近年、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術の進化により、私たちのデジタル体験はより没入感とリアリティを増しています。

この新たなデジタル世界では、様々な業界、業種が参入しており注目を集めています。

そのなかでもメタバース面接では、従来の面接方法とは異なり、個人や企業が仮想空間で直接対話し、交流することができる面接方法で、人事採用やビジネスコミュニケーションの分野で採用されています。

本記事では、メタバース面接の導入メリットや事例についてご紹介します。

未来の面接手法を探求し、新たなコミュニケーションの可能性に迫っていきましょう。

|メタバース面接とは

メタバース面接とは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を活用して、仮想空間上で行われる面接の形式です。

従来の対面面接やオンライン面接とは異なり、参加者は自身のアバターや仮想キャラクターを通じて仮想空間に参加し、そこで個人や企業と直接対話を行います。

メタバース面接では、参加者は現実世界とは異なる仮想空間の中で、身体的な制約を超えた自由な動きや表現が可能となります。

また、音声やジェスチャー、アバターの見た目や服装などをカスタマイズすることもできます。

これにより、面接をより没入感のある環境で行い、参加者同士のコミュニケーションや相互作用を豊かにすることができます。

メタバース面接は、主に人事採用の分野で利用されていますが、ビジネスコミュニケーションや企業間の協力関係の構築などでも活用されています。

この新たな面接形式は、候補者のスキルや能力だけでなく、コミュニケーションスキルや創造性、協調性などを評価する際に有効です。

さらに、地理的な制約を超えたリモート面接の実現や、参加者同士の関係構築においても大きなメリットを持っています。

|メタバース面接が注目されている背景

メタバース面接が注目されている背景には、いくつかの要素が存在していますが、一番大きなインパクトを与えているのは、リモートワークの普及による影響でしょう。

コロナ禍以降、リモートワークが一般化し、地理的な制約を超えた働き方が増えました。

メタバース面接は、遠隔地にいる候補者と対面でコミュニケーションを取る手段として重宝されています。

Zoom等を活用したオンライン面接とは異なり、仮想空間で直接対話することで、よりリアルな面接体験を実現できます。

さらにアバターを通じて面接を行うことで、求職者のプライバシー問題の解決にも繋がります。

|メタバース面接を導入するメリット

コスト削減

メタバース面接の利点の一つは、コストの削減です。

従来の対面面接では、面接場所の準備費や交通費がかかりました。

特に大企業では、別途面接会場を確保する必要があり、案内板の設置などの会場設営にも手間と費用がかかりました。

しかし、メタバース面接では物理的な会場が不要です。

したがって、会場設営にかかる費用や時間、応募者の交通費などのコストが不要になるのです。

求職者の本音が聞きやすくなる

メタバース環境では、自身の分身である「アバター」を操作します。

アバターを通じて会話することで、心理的なハードルが下がり、求職者の本音が聞きやすくなることがメリットと言えます。

Zoom等のオンライン面接では、画面をオンにしなければならない場合が多く、気軽に会話することが難しいという問題がありました。

しかし、メタバースでは、気軽に会話できるだけでなく、同じ仮想空間を共有しているため、現実に近い対話がオンライン上で可能になります。

世界中から採用が可能

世界中から人材採用の可能性を広げることもメリットのひとつです。

従来の対面面接が必須であった場合、遠方や海外の人材が面接に参加するためには時間がかかり、そのために応募をためらう人も多かったと言えます。

しかし、メタバース面接では物理的な距離は関係ありません。

全国各地や海外に住んでいる遠方の人材に対してもアプローチを行うことができます。

企業PRができる

面接にメタバースを導入していること自体が企業のPRに繋がるというメリットもあります。

新しい技術に関心のある求職者から注目を浴びやすくなり、IT人材の確保にも繋がります。

参入企業が少ない今だからこそ話題性を生む可能性があります。

従来の面接とは異なる体験を提供することで、競合他社との差別化を実現することができるのも、メタバース面接の魅力と言えるでしょう。

|メタバース面接実施の注意点

ここからは、実際にメタバース面接を実施する際に気を付けるポイントについてご紹介します。

求職者がアクセスしやすい環境を構築する

求職者が面接会場までに迷わない、つまりアクセスしやすい同線や環境を整えるというのがポイントになります。

メタバース面接では、利用のしやすさも重要なポイントであり、手軽にアクセスできるメタバースの構築が求められます。

たとえクオリティが高くても、VRゴーグルが必要なメタバースでは、求職者の参加ハードルは高くなり選考に進みにくいなどが考えられます。

Webブラウザを使用してどこからでもアクセス可能なメタバースであれば、スマートフォンやPCなどから手軽に利用することができますので参加ハードルは下がるでしょう。

少ない手順でアクセスできるメタバースの提供を考慮することが重要です。

メタバース空間とのギャップに気を付ける

メタバース上で行われる就活イベントは、自由度が高いため、装飾や演出などによって本来の企業イメージと異なる印象を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。

面接にメタバースを活用する際には、利用目的を明確にすることがおすすめです。

きちんと企業のイメージや世界観を強調したメタバース空間を作成することで、視覚的により深く企業を理解してもらうことが可能になります。

また、実際のオフィスを再現し、アバターを使用して働く体験を提供するだけでも、イメージと現実のギャップを埋めることができます。

このように、現実とメタバースのギャップを考慮しながら、目的に応じてメタバースを使い分けることで、他社にはない価値を求職者に提供することができるでしょう。

|メタバース面接事例

ここからは、実際のメタバース面接を実施した企業とその事例を紹介します。

是非参考にしてみてください。

株式会社ビヨンド

出典:https://www.atpress.ne.jp/news/345344

株式会社ビヨンドは、2024年度の新卒採用面接にメタバースを活用しました。

メタバース面接では、就活生と面接官いずれも「VRゴーグル」を着用して参加します。

今回の新卒採用では、就活生の多様性を目的としており、従来の面接で必ず聞かれる名前、年齢、学歴、性別などパーソナルな質問を不問とし、就活生の内面やエンジニアへの素養を重視した面接を行いました。

On’yomi(オンヨミ)

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000044684.html

株式会社On’yomiは、対面面接、オンライン面接に加えて2022年3月1日よりメタバース面接を導入しています。

メタバース面接では、Mata社(旧Facebook社)が運営する「Horizon Workrooms」を通じて行われます。

採用候補者に対面、オンライン、メタバースというあらゆる選択肢を与えることで、求職者がよりリラックスして面接に挑める環境を整えています。

|まとめ

いかがでしたか?

本記事では、メタバース面接の導入メリットや事例についてご紹介しました。

メタバース面接は革新的な手法であり、企業にとって大きな価値を提供する可能性があります。

今後の就活プロセスにおいて、より多くの企業がメタバースを活用して、効果的な採用活動を展開することが期待できるでしょう。

では、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!