近年、ビジネスへのメタバースの活用が注目されています。

そのため「メタバースを使って何ができるだろう」「取り組み事例を知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

メタバースは今後大きな成長が期待されている領域です。

さまざまな分野で応用の可能性があり、あなたのビジネスにも生かせるかもしれません。

そのため最新の動向を知っておけば新たなチャンスを得られる可能性があります。

そこでこの記事ではコンビニ業界の大手ローソンに着目して、同社が手掛けるメタバースの活用事例について詳しく解説していきます。

この記事を読むことで、ローソンが取り組む「メタコマース」や「アバター店員」について知ることができ、メタバースをどのように活用したらよいのかヒントを得ることができます。

|ローソンがメタバースに参入

出典:https://www.lawson.co.jp/lab/tsuushin/art/1458362_4659.html

世界中でメタバースを使ったビジネスに関心が集まる中、ローソンもメタバースを活用した取り組みをはじめています。その中でも近年以下の2点で注目を集めました。

・メタバース内での店舗イベント(メタコマース)

・アバター店員の導入

まず1点目がVRイベントへの店舗出店です。

2021年12月4日から19日までメタバース内で開催されたイベント「バーチャルマーケット2021」にローソンが初出店しました。

そして2点目が、実際の店舗でモニター越しに接客を行う「アバター店員」の導入です。

本記事では、この2点の取り組みについて詳しく解説していきます。

|メタバース内での販売活動「メタコマース」

メタバース上で行われる販売や販売促進活動のことをメタコマースと呼びます。

上述した「バーチャルマーケット2021」でローソンが出店したのも、このメタコマースの一環と言えるでしょう。

現在ローソンをはじめとする国内の小売企業が、次々にメタコマースに参加しはじめており、すでに海外では現実の店舗の販売実績を超える成果も出はじめています。

メタコマースは、3D空間上を歩き回る感覚で買い物ができる点で従来のECショップとは異なっており、これまでになかった新しいショッピングの形として多くの企業から注目されています。

|ローソンも注目するメタコマース3つの魅力

メタコマースには以下の魅力があります。

・家にいても店舗を訪れたような体験ができる

・デザインや仕掛けが自由自在

・最先端の技術でアピール!新鮮な体験を提供

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

家にいても店舗を訪れたような体験ができる

メタコマースであれば、どこにいてもオンライン上のバーチャル店舗に訪問できます。

例えばユーザーは、アバターを操ってメタバース内のVR店舗に入り、友人とおしゃべりしたり、店員に説明してもらいながら商品を見て回ることが可能です。

このように、従来のECサイトでは難しかった、他者とのコミュニケーションや臨場感を伴った「買い物をしている感覚」を家にいながらにして手軽に味わえる点がメタコマースの大きな魅力といえます。

また、実際の店舗ではあまり見かけないアバター用のアイテムが買えるのも特徴です。

自分の分身であるアバターにアレンジを加えれば、メタバースでの体験がより楽しいものにできます。

デザインや仕掛けが自由自在

メタバースなら、店舗の内装や外装、様々な仕掛けが思いのままです。

現実世界であれば、お店の見た目を変えるのは一苦労、お金もかかります。

しかしVR空間上であれば、費用をかけずにあらゆる試みが可能です。

例えば、一日ごとにお店の色を変えたり、商品を宙に浮かせたり、接客してくれる店員がかわいいミニキャラだったりと現実では難しいような仕掛けでお客様を楽しませることができます。

最先端の技術でアピール!新鮮な体験を提供

メタバースは近年普及しつつありますが、まだまだ一般に浸透しているとは言い難い最新のテクノロジーです。

そのため、メタコマースを体験すること自体がお客様にとって新鮮な経験になり「メタコマースを導入した」という事実だけでも注目を集められる可能性があります。

特にVRゴーグルを装着し360°の映像で体験するメタバースは、初めての方にとっては驚きの体験になるため、訪れたお店のことをきっと覚えてくれるでしょう。

|メタコマースには2つの方向性がある

最近、メタコマースの活用方法には以下の2つの方向性が見てとれます。

・デジタルとリアルグッズのセット販売

・デジタル店舗のエンタメ化

それぞれのやり方について見ていきましょう。

デジタルグッズ販売、リアルグッズとのセット販売も

アバターの着せ替えアイテムなどデジタルグッズは商品として人気があります。

例えば、海外発の有名ゲームタイトル「Fortnite(フォートナイト)」では、操作するキャラクターの見た目を変えるアイテム(アバタースキン)の売り上げが年間約3000億円以上にものぼると言われます。

アバターは、メタバース内で自分を表現するいわば分身のような存在です。

現実で服を着替えたり、お気に入りのアクセサリーを身に着けるように、アバターにも個性を持たせたいという需要があります。

また、現実に売っているアイテムをデジタルグッズ化して販売する試みも出はじめています。

自分が現実で身に着けている服やお気に入りのアイテムをデジタル空間内に持ち込むことで、アバターやメタバースにより一層思い入れを感じて楽しめるようになります。

メタバース店舗のエンタメ化

エンターテイメント性の高いデジタル店舗を作って、お客様にアピールすることができます。

オリジナルの企画や一日店長としてVTuberを起用するなど、来店したお客様に楽しんでいただけるような工夫を凝らすことで、買い物をするという体験自体をコンテンツにします。

「バーチャルマーケット2021」にローソンが出店したのが良い例で、デジタル店舗をエンタメ化することで、メタコマースならではの価値を生み出し、販売促進に生かしています。

|ローソンのアバター店員

ローソンは近年、アバター店員という新しい取り組みをはじめました。

アバター店員とは、言葉通りアバターを用いた接客サービスのことです。

店内に設置されたモニターにアバターが映し出されており、そのアバターを通して従業員がお客様を案内します。

先日、東京都内にオープンした近未来型店舗グリーンローソンにて既に運用がはじめられており、コンビニにおける新たな働き方として注目されています。

【グリーンローソン】

食品ロス削減など、サスティナブルな取り組みを集約した近未来型店舗のこと

アバター店員の仕事

ローソン内のモニターに映し出されるアバターを遠隔で操作し、お客様の接客を行うことがアバター店員の仕事です。

おすすめ商品の紹介やセルフレジの使い方の説明、商品の場所を案内など、来店したお客様の対応にあたります。

体の動きをパソコンのカメラで撮影して、リアルタイムで画面上のアバターに投影する仕組みになっています。

声も変換されるので男女問わずアバターのキャラクターになりきって仕事ができます。

なぜアバター店員なのか?取り組みの意義

アバター店員の導入には大きくわけて2つの意義があります。

・人手不足解消

・働きづらさを抱えている方に働く場所を提供する

コンビニ業界は慢性的な人手不足に悩まされています。少々古いデータにはなりますが、経済産業省による調査「コンビニ調査2018」によると「従業員は十分に足りている」と答えた経営者は全体のたった6%でした。

しかしアバター店員を導入すれば、わざわざローソンに来なくても働けるため店舗の近場からスタッフを募集する必要がありません。

時間や場所、年齢、性別、身体的ハンデの有無にとらわれない働き方ができるため、これまで採用が難しかった層から従業員を募集できます。

そのためアバター店員の導入は、働きづらさを抱える方に職を提供できるという社会貢献を実現しながら、人手不足の解消につなげられる施策だといえます。

アバター店員の採用状況

昨年9月に一般募集を開始したところ、様々な地域から老若男女問わず約400人の応募が集まりました。その中から、書類選考や面接を経て10~30名程度が採用される模様です。

気になる時給は1100~2000円。

アバターオペレーター(アバター店員)は、まだ試験的な導入の段階ですが、2025年度には全国で1000人程度を認定する方針とのことです。

現在は募集期間が終了していますが、アバター店員の取り組みが廃止にならなければ、また新たな募集があるでしょう。

|まとめ:未来のコンビニの姿が見えてきた

この記事では、メタバースを活用したローソンの取り組みについて、主に以下の内容をお伝えしました。

・ローソンをはじめとする様々な企業がメタバースの活用をはじめている

・メタバースを活用したローソンの取り組みに「メタコマース」と「アバター店員」がある

・メタコマースは新たな買い物の形として注目されている

・アバター店員はアバターを活用して接客を行う新しい働き方。人手不足の解消に期待されている

近年ローソンをはじめとする様々な企業がメタバースを活用できないかと試行錯誤しています。

メタバースを用いた技術自体がいまだ未成熟で、黎明期の様相を呈していますが、今後間違いなく伸びてくる事業領域です。

メタバースを活用した商業活動には大きな可能性が秘められているので、ぜひこの機会にメタバースをとり入れた新しい試みに注目してみてください。