2020年に始まったコロナ禍は、それまで常識であった働き方を根底から覆しました。
定期的に顔を合わせて行っていた会議が無くなり、次第にテレビ通話を利用して行われるようになった企業は多いでしょう。
しかし画面を通して行う議論は微妙なニュアンスが伝わりにくく、スムーズに会議を進行することが難しいと感じる人は少なくありません。
そこで注目されているのがメタバース会議です。
デジタル空間でありながらも現実世界と遜色ない環境で会議が行えることは、これからの働き方において大きな影響を与えることが考えられます。
本記事では、そんなメタバース会議についてのメリット・デメリットから、おすすめのサービスまでをそれぞれ解説します。
目次
|メタバース会議のメリット3選
メタバースを利用した会議には様々なメリットが存在しています。
その中でも、特にお伝えしたい以下についてそれぞれ詳しく解説していきます。
- 生産性向上と効率化
- 円滑なコミュニケーションが実現
- 自由なアバター設定
生産性向上と効率化
メタバースを利用した会議では、生産性向上と業務の効率化が期待できます。
なぜなら、インターネットに接続できる環境さえあれば、いつでもどこでも会議に参加できるからです。
コロナ禍をきっかけにリモートワークが進み、中にはフルリモートで業務を行っているという企業も珍しくなくなりました。
以前よりも働き方が多様化する現在においては、従来のように1つの会議室に集まって話し合いを行うという方法は古くなりつつあります。
メタバース会議であれば在宅勤務の社員、出張中の社員が場所を問わずに会議に参加できます。
結果的に移動に伴う交通費や時間の削減、日程調整といった手間がなくなることで、生産性向上と業務効率化が期待できるのです。
円滑なコミュニケーションが実現
リモート会議は珍しいものではなく、現在でもZOOMに代表されるビデオ通話サービスを利用した会議は行われています。
それらは一対一の会話であれば特に問題は生じにくいですが、大勢が参加する会議になると円滑なコミュニケーションが難しいという問題があります。
メタバース会議はビデオ会議とは異なり、アバターを通してメタバース空間に集まり話し合いを行います。
そのため、実際に対面して話しているかのような臨場感を伴った、円滑なコミュニケーションが実現できるのです。
画面の向こうにいる相手と話をするのではなく、隣にいるアバターを通した会話になりますので、より自然な感覚で話し合いが進められるでしょう。
一方的なビデオ会議とは異なった、円滑なコミュニケーションが物理的な距離を問わずに実現できるのです。
自由なアバター設定
前述した通り、メタバース会議への参加はアバターの姿を通して行われます。
アバター設計については自由度が高く、自身の姿を模したデザインはもちろん、髪型や服装、体型から性別に至るまで選択可能です。
そのため、その日の気分に応じたおしゃれもできますので、会議に参加する意欲も通常の場面よりも高くなるかもしれません。
また、テレビ会議では自身の顔が常に映っていることから、緊張して消極的になってしまう方でも、アバターを通してなら会話が増えることが期待できます。
とある企業では役職や立場を伏せ、全社員がアバターを通じてメタバース空間でコミュニケーションを取ったところ、非常に自由闊達な議論ができあがったといいます。
このように、非日常的な空間だからこそ生まれるアイデア、意見が会議をより有意義なものにしてくれるかもしれないのです。
|メタバース会議のデメリット
メリットの多いメタバース会議ですが、少なからずデメリットも含まれていることは理解しておかなければいけません。
こちらでは、以下の内容についてそれぞれ解説していきます。
- 操作習得に慣れが必要
- 初期投資が必要
操作習得に慣れが必要
メタバース会議への参加はVRゴーグルの着用からアバターの操作など、ある程度の慣れが必要になります。
そのため、機械操作が苦手な年配者などは慣れるために多少の時間を必要とするかもしれません。
しかし、会話や移動といった会議に最低限必要な動作については難しくありませんので、参加へのハードルは決して高いとはいえないでしょう。
あくまでも、新しい機器に慣れるために一定期間が必要となるかもしれないという内容となります。
初期投資が必要
メタバース空間へ参加するためのVRゴーグルなどの機器は安い価格ではありません。
そのため、全社員に対してそれらの機器を配布する場合、ある程度の初期投資が発生することは把握しておきましょう。
場合によっては社員に対するセミナーの開催や研修といった、機器以外の費用も生じるかもしれません。
そのため、ある程度経費に余裕を持って導入を進めることをおすすめします。
|メタバース会議におすすめのサービス
メタバース会議と一言でいっても、実は様々なサービスが提供されています。
おすすめのサービスを紹介しますので、ご自身が想定する用途に適したものを選択してみましょう。
Horizon Workrooms
Horizon Workroomsは、2021年8月に旧フェイスブックのメタ社が開発したVRミーティングツールです。
メタ社が販売しているVRゴーグル「Meta Quest 2」に対応しているサービスですので、本機器を購入すれば無料で利用できます。
また、ゴーグルがない場合でもビデオ通話という形で参加することも可能です。
参加者はアバター姿で会議に参加し、仮想空間上に設置したホワイトボードを使用できるなど、現実さながらの環境で会議を進められます。
現実のデスクを反映させる機能など、会議を円滑に進めるための充実した機能が魅力の1つです。
Mesh for Microsoft Teams
Mesh for Microsoft Teamsは、2021年11月にマイクロソフト社が発表したコミュニケーションツールです。
既存の「Teams」と呼ばれるビデオ会議やチャット、ドキュメントの共同作業ツールとメタバースやMR機能をかけ合わせたものとなっています。
参加者は2Dもしくは3Dアバターを作成し、仮想空間上での会議に参加できます。
本ツールでは会議への使用だけではなく、ドロップインスペースと呼ばれる雑談機能を持っています。
こちらはリモートワークが進んだ現在においても人間関係を円滑にすることを目的にしており、休憩中の社員が集まるスペースを設けて新しいアイデアやビジネスチャンスに発展することを期待しています。
DOOR
DOORはNTTが提供するVR空間プラットフォームです。
用意された仮想空間上のルームを利用して、会議やミーティングが行えます。
また、3DCGを利用した自作の空間を作成できますので、現実世界同様の会議室を再現したり、自由度の高い理想の空間を構築したりできます。
マルチデバイスに対応しており、VRゴーグルを有していない場合でも会議に参加できるだけでなく、Webブラウザを通したアクセスも可能です。
すでに利用者は100万人を突破しており、今後もさらなる伸長が期待されているプラットフォームの1つとなっています。
oVice
oViceが掲げるサービス内容は「となりで話しているようなバーチャル空間」であり、まるで現実世界で会話しているような設計が魅力です。
具体的には、メタバース空間上で近くにいる人の声は大きく聞こえ、遠くにいる人の声は小さく聞こえるという「距離感」が感じられる作りとなっています。
実際のオフィスで仕事をしているような感覚になることから、長引くテレワークによる孤独感を解消することも期待されているのです。
1日の利用者数は7万人を超え、すでに2,000を超える企業において利用されています。
新しい企業インフラとなる可能性もある、注目されているサービスの1つです。
RISA
日本企業が開発するRISAは、メタバース初心者でも利用しやすい設計が特徴です。
導入支援なども充実しており、初めてメタバース会議を検討する企業にとっても取り掛かりやすい環境が魅力となっています。
メタバース空間を自由にレイアウトすることはもちろん、好みのアバターを選択できるなど基本的な機能は有しています。
その他サービスと比較してアバターの動きはシンプルになっていますが、その分直感的な操作性が実現しており、年代を問わずスムーズに利用できるはずです。
アバターごとに「作業中」や「声かけOK」などのステータスが表示されますので、気軽にコミュニケーションが取れるでしょう。
Fabeee Metaverse Package
Fabeee Metaverse Packageはその他のメタバース会議とは少し異なり、メタバースのプラットフォーム自体を構築するサービスです。
企業イメージに適したメタバース空間を演出するために、数万点にものぼるアセットと呼ばれる配置物を選択できます。
アバターの動きも身振り手振りなどの基本動作に対応しており、現実世界と変わりないコミュニケーションが可能です。
実際の会議室同様にホワイトボードやディスプレイを用意でき、その画面上にパソコンやスマホの画面を投影できます。
理想の会議環境を気軽に構築出来る点が、本サービス最大の魅力といえるでしょう。
NEUTRANS
NEUTRANSはビジネスの拠点となる空間をメタバース上に構築するサービスです。
空間や3Dモデルを駆使することで、現実世界で話をする以上の一体感を実現しました。
PDFや動画、360度画像の共有など、ビジネスに必要な機能を多数有しており、空間内へのアクセスはパソコンやスマホからも可能です。
国内では内閣官房など政府組織への導入事例もあり、そのレベルの高さがうかがえるでしょう。
これから本格的にメタバースを活用した会議、ビジネスを取り入れていきたいと考える場合におすすめとなるサービスかもしれません。
Rumii
Rumiiはビジネスだけではなく、教育にも特化しているメタバースサービスです。
その他サービスが友人たちと過ごす空間を提供していた一方で、Rumiiはいち早くオフィス環境や教室といった現実世界を投影させることに注力してきました。
音声品質、アバターでの表現力、その他ユーザーに合わせたカスタマイズなど、没入感の高いメタバース体験を提供することを最優先事項に開発されています。
3人以下で1GBのストレージであれば、無料のアカウント登録のみで利用できる点も魅力的です。
まずはRumiiで小規模に導入を始めながら、段階的にサービスを拡充するという方法も考えられます。
|まとめ
メタバース会議のメリット、デメリットから現在利用できるおすすめサービスを紹介しました。
コロナ禍をきっかけに在宅勤務を進める企業も増加し、オンラインを通じたコミュニケーションは一般的になりつつあります。
しかしZOOM等のテレビ通話では伝えきれない微妙なニュアンスの問題や、大人数での会議などでは自由闊達な議論が難しいといった課題も浮き彫りになりました。
メタバースを利用した会議であれば、現在オンラインで業務を進めるにあたって衝突する問題の多くを解決できるでしょう。
さらに業務効率化だけではなく、移動に伴うCO2排出量削減といった環境問題への貢献も実現できます。
また、メタバースは会議だけではなく様々なビジネスシーンにおいても活用が進められています。
すでにメタバース会議を導入している企業は存在しており、今後もその数は増加していくことが想定されます。
まずは小規模で導入を進めていき、段階的な拡大を検討してみてはいかがでしょうか。