昨今メタバースが世界を魅了し、企業がその無限の可能性に挑戦し始めています。
その中でも、新たな旅行の形として「メタバース旅行」が注目を集めています。
メタバース上で繰り広げられる旅行は、まさに次世代の観光体験を提供する革新的な取り組みです。
本記事では、メタバース旅行の事例やメリット・デメリット、注目されている理由についてご紹介しますので是非最後までご覧ください。
目次
|メタバース旅行・観光とは?
メタバースは、「メタ」(超越した)と「ユニバース」(世界)を組み合わせた造語であり、直訳すると「超越した世界」となります。
一般的には、オンライン上の仮想空間で構築された世界を指し、人々が交流し、商品を購入することだけでなく、デジタルと物理的な世界の両方で体験をすることができる特徴を持っています。
昨今メタバースは、旅行や観光分野でも活用されており、バーチャル空間で様々な観光コンテンツを提供し、利用者はスマートフォン、タブレット、パソコン、またはVRゴーグルを使ってメタバース内のコンテンツを楽しむことができます。
メタバースでは、アバター同士の交流やショッピング、イベントの開催など、必要な要素が包括されているため、旅行や観光に関連するコンテンツと相性が非常に良いとされています。
これにより、現実の制約を超えて、新たな場所を探索したり、他の人との交流を楽しんだりすることができるのです。
|メタバース旅行が注目されている理由
メタバース観光が注目されている理由は、現実世界の制約や事情に左右されずに観光ができる点です。
国籍や性別、身体的な制約など、現実世界の様々な要素によって実際の旅行が難しい場合でも、メタバース観光ではそれらの制約を受けずに自由に観光を楽しむことができます。
メタバース旅行が注目されている背景として、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が挙げられます。
このパンデミックの影響により、国境を越えた移動や大規模なイベントが制限され、旅行・観光業界は大きな打撃を受けました。
そのため、オフラインからオンラインへのシフトが進み、メタバースが広く活用されるようになったのです。
メタバースは、個々の好きな場所からアクセスできるだけでなく、交流や購買活動、イベントの開催など、旅行・観光に必要な要素を包括して提供することができます。
リアルな体験を提供しながらも、非接触な環境で実現できるため、旅行・観光業との相性が非常に良いとされています。
また、通信環境の進化も大きく影響しています。
5Gや6Gなどの高速通信技術の普及により、メタバース内の3D空間がよりリアルになり、快適に過ごすことが可能になりました。
これらのインターネット環境の進歩も、メタバースの事例が増えつつある背景の一つです。
通信容量の増加と高速化によって、仮想空間での没入感が向上し、より魅力的なメタバース旅行が可能になるのです。
|メタバース旅行のメリット・デメリット
ここでは、メタバース旅行のメリット・デメリットをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
メリット
メタバース旅行は、場所や時間に縛られず、オンライン環境が整っていれば誰でも手軽に参加することができます。
高齢の方や移動が難しい方々でも、国境を越え、世界中の魅力的な場所を訪れることが可能です。
これは、遠距離の旅行が難しい状況にある方々にとって、新たな冒険が手の届く場所となる画期的なメリットであると考えられます。
さらに、低価格で体験可能な点も大きな利点です。
通常の旅行にかかる交通費や宿泊費などが不要なため、低コストで多彩な体験ができることがメタバース旅行の大きな魅力でしょう。
これにより、予算の制約や経済的な負担を気にせずに、多くの人々がメタバース旅行を楽しむことができます。
また、メタバース旅行では現実世界では難しかった場所へ訪れることが可能です。
新たな景色やイベント、文化に触れることで、通常の旅行では味わえない多様な体験ができます。
更に、メタバース内には通販サイトを用意することもできるため、現地の名産品を注文して自宅で楽しむこともできます。
これにより、観光地側は新たなマーケットを開拓し、消費活動を促進することが可能です。
デメリット
メタバース旅行にはいくつかのデメリットも存在します。
まず、五感までの再現が難しい点が挙げられます。
視覚や聴覚はリアルに体験できるものの、現時点では触覚、嗅覚、味覚などの他の感覚は再現が難しく、現地の雰囲気や風味を完全に味わうことが難しいとされています。
さらに、メタバース旅行では現地の人々との直接的な交流が限られるため、その土地の文化を深く理解することが難しい側面があります。
言葉や習慣、地元の人々の生活に触れることができないため、現地でしか得られない醍醐味を味わうことが難しくなります。
また、メタバースを活用するには、仮想空間を構築するための初期費用がかかります。
これは、企業や個人がメタバース上で独自の空間やサービスを提供する際に不可欠な投資となります。
初期費用の高さが参加者を制限する可能性があります。
|メタバース旅行の事例
ここからは、国内外のメタバース旅行事例をご紹介します。
バーチャルOKINAWA
バーチャル上に、国際通り商店街や、ビーチ、首里城など、有名な沖縄の観光地を再現した「バ―チャルOKINAWA」です。
メタバースプラットフォーム「VRChat」を通して、世界中どこからでも沖縄の世界遺産を体感することができ、沖縄をより身近に感じることができるメタバース体験を提供いています。
バーチャルOKINAWA上でライブコマースを開催し、空間内でアバターがビラ配りをしながらイベントの告知をするなど、お土産の購買に繋がるような活動も行っています。
現在もエリアを拡大し、沖縄出身バンドのライブや、沖縄の伝統芸能団体やVTuberとコラボしたイベントなど、メタバース観光だけに留まらず、エンターテインメント企画を実施しています。
どこでもドア
株式会社MATRIXが提供する「どこでもドア」は、様々なメタバース空間で出会って・集まって・楽しむ「メタバース空間共有プラットフォーム」です。
誰でも簡単にワールド(メタバース空間)を無料で作成し、自由にイベントを開催できます。
参加者は、好きな時に、誰とでも、ワールド・イベントに参加できます。https://www.matrix.inc/dokodemo-door-services
ANANEO
スマホや、タブレットなどのデジタル端末からアクセス可能なバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」に乗り込んでさまざまな体験ができるサービスです。
「時空を超える旅客機」をコンセプトにしたSKY WHALEは、①Skyパーク、②Skyモール、③Skyビレッジという3つのサービスで構成されているのが特徴です。
- Skyパーク:Skyパークは、3DCGによって構成され、世界の有名な観光都市や絶景スポットなど、誰もが気軽に楽しめる疑似旅行体験を提供します。「のんびり」「弾丸」などその人に合わせた旅の好みを設定することができ、最大8人で旅行を楽しむことができます。
- Skyモール:Skyモールは、空港でのお土産購入、エンターテインメントをイメージしたバーチャルショッピングモールです。自由にモール内を散策しながら、買い物やイベントに参加することができます。ANAマイレージを利用することもできます。
- Skyビレッジ:Skyビレッジは、未来の街をイメージいた空間です。バーチャルのスマートシティ実現を目指し、今後は医療や教育、行政のサービスも展開する予定となっています。
KOTOBUS
琴平バスは、「KOTOBUS」として以前からオンラインバスツアーを積極的に行っていました。
観光地の景色を動画で見ながら、現地のお話を聞いたり、他の参加者たちとコミュニケーションの取れるサービスです。
最近では、メタバース旅行をスタートし、ご当地VTuberとコラボするなど
メタバース時代のバス旅行として「メタバス」を提供しています。
ライブ中継動画と、ご当地の食べ物が自宅に届き食事を楽しめるツアーがメインとなっています。
横浜みなとみらいエリアのメタバースを構築
3D都市モデルと独自に取得した高精度三次元点群地図データを位置合わせすることで、横浜みなとみらいエリアのメタバースを構築しました。
リアルとバーチャルが融合した未来の観光体験を目指しており、ユーザーは、ヘッドマウントXRデバイスを付けて、オープントップバスに乗りながら未来のみらとみらいを観光します。
最新のXR技術を用いた世界で初めての観光体験を提案するバスツアーとなりました。
※現在ツアーは終了しています。
参加ユーザーからのコメントでは、「クルージョン技術によって、同様の体験よりも見え方がよかった」など満足度の高い評価を得ています。
バーチャル大阪
大阪府、大阪市、KDDIが共同で大阪の有名な観光地をメタバース上に構築する取り組みです。
道頓堀や梅田スカイビル、海遊館など外国人からも人気の高い観光スポットを仮想空間上に構築しました。
2025年開催予定の関西万博に向けて、魅力を発信するためのPR活動も行っています。
また、大阪城の外壁を登れるアトラクションなど、仮想空間ならではの遊び方も提供する予定となっています。
ユーザーは、スマホからアクセス可能なメタバースアプリ「cluster」で楽しむことができます。
街なかメタバース
街なかメタバースは、山形新聞社が提供するメタバース旅行です。
山形市の山形グランドホテル内に設置されており、動画撮影スタジオとVR旅行を誰でも体験することが可能です。
この施設は、県民が最新のデジタル技術について理解を深めることを目的として開放されています。
にしてつバース
にしてつバースは、西日本鉄道が提供しているメタバースミュージアムです。
ユーザーがメタバース内を回遊しながら、車両や各種展示物を鑑賞できるようになっています。
さらに、電車やバスの車両運転席でのスイッチ操作体験などもでき、リアルでは難しい体験を提供しています。
バーチャル白浜
バーチャル白浜は、ストリートアートプロジェクト「POW!WOW!JAPAN」の企画で和歌山県白浜町をメタバースで再現しています。
地域活性化を目的としたプロジェクトで、バーチャル白浜内でアートや音楽、ダンスなどのポップカルチャーを体験することができます。
田舎の直送便
田舎の直送便は、静岡県榛原郡川根本町が取り組む地方創生プロジェクトで、町内事業者がメタバース内で特産物の販売等を行いました。
メタバース空間を通じて、ユーザーは現地に訪れなくて生産者とお話することができたり、事業者は地元民以外の方に特産物を販売することが可能になります。
アメリカオンラインツアー
アメリカオンラインツアーは、America Travel Factory, LLC.が提供するメタバース旅行です。
リアルタイムで、米国の観光名所を巡ることができるオンラインツアーや、オンラインヨガを体験することができます。
ノートルダム大聖堂 火災前の姿をVR体験
2019年4月、パリの象徴的な建造物であるノートルダム大聖堂で火災が発生し、この歴史的な寺院は大きな被害を受けました。
パリ市内にあるVR施設「FlyView」では、ノートルダム大聖堂の再建」というタイトルのVR体験が提供されることとなりました。
この18分間のVR体験では、訪れる人々はVRヘッドセットを装着し、回転するアームチェアに座ることで、火災前の大聖堂の美しい姿を再現した映像を見ることができます。その中には、鐘や屋根に飾られたガーゴイル像などもクローズアップで観察することができるのです。
このVR体験は19ユーロ(約2,500円)で提供されており、その収益の一部はノートルダム大聖堂の再建に寄付されます。これまでに約1万人がこの感動的なVR体験に参加し、その貢献をしています。
TRAVEL HUNTER K
韓国観光公社は、メタバースプラットフォーム「ZEPET」を活用して「TRAVEL HUNTER K」という韓国旅行体験ができるワールドを公開しています。
ワールドは全部で8つ用意されており、韓国ファッションを学べるエリアや、グルメをテーマにした夜市エリアなど、誰でもアプリ内で韓国の魅力を体験できます。
|まとめ
いかがでしたか?
本記事では、メタバース旅行の概要からメリット・デメリット、国内外の事例を紹介しました。
旅行・観光分野にメタバースを活用することで、金銭面や休みが確保しにくい方でも気軽に旅行を体験することができるようになりました。
最近では、無料で実施しているイベント等もあるので是非一度メタバース旅行を体験してみてくださいね!
では、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!