既に本サイトでもご紹介していますが、ChatGPTが日本でも日々話題になっています。
国会での質問に利用されたのも勿論ですが、今や様々なビジネスへとChatGPTは利用されているのです。
そんなChatGPTに対抗して、新たな対話型AIが生まれたのはご存知でしょうか?
それが今回ご紹介する「Bard(バード)」と呼ばれるAIです。
皆さんもご存知のGoogleが開発したこのBardについて、どのようなAIなのかを本記事ではご紹介していきます。
また、ChatGPT・BingAIとの違いや始め方・使い方、注意点までまとめておりますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
|Bardとは
Bardとは、Google社が開発した対話型AIです。
2023年2月に発表され、3月21日にアメリカとイギリスで公開されました。
対話型AIといえば「ChatGPT」が大きな話題を集めていますよね。
そういった背景もあり、Googleだけでなく、Microsoft社やMeta社もAI搭載ツールの開発・展開に急ピッチで取り掛かりました。
現在、Microsoftからは「Bing AI」が公開されており、こちらも話題を集めています。
もともとGoogleはBardのリリースに対して、かなり慎重な姿勢をとっていました。
なぜなら、対話型AIがGoogleの検索エンジンへ搭載されることで、広告収入やビジネスモデルにも何かしらの影響が出ると考えられていたからです。
その慎重な姿勢もありChatGPTに遅れを取ってしまいましたが、今回ご紹介するBardも非常に素晴らしいAIですので、本記事ではその特徴などをご紹介していきます。
尚、スペルは「Bard」が正しい表記となります。「Bird」ではありませんのでご注意ください。
日本でも遂に公開!
リリース当時はアメリカとイギリスのみで公開されていたBardも、遂に5月11日、日本語と韓国語に対応しました。
また、従来まで利用前に事前登録・順番待ちが必要でしたが、同日に解除されました。
ですので、現在では気になったら気軽に使えるツールとなっています。
現在は「試験運用中」とのことで、今後機能が追加されることが期待されています。
また、日本での公開と同時に180か国以上の国で英語版の利用ができるようになったということです。
今後も多くの国に対応すべく、幅広い言語に対応するのではないでしょうか。
|Bardの特徴
ChatGPTに対抗して開発されたBardについて、早速どんな特徴があるのかについて見ていきましょう。
言語応答に特化
まずは、対話型AIとして言語応答に特化しているという点が特徴です。
開発当時、Bardは対話に対して学習をした言語モデルである「LaMDA」という技術を基盤としていました。
これは2020年に発表されているGoogleの初期研究に基づいており、一度訓練すれば無限の話題について自由な流れで会話・応答することができるといわれています。
しかし、現在は最新の言語モデル「PaLM 2」に移行しました。
これは次世代のモデルともいわれており、プログラミングコードの生成や多言語への対応、推論機能が優れているとGoogleが発表しています。
学習している言語のテキストは100以上とされており、慣用句やなぞなぞなど理解が難しい文章の生成や翻訳も可能で、言語能力を問う試験にも合格しているとのこと。
このPaLM 2は既にBardだけでなく、20以上のGoogle製品にも搭載されました。これにより、ビジネス効率化への期待が寄せられています。
複数の回答例を提示してくれる
Bardならではの特徴として、複数の回答を提示してくれる点が挙げられます。
一つの質問に対して、それぞれ違う視点からの3つの回答を出してくれます。
ですので、想像していた回答が返ってこないということが減ります。
また、さらに別の回答を求めることも可能です。
自分のニーズに合った回答を得ることができるでしょう。
回答をGoogleサービスにエクスポート可能
返ってきた回答は、簡単にコピー&ペーストできるだけでなく、GmailやGoogleドキュメントへ簡単にエクスポートすることが可能です。
よくGoogleの機能を使う方、メールの文面・資料や記事などクリエイティブな使い方をしたいという方にとっては嬉しい機能なのではないでしょうか。
Google検索と連動
Googleといえば「検索エンジン」というイメージがありますよね。
誰にでも良く知られている検索エンジンと連動して使用することができるのは、Bardならではといえるでしょう。
Google検索だけでなく、Google MapsやGoogle Earthなど、これまで開発してきた情報サービスとの連携も期待されています。
|BardとChatGPTの違い
続いて、実際にBardはChatGPTとどのような点が違うのかを解説します。
比較検討する際に参考になれば幸いです。
ChatGPTについては以下の記事でご紹介していますので、こちらをご覧いただいた上でお読みいただくと理解が深まります。
ぜひ併せてお読みください。
回答元のソースを示してくれるか
ChatGPTは、回答の根拠となるソースを提示してくれないので、どうしても信ぴょう性に欠けてしまいます。
一方でBardは「ソースを示すように努力している」ということで、極力ほとんどの回答にソースが示されるようになっています。
自分の目で信頼できる情報かどうかをすぐに判断できる点はBardが優位といえますね。
回答をエクスポートできるか
先ほどご紹介したように、Bardには回答をGoogleドキュメントやGmailにエクスポートする機能を有しています。
ChatGPTにはこの機能がありませんので、自分でコピー&ペーストをする必要があります。
Bardは調べた情報を簡単かつ効率的に利用したり残したりすることが可能です。
最新の情報が入手できるか
ChatGPTは原則2021年9月までの情報のみ認識するので、それ以降の情報は回答に反映されていません。
しかし、BardはGoogleの検索エンジン母体があるため、常に最新の情報を提供してくれます。
情報は常に変動していますので、いつでも最新の情報を把握しておきたいという方にはBardをおすすめします。
コーディングやデバッグができるか
ChatGPTはリリース時、プログラムやコードの生成ができることで話題となりました。
一方でBardは、プログラムやコード生成だけでなく、デバッグが可能とのことです。
今までコード生成は「学習中」とされていましたが、PaLM 2の搭載によりコード生成も可能になっています。
|BardとBingAIの違い
続いて、Microsoftが開発したAIであるBingAIとの違いについて解説します。
こちらも、ぜひ比較検討する際の参考にしてみてくださいね。
BingAIについては以下の記事をお読みください。
検索エンジンの違い
一番の大きな違いとして、質問に対する回答を探すための検索エンジンが異なります。
BardはGoogle、BingAIはBingです。
現在、世界の中でも最も高いシェア率を誇るのはGoogleですので、今後Bardがシェア率を伸ばすことが予想されています。
回数や文字の制限
BingAIには、1回の話題で20回まで、会話は1日あたり200回までという制限を設けています。
また、文字数は1回あたり2,000文字までとされています。
対して、Bardには明確な回数制限がありません。文字数は5,000文字まで入力が可能です。
より多くの文章で質問ができるという点ではBardが優れているといえます。
画像生成機能の有無
BingAIは、テキストを元に画像を生成する「Bing Image Creator」という機能があります。
生成してほしい画像の条件やテイストを伝えることで、自動で画像を生成してくれます。
対して、Bardは執筆時点で画像生成の機能はありません。
しかし、5月にAdobeが提供している画像生成AI「Adobe Firefly」との連携を発表しています。
ですので、近いうちにBardでも画像生成が可能となります。
|Bardの始め方
では、実際にBardを利用開始してみましょう。
ここでは利用開始までの手順について解説いたします。Googleアカウントがあれば簡単に始められますよ。
※尚、ここではPC版の画面でご紹介しますが、スマートフォン版も流れは同様となります。
Googleアカウントを作成しログイン
BardはGoogleのAIですので、Googleアカウントが必須となります。
アカウントを持ってないという方は新規作成をしましょう。
Bard公式サイトを開き、「ログイン」をクリック。自分のアカウントでログインしましょう。
Bardを利用開始する
ログインすると、利用規約とプライバシー内容の確認が表示されます。
下まで確認すると右下に「同意する」と表示されますので、そちらをクリックします。
すると「Bardが試験運用中のサービスであるため、必ずしも正しいとは限らない」という但し書きがポップアップ表示されます。
「続行」をクリックすれば利用開始の準備は完了です。
|Bardの使い方
利用開始まで準備ができましたので、続いては使い方についてご紹介します。
Bardと会話してみよう
Bardとの会話は、トップページ下の入力欄からスタートできます。
質問を入力したら、入力欄右の「送信」を選択します。
ちなみに「マイクを使用」を選択すれば、声で質問することも可能です。
試しに、最近自宅で楽しんでいる家庭菜園関連の質問をしてみました。
すると、すぐにBardから回答が返ってきました。
準備するものから植え方、水やりの仕方、収穫までの注意点まで箇条書きでまとめてくれていて、非常にわかりやすい文章です。
初心者の私にはありがたいですね。
回答欄右上にある「他の回答案を表示」を選択すると、複数の回答を提示してくれます。
また、提示されている以外の回答も見てみたいという場合は、「回答案を再生成」を選択すれば可能です。
試しに他の回答案もお願いしてみました。
それぞれ書き方が異なるので、理解しやすいものを選ぶことができますね。
会話を続ける場合は、さらに入力欄へメッセージを入力しましょう。
このように、Bardと会話を進めていきます。
Bardの回答を利用する
回答文は、コピーやエクスポートをすることが可能です。
コピーしたい場合は回答欄右下の「その他」を選択。
エクスポートはGoogleドキュメント、もしくはGmailを利用することが可能です。
試しにGmailへエクスポートをしたところ、表示されていた回答がそのままGmailの下書きに記載されていました。
これを利用すれば、メールの文章作成や資料作成も簡単にできそうですね。
会話をリセット
次の話題に行きたい!という場合は、左列の「チャットをリセット」を選択しましょう。
履歴を確認する
過去にした会話は、左列の「Bardアクティビティ」から確認できます。
もし履歴を残したくない場合は「Bardアクティビティ」をオフにすることもできます。
ただし、オフにした場合でも48時間はアカウントに会話が保存されます。
ですので、会社の機密情報や個人情報はBardに書き込まないように注意しましょう。
|Bardの注意点
非常に便利なものであると思われた方も多いかと思いますが、利用する上でいくつか注意点があります。
ぜひ把握したうえで使用を検討してみてくださいね。
誤った回答を生成する可能性がある
AI全般に対して言えることですが、「必ずしも正しい回答が返ってくるわけではない」ということを理解したうえで使用することが重要です。
Bardには「私には限界があり、常に正しいとは限りませんが、貴方のフィードバックが私の改善に役立ちます」との記載があります。
つまり、Bard自身が欠点を認めているということです。
インターネット上にある膨大なデータを分析して学習して回答を導き出すため、その情報に誤りがあれば回答も必然的に誤ったものになってしまいます。
ですので、Bardを100%信用して利用せず、自分でもその情報が確かかどうかはきちんと調べるようにしましょう。
リスクのある質問には回答しない
注意点の2つ目は、Bardがリスクを回避するような仕様であるということです。
ChatGPTでは回答してくれるような質問にBardは回答しないということもあります。
イーライ・コリンズ氏によると、Bardは間違った情報につながる恐れのある医療や法律、金融、特定の人物に関する回答の提供は避ける傾向にあるといわれています。
ですので、こういった質問はきちんと専門家に聞いたり、自分の目で確かめるようにしましょう。
|まとめ
今回はGoogleがリリースした対話型AI「Bard」について解説しました。
Googleの検索エンジンを利用したAIということですので、今後世界でのシェア率も伸びていくのではないかと予想されています。
今後も新たな機能の実装や多言語対応などにより、ChatGPTやBingAIとともに注目を集めていくでしょう。
始め方や使い方もご紹介しましたので、注意点も踏まえたうえでぜひ利用されてみてはいかがでしょうか。