が増え、販売促進活動の強化が期待できます。

さらに、現場訪問の必要性が減ることで、移動時間やコストが削減される効果も期待できるでしょう。

最近では、Autodesk Construction Cloud (ACC)というクラウド とも提携したことにより、今までよりも現場状況を把握しやすくなり、潜在的な問題を早期に特定して対処することが可能になりました。

独自性を活かしたPR

Matterportの活用により、他社と差別化を図ることができるPRが実現します。

最近では、WebサイトやECサイトでの空間情報掲載が一般化していますが、静止画や動画のみでは、位置関係や導線、臨場感を適切に表現するのは難しいことが多いです。

Matterportを利用すると、写真よりも効果的なアピールが可能で、まるで建物内を歩いているかのような感覚を味わえます。

さらに、VRヘッドセットを使用すれば、より臨場感溢れる体験ができるでしょう。

4K画質で高品質な撮影ができるMatterportは、企業や施設の見学にも活用できます。

現場に足を運ばずとも、まるでその場にいるかのような感覚で見学ができるため、企業のPRや広報活動における実用性も高いと言えます。

顧客満足度向上と決断スピードの加速

Matterportの活用により、顧客満足度を高めることができます。

写真や動画では伝えきれない空間の雰囲気や立体感を、Matterportを使って簡単に伝えることができるため、顧客はリアルな体験を通じて情報を得られます。これにより、顧客が迷わず決断を下すことが容易になります。

また、Matterportを企業や施設のオンライン見学に活用することで、顧客は好きな時間に好きな場所で見学が可能となり、利便性が向上します。

他にも、Matterportの高品質な画像や3Dモデルは、プロフェッショナルな印象を与えやすく、信頼感を醸成することが期待できます。

|Matterportの活用事例

ここまで、Matterportの特徴やメリットについて解説しましたが、実際のシーンではどのように活用されているのでしょうか。

ここでは、Matterportがどのように活用されているのか、いくつかの事例を紹介するので、Matterportの導入を検討されている方は、ぜひとも参考にしてください。

  • 企業のホームページやプロモーション
  • 備品管理や保管業務の効率化
  • 社内研修ツール&従業員トレーニング
  • オンライン内見やバーチャルショップ

企業のホームページやプロモーション

米国最大の非上場賃貸マーケットプレイスであるZumper社は、賃借人のニーズに応えるためにMatterportと提携しています。

提携後、3Dフロアプラン(Dollhouse View)を取り入れ、バーチャルツアーの質を一層向上させることに成功しています。

Matterportを活用することで、Zumper社の顧客は主要なSNSをはじめ、さまざまなプラットフォームから無料でアクセスすることが可能になり、プロモーションに大きな効果をもたらしています。

さらに、Zumper社とMatterportが実施した共同調査では、3Dバーチャルツアーが物件所有者の賃貸能力や賃借人の契約自信に大きな影響を与えることが明らかになっています。

調査結果から、3Dウォークスルー付き広告を出した物件所有者の大部分が、完全にバーチャルで賃貸契約を締結していることが判明しました。

ここからも、Metterportの効果がうかがえます。

また、物件所有者の99%が、3Dバーチャルツアー付きの物件が入居希望者の関心をより引くと回答しています。

備品管理や保管業務の効率化

Matterportは、物品や情報の管理や保管にも役立っています。

英国の水道会社であるNorthumbrian Waterは、建物や水道設備などのデジタルデータを利用して、効率的に管理しています。

同社は、Matterport Pro2カメラを使って、高画質の3D画像を撮影することで、管理作業を効率化することに成功しました。

Matterport Pro2カメラは、短い練習時間で使い方を覚えることができるので、簡単に導入することができ、MatterportとIBM Maximoという管理システムをつなげることで、空間データを正確に捉えることが可能になったとのこと。

社内研修ツール&従業員トレーニング

Matterportで、建物や店舗の3Dデジタルツアーを作成すれば、研修を効果的に行えます。

店舗の様子を3Dで見ることができれば、お客様にとって快適なショッピング体験を提供するために、各店舗で何が必要かを把握できます。

また、商品の展示方法や販売促進の計画も、Matterportを使って考えることができます。

これにより、従業員の研修を視覚的かつ効率的に行うことが可能です。

他にも、新入社員や出張中の社員は、実際に現場に行かなくても、コンピュータから3Dデジタルツアーを見て、店舗の構造をすぐに理解できるため、研修期間を短くし、時間と費用を削減することが可能です。

オンライン内見やバーチャルショップ

Matterportを活用することで、オンライン内見やバーチャルショップの体験が格段に向上します。

3Dウォークスルー技術により、まるで実際に現場にいるかのように物件や店舗を体感でき、他の競合物件と差別化することが可能となります。

このリアルな表現により、顧客は自分が予約しようとしている物件や店舗に対して確信を持ち、予約の確率が高まります。

また、ウェブサイトに3D空間を組み込むことで、利用率や予約への移行率が最大15%、14%増加し、肯定的な顧客レビューも増えることが報告されています。

|Matterport導入時の注意点と解決策

Matterportは、操作が比較的容易であるため人気を博していますが、ご利用の際にはいくつかの注意点が存在します。

ここでは、Matterportの導入時の注意点と解決策についてご紹介します。

  • 撮影時の注意点
  • 撮影代行会社の選び方とおすすめ企業

撮影時の注意点

Matterportで撮影をする際には、いくつかの注意点があります。

まず、カメラを水平に保つ必要があります。

三脚を使ってカメラの高さを変えたり、でこぼこした地面で撮影する場合は、カメラが傾かないようにチェックしてください。

また、撮影中に自分や他の人が映り込まないように注意が必要です。

Matterportは高画質で撮影するので、鏡や窓に映った人物もデータにはっきりと記録されてしまいます。

他にも、撮影している間に、マップが正しく作られているか確認しましょう。

展示物や床の模様を見ながら、実際の空間とデータ上のマップを比べて、違いがあれば再度撮影が必要です。

カメラと撮影対象との距離も大切です。近すぎると、映像が歪んでしまいます。

商品が並んだお店や美術館などで撮影する場合は、特に気をつけましょう。

撮影代行会社の選び方とおすすめ企業

Matterport社は、自社で撮影代行サービスを提供しています。

Matterport社の公式ページより「エンタープライズソリューションのご紹介」という項目を選択すれば、撮影代行サービスに申し込むことが可能です。

ただし、全て英語表記となっているため、国内のおすすめ撮影代行サービス業者を下記にいくつかご紹介します。

1,Spell lLinks合同会社

Spell Links合同会社は、Matterportの撮影代行を専門にしている代行業者です。

中国四国地方を中心に事業を展開していますが、日本全国出張対応可能。

2,株式会社ソフトメディア

株式会社ソフトメディアも、Matterport撮影を専門にしている代行業者です。

本拠点が静岡にあるため、撮影依頼の際は出張費が掛かりますが、キャンペーンを利用すれば東京・神奈川エリアは出張費が無料です。

外注の相場は、撮影規模によっても違いますが、平均的に¥30,000〜50,000程です。

継続的にMatterportの利用を考えていない場合は、外注を使った方が効率的です。

|まとめ:Matterportで新時代のビジネスを創出

今回は、Matterportの特徴やメリットを、活用事例も併せてわかりやすく解説しました。

Matterportは、現在も多くの大手企業で導入され続けていますが、今後は中小企業でも積極的に採用されることが予想されています。

デジタルツイン技術の導入は、日本の喫緊の課題であり、日本が世界で後れをとらないために必要不可欠な技術です。