フォトグラメトリー(写真測量)をご存知ですか。
美しい街並みに感動したとき、大好きなものをデジタルで残したいとき、形や大きさのイメージを誰かに伝えたいときなど、写真だけでなく立体にして残したいと思いませんか。
3Dスキャナーという方法もありますが、専用の装置は高価ですし、大きな建造物や自然物が対象の場合は3Dスキャナーでは読み取りが難しいこともあります。
フォトグラメトリーは複数の写真から点や線の位置を測量して3Dモデルを作成する技術です。
ここではフォトグラメトリーを作成する方法を代表的なソフトを紹介しながら解説していきます。
目次
|フォトグラメトリ―とは
フォトグラメトリーとは、写真などからの三次元測量技術のことです。
複数の写真を撮影し、その写真に写っている物体の特徴点を抽出し、それらの点を元に、その物体の三次元モデルを作成することができます。
フォトグラメトリーは、主に地形・地質の測量、建築物・都市のモデリング、文化遺産の保存、工業製品のデザイン、エンターテインメント産業などの分野で利用されます。
また、航空写真、衛星写真、ドローン写真などの画像からも、フォトグラメトリーによって三次元情報を取得することができます。
フォトグラメトリーは、一般的には、写真からの3Dモデル生成に使用されますが、測量技術の分野では、三次元地形モデルの生成や、地図作成、位置決め、変位測定、建物の外形測量などにも使用されます。
|フォトグラメトリーの方法
フォトグラメトリーによる3Dモデル作成の手順を説明します。
まず、被写体を数十枚から200枚程度様々な角度から撮影します。
全体が写るようにし、死角が無いようにします。
次に、撮影した写真をソフトに読み込ませ、3Dモデル化します。低密度点群による3Dモデルで大まかな形状を確認し、高密度点群にさらに変換させます。
高密度点群から不必要な部分(ノイズ)を削除し、3Dモデルが地面に対して傾いている場合は、傾きを補正します。
次に、高密度点群をメッシュ化します。
メッシュ化とは物体の形状を網目状・ポリゴンモデルにすることです。
この段階でかなり3Dモデルらしくなってきますが、まだザラッとした印象です。
その後、テクスチャ付きメッシュを作成します。表面に画像データを貼り付けてよりリアルな仕上がりになります。最後に、Objファイルで出力します。
このようにして、フォトグラメトリーによる3Dモデル作成が可能となります。
3DF Zephyrを参考に手順を紹介しました。ソフトや求める品質によって多少変化しますが基本的な流れは同じです。
|フォトグラメトリ―に最適なソフト
フォトグラメトリーを行うソフトには、それぞれに独自の特徴や機能があり、目的に応じて適したソフトを選択する必要があります。
選択するには、写真の処理速度、モデルの精度、操作性、出力フォーマットなどに違いがあるため、目的や条件に応じて使い分けることが大切です。
以下に代表的な7つのソフトを紹介します。
3DF Zephyr
3DF Zephyr は、イタリアのソフトウェア会社 3DFLOW が開発および販売している商用ソフトウェアです。2014 年 1 月に最初にリリースされました。
動作するOSはWindows です。
3DF Zephyr は、無料版、Lite 版、Standard 版、Professional 版の 4 つのラインナップがあります。
無料版は機能が制限されていますが、有料版には追加機能が含まれています。
日本語に対応していますが、完全ではありません。
データソースは写真、LiDAR、3Dスキャナーなど、さまざまなデータソースをサポートしています。
出力フォーマットは次の形式をサポートしています。
.ply / .obj / .stl / .e57 / .las / .txt
3DF Zephyrは、使いやすく、さまざまなデータソースをサポートするソフトウェアですが、他のソフトウェアと比較すると高価かもしれません。
Autodesk Recap
Autodesk ReCap は、オートデスクが開発および販売している商用の写真測量ソフトウェアです。
2012 年に最初にリリースされました。
動作するOSはWindows と macOS です。
Autodesk Recapは、商用ソフトウェアです。サブスクリプションベースで、さまざまなプランが用意されています。日本語に完全に対応しています。
データソースは写真、LiDAR、3Dスキャナーなど、さまざまなデータソースをサポートしています。
出力フォーマットは次の形式をサポートしています。
.ply / .obj / .fbx / .stl / .dae / .u3d / .x3d / .e57 / .las / .txt
Autodesk Recapは、高品質の3Dモデルを作成できるソフトウェアです。
ただし、他のソフトウェアほど使いやすくない場合があります。
COLMAP
COLMAPは、スタンフォード大学とGoogle AIが開発した、オープンソースの無料ソフトウェアです。2014年に最初にリリースされ、それ以来継続的に更新されています。
動作するOSはWindows、macOS、Linuxです。
COLMAPは無料です。
COLMAPは、ユーザーコミュニティによって翻訳されており、日本語を含む多くの言語で利用できます。
データソースは写真のみをサポートしています。
出力フォーマットは次の形式をサポートしています。
.ply /.obj / .stl / .e57
COLMAPは、オープンソースで、さまざまなデータソースをサポートするソフトウェアです。
ただし、他のソフトウェアほど使いやすくない場合があります。
Mesh room
Meshroomは、Adobe Researchによって開発されたオープンソースの無料ソフトウェアです。2015年に最初にリリースされました。
動作するOSはWindows、Linuxです。
Meshroomは無料です。
Meshroomは、ユーザーコミュニティによって翻訳されており、日本語を含む多くの言語で利用できます。
データソースは写真のみをサポートしています。
出力フォーマットは次の形式をサポートしています。
.ply / .obj / .stl / .e57
Meshroomは、使いやすいオープンソースのソフトウェアです。
ただし、他のソフトウェアほど高品質の3Dモデルを作成できない場合があります。
Reality Capture
Reality Captureは、Capturing Realityが開発・販売している商用ソフトウェアです。
2015年10月にリリースされました。
動作するOSはWindowsとmacOSです。
Reality Captureは商用ソフトウェアです。サブスクリプションベースで、さまざまなプランが用意されています。
Reality Captureの日本語対応は、2022年1月から開始されました。
データソースは写真、LiDAR、3Dスキャナーなど、さまざまなデータソースをサポートしています。
出力フォーマットは次の形式をサポートしています。
.ply /.obj / .fbx / .stl / .dae / .u3d / .x3d / .e57 / .las / .txt
Reality Captureは、高品質の3Dモデル作成が可能です。
ただし、他のソフトウェアほど使いやすくない場合があります。
Regard3D
Regard3Dは、フランスのソフトウェア会社Arevoによって開発および販売されているオープンソースの無料ソフトウェアです。
2013年に最初にリリースされ、それ以来継続的に更新されています。
動作するOSはWindows、macOS、Linuxです。
Regard3Dは無料です。
Regard3Dの日本語対応は、ユーザーコミュニティによる翻訳で、ユーザーが翻訳を追加したり編集したりできます。
データソースは写真のみをサポートしています。
出力フォーマットは次の形式をサポートしています。
.ply / .obj /.stl / .e57
Regard3Dは、使いやすく、オープンソースのソフトウェアです。
ただし、他のソフトウェアほど高品質の3Dモデルを作成できない場合があります。
|まとめ
いかがでしたか?さっそくフォトグラメトリーで3Dモデルを作成してみたくなりませんか。
ソフトウェアの選択は、特定のニーズと好みに依存します。
使いやすく、さまざまなデータソースをサポートするソフトウェアをお探しの場合は、3DF Zephyrが適しています。
一方、高品質3Dモデルを作成するためのソフトウェアをお探しであれば、Autodesk RecapまたはReality Captureが適しています。
また、オープンソースで、さまざまなデータソースをサポートするソフトウェアをお探しの場合は、COLMAPまたはMeshroomが適しています。目的に応じたソフトをお選びください。