近年、AI技術を活用した革新的なアプリケーションやサービスが次々に生み出されています。
AIの進化は目覚ましいものがありますね。
ついには、人間が何かを見て「いいな」とか「いやだな」と感じる印象を、評価・分析するAIが登場しました。
本記事では、人間の印象を評価・分析する感性AIについて詳しく解説します。
人に与える印象を定量化できるなんてすごいですよね。
「感性AIって何?どんな機能があるの?」という疑問に具体的にお答えしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|感性AIとは

まず「感性AI」についてご説明します。
「感性AI」というとてもキャッチーで興味をそそるワードですが、これはAIの名前ではなく企業名です。
感性AI株式会社は、京王電鉄株式会社と国立大学法人電気通信大学の坂本教授の共同出資により設立されたベンチャー企業です。
坂本教授の特許技術・知財を活用し、感性価値の創造や訴求力の向上に寄与する新たなマーケティングソリューション「感性AIアナリティクス」と「感性AIブレスト」を提供しています。
この2つのソリューションは、これまで曖昧で捉えどころのないものとされていた人間の感性を、独自のAI技術により定量化、可視化することを実現しました。
これにより、消費者のニーズを的確に捉えることができ、クリエイティブを強力にサポートします。
また、これらは、総務省が後援する「第15回 ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2021」で、AI部門ニュービジネスモデル賞を受賞しており、業界内外でも評価、注目を集める革新的なソリューションです。
|感性AIが提供する2つのソリューション
感性AIが提供する「感性AIアナリティクス」と「感性AIブレスト」を一言で表すと、クリエイティブ&インスピレーション支援ツールです。
商品開発やブランディングのプロセスにおいて、消費者の感性に訴えかける要素を緻密に分析し、効果的なアプローチを提案します。
例えるなら、感性AIアナリティクスは「言葉のソムリエ」、感性AIブレストは「アイデアのコンシェルジュ」といったところでしょうか。
ここからは、この2つのソリューションについてそれぞれ詳しく解説していきます。
|感性AIアナリティクスとは
感性AIアナリティクスは、商品のネーミング、キャッチコピー、パッケージデザインの語感や印象を瞬時に分析・可視化するサービスです。
従来、マーケティングリサーチやアンケート調査に依存していた評価が、この技術により簡単かつ迅速に行えます。
具体的な機能として、ネーミングやキャッチコピーの案を入力すると、AIがそれらの印象を定量的に評価し、さまざまな印象尺度(例:「深いー浅い」「安心感あるー不安な」「モダンなークラシックな」)で表してくれます。
印象尺度を軸にしたグラフやチャート、ポジショニングマップで視覚化が可能であり、キャッチコピーでは連想するワードも一目で把握できます。
商品開発やブランディングの際には、「商品に求められる印象とネーミングの響き、キャッチコピー、パッケージデザインが与える印象が一致しているか?」という視点が重要になります。
感性AIアナリティクスは、そうした場面で即座に定量的な評価を提供し、効果的なマーケティング活動を促進します。
|感性AIアナリティクスの機能
続いて感性AIアナリティクスの機能について詳しく見ていきます。
主な機能は次の3つです。
- ネーミング感性評価
- キャッチコピー感性評価
- パッケージ感性評価
順に説明します。
ネーミング感性評価
ネーミング感性評価は、商品名の音の響きに対する「好意度」と「印象評価」を分析し、商品名から連想される言葉をピックアップする機能です。
印象評価と消費者の連想知識を別々に評価することで、改善点が明確に浮かび上がってきます。
従来、商品名の決定には多くの時間と多大なコストをかけつつも、「なんとなくこっちがいい」「こっちが好き」といった意思決定者の主観で決まっていた部分が大きいです。
しかし、この機能により、感覚的な判断だけに頼らず客観的な数値でネーミングの効果を検証できます。
さらに、性別・年齢や商品カテゴリー別の分析も行えるため、ターゲット層に合ったネーミングの提案ができます。
ネーミングは、最終的に何が正解かわかりません。
しかし、客観的な判断材料を持つことにより、納得感のある意思決定につながるはずです。
キャッチコピー感性評価
キャッチコピー感性評価は、キャッチコピーの印象とそこから連想される言葉を定量的に分析する機能です。
これにより、キャッチコピーが商品のコンセプトと一致しているかを確認できます。
さらに、性別や年齢、商品カテゴリーによる分析も実施可能で、マーケティング調査のコスト削減と効率化が期待できます。
大企業の場合、各部署が独自の事業展開を行うことで、ブランドの一貫性が失われることがしばしばあります。
感性AIを組織全体で活用することで、部署間の隔たりを解消し、共通のイメージを維持しながら事業展開できます。
キャッチコピー感性評価は、新製品開発や現行商品のリニューアルにおいて、ブランディングや販売促進活動を効果的に推進します。
パッケージ感性評価
パッケージ感性評価は、パッケージデザインの色彩や模様に対して、定量的な印象評価を実施する機能です。
この分析により、パッケージデザインが消費者に与える好意度や印象を確認できます。また、性別、年齢、商品カテゴリー別の分析も可能です。
パッケージ案を入力すると、「好意度」「感性評価」がグラフやレーダーチャートで出力されます。
複数パターンの案を入力すると、重ねて表示され、比較分析が容易にできます。
パッケージ感性評価を活用することで、商品開発やリニューアルの際に、効果的なパッケージデザインの選定が可能。
洗練された魅力的なパッケージデザインは、消費者の心を捉え、商品価値の向上につながることでしょう。
|感性AIアナリティクスの特徴
感性AIアナリティクスの特徴についてさらに掘り下げていきます。
主な特徴は次の5つ。
- 印象評価分析
- 性年代別・商品別分析
- 直感で把握しやすい分析結果
- 連想語予測
- ポジショニングマップ作成
印象評価分析
印象評価分析は、感性AIアナリティクスの核となる機能で、商品のネーミング、キャッチコピー、パッケージデザインに対する印象を定量的に評価します。
主に「好意度」「共感性」「品質感」「インパクト」という4つの評価軸と、それらを細分化した43の感性尺度により数値で評価をします。
これにより、人間の感覚的で曖昧な要素を具体的なデータとして捉えることが可能になります。
性年代別・商品別分析
感性AIアナリティクスでは、性別・年代別、商品別に印象評価の結果を出力できます。
これにより、ターゲットとなる消費者セグメントに対してどのような印象を与えるかを詳細に分析することが可能です。
また、複数の商品を画面上で同時に表示し、評価・比較ができます。複数の候補から、よりターゲット層の好みに合った最適なアプローチを見つけ出すことができるでしょう。
性年代別・商品別分析を活用することで、競合との差別化や市場での成功率の向上が期待できます。
直感で把握しやすい分析結果
感性AIアナリティクスは、直感的で把握しやすい分析結果が強みです。
バーチャート、レーダーチャート、折れ線グラフ等で視覚的に捉えやすい結果を表示します。
これにより、データを瞬時に把握、分析できます。
また、さまざまな場面に対応したレポーティング機能も搭載されており、プレゼンテーションや報告書などの資料作成も効率的に行えます。
直感で把握しやすい分析結果は、スピーディでデータドリブンな意思決定を促進し、ビジネス競争力を高めることができます。
連想語予測
感性AIアナリティクスの連想語予測機能は、ワードマップを用いて商品名やキャッチコピーから連想される言葉を分析します。
ワードマップとは、キーワードを中心に配置し、関連性の高い言葉が近くに表示される視覚的な図です。
これにより、商品やブランドのコンセプトと連想語の整合性を確認できます。
連想語予測を活用して、効果的なメッセージや適切なコンセプトを提案することが可能となります。
ポジショニングマップ作成
ポジショニングマップ作成機能は、比較したい対象や軸を用いて、相対的なポジションを視覚的に表現します。
ポジショニングマップは、縦軸、横軸からなる二つの軸(例:価格、品質)を基準に、商品やサービスが市場内でどのような位置にあるかを図で表します。
これにより、複数の候補案のポジションを瞬時に把握し、コンセプトに適した選択肢の判断に役立ちます。
また、競合との差別化や戦略的な市場分析にも利用でき、効果的なブランド戦略に活用できます。
|感性AIブレストとは
ここからは2つ目のソリューション「感性AIブレスト」について解説します。
感性AIブレストは、独自のAIを活用した革新的なアイデア生成ツールです。
消費者データを学習したAIがネーミング、キャッチコピー、パッケージデザインのアイディア候補を複数提案するというものです。
これにより、新商品開発や既存商品リニューアル時のブランディングやデザインプロセスにおいて、新奇性と独創性に富んだアイデア出しをサポートします。
コンセプトワードや画像を入力するだけで、AIが商品の特徴やイメージに適したネーミングやキャッチコピー、パッケージデザインを提案。
効率的な商品開発やリニューアルが可能になります。
人間とAIのコラボレーションにより、最高の表現力を実現。市場での競争力を向上させることでしょう。
感性AIブレストは、プロジェクトチームの一員として、独創的なネーミングやデザイン案を提供し、プロジェクトの成功へと導く強力なパートナーとなることでしょう。
|感性AIブレストの機能
続いて感性AIブレストの機能について詳しく見ていきましょう。
主な機能は次の3つです。
- ネーミングプレスト
- キャッチコピーブレスト
- パッケージブレスト
順番に解説します。
ネーミングブレスト
最初に紹介する機能はネーミングブレストです。
この機能は、入力情報に基づいてAIが商品名の案を瞬時に生成し、アイディア出しをサポートします。
商品名の検討時に活用できるこの機能は、訴求ターゲット(性別・年代や商品カテゴリー別)に応じて最適な提案ができます。
このような効率的なアプローチにより、魅力的な商品名の候補を迅速に見つけ出すことができ、プロジェクトの成功に貢献します。
また、AIによる網羅的なアイディア出しにより、人間では思いつかないような多様な視点・発想のヒントを得られることが大きな利点です。
ネーミングブレストを活用することで、消費者の心を動かすユニークでインパクトのあるネーミングにつながることでしょう。
キャッチコピーブレスト
2つ目の機能はキャッチコピーブレストです。
入力された情報をもとに、AIがキャッチコピー案をブレストし、アイディア出しをサポートします。
商品コンセプトとキャッチコピーに使いたいキーワードを入力するだけで、キーワードから連想される言葉を元にブレストしたキャッチコピー候補の一覧を瞬時に出力できます。
ネーミングブレスト機能と同様、訴求ターゲットに応じた案出しも可能。
これまで考えつかなかった斬新で魅力的なキャッチコピーが生まれるきっかけとなるでしょう。
広告やプロモーションで用いるキャッチコピーがターゲット層に対して強い訴求力を持つことで、商品やブランドの認知度や魅力をより一層引き上げます。
パッケージブレスト
3つ目の機能はパッケージブレストです。
入力したコンセプト情報から連想されるカラーを用いて、アップロードされた基本デザインを元に、パッケージデザイン案を瞬時に作成します。
膨大なデータを学習したAIにより、最適なカラーパターンやデザイン要素を組み合わせて提案します。
人間のデザイナーとは異なる視点でデザイン可能なため、新たなアイディアや斬新なパッケージデザインが期待できます。
パッケージブレスト機能は、開発チームやデザイナーの負担を軽減し、効率的な商品開発やリニューアルを実現します。
また、ターゲット層に魅力的なパッケージデザインを提供することで、消費者の目に留まり、商品の認知度を上げてくれるでしょう。
|感性AIブレストの特徴
続いて感性AIブレストの特徴をさらに深掘りしていきます。
感性AIの特徴は以下の4つ。
- 訴求ターゲットに最適な案をブレスト
- 連想語からコンセプト設定可能
- 商品ごとにアイデアをストック
- オノマトペもブレスト
一つずつ見ていきます。
訴求ターゲットに最適な案をブレスト
感性AIブレストは、訴求ターゲットの属性やパーソナリティを入力することで、ターゲットに合わせた効果的な提案をしてくれます。
ターゲットの年齢・性別、さらに「シャイ」「アクティブ」などの性格や行動パターンの傾向を入力すると、ターゲットへの訴求力の高い結果を返します。
これにより、広告コンテンツやプロモーションを効率的に検討でき、マーケティング戦略の成功に繋げられます。
連想語からコンセプトを設定可能
ターゲットの性年代やパーソナリティ情報を入力することで、対象ターゲットに関連する連想語をワードマップ形式で提示します。
このワードマップを利用し、商品コンセプトの設定が直感的に行えます。
キーワードを中心に、1次連想語と2次連想語が脳のシナプスのように連なり、画面上で表現されます。
これにより、ターゲットの関心や好みを考慮したコンセプト設定が容易になり、プロジェクトの効果的な進行が可能になります。
商品毎にアイデアをストック
開発中の各商品に対して、ネーミングやキャッチコピー、パッケージに関するブレスト情報を保存できます。
それぞれの商品についてアイディア情報を蓄積し、必要なタイミングで簡単に確認が可能。
プロジェクトが行き詰まるなどして、途中段階に戻りたいときなど、とても有効な機能です。
オノマトペもブレスト
元のオノマトペから類似したオノマトペを生成する機能です。
例えば、「ふわふわ」や「キラキラ」などの表現から「ふっくら」「ぴかぴか」などの類似したオノマトペを生成できます。
これにより、これまでにない独自の響きや印象を消費者に与えることが可能。
ネーミングやキャッチコピーに新たなオノマトペを取り入れることで、商品をより魅力的に伝えることができます。
|まとめ
いかがでしたか?
感性AIの有効性、将来性を十二分に感じられたのではないでしょうか?
感性AIは、人間の感性を補完し、さまざまな分野で革新的な価値を創造することでしょう。
このソリューションを利用すれば、これまで多大なコストと時間を要していた商品開発やマーケティング、ブランディングの手法に革命的な変化をもたらすと期待できます。
今後も感性AIの動向から目が離せませんね。























