メタバースに関する話題は年々注目を集めると同時に、業界への転職を考える人も増えてきました。

転職や就職といった場面において、自身のスキルを証明する手段として資格は非常に有効となります。

そのため自身のメタバースへの関心の高さ、技術をアピールするために資格取得を検討する方もいらっしゃるでしょう。

しかし、メタバースに関する資格とはどのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、メタバース業界への就職に有利になる資格について深掘りしていきます。

一読いただければ、メタバースに関わる仕事に携わる可能性が高まるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

|メタバースに関する資格は少ない

まずお伝えしなければいけないことは、「まだメタバースに関する資格は少ない」ということです。

メタバースに関連する企業に転職したい場合や、メタバースに関する知識を企業や先方に提示したいと考えたとしても、それらに対応できる資格は多くありません。

資格とは通常、自身が持っているスキルを他者に証明する役割を担います。

そのため、メタバースについて高い専門性やスキルを有していたとしても、それらを資格によって提示することが難しいという状況なのです。

「メタバース専門技術者」や「メタバースエキスパート」といった、ひと目で分かる指標が無いことは、転職希望者にとっても採用企業側にとっても不都合が多いかもしれません。

|唯一の民間資格「メタバースマスター」

2023年5月現在、メタバースに関する資格として「メタバースマスター」と呼ばれる資格が存在しています。

これは株式会社リアルエステート・エージェント・ジャパンが取り扱っており、2022年4月に始まったばかりの資格検定です。

メタバースを活用できる人材を育てる

メタバースマスターは新時代を切り拓く、メタバースを活用できる人材の育成を目的に開始されました。

2022年4月の入学式は現実世界ではなく、メタバース空間にて開催され大きな注目をあつめました。

運営会社であるリアルエステート・エージェント・ジャパンはIT関連の企業かと思われるかもしれませんが、実は不動産に関する事業がメイン。

メタバースマスターで利用されるプラットフォームは「GAIA TOWN」と呼ばれる、アメリカの不動産仲介会社であるeXp Realty社が営業に利用しているものです。

リアルエステート・エージェント・ジャパンは「GAIA TOWN」を利用した国際不動産事業に参入した時、日本がいかにメタバース後進国であるかを痛感したといいます。

この状況を打破するために、民間資格としてメタバースマスターを始めるに至ったのです。

メタバースマスター概要

メタバースマスター検定を修了するには、以下の4つの要件をクリアしなければいけません。

  • 代表である杉浦氏のメタバース講座を受講(2回)
  • メタバース内でのイベントに参加(最低8回)
  • メタバース内でイベント開催(最低1回)
  • 筆記試験に合格

基本的に全ての課程をこなすには、少なくとも2ヶ月は必要であるといわれています。

費用については1ヶ月4,980円に設定されていますが、メタバースだけではなく不動産に関する講座も同時に受けられることから、お得に感じられる内容かもしれません。

受講については特定の教室に足を運ぶ必要が無く、全てがオンラインで完結する点も魅力の1つです。

少しでもメタバースに関する知見をアピールしたいと考える場合は、メタバースマスターの取得が現時点では有力な候補となるでしょう。

|メタバースに関わるために有利な資格は他にもある

メタバースに関する資格は少なく、現在は前述したメタバースマスターのみといえる状況です。

しかし、メタバースに関わるために有利になる既存の資格があります。

こちらでは以下の2つの資格について、それぞれ解説します。

  • Unity認定資格
  • CGクリエイター検定・CGエンジニア検定

Unity認定資格

2005年にユニティ・テクノロジーによって開発されたUnityは、世界で最も普及しているゲームエンジンです。

3Dコンテンツを開発するといった機能だけではなく、ゲームならではの動作を実行する環境や開発に活用できる各パーツを備えていることから、幅広い分野において利用されています。

そして、メタバース関連サービスのほとんどがこのUnityを利用して開発されています。

つまり、Unityに関する高い知見を持っている場合、そのままメタバースの開発にも流用できると採用担当者に判断される可能性が高いということです。

Unity認定資格は以下4つの難易度から構成されています。

  • ユーザー:初心者向け
  • アソシエイト:意欲的なプロフェッショナル
  • プロフェッショナル:2年〜4年の職務経験
  • エキスパート:5年以上の職務経験

まずはユーザーから始め、少しでも現場で利用できるスキルを証明してみてはいかがでしょうか。

CGクリエイター検定・CGエンジニア検定

メタバースは3Dコンテンツを作成しますので、それらに関する知識を提示できる資格も有効です。

特に、デザイナー職において「CGクリエイター検定」や「CGエンジニア検定」の2種類はおすすめとなります。

「CGクリエイター検定」ではデザインや2次元CGの基礎、構図やカメラワークといった映像制作の基本から表現に必要な知識が求められます。

「CGエンジニア検定」ではアニメーションから映像、ゲームやVRに関するソフトウェア開発からカスタマイズ、システム開発を行うための知識が求められます。

それぞれで若干求められる知識が異なるため、どの方向を目指すかに応じて取得する内容を考える必要があるでしょう。

いずれにせよ、メタバースに関するスキルの提示としては有力となることが考えられます。

|資格以上に求められるスキルが多い

現在、メタバースに関する資格を保有していること以上に、人材自身が持っているスキルを重視する傾向にあります。

ここではメタバースに関わる際、求められることが多いスキルについて以下の内容を紹介します。

資格取得を考える前に、まずはこれらのスキルを身に着けることもおすすめの方法となるかもしれません。

  • 3DCGソフト
  • UI/UXデザイン
  • 基本的なデザインスキル
  • その他現場でのスキル

3DCGソフト

メタバースに関する求人内容において、「3DCGデザイナー」は数多くみられます。

前述した「CGクリエイター検定」や「CGエンジニア検定」という資格を持っているだけではなく、現場での経験や豊富な知識を持っている場合、即戦力として採用される可能性は高いといえるでしょう。

メタバースで利用されるアバターやアイテム、室内などの空間を作る際に3DCGソフトは利用されることになります。

現場で利用されているソフトとしては、「Maya」や「Blender」などがあげられます。

これらの使用経験やスキルがある場合、メタバースに関する資格を持っていなくても重宝されることが考えられます。

アニメやゲーム、建築業界などにおいて3DCGデザインに関わったことのある人材は、メタバース開発においてもその能力を活かせるでしょう。

UI/UXデザイン

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略称であり、メタバースだけではなくWebサイトやアプリなどにおいても重視される概念です。

またパソコンやスマホの端末自体にも取り入れられており、快適な操作性を実現するために利用されています。

そしてUXとは「User Experience(ユーザー エクスペリエンス)」の略称であり、顧客が製品やサービスを通して得られる体験を意味しています。

仮想空間への没入感を特徴とするメタバースですので、UIやUXはより重視されます。

より使いやすいメタバース空間を提供し、顧客体験や全体の構成と流れをデザインするのです。

ソフトとしては「Figma」や「Sketch」が利用されることが多く、これらのスキルを磨くことも1つの手法となります。

基本的なデザインスキル

メタバースは仮想空間を一から構成する必要があります。

その作業は非常に魅力的ですが、実際に行うためには高いレベルのデザインスキルが必要となります。

「メタバースデザイナー」と呼ばれるポジションですが、前述した3DCGやUI/UXに関するデザインに加えて、デザインに関するテクニックや表現力といった基本的な内容も求められるのです。

アバターが装着する服飾やモンスターの造形、他にも建築物全体などメタバース空間は目に見える全てがデザインされた上で存在しています。

イメージを具体的に形にするスキルに加えて、基本的なデザイン知識も有している必要があるのです。

その他現場でのスキル

メタバースの開発は1人で進めることはなく、必ずチーム単位で進められます。

そのため、チームを円滑に進めるためのスキルなども求められることになります。

具体的には「チームとコミュニケーションを取りながら働ける」や「大人数で何かしらの制作物を作り上げた経験」などがあげられます。

単にスキルが高いだけでは業務が円滑に進まないため、このような経験や対応能力も問われるということです。

基本的にはチームで制作した経験などを3年以上求めることが多く、メタバースに関する仕事へ転職したいと考える場合はこのラインをクリアするように動くことをおすすめします。

|まとめ

メタバースに関する資格についてから、就職や転職時に有利に働くスキルについてお伝えしてきました。

メタバース自体まだまだ新しい技術ということもあり、自身のスキルを提示できる資格はまだ「メタバースマスター」という民間資格のみとなっております。

しかし、業務に必要な知識をアピールできるUnity認定資格やCGクリエイター検定、CGエンジニア検定といった資格も存在しています。

また、メタバースの開発現場では資格以上に「スキル」が求められる傾向が強くなっています。

そのため、まずはすぐに始められる内容、今の仕事で培えるスキルを伸ばしながら、少しずつ資格取得を目指していってもいいかもしれません。