近年、eスポーツの人気が急速に高まっており、オリンピック競技に加えられる可能性が出てきました。

eスポーツは、コンピューターゲームを競技として扱い、プロゲーマーたちがリーグ戦や大会で競い合います。

世界的な大会が開催され、多くの観客やスポンサーが集まることから、eスポーツが一つのスポーツジャンルとして認知されつつあります。

今後の動向に注目が集まっているeスポーツには、具体的にどのような競技があるのでしょうか?

直近で行われる予定の大会も合わせて解説していきます。

|eスポーツオリンピックとは

出典:https://olympics.com/ja/esports/

eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、電子機器を用いたスポーツのことです。

eスポーツは、ビデオゲームを競技として競い合うことから、若年層を中心に世界的に注目を集めています。

そのため、オリンピック競技としての正式採用が検討されていますが、ゲーム内に暴力的な表現があることや、国際的なルールの統一が困難であるなどの理由から、十分な議論が必要となっています。

そこで国際オリンピック委員会(IOC)は、テストベッドとして、国際競技連盟やゲーム会社と連携して、オリンピックeスポーツシリーズ(OES)を開催することを決定しました。

OESの最初の大会は2023年に開催されます。

|eスポーツオリンピックの競技種目

eスポーツオリンピックの競技種目は次の通りです。

  • アーチェリー
  • サイクリング
  • 射撃
  • セーリング
  • ダンス
  • チェス
  • テコンドー
  • テニス
  • モータースポーツ
  • 野球
  • 未採用:サッカー

以下で詳しくご紹介していきます。

アーチェリー

アーチェリーは、「Tic Tac Bow(ティック タック ボウ)」というバーチャルアーチェリーゲームを利用します。

スマートフォンアプリとして提供されているゲームで、App StoreとGoogle Playからインストールすることができます。

基本的に無料でプレイ可能ですが、課金もできるようになっています。

オセロのようにマスを多く獲った方が勝つルールで、操作がシンプルなので初心者でも簡単に楽しめるようになっています。

風が吹いたり、距離も考えて弓を放たなければならず、コツを掴む必要があります。

試合に勝つごとに弓の性能を強くすることができますが、オリンピックで勝ち進みたいのであれば、課金をして早い段階で強い弓をゲットしていくべきでしょう。

サイクリング

サイクリングは「Zwift(ズイフト)」というサイクリングシミュレーションゲームを利用します。

利用料金は月額1,650円で、Zwift HubかZwift対応の室内トレーナーとロードバイクの準備が必要です。

利用可能なデバイスはwebブラウザ及びモバイル端末です。

オンラインが必須で、バーチャルな世界で自転車競技に参加したり、仲間とライディングを楽しむことができます。

Zwiftアプリと室内トレーナーが連動し、自動で負荷が変動したり、起伏の激しい道を体感することが可能です。

天候が悪い時でもトレーニングできる点や、自宅周辺にはない難易度の高いコースを自由に試せる点がメリットに挙げられます。

射撃

射撃では、世界的に知名度があり、絶大な人気を誇る「Fortnite(フォートナイト)」を利用します。

通常のFortniteはバトルロイヤルゲームですが、OESでは射撃に特化した専用モードでプレイします。

Fortnite上にオリンピック側が作成した射撃専用の島が用意されており、Fortniteチャンピオンシリーズの12名のプレイヤーが招待制で、射撃精度の世界一をかけた試合を行います。

射撃は人気があるものの、日本では銃刀法の関係から気軽に練習することのできない競技です。

そのため、射撃に親しんでもらうためにも、日本ライフル射撃協会が積極的にeスポーツでの導入を推進しているという背景があります。

セーリング

セーリングには「Virtual Regatta(バーチャル レガッタ)」というバーチャルセーリングゲームが利用されます。

webブラウザ及びモバイル端末でプレイでき、基本的に無料で利用できます。

このゲームでは、プレイヤーは自分のヨットを操縦し、世界一周耐久レースと短距離ボートレースの2種類で世界中の他プレイヤーと競い合います。

実際のセーリング同様、船のスピードや進路を制御し、気象条件を把握して風の変化や波の状態にも対応しなければなりません。

グラフィックや音響効果がリアルで、セーリングをリアルに体験できます。

プレイヤー同士で競い合い、ランキングやレーティングで競技力を競い合うこともできます。

ダンス

ダンスは「Just Dance(ジャスト ダンス)2023エディション」というUbisoft社が開発した音楽とダンスが合わさったゲームを使用します。

画面に表示されるダンスの振り付けに合わせてプレイヤー自身が実際に踊り、振り付けの正確さを競ってポイントを獲得します。

使用デバイスは、PS5、XboxSX、Switchで、6,380円でダウンロードが可能です。

1年毎に更新する必要がありますが、その間は新しい曲や振り付けが定期的に追加されているため、プレイヤーは常に新しい挑戦を楽しむことができます。

OESでは、「Just Dance World Cup」で選出されたプレイヤーが招待されることになっています。

チェス

チェスは「Chess.com(チェス ドット コム)」というオンラインチェスプラットフォームを利用してプレイします。

PC、スマホを利用し、基本的に無料ですが、有料会員になると、より多くのコンテンツや機能を利用できます。

チェスの戦略やルールの学ぶためのタクティクス問題やレッスンなどの学習コンテンツがあるため、初心者の方でもすぐにプレイできるようになるでしょう。

オンラインで友人や世界中の人と対局できるほか、AIとの対局やチェスのパズルなどのコンテンツも豊富です。

OESでは、2023年3月20日からオンラインで予選トーナメントを行っており、上位8名がファイナルへ進出できます。

テコンドー

テコンドーは「Virtual Taekwondo(バーチャル テコンドー)」でプレイできます。

バーチャルリアリティ技術(VR)を用いたテコンドー競技で、プレイヤーはVRヘッドセットと全身にセンサーを取り付けて、仮想空間上で対戦します。

プレイヤーが実際に動くことによって、仮想空間上でアバターと同じ動きをするようになっており、非常にリアルな体験が可能です。

利用可能デバイスは、Windows PC、Oculus Quest2で、月額110USドル~利用できます。

バーチャル空間内での対戦であるため、通常のテコンドーとは違い、性別や年齢、体格が違う対戦相手でも気後れせずにプレイできます。

テニス

テニスは「Tennis Clash(テニス クラッシュ)」というスマートフォンとタブレット向けに開発された、リアルタイム対戦のテニスゲームを利用します。

プレイヤーは、自分でカスタマイズしたキャラクターを操作し、世界中のプレイヤーと1対1のマッチに挑戦できます。

無料でダウンロードできますが、アプリ内課金により、多くのゲームアイテムやウェアを購入することができます。

操作方法は直感的で、指でボールをスワイプさせたりフリックすることで打ち返せます。

慣れてくるとロブやドロップなども習得できます。

テニスは世界でもっともポピュラーなスポーツの一つであり、Tennis Clashも世界中で1億回以上ダウンロードされる人気ぶりです。

モータースポーツ

モータースポーツは「Gran Turismo (グラン ツーリスモ)7」というゲームソフトを利用します。

PlayStation 4およびPlayStation 5で利用でき、ソフトの価格は8,690円です。

レーシングシミュレーションゲームであり、現実のレースと同じように、様々な自動車を選んでカスタマイズし、レーストラックを走行することができます。

複数のプレイヤーが同時に参加するオンライン競技で、最速のラップタイムを競えます。

ワイヤレスコントローラーを用いることでリアルな走行体験が実現し、ハプティックフィードバック機能により路面の振動を感じることができたり、タイヤが接触した衝撃を感じられるようになっています。

野球

野球は「WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球」という野球ゲームを使用します。

Nintendo SwitchとPlayStation 4向けにリリースされており、ダウンロード版のみで販売されています。

価格は100円(税込)で、追加課金はありません。

国際野球ソフトボール連盟(WBSC)とのライセンス契約に基づいて開発されており、国内外のオンラインでマッチングされた他のプレイヤーと対戦します。

世界中の野球ファンが手軽に楽しめる、シンプルな野球ゲームであり、オンライン対戦以外にも、CPUとの対戦や、練習モードなど、さまざまなモードが楽しめるようになっています。

未採用:サッカー

サッカーは今回のOESで未採用になりましたが、「eFootball」は正式種目としての期待が高かったゲームの一つです。

eFootball は、人気ソフト「ウイニングイレブン」の後継シリーズであり、コナミデジタルエンタテインメントが開発・発売しているサッカーゲームです。

eFootball はモバイル端末、PlayStation 4/5、Xbox Series X/S・One、Windows 10において、無料でゲームが楽しめます。

プレイヤーは選手の動きや戦術を自由に操作でき、実際のサッカーのようにボールを動かしながら相手チームのゴールを目指します。

「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の実施競技に4年連続で選ばれるほど、人気のあるゲームです。

|第1回オリンピックeスポーツウィーク

第1回オリンピックeスポーツウィークは、2023年6月22日から25日にシンガポールで開催されるeスポーツイベントです。

10個の種目が採用されており、2023年3月から開催されてきた予選トーナメントを勝ち抜いたファイナリストたちが揃い踏みし、その頂点を決める決勝が行われます。

また同時に、パネルディスカッションや最新技術の展示など、eスポーツの教育と普及を目的としたイベントも開催されます。

本大会は、eスポーツがオリンピックの正式な競技種目になることを見据えた重要なイベントです。

このイベントを通じて、eスポーツが世界的なスポーツとして認知され、多くの人々に親しまれることを期待されています。

|まとめ

eスポーツがオリンピック競技になるかどうかは、世界中のスポーツファンやeスポーツプレイヤーにとって注目の的となっています。

オリンピック委員会がeスポーツに関する調査を進めている一方で、eスポーツの国際大会や競技種目は多様化しています。

eスポーツは気軽に始められるゲームが多く、誰もがオリンピック選手になれる可能性を秘めているのも魅力の一つです。

今後ますます注目が集まる分野となることは間違いないでしょう。