イラストやアニメーションの制作現場のほとんどがデジタル化されています。
人を描くときのポーズや構図の参考にデッサン人形が利用されることは一般的ですが、3Dデッサン人形を使用することで、デザインの幅をさらに広げることができます。
今回の記事では、3Dデッサン人形が使用できるおすすめツールを紹介していきます。
デッサンの際にぜひお役立てください。
目次
|3Dデッサン人形とは
デッサン人形といえば、木で作られた人型のものが有名ですね。
このデッサン人形をデジタルで3D化したものが3Dデジタル人形です。
デジタルでイラスト制作するときにトレースすることもでき、非常に重宝されています。
木のデッサン人形では自分でポーズを作ったり方向を変えたりと手間が必要でした。
3Dデッサン人形は、この手間を解消したうえでイラスト制作においてとても役立つものになっています。
デジタルのため置き場所に困ることもありません。
画面上で自由に動かすことができ、360度すべての角度からマウス操作のみで見ることができます。
頭身やサイズを自由に設定できるものもあり、描きたいイラストの完成形をイメージしやすいこともメリットです。
使用するツールによってはすでにポーズや構図のパターンが用意されており、自分で形を作らなくても済むというのも利点といえるでしょう。
また、完成したポーズを保存できるため、再度作り直すという作業も不要になります。
|3Dデッサン人形ツールを選ぶポイント
つぎに、3Dデッサン人形ツールを選ぶポイントについて解説していきます。
具体的には以下の内容になります。
- ポーズのサンプル有無
- モデルの種類の豊富さ
- 無料か有料か
ひとつずつ解説していきますので、参考にしてみてくださいね。
ポーズのサンプル有無
まず重要になるのが、ポーズのサンプルがあるかどうかです。
3Dデッサン人形は自由に動かすことができますが、ポーズを作る作業に苦戦することも多く、慣れないうちは時間がかかってしまします。
ポーズのサンプルがあればイメージに近いものを選び微調整するだけでよいので、かなりの手間が省けます。
これからツールを選ぶという方は、ポーズのサンプルが豊富に用意されているツールを選ぶようにしましょう。
モデルの種類の豊富さ
自身が描きたいイラストに合ったモデルの種類があるかどうかも重要です。
性別だけでなく、頭身や体型、アニメ風のキャラクターかリアルな人間かなど描きたいものはさまざまでしょう。
モデルのバリエーションが豊富な方ツールを選ぶ方がデザインの幅を広げることにもつながります。
ツールによってモデルの種類が異なるため、ひとつのツールで足りない場合は、複数併用するのも手かもしれません。
無料か有料か
3Dデッサン人形が使えるツールにも無料のものと有料のものがあります。
完全無料のものや購入型ものなどさまざまですが、基本無料で利用できるものが多くなっています。
無料のものでも十分使える範囲ではありますが、サンプルやモデルを増やしたい場合や追加機能がほしい場合には課金が必要になります。
ただ比較的安価であるため、必要であれば購入するのもありではないでしょうか。
ご自身が利用したい範囲や予算に合わせて、無料か有料かを検討してください。
|おすすめの3Dデッサン人形ツール
ここからは、6つのおすすめ3Dデッサン人形ツールについて紹介していきます。
それぞれに強みや特徴がありますので、ご自身に合ったツールが見つけられるのではないでしょうか。
それではひとつずつ紹介していきます。
CLIP STUDIO PAINT
3Dデッサン人形ツールで幅広く使われているのが「CLIP STUDIO PAINT」です。
イラスト制作やペイントツールとしてプロのアニメーターや漫画家の間でも人気があり、いまから始めてみたい人にまずおすすめしたいツールです。
リアルな体型と漫画向け体型の男女モデルが用意されているため、描きたい作品に合わせて選択することができます。
頭身や体型も自由に設定でき、手や足などもパーツごとに調整が可能です。
また、モデルの関節が不自然に曲がらないように設定できることもうれしい機能のひとつといえるでしょう。
ポーズの素材も充実していますが、写真に撮ったポーズを取り込んで3Dデッサン人形に落とし込めるポーズスキャナーという機能があるのが特徴的です。
カメラで写した手を連動させるハンドスキャナー機能も搭載されており、既存のポーズにない手の形も簡単に3Dデッサン人形に反映させることができます。
「CLIP STUDIO PAINT」は有料ツールとなっており、PCで使用する場合は一括払いで5000円、iOSやAndroidなどのスマホ・タブレット端末で使用する場合は月額利用プランで月100円から利用することができます。
無料体験版もあるので、気になった方はぜひ試してみてください。
ArtPose Pro
筋肉の描写や動きが細かく、リアルな人体を描くのにおすすめのツールが「ArtPose Pro」です。
男性と女性のリアルなモデルが用意されています。
iOSおよびAndroidの端末に対応しており、720円で購入可能です。
男性モデルだけが女性モデルだけの分割版もあり、そちらはそれぞれ約半額で購入することができます。
ほかのツールと比べて筋肉の造形が細かいことが特徴で、人体ポーズを描くために広く使われています。
手や身体のポーズが全部で240種類用意されており、簡単にポージングを設定することができます。
体型を変更できることはもちろんですが、カメラアングルや照明角度を変更することも可能です。
人体解剖モデルもあり筋肉の構造をしっかり観察することができるため、人物デッサンを習得したい人は一度使用してみることをおすすめします。
Handy Art Reference Tool
「Handy Art Reference Tool」は、手・足・頭などのパーツごとに3Dモデルが用意されているツールです。
iOSおよびAndroidの端末に対応しており、320円で購入可能です。
身体の一部分の3Dデッサン人形に特化していることが「Handy Art Reference Tool」の最大の特徴で、100種類以上のモデルが用意されています。
モデルもかなり精巧に作られており、肌や毛穴まで表現されているものもあります。
手のポーズであれば関節ごとに指を動かせるなど、細部まで調整することができます。
モデルを追加購入すれば、動物の頭蓋骨といった少しマニアックなモデルを入手することも可能で、デッサンの練習にも有用なツールともいえるのではないでしょうか。
Easy Poser
「Easy Poser」は漫画やイラストに特化したツールで、iOSおよびAndroidのスマホ・タブレット端末に対応しています。
使いやすいUIやモデルのクオリティの高さから人気のあるツールです。
既成ポーズ種類も多く、6体まで同時にモデルをたてることができることから使い勝手もよいでしょう。
乗り物や動物など、人物以外の素材も多数用意されているのも特徴です。
無料版と有料版があり、違いは以下のような内容です。
- オートセーブ機能の有効化
- 完成したポーズの保存できる最大数
- すべての既成ポーズを使用できるかどうか
- 使用可能なモデル数
- ひとつの画面に設置できるモデル数
有料版は610円の買い切り型ですが、ダウンロードコンテンツだけを購入することも可能となっています。
関節の動かしやすさや光源の表現も繊細なことを見ても無料版でも十分利用できるツールです。
まずは無料のものを試してみたい人には「Easy Poser」がよいのではないでしょうか。
MagicPoser
「MagicPoser」はタップやドラックなどの簡単操作で扱えるのが魅力のツールです。
iOSおよびAndroidのスマホ・タブレット端末に対応しており、Web版も配信されています。
直感的に操作できるため使い勝手がよく、初心者にも扱いやすいツールといえるでしょう。
ポーズも多数揃っており、すべての種類を合わせれば3000種類以上あるとされています。
髪型と服装は100種類以上あり、自分のイメージに合ったカスタマイズを楽しむことができます。
小道具も500種類以上と豊富で、様々なシチュエーションをイメージできることも魅力です。
建築物の3Dモデルも用意されており、背景としても使えるでしょう。
基本無料で利用可能ですが、Pro版であれば1600円の買い切り型、マスター版であれば月額1700円で購入可能となっています。
グレードが上がるにつれて機能や使用可能モデルが増えていくので、必要であれば購入を検討しましょう。
DESIGN DOLL
最後に紹介するのがWindows専用ソフトウェアの「DESIGN DOLL」です。
搭載されている機能の多くはユーザーからの要望から実装されたものとなっており、ユーザー目線に立ったツールといえます。
手足の指が細かく調整できることが「DESIGN DOLL」の特徴のひとつです。
指専用のコントローラーが実装されており、長さや曲がり具合など指一本ずつ調整できるため、より細かな設定が可能です。
ほかにも、さまざまなパース機能がついており、WindowsPCを使用している方は一度インストールして体感してみてはいかがでしょうか。
無料版とライセンス版があり、ライセンス版は7980円で購入可能です。
ライセンス版を購入することで、「ドールのアトリエ」というポーズ資料サイトにユーザーからアップロードされたポーズやモデルをダウンロードして使うことができるようになります。
ほかのユーザーのアイデアを参考にできるため、自分のデッサンの幅もひろがりますね。
|まとめ
本記事では、3Dデッサン人形とツールについて紹介しました。
プロのアニメーターや漫画家の方が使っていることからも有用性がおわかりいただけるのではないでしょうか。
ツールごとの特徴を生かして、ご自身に合うものを探しデッサンの幅をひろげていきましょう。