ついにApple Vision Proが世界に先駆け米国で発売されました。
Vision Proは、Apple初のVRヘッドセットとして数年前から話題になっていたため、気になっている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、
「Vision Proってなんだろう?」
「話題になってるけど何がすごいのかな?」
「Vision Proで何ができるのか知りたい」
と感じている方に向けて、
- Vision Proの概要(価格や日本での発売時期など)
- 機能や特徴
- MetaQuestとの違い
- 活用方法
についてくわしく解説していきます。
これまでもAppleは新しいデバイスを発表するたびにテクノロジー業界を揺るがしてきました。今回の Vision Proも画期的な製品になっています。要注目です!
目次
|Apple Vision Proとは
Vision Proは、Apple社が発売した、最新のゴーグル型ヘッドセットです。
CEOであるティム・クック氏は、この Vision Proを「空間コンピューティングデバイス」と位置づけており、バーチャル3D空間を活用した多くの機能を搭載しています。
Vision Proを装着すると、普段生活している現実の風景の中にデジタルのモニターが現れて、資料を確認したり映画を見たり、さらにそれらを視線の動きや指の動作、音声などで操作できます。
他にも、相手の顔を見ながら通話できたり、VR/ARコンテンツを体験できたりと、リアルとバーチャルがシームレスにつながる体験が可能です。
Vision Proは、まさに近未来を提供してくれるデバイスと言えます。
|日本での発売日は2024年下半期
Apple Vision Proは2024年2月2日に米国で販売がスタートし、その後、2024年下半期には日本を含む他の国でも順次販売が予定されています。
他国では、韓国、中国、香港、オーストラリア、フランス、ドイツでの発売が検討されています。
したがって、どうしても発売日まで待てずに今すぐ購入したい場合は、アメリカに渡航して購入する必要があります。
購入にはアメリカ版のAppleアカウントが必要であり、受け取りはアメリカ国内の店舗またはアメリカ国内への配送のみとなっています。
価格は約50万円
販売価格は3,499ドル、日本円にして約50万です。
先日発表されたMeta Quest 3が7万ほどでしたので、これまでのデバイスと比較しても「高い!」と感じるのではないでしょうか。
ただし、それだけの価値をVision Proが持っているのであれば納得できますね。
|Meta社のMeta Questとの違い
ここで、Meta社が販売している最新鋭機種「Meta Quest 3」と「Apple Vision Pro」の大まかな違いについてみていきましょう。
Meta Quest 3との比較
Apple Vision ProとMeta Quest 3では、価格や重さ、操作方法などにおいて随分と違いがあります。
Apple Vision Pro | Meta Quest 3 | |
価格 | 3,499ドル(約50万円) | 74,800円(128GB) 96,800円(512GB) |
重量 | 600~650g | 515g |
操作方法 | ジャスチャー操作のみ | コントローラーあり |
バッテリーの位置 | 外付け | ヘッドセット内に搭載 |
見え方 | MR(※)機能があり、ゴーグルをつけても周囲の様子がわかる。 EyeSight機能により、ゴーグルにユーザーの「目」を表示できる | MR機能があり、ゴーグルをつけても周囲の様子がわかる |
※MR:MRとはMixed Realityの略語。現実とバーチャル世界の融合を可能にする技術
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【2023/10/10発売】Meta Quest 3の情報まとめ!価格、機能、ビジネスへの活用は?
|Apple Vision Proの特徴
さて、ここからは気になるVision Proの特徴を解説していきます。
デザイン
Vision Pro全体としては、コンパクトな印象です。
後頭部を支えるヘッドバンドは交換が可能で、Apple Watchを彷彿とさせます。
クッション性や通気性・伸縮性を兼ね備えていますので、長時間装着していても疲れないような設計になっています。
目の周りにはライトシールがありますが、こちらは他社同様に磁石製で取り外しが可能です。
ただしユーザーの顔の形状に合わせて曲がるようになっており、誰でも快適に装着することができます。
外付けバッテリーパック
Vision Proでは、バッテリーは外付け式となっています。
バッテリー接続時は連続2時間まで、電源につなげば何時間でも連続して使用することができます。
ディスプレイ
最も重要なディスプレイについてですが、micro-OLEDディスプレイを用いており、トータルで2,300万画素。FOV(視野角)は約90°です。
また、視力が低いユーザーも安心して使用できるよう、ZEISSと提携し「Zeiss Optical Inserts」という視力矯正アクセサリが用意されています。
虹彩認証
Vision Proは生体認証に目の虹彩で認証する「OpticID」を搭載しています。
これまでAppleの生体認証は、指紋認証「TouchID」と顔認証「FaceID」の2つでした。
今回のOptic IDも2つと同様、ロック解除や決済の際に利用できます。
私もiPhoneをずっと利用していますが、FaceIDは便利な一方、メガネやマスクをしていると場合によっては認証してくれないということもあり不便を感じることもありました。
しかし、OpticIDであればそういった心配はなく、正確さも増すということですので、より快適かつ安全に利用することができそうです。
|Apple Vision Proでできること
Vision Proの特徴は理解いただけたでしょうか。
ここからは実際にVision Proの機能面について、何ができるのかを解説していきます。
没入レベルの調整
Vision Proの側面にダイヤルがありますが、ここで調整できるのは「没入レベル」です。
調整により、「現実モード」「現実×バーチャルモード」「VRモード」といった具合に見え方を切り替えることができます。
その時々に合わせて調整することができるため、Vision Proを一日中ずっと装着して過ごすことを狙いにしているのではないかと考えられます。
手、目、声での直感的な操作
Vision Proにはコントローラーがありません。
その代わり、私たちの手や視線の動き、声で操作が可能です。
これは、多くのカメラやセンサーが内外に搭載されているためです。
新たに開発されたR1チップにより、12個のカメラ、5個のセンサー、6個のマイクから得られる情報をほぼ遅延なく処理することができるようになりました。
例えば視線でアイコンを選択したり、仮想キーボードでのタイピング、検索窓への音声入力が可能となります。
周囲の状況を把握しながら使用できる
ヘッドマウントディスプレイを装着すると没入感を得ることができる一方で、外が見えないため現実から遮断されてしまうという課題がありました。
しかし、Vision ProにはMR機能が搭載されているので、Vision Proを頭にかぶっていても周囲の様子を把握できます。
つまり、ヘッドマウントディスプレイを装着中も、近づく人の姿を認識できたり、身の回りのモノを避けて移動したりすることが可能です。
また、「EyeSight」という機能によってユーザーの目がディスプレイ外部に映し出されるので、相手も目を見て会話をすることができます。
マルチタスクが可能なキャンバス
Vision Proを装着し起動すると、自分を取り囲むかのようにずらっとアプリが表示されます。
さまざまなアプリを同時に扱えるので、マルチタスクをするのに便利です。
当然ながらアプリはユーザーの使いやすいように並べ替えることができますし、上下左右に並べたり、重ねたり、大きさの調整もできます。
没入度の高いエンタメ体験
Vision Proを使えば、優れたエンタメ体験をすることが可能です。
2,300万画素のディスプレイを備えていますので映像の美しさはもちろんですが、映画館のような立体音響や迫力のある映像を楽しむことができます。
サウンドは空間によって自動で調整されますので手間もかかりません。
さらに、映像は180度および3Dで視聴することができます。
100以上あるApple Arcadeのゲームをプレイすることもできますので、エンタメ体験には困らないでしょう。
3Dカメラ撮影
Apple初の機能として、Vision Proには3Dカメラが搭載されます。
簡単に撮影ができ、奥行きのある映像・音声共に3Dで残すことが可能です。
もちろんiCloudにも対応していますので、これまでiPhoneやiPadなどで撮影した写真や動画のチェックもできます。
また、Vision Proならパノラマ撮影した写真も目の前に写すことができます。壮大な写真と共に記憶が蘇ってきそうですね。
FaceTime通話
FaceTime通話とは、iOSで使用できるビデオ通話機能です。
Vision Proでは、このFaceTime通話を使って知人や友人とつながることができます。
通話に参加している人物は空間内に実物と同じ大きさで投影されます。
また、内蔵されているスピーカーにより、それぞれ投影されている場所から話しているかのように声が聞こえるようになります。
まるで実際に同じ場所にいて話しているかのようですね。
|Apple Vision Proの活用例
それでは、最後にApple Vision Proの活用方法についてです。
現在すでに可能なこと、さらに近い未来に実現しそうなことも交え紹介していきます。
設計やデザイン
Vision Proは、約4Kの高解像度ディスプレイが2つあることで3Dコンテンツを鮮明に表示し、設計やデザイン作業をサポートします。
例えば、3Dデザインを共同で作業できるツール「Omniverse」と連携し、サーバー上で作成された3Dモデルをストリーミングし、リアルタイムで確認できます。
また、ポルシェの「Porsche Race Engineer」では、エンジニアがリアルタイムで車両データを可視化し、走行中のサーキットの状況と共に速度やブレーキなどの車両の性能や状態を確認できます。
ショッピング
Vision Proを装着すれば家具店やインテリアショップをバーチャルで訪問できるようになります。
店内を歩きながら好きな商品を見て回ることができ、実物大の家具をイメージしつつ、素材やカラーを自由に入れ替えることも可能です。
加えて、3Dモデル化した自宅のリビングに家具やインテリアをセッティングして距離や時間に縛られないショッピングを楽しむこともできます。
ファッション
現在では、ほとんどが2Dでしか品定めできないファッション業界でも、Vision Proを使うと実店舗に訪れたかのような没入感のあるリアルな画面で洋服を選ぶことができるようになるでしょう。
ファッションショーでモデルが身につけているアイテムを自分のアバターに着せてみたり、気に入ればそのまま注文したりすることもできる未来が来るかもしれません。
ビジネス
Vision Proは、ビジネスにおける生産性向上のために作業空間をカスタマイズします。
例えば、「SAP Analytics Cloud」と「SAP Mobile Start」をVision Proに対応させ、3次元的に情報やデータを効率的に管理しています。
さらに、Microsoftも「Microsoft 365」関連製品をVision Proに対応させ、文書作成や会議、AIツールの利用が可能です。
これにより、直感的なデータ可視化やマルチタスクの実行が容易になり、効率的にビジネスを実現することができます。
医療
高性能なパススルー機能(※)を持つVision Proは、医療の現場からも注目されています。
Vision Pro発売日の2024年2月2日、米国カリフォルニア州スタンフォード大学医学部にて、Vision Proの3Dフルカラービデオパススルー機能を使って、人体解剖や癌、手術手技を遠隔地の医療従事者に共有する国際会議が開かれました。
この会議では、Vision Proが、人体の立体的な構造をリアルに投影し、医療従事者の直感的な理解を助ける役割を果たすことが発表されました。
※パススルー機能:カメラで映した現実の映像をヘッドセットのディスプレイに表示する機能
具体例として、空間テクノロジー企業のeXeX社は、イギリスのクロムウェル病院における外科脊椎手術でVision Pro導入。
手術中は、医師や手術スタッフがハンズフリーかつタッチフリーで操作が可能であるため、特に無菌室内での作業において大きなメリットとなりました。
また、手術ガイドや医療機器の準備が従来よりも迅速かつ正確に行われ、医療チームの効率が飛躍的に向上しました。
これは同時に、患者にとっても高水準のケアが提供できることにも繋がるでしょう。
シュミレーション
Vision Proを利用することで、「本番環境」や「実際の現場」に限らず、効率的なトレーニングや学習が可能です。
KLMオランダ航空では、整備担当者がVision Proを使用し、メンテナンス前に3Dモデルを表示して作業フローを確認し、事前学習による効率改善を図っています。
さらに、工場建設時の生産ライン設計や運用シミュレーションでは、バーチャルな生産ラインモデルを用いて、最適な運用方法を構築し、効果を測定しています。
作業効率化
Vision Proは「ガイドされた作業(Guided Work)」として、作業指示書の表示や現場の状況に合わせた回路図や配管の可視化などに活用され、現場作業者の生産性を向上させます。
例えば、「FireOps」は森林火災や救助活動に対応し、リアルタイムで現場の状況と地理データを表示して、効果的な作業の振り分けを支援します。
特にVision Proであるハンドジェスチャー等での操作は、軽量で業務への適性が高く、会議や研修、現場作業の効率化に役立ちます。
バーチャル旅行
Vision Proと地図アプリを融合させれば、リアルなバーチャル旅行が楽しめるでしょう。
2,300万画素の高画質で実際の建物や景色を実物に近いサイズに拡大するとその迫力は計り知れません。
経済的な理由や健康上、あるいは時間がないなどの事情で現地に出向くことができない人でも世界中を旅することが可能になります。
危険度の高い山岳や渓谷など本来は近づけない場所にもアクセスできる楽しみが持てるでしょう。
エンターテイメント
Vision Proの国内初の事例として、映画『哀れなるものたち』の特別展示が挙げられます。
2024年2月10日に渋谷PARCOで開催されたこの展示では、Vision Proを活用した空間体験アプリが展示され、映画の世界に没入することができました。
このアプリでは、映画のキャラクターや美術、衣装などを間近に観賞し、最新のAR/VR技術を駆使したシームレスな切り替えや、指や目での操作による革新的なユーザー体験が提供されました。
ゲーム
Vision Proは、ユーザーの手と目、そしてSiriを使ってすべての操作が可能なため、ゲームの際もコントローラーを必要としません。
ゴーグル以外の物理的ツールは必要ないので、場所や時間を選ばないプレイスタイルで楽しめます。
|まとめ
Apple Vision Proは、現実と仮想世界を融合させ、私たちに近未来を感じさせてくれる革新的なデバイスです。
高性能で直感的な操作性により、ゲーム、エンターテイメント、コミュニケーション、ビジネスなど、様々な分野での活躍に期待が高まります。
価格は高額ですが、Vision Proがもたらす未来の可能性に注目していきましょう!