建築業界でもDX化は加速し、さまざまな場面でデジタル技術が活用され、
作業の効率化やコストダウンを実現している企業もあるでしょう。
テクノロジーも進化し、現場ではAR技術を利用した施工手順の説明や設計、不動産販売などさまざまな場面でデジタル技術を目にします。
そこで今回は「Unreal Engine(アンリアルエンジン」という3Dグラフィックソフトを使った建築設計の試みをご紹介致します。
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目次
|UnrealEngineとは
「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」とは、アメリカの会社Epic Gamesが開発したゲームエンジンです。
まず、ゲームエンジンとはゲーム開発にあたり必要なソフトウェアで、
日本で有名なモノだとPlaystation4やNintendo Switchなどのゲーム開発の現場で使用されています。
3D画像処理や物理演算、サウンド入力などゲームの仕組を構成し、
稼働させるために必要なパーツが一式揃った道具箱と思って頂くと想像しやすいでしょう。
また、3D画像処理や物理演算などはゲームだけではなく、その精巧なグラフィックはリアリティにあふれ、今ではテレビ番組や映画・アニメなど映像制作の幅広い分野で活用されています。
建築・設計においても「Unreal Engine」で表現できるグラフィックと使いやすいインターフェイス、リアルタイムでクリエイティブが可能な機能を利用して、部屋の内装やライティング、建物や工業製品の精密さを求められる設計などにも活用出来ることから注目されているソフトウェアです。
|UnrealEngineと似ているUnityとは
まず、ゲームエンジンである「Unreal Engine」が建築・設計に向いているポイントを紹介する前に、同じゲームエンジンで高性能でもある「Unity」というソフトも紹介致します。
基本的にゲームエンジンは画像処理や演算機能に特化した性能があり、
さまざまな分野でその性能は応用できますが、それと同時に向き不向きも発生します。
まず、「Unreal Engine」はクリエイティブに特化した性能を持っており、プログラミングを簡略化させ感覚的な操作に特化しています。
その機能が建築・設計に期待されており、ジャンルを超えた創作活動において注目されているポイントです。
一方で「Unity」は2Dにも対応しており、ゲームに特化した傾向があります。
実際に世界で一番使われているソフトは「Unity」です。
そのため、操作方法や応用事例などの情報量は「Unity」が上回っていますが、
感覚的に操作ができ、プログラミングによる時間よりクリエイティブに時間を使える「UnrealEngine」が幅広く受け入れられる傾向があります。
しかし「Unity」も使いやすいように改良されてきており「Unreal Engine」とは特徴が変わってきますが、ジャンルを問わずクリエイティブな場面でも使いやすくなってくるでしょう。
|UnrealEngineを建築で使うメリット
実際に「UnrealEngine」を建築・設計で使うメリットは以下の3点です。
- 作業の効率化
- コスト削減
- クリエイティブの共有
順に解説していきます。
作業の効率化
まず、通常の設計では一般的に「CAD」と呼ばれる2Dの図面から制作し、それらを重ね合わせる事で立体的な構造を図面にしており、そこから3D画像を生成しています。
2Dから3Dにすることでデータも重くなりますし、そもそも建築で使われるソフトはCADを作る工程があるので3D画像を操作するのには不向きです。
そこで、最初から3Dで処理ができる演算機能を備えたゲームエンジンであれば3Dで設計し、
そこから2Dの図面にも変換出来るので工数も減れば、データ処理の時間も削減でき作業の効率化が測れます。
また、3Dから設計できる事によりデータ変換に使う時間を創作活動やシミュレーションに回したり、顧客様の要望をその場で取り入れて図面でみせたりすることも出来るのでコミュニケーションの効率化も期待できるでしょう。
コスト削減
リアルな3Dフォトグラフィックで設計を再現できることで、実際のモデルルームを作らなくても、
VRやAR技術と組み合わせて建築・設計を再現することが可能です。
これにより、物理的なコストを削減するだけでなく、設計にかかわる時間も削減できます。
例えば、AR技術を組み合わせて建築であれば実際に建てる土地をシミュレーションし、
作り込んだ3Dグラフィックを既に撮影した土地に投影して、問題点や改善点を見つけ出すことも出来ますし、部屋の内容などはVR技術を活用し実際の広さや使い勝手などシミュレーションすることも出来るでしょう。
これらを再現するためには、従来の3D制作ソフトで採用されている静止画を重ね合わせて映像を作る「プリレンダリング」では上手く表現出来ないため、ゲームエンジンならではの演算機能を利用したリアルタイムで編集出来る「リアルタイムレンダリング」という機能が不可欠です。
クリエイティブの共有
精巧な3DフォトグラフィックとVR、AR技術をかけ合わせられる「Unreal Engine」は、
設計段階でおおきな強みを発揮します。
仮想空間で内装やインテリアの配色や配置を踏まえた設計をし、
建物内の導線や使用感をシミュレーションしたりすることで、
設計のコンセプトを事前に磨くことが出来ます。
「Unrea lEngine」が得意とするリアルタイムレンダリングはリアリティを追求できるため
クライアントと設計者が実際の施工前にイメージのすり合わせがしやすいので、
お互いの要望の乖離を防ぐだけではなく、完成後のクオリティも満足度も上がるでしょう。
|建築分野でのUnrealEngine活用事例
では実際に建築分野で「Unreal Engine」を利用したプロジェクトや活用事例をご紹介致します。
発展途上のシステムではありますが、3Dグラフィックを利用した設計やVR・AR技術をかけ合わせた活用事例は非常に興味深いプロジェクトですので是非ご覧ください。
建築インテリアレンダリングサンプルプロジェクト
このプロジェクトは「Unreal Engine」が公式に運用しているプロジェクトです。
概要として、3Dグラフィックの表現方法をスキルアップしたいユーザーをターゲットとしてつくられたコンテンツですが、内容が建築分野に関わっているため、ショールームの運用やインテリアや内装などの設計に関して活用できる部分が多いです。
コンテンツの内容は部屋の一室をさまざまな角度から映し出すシーンをベースとして3Dグラフィックの観点から、物体や景色のリアルな表現方法を調べる事が出来ます。
実際にムービーにセットされているプログラムを調べ応用し、自身の作品に利用することも可能です。
また、光・影・反射など光線の動きを理解しコントロールする「レイトレーシング」と呼ばれる機能を使いこなすのに参考になるコンテンツで、「レイトレーシング」を使いこなせれば3Dグラフィックの質を上げることができ、よりリアリティある映像が作成出来ます。
隈研吾建築都市設計事務所
ここで紹介するコンテンツは「バーチャル展示会」です。
隈研吾建築都市設計事務所は、ヒストリア・エンタープライズと共に「Unreal Engine」を使って「Multiplication」というバーチャルギャラリーを共同制作しています。
隈研吾氏監修の企画としてLIXILギャラリー公式サイトにて2020年8月8日から2020年9月末まで開催され、展示会では「Unreal Engine」により
東京にある「LIXILギャラリー」が3DCGモデルで再現されました。
一方ヒストリア・エンタープライズは「Unreal Engine」のリアルタイムグラフィックという技術で、隈研吾氏の建築作品を体感できる仮想空間をオンライン上に構築しています。
リアルの建築作品と対となるイメージによる抽象的な仮想空間をつくりあげ、3DCGモデルの配置・分解・再構築を実現したことで、新しい手法で建築展示会のプロモーションを行っています。
|まとめ
今回は「Unreal Engine」が建築・設計分野において幅広く活用される理由と、活用事例をご紹介致しました。
「Unreal Engine」の高度な演算処理が可能にする「レンダリング」機能は、図面や設計図をはじめ、建設・設計におけるシミュレーションやプロモーションまでアイデア次第で活用方法が多彩にあります。
今後はレンダリング機能にさらなる向上が期待されるので、3Dグラフィックをベースとした建築モデルが主流になる前に「Unreal Engine」に触れて時代に先乗りしておくのも良いでしょう。
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