近年、VR(仮想現実)技術を使ったゲームやアプリが増え、子どもたちもその魅力に引き込まれています。
しかし、子どもがVRで遊ぶことについては年齢制限が設けられている場合があり、その理由や考えられるリスクについて十分理解しておく必要があります。
一方で、適切な対策を講じれば、安全にVRを楽しむことができるのも事実です。
この記事では、子どもがVRで遊ぶことについての様々な側面を探り、安心して楽しむための方法について紹介します。
目次
|VRには年齢制限がある
VR(仮想現実)は、子どもたちにとって魅力的な遊びのひとつとなっている一方で、以下のように年齢制限が設けられており、子どもが利用する際には注意が必要です。
- VRゴーグルの年齢制限
- VR体験施設の年齢制限
VRゴーグルの年齢制限
一般的にVRゴーグルの年齢制限は13歳以上とされています。
製品によって年齢制限は若干異なりますが、大体の製品ではこの年齢が設定されています。
Playstation VR | 12歳未満の子どもは使用できない |
Oculus | 13歳以下の子どもは使わないように |
HTC Vive | 子どもに使わせないように |
Gear VR | 13未満の子どもは使用しない |
Google Cardboard | 大人の目の届かないところでは子どもは使用しない |
年齢制限が明確に設けられていないVRゴーグルも存在するため、子どもたちがVRを利用する際には、保護者の監視や適切な使用方法の指導が必要です。
対策をしっかり講じることによって、子どもでも安全にVRゴーグルを楽しむことができます。
また、未来の社会を担う子どもたちの学びの場として活用できる可能性を秘めた技術であり、その可能性を最大限に引き出すためにも、年齢制限を遵守することが重要です。
VR体験施設の年齢制限
VRを手軽に体験できるとして近年増えているのが、VR体験施設です。
しかしVR体験施設においても安全に運営するための年齢制限が設けられています。
例えばゲームセンターや大型体験施設で遊べるVRアトラクションでは、多くの場合で以下のように設定されています。
- 7歳未満は利用不可
- 7歳以上13歳未満の子どもは保護者の同意が必要
施設によっては3歳以上から参加できるプログラムを提供している場合もあります。
これは、VRが提供する新しい体験や感覚が子どもの成長にとって魅力的であり、貴重な学びの場となることが期待されているからです。
保護者による適切な指導や監視を行うことによって、施設内での事故やトラブルの発生などが起こらないよう、マナーやルールをしっかり守ることが求められています。
|なぜVRには年齢制限がある?
魅力的な技術であるVRに年齢制限が設けられる理由やその根拠については、以下のことが挙げられます。
- まだ目や脳が発達途中にあるため
- VRゴーグルは大人用に設計されているため
- 仮想と現実を混同してしまうため
まだ目や脳が発達途中にあるため
これは単に「視力が悪くなるから」という理由だけでなく、医学的根拠が考えられています。
6歳までの発達期にある子どもがVRなどの立体視を長時間行った場合、目が内側によって戻らなくなる「斜視」の状態になることがあります。
先天的に斜視の傾向がある子どもや、VRゴーグルの影響を受けやすい子どもは特に注意が必要です。
軽度の症状であれば手術で治る場合がほとんどですが、重度の斜視になると手術をしても完全に治らない場合もあるのです。
また、長時間のVR体験や強い没入感のあるVR空間によって目に負担をかけると同時に、空間認知能力の低下や、脳に疲れやストレスを引き起こすことも懸念されます。
さらに吐き気、頭痛などの身体的な問題も発生することがあるため、たとえ年齢制限以上であっても、適度な休憩を挟みながら利用することに留意する必要があります。
そうすることで、脳や目への負担を軽減することができるでしょう。
VRゴーグルは大人用に設計されているため
VRゴーグルは、人間の平均的な瞳孔間距離に合わせて設計されています。
「瞳孔間距離」とは左右の目の黒目と黒目の距離のことを指しますが、成長過程にある子どもは、頭蓋骨の大きさの関係から考えても分かるように、この距離が狭くなっています。
現在製品化されているVRゴーグルは大人用にサイズ調整をすることは可能ですが、子ども用のサイズまで調整することはできません。
よって子どもが使用すると、目の疲れや不快感などの問題が生じる可能性があります。
そのため、VRゴーグルの年齢制限は、大人の瞳孔間距離を基準とした安全性の確保にも関係していると考えられます。
現実と仮想を混同してしまうため
仮想現実に没入することで、現実と仮想を区別できなくなることがあるため、年齢制限が設けられるとも言えます。
特に、子どもは楽しいことに没頭してしまいがちになり、現実と仮想の区別をつける能力もまだ発達していないため、仮想空間での体験が現実と混同されることがあります。
例えば、仮想現実の中で高所から落下したり、暴力的なシーンを目撃したりすると、それが現実と同じように感じられてしまい、心理的なトラウマを引き起こす可能性があります。
仮想現実の中での行動が現実にも影響を与える可能性があるため、十分な指導の下での使用が重要となります。
よって、子どもの心理的な安全性を守るためにも、年齢制限を設けることは必要なことと言えるでしょう。
|子どもでも安心して楽しめるVR
VRは使用上の注意を十分に守り、正しく使用することが大切だということが分かりました。
そこで、ここでは子どもでも安心して遊べるVRを紹介します。
これらのVR体験は、子どもたちが楽しみながらも安全に使用することができます。
是非、子どもたちにもVRの世界を体験させてあげましょう。
Nintendo LABO Toy-Con 04 VR KIT
「つくる、あそぶ、わかる」のコンセプトでVRゲームを楽しむだけではなく、“作れる”側に回れるのが魅力です。
段ボール製の工作キット「Toy-Con(トイコン)」を組み立て、Nintendo Switchと組み合わせることでVRのゲームを遊ぶことができます。
このキットでは、立体視やジャイロセンサーを活用し、360度の立体空間を体験できます。
また、VRゴーグルだけではなく「バズーカ」「カメラ」「ゾウ」「トリ」「風」の6つのToy-Conが同梱されていて、さまざまな楽しみ方ができます。
例えば、足で踏むと風を感じられる装置があったり、水中を潜って360度海の世界を体感したり、自分でカスタマイズして新しいゲームを作ったりすることができます。
モーリーファンタジー
小さな子どもでも遊べるのりものから、クレーンゲーム・メダルゲームなどが楽しめるアミューズメント施設です。
一部の店舗で子どもが遊べる世界初のVRが体験できます。
一般的に普及している複眼のHMDは、子どもの目の発達に影響を与える可能性があるとされていますが、こちらで導入しているVRゲームでは、オリジナル単眼HMD「VRメット」や、のぞき込めるゴーグル型の単眼HMDを採用しています。
これにより目の負担が軽減され、子どもでも遊べるようになっているのです。
「VRぶっとび!バズーカ」や「VRどっかん!ブロック」というVRゲームなどは3歳以上から利用できるので、家族みんなで先進的なゲームを体験してみましょう。
SEGA VR AREA AKAIKE
愛知県名古屋市にあるアミューズメント施設です。
この施設は「セガ」が運営するVR体験施設で、VRゴーグルやモーションシートなどを用いた、没入型のバーチャルリアリティ体験ができます。
例えば、以下のようなゲームが楽しめます。
- BLAST×BLAST:SFシューティングVRアトラクション。
- 南国ドライブ:本物のラジコンを動かして、ミニチュアの街をドライブできる。
- Urban Coaster:ブランコ型のコースターに乗り、ビルの谷間を高速で駆け抜けるジェットコースター体験ができる。
7歳以上から遊べるゲームがあったり、ショップやカフェなども併設されていて、家族のお出かけにぴったりな施設となっています。
|まとめ
VRゴーグルは大人用に設計されているため、子どもが使うと目や脳に負担がかかったり、精神的な負担を感じる可能性があることを説明してきました。
しかしながら、正しい使用方法を守り、適切な対応を取ることで、子どもでも安心してVRを楽しむことができます。
VRの前後には十分に休息をとり、親も一緒に遊ぶことで現実とゲームの世界の区別がつきやすくなります。
本記事を参考に、親子のふれあいを通して、VR体験を有意義に過ごしてみてくださいね。