メタバース不動産という言葉をご存知でしょうか。

不動産といえば、現実世界においては土地や物件を指す言葉であり、一生に一度の買い物ともいわれる住宅購入などをイメージされるかもしれません。

また、不動産投資という言葉もあるように、保有している土地や物件の周囲の状況に応じて地価の変動が生じることも特徴です。

メタバース不動産とはこのような特徴を全て兼ね備えた、仮想空間上の不動産を指すのです。

「仮想空間なのに、不動産の価値が発生するの?」

上記のような疑問を思い浮かべる方は多いでしょう。

しかし、メタバース不動産は現在大きな注目を集めており、今後の可能性が期待されている分野なのです。

本記事では、そんなメタバース不動産について基本的な概要から所有するメリット、そしてデメリットに至るまで一挙に解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

|メタバース不動産とは?

まずはメタバース不動産の基本的な内容について確認していきましょう。

以下の内容に沿ってそれぞれ詳しく解説していきます。

  • NFTで作成された土地
  • 有名企業も購入している
  • 購入できるメタバースは複数存在している

NFTで作成された土地

NFTとは「Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)」の頭文字を取った言葉であり、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。

NFTは本来無限にコピー可能なデジタルデータに対して、唯一無二の価値を付けることを実現しました。

そのため、メタバースというデジタル空間においても現実世界の不動産同様に、絶対的な所有権を生み出すことが可能になったのです。

購入したメタバース不動産は他人に盗まれる心配もなく、所有権を改ざんされる心配がありません。

そのような土地をメタバース不動産と呼び、様々な用途を目的として売買が行われているのです。

有名企業も購入している

「メタバース不動産といっても、なんだか怪しそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、メタバース不動産はすでに多くの有名企業によって購買が行われており、その将来性に大きな注目が集まっているのです。

例えば、2022年にはファッションブランドとして有名なグッチがメタバース不動産を購入し、ファッション体験を創造するための施設を検討しています。

また、エンタメ企業であるエイベックスも、アーティストとファンが関わり会える場を提供することを目的として、メタバース不動産の購入を行っています。

現実世界において企業が不動産を購入し、その場所に新たな施設を建設することは珍しいものではありません。

同様の事例が、メタバース空間においても行われているということなのです。

購入できるメタバースは複数存在している

メタバースと一言でいっても、実際は様々な仮想空間が存在しています。

そして、全てのメタバース空間の不動産を購入できるのかといえば、実はそうではありません。

不動産の売買ができるメタバースは限られており、主に以下のメタバース空間は頻繁に取引が行われています。

  • Upland
  • SuperWorld
  • The Sandbox
  • Voxels
  • Decentraland
  • Otherdeed for Otherside

それぞれのメタバースによって、不動産の価値は異なります。

例えば、Uplandの場合は数百円から購入できますが、人気のあるThe Sandboxなどの場合、数十万円単位からの取引となるのです。

現実世界でも都会と田舎の不動産価値が異なることと同様に、将来性や人気度によって価値が変動しているのです。

|メタバース不動産でできること

メタバース上に存在する不動産ですが、実際にはどのような活用方法があるのでしょうか。

具体的に現在行われている活用方法について、以下の内容をそれぞれ紹介します。

  • 売買・賃貸
  • 店舗運営
  • イベント開催

売買・賃貸

メタバース不動産の売買は仮想通貨を利用して行われます。

メタバース不動産の所有者は、購入時の価格と売却時の差額によって利益を得ることも可能となります。

地価の上昇タイミングを見計らうことも1つですが、所有している土地に建築物を作ることで付加価値を付け、さらに高額で取引を行うこともできるのです。

収益発生の仕組みは現実世界の不動産取引と大差ありませんので、不動産業界を経験している方であれば大きな苦労なく行えるでしょう。

また、売却だけではなくその他ユーザーに土地や建築物を貸し出すことも可能です。

所有しているメタバース不動産によって安定した収益が発生することは大きなメリットとなるでしょう。

店舗運営

メタバース不動産は売買や賃貸だけではなく、店舗運営に活用することもできます。

すでに現実世界において有名な様々な企業が、メタバース不動産を活用した店舗運営を行っています。

メタバースでの店舗運営はECサイトなどを通じた販売とは大きく異なります。

ECショップの場合、訪れた顧客はサイト上の文章や写真、動画などから商品の購入を検討することになります。

しかし、メタバース上の店舗であれば現実世界の店舗に限りなく近い環境での購買が可能になるのです。

例えば、店員がそばで商品の説明をしてもらえたり、3D陳列された商品を実際に手に取って細部まで確認したりできます。

オンラインを通じた購買ではありますが、従来とは全く異なった体験価値を提供できるのです。

イベント開催

メタバース不動産を活用する方法として、イベントの開催はこれまで数多く行われてきました。

過去にはメタバース空間を活用したファッションウィークが開催され、グッチ、バーバリー、バレンシアガといった一流ブランドが参加しました。

他にもアーティストによる音楽ライブの開催や、芸術品の展示会などもメタバース不動産を通じて開催することも可能です。

従来、このように大勢が集まるイベントは現地に足を運び、移動時間と費用を支払う必要がありましたが、メタバース不動産を活用することで誰でも気軽に参加できるイベントが開催できるのです。

世界中の人が気軽に集まれるイベント空間を提供できることは、メタバース不動産の活用方法として最も優れた手法といえるかもしれません。

|メタバース不動産の購入方法

メタバース不動産の購入方法は非常にシンプルです。

具体的に以下の2つのパターンがありますが、基本的な流れに大きな違いはありません。

  • メタバース内で直接購入手続きを進める
  • マーケットプレイスを通じて購入する

日本円での売買は行われていませんので、まずはメタバース不動産に対応している仮想通貨を用意する必要があります。

そのため、仮想通貨の取引口座を開設していない場合は、まずはそちらの作業から取り掛かる必要があります。

換金さえ完了すれば、ECサイトで商品を購入する感覚で売買が完了します。

現実世界において不動産を購入しようと考えた時、やるべきことは数多く存在しています。

様々な契約書を交わす必要がありますが、メタバース不動産であればそのような複雑なやり取りは一切必要ありません。

仮想通貨の口座を開設し日本円を換金、そして購入というシンプルで分かりやすい方法となっているのです。

|メタバース不動産を所有するメリット

現実世界の不動産を所有するメリットについては、様々な内容を思い浮かべられるはずです。

しかし、メタバース不動産を所有することで実際どのようなメリットがあるのか疑問に思われるかもしれません。

メタバース不動産の所有は、具体的には以下のようなメリットが存在してます。

  • ビジネスチャンスが見込める
  • 経年劣化等による修繕費が発生しない
  • 手続きが簡単スムーズ

ビジネスチャンスが見込める

メタバース空間での不動産探しは、現実世界でのそれと異なり気軽に探しやすいという特徴を持ちます。

全国各地を歩き回り、実際の土地を確認する作業は必要なく、自宅にいながらあらゆるメタバース不動産の確認ができるからです。

所有しているメタバース不動産を賃貸に出す場合でも、多くの見込み顧客に対して広告宣伝費を抑えながらアピールできるでしょう。

また、メタバース不動産の価格は上下の幅が大きく、将来的に購入時の価格から数倍以上の価値が付く可能性があります。

まだまだ発展途上の不動産であることから今後の価格上昇も期待できるため、様々なビジネスに応用できる可能性を秘めているのです。

経年劣化等による修繕費が発生しない

現実世界の不動産では、天候の変化や災害などによる外観の経年劣化は避けられない出来事です。

また、住居空間においてもフローリングや壁紙の傷、さらには水回り設備の老朽化など、定期的な修繕費が発生します。

それらに対する修繕費用として、住民から集めたお金を積み立てる必要がありますが、メタバース不動産ではその必要がありません。

デジタル上の不動産であるため、経年による劣化リスクや災害による突発的な被害が起こる可能性はゼロなのです。

不動産を所有する立場からすると、突然の出費に対する備えが必要ないことは大きなメリットといえます。

さらに、長期間保有していた場合でも、時間による価値下落が発生しないという点もあげられます。

計画的な運用ができるという意味で、メタバース不動産は大きなメリットを持っているといえるでしょう。

手続きが簡単スムーズ

メタバース不動産の購入手続きは現実世界の不動産とは大きく異なり、非常に簡単でスムーズに進められます。

現実世界で不動産購入を進めようとした場合、非常に複雑な手続きとやり取りが発生します。

気になる物件や土地があった場合には担当する不動産会社に連絡し、内見の予約を行います。

そして購入時に必要となる書類を集め、ローンを組む場合は審査への申込みを並行して進めることになるでしょう。

この時、専門的な知識を必要とする場面が多く、スムーズに進めることが難しいと感じる方が一般的です。

しかし、メタバース不動産は仮想通貨を利用した取引になり、デジタル空間上の土地ですが、ECサイトで商品を購入する感覚で取引ができるのです。

購入に関する手続きがスムーズに進められることで二次流通のハードルも下がり、市場の活性化にも繋がると考えられるでしょう。

|メタバース不動産を所有するデメリット

メタバース不動産の所有には様々なメリットがある一方、以下のようなデメリットも存在しています。

  • 価格変動リスクが高い
  • 土地が公開されない可能性

デメリットも理解した上で所有を検討してみましょう。

価格変動リスクが高い

現実世界の不動産価格も多少の変動はありますが、急激に価値がゼロになることや、数倍にまで高騰することは基本的にはありません。

しかし、メタバース不動産は短期間の間に大きく変動することがあります。

例えば過去、「The Sandbox」にて販売されていた不動産が半年の間で価格が三分の一にまで減少したことがあります。

購入したメタバース不動産は価格変動リスクが高く、高騰することもあれば急激に下落する可能性を含んでいることは理解しておきましょう。

土地が公開されない可能性

メタバース不動産は、対象のサービスが公開される前の段階から販売されることが一般的です。

そのため事業計画書やプロモーションビデオ、運営側のSNS発信や経営陣の経歴などから購入するかどうかを検討することになります。

しかし、それらの情報が真実であり、土地が100%公開されるという保証は残念ながらないのです。

万が一計画通りにメタバース空間が開発されず途中で終了した場合、購入金額を巡って大きなトラブルに発展するかもしれません。

この事例は過去に仮想通貨によって発生しており、今後メタバース不動産でも起こるかもしれないと危惧されているのです。

|まとめ

メタバース不動産に関して、基本的な概要からメリット、デメリットに至るまで解説してきました。

メタバース不動産は現実世界の不動産と遜色ない取引が可能であり、賃貸や地価の上昇などに応じて収益を得ることも可能となります。

仮想空間上の不動産だからこそ、経年劣化や災害のリスクも少ない上に、購入手続きもスムーズに行えるメリットを持っています。

しかし、価格変動幅が広いことから大きく損をする可能性や、詐欺被害に遭うという事態もゼロではないのです。

そのためメタバース不動産の購入は吟味する必要がありますが、大きな可能性を秘めていることは間違いありません。

メタバース不動産は今後も発展を続けていくことが考えられるため、気になった方は一度メタバース空間で土地や物件の確認をしてみてはいかがでしょうか。