皆さんは、ARナビという言葉をご存じでしょうか?
その名の通り、AR技術を利用して道順を案内してくれるサービスです。
本記事では、ARナビとは何かといったことや、ARナビのメリットやデメリットを解説します。
また、ARを活用したナビゲーションサービスの実際の事例もご紹介します。
目次
|ARとは
ARとは、Augmented Realityの略で、拡張現実という日本語訳があてられています。
現実世界の映像や実際の風景に、仮想の視覚情報を重ね合わせる技術のことです。
具体的な事例で言えば、数年前に大ヒットしたPokemon GOがAR技術を活用したゲームだと言われます。
このゲームは、スマートフォンのカメラ越しに映し出された現実世界の映像に、仮想のポケモンの姿が重ね合わさるものです。
ユーザーは、自分自身が現実で存在している位置に、ポケモンも存在しているかのようにプレイします。
その他の活用事例としては、自分が実際に住んでいる部屋に仮想の家具を配置することで、スペースが十分にあるかどうか、どのように配置するのがいいかといったことを検討できるサービスも存在します。
|ARナビとは
ARナビとは、こうしたARの特長を活かして、現実の風景や画像、映像に、目的地までの経路をオーバーラップ表示するもので、既に実用化の事例もあります。
google mapでは、スマホのカメラ越しの風景に矢印や道路名などが表示される機能が開発され、一部機種で利用可能になっています。
また、メルセデス・ベンツでは、フロントガラスに案内を表示することで、実際の風景に経路案内をオーバーラップすることができる車種が開発されています。
|ARナビのメリット
それでは、ARナビは既存のナビゲーションシステムに比べ、どのようなメリットがあるかご紹介していきます。
進行方向がわかりやすい
既存のGPSサービスは、普通の地図を使うのと同様に、基本的には俯瞰的な地図と実際の風景を見比べる必要があります。
一方ARナビは、実際の風景に進むべき経路を重ね合わせる形で案内してくれるので、直感的に非常にわかりやすいのが特長です。
現在地が正確
既存の地図アプリより、現在地の定位が正確なのも特長です。
GPSは基本的に衛星を用いて測位を行い、ユーザーの現在地を把握しますが、高いビルの間の道などでは精度が落ちてしまうという問題があります。
一方ARナビは、カメラでリアルタイムに風景を撮影しているため、その情報も参照すれば、より正確に現在地を割り出すことができます。
歩きスマホ防止対策も万全
googlemapのARナビには、歩きスマホ防止の機能が備わっています。
ARナビを使用している状態で歩き出すと、警告のメッセージが表示され、利用できなくなるという仕組みになっています。
歩いているときは、スマホを水平にすると普通の平面の地図が表示され、立ち止まってカメラで風景を写すと、風景に重なる形で進行方向の矢印が表示される、という形です。
|ARナビのデメリット
便利な点が多いARナビですが、生まれて間もないということもあり、まだ使いにくい部分もあります。
立ち止まらないと読み込まない
歩きスマホを防止するため、歩きながらARナビを使うことはできません。
そのため、経路をARナビで確認するには、一度立ち止まる必要があります。
そして、立ち止まる度にカメラで周辺の建物や看板を読み込まなければなりません。
ARナビを表示させてから周囲の建物や看板を読み込むまで10秒もかかりませんが、既存の地図アプリには存在しない待ち時間であり、慣れるまではわずらわしさを感じるかもしれません。
全体のルートを把握できない
ARナビは、ユーザーが見ている実際の風景に情報を重ね合わせる形で道案内をするので、
ルートの全体像がつかみづらいという問題もあります。
平面の地図アプリであれば、地図を縮小する操作をすることで、ルート全体を簡単に表示できますし、経路をどれくらい進んだかも直感的に把握できます。
googlemapのARナビなどは、2D地図も表示するようになってはいますが、今のところは現在地付近の地図のみです。
ある程度のスペックが必要
現状では、ARナビの演算がデバイスにとって重すぎるという問題もあります。
スマホのARナビでは、発熱やアプリの停止などの現象が起きる場合もあります。
また、カーナビの事例でも、画面にタッチするとかなり熱くなる場合があります。
|ARナビの導入例
ここからは、ARナビの技術を導入したサービスの実例をご紹介します。
GoogleMap
Googleマップアプリのライブビュー機能で、ARナビを利用することができます。
ARcoreに対応したスマートフォンで徒歩の経路を検索すると、ライブビューが選択できます。
カメラが起動するので周囲を撮影すると、現在地を認識してくれます。
ライブビュー機能は、歩きスマホ防止のため、使用者が歩き始めると自動でオフになり、平面のマップが表示されるようになっています。
道順に迷ったときに立ち止まり、ライブビュー機能に切り替えるといった使い方になります。
Appleマップ
iPhoneの標準「マップ」アプリでも、ARを活用した歩行者ナビゲーションが搭載されています。
東京のほか、大阪、京都、名古屋、福岡、横浜、広島といった大都市で利用可能です。
PinnAR
ARナビアプリであるPinnARは、マップ機能だけでなく、レジャー目的の移動に合わせた様々な機能やサービスを備えています。
訪れたグルメスポットの動画を共有したり、電車駅やレストランなど、ジャンルごとにスポットを近い順で検索することもできます。
屋内ナビ機能も備えており、2022年2月には東京都庁庁舎に導入されました。
庁舎内の店舗やエレベーター、トイレ、ショップなどを選択でき、行きたいスポットを選択すると最適な場所を選んで案内してくれます。
メルセデス・ベンツ
メルセデスベンツには、ARナビゲーション機能を搭載した車種が登場しています。
車前方の映像をカーナビの画面に映し出し、経路案内をその映像の上に重ねて表示します。
また、このナビゲーション機能は音声入力に対応しており、目的地入力などが口頭で行えます。
|まとめ
ARナビは、直感的に非常に分かりやすく経路を表示してくれる便利な機能ですが、まだまだ発展の余地のある技術です。
カメラ映像から現在地を割り出すという仕組み上、周辺の風景の画像情報をあらかじめ登録しておく必要もありますので、大都市周辺にしか対応していないというARナビサービスもあります。
しかし、そうした対応範囲の広がりや場椅子の進化によって、さらに使いやすいサービスが登場するものと思われます。