2023年から大きな注目を集めているChatGPT。

人間が書いたような自然な文章を、一瞬の内に書き上げる能力は見る人全てを驚かせます。

通常、ChatGPTの能力を利用するには指定のサイト上にアクセスし、その中で行う必要があります。

しかし2023年3月2日、「ChatGPT API」がリリースされました。

このことで、ChatGPTの能力を外部システムと連携させることが可能になったのです。

本記事では、そんなChatGPTのAPIについて、その基本的な概要から活用事例を解説します。

さらにAPIの取得方法と注意点についても触れていきます。

ぜひ最後までご覧ください。

|ChatGPTのAPIとは一体何?

そもそも、APIとは一体どのような意味を指す言葉なのでしょうか。

こちらでは、その基本となる内容について解説していきます。

APIとはソフトウェア同士を連携すること

ます、APIとは「Application Programming Interface」の略称です。

見慣れない横文字が並びますので、難しく感じられるかもしれません。

日本語に翻訳するなら、「アプリとプログラミングを繋ぐ役割」といった意味合いとなります。

インターフェースとは、IT業界においてAとBを繋ぐ際に必要となるツールを指します。

例えば、スマホとコンセントを繋ぐ充電ケーブルや、スマホと耳を繋ぐイヤホン、スマホとパソコンを繋ぐUSBなどが、インターフェースとなるのです。

このような物理的な事例だけなく、アプリ同士を繋ぐ役割を担うものも、インターフェースです。

つまり、APIとはアプリとアプリを繋ぐ時に必要となるツールとなるのです。

既存システムにChatGPTを搭載できる

APIとはアプリ同士を連携する際に必要となるツールです。

つまりAPIを利用することでChatGPTというAI技術と、外部のアプリを連携できるのです。

ChatGPTは米国企業の「Open AI」が開発しました。

通常であれば同企業が提供するサービス同士でアプリを連携させることになるでしょう。

しかし、ChatGPTが公開するAPIを利用することで、自社の既存システムや外部アプリとChatGPTの機能を組み合わせられるのです。

例えば、自社の問い合わせフォームと連携させることで、ChatGPTによる自動応答が実現します。

他にも、Googleが提供するスプレッドシートと連携させることで、関数の記述や表の作成などをサポートしてもらえます。

このように、APIを利用することで、既存システムにChatGPTを搭載できるのです。

|ChatGPTのAPIを活用した事例

すでに、ChatGPTのAPIを活用した事例は数多く存在しています。

こちらでは、その中から以下の事例をそれぞれ紹介します。

  • Omneky
  • Manual Force
  • Parame
  • QFINDR
  • Gunosy

Omneky

出典:https://www.omneky.com/

Omnekyは深層学習を利用し、ユーザーごとにパーソナライズされた広告を大量に生成するプラットフォームです。

ChatGPTとのAPI連携によって、テキストベースで誰でも簡単に美しい広告を生成できるサービス「Creative Assistant」を開始。

AIとの会話によって広告コンテンツが手軽に作成できるようになったのです。

細かいビジュアルから全体の雰囲気、使用する画像やビデオの選定を入力するだけで、OmnekyのAIが自動で広告を生成します。

広告を作る作業は専門知識を必要としますが、ChatGPTとOmnekyという2つのAI技術を組み合わせることで、誰でも簡単に美しい広告の作成が可能となったのです。

Manual Force

出典:https://manualforce.jp/

Manual ForceはWebブラウザ上での操作を自動で記録して、その内容をマニュアル化したり、シェアしたりできるサービスです。

ChatGPTとAPI連携したことで、作成したマニュアルのタイトル、さらには説明文についても自動で生成することが可能となりました。

「AIサジェスト」と呼ばれるサービスによって、これまで人間によって対応していた作業が大幅に簡略化されます。

このサービスはGoogle Chromeの拡張機能として提供されているため、インストールすれば誰でも利用が可能。

マニュアル作りの工数を大幅に削減できるでしょう。

Parame

出典:https://parame.jp/

Parame株式会社は、「Parame Recruit」と呼ばれるサービスを提供しています。

こちらは採用時のミスマッチを防ぐリファレンスチェックサービスであり、面接だけでは分からない性格やスキルを取得した上で判断することが可能となります。

しかし、「リファレンスチェックの読み込みが大変」、「状況に応じた質問事項の選択が困難」という課題が指摘されていました。

ChatGPTと連携した「AIサポート機能」を活用することで、リファレンスチェックの質問をAIが選択、リストを作成してくれます。

さらに、選考判断に重要となる内容を書き出してくれるので、チェック作業の大幅な簡略化が実現したのです。

QFINDR

出典:https://qfindr.jp/

QFINDRは株式会社クレジット・プライシング・コーポレーションが提供する、非上場企業の検索ができる企業情報プラットフォームです。

本来、投資の審査などに必要となる複数の情報を、人の手によってチェックする必要がありましたが、ChatGPTとの連携によって情報の要約が可能となりました。

事業内容、想定される課題やリスク、経営戦略といった情報を瞬時に確認できますので、投資や融資の判断がよりスムーズになるでしょう。

さらに、企業Webサイトの要約も可能ですので、より具体的な情報を的確に入手できます。

開示情報の限られる非上場企業ですが、QFINDRとChatGPTの連携によって素早く的確な情報が集められるようになったのです。

Gunosy

出典:https://gunosy.co.jp/service/

株式会社Gunosyが提供する情報アプリ「グノシー」では、短時間の動画コンテンツの提供を行っています。

しかし、動画の視聴には少なくとも1分程度の時間を要するため、忙しいユーザーにとって全てを確認することは至難の業でした。

そこで、ChatGPTとの連携によって動画内容を数行程度に要約し、気になったものだけを視聴することが可能になったのです。

動画を視聴しなくてもその内容を把握できるため、ユーザーは自分の好みの動画を見つける可能性が広がります。

さらに、再生時間の長い動画も配信できるようになりましたので、提供できる情報量も大幅に増加したといえるでしょう。

|ChatGPTのAPIの取得方法

ChatGPTのAPI取得から利用について、基本的な流れは以下の通りとなります。

  • 「Open AI」のアカウントを開設
  • APIキーの発行
  • Python等のプログラミング言語を利用して実行

まず、以下のリンクから「Open AI」へアクセスしましょう。

https://openai.com/product

中央右側にあります「Get started」をクリックし、BOT認証を進めます。

登録に必要となる情報はメールアドレス、電話番号のみですので、作業自体は難しくないでしょう。

登録後、以下のリンク先にて「+ Create new secret Key」をクリックすることで、「APIキー」が発行されます。

https://platform.openai.com/account/api-keys

発行されたAPIキーを保存し、連携したいシステムとプログラミング言語を利用して実行します。

利用料金が発生する

ChatGPTは有料版も存在していますが、無料で利用することもできます。

しかし、APIを活用した連携を利用する場合は、料金が発生します。

そして、月額利用料といった一定金額ではなく、「従量課金制」が採用されているのです。

APIの料金は「トークン数」と呼ばれる数値で決まります。

こちらは、以下の計算式を利用して算出されます。

入力トークン + 出力トークン × 使用モデルにおける利用単価 = 利用料金

トークン数とは、入力した文字列を分割した単位です。

日本語は英語と比較してトークン数が高い傾向にあり、「Hello」は1トークンですが、「計」の場合2トークンとなります。

便利なAPI連携ですが、使えば使うほど料金が発生することは覚えておきましょう。

|API連携の注意点

APIによってChatGPTと外部システムを連携できます。

メリットの多い内容である一方、注意点も存在しています。

こちらでは中でも以下の内容について解説します。

  • 情報漏えいのリスク
  • ChatGPTが提供する品質への依存

情報漏えいのリスク

ChatGPTが提供するAPIはオープンソースです。

誰でも簡単に改良、再開発が行える一方、悪意のあるユーザーによってやり取りの内容が漏えいされる可能性もあります。

そのため、個人情報に繋がる質問や社外秘の内容といった、外部に流出すると問題となる質問は気をつける必要があるでしょう。

やり取りがクローズドであると思わず、情報漏えいのリスクがあると考え、適切に利用する姿勢が重要となります。

ChatGPTが提供する品質への依存

ChatGPTは人間が書いたような自然な文章を高速で生成しますが、その返答内容が誤っている場合もあります。

そのため、ChatGPTによって誤った内容が伝えられてしまった場合、連携したサービス、システムの信用度に悪影響を及ぼすかもしれません。

さらに、ChatGPTへのアクセスが集中する時間帯などにおいては、返答速度が著しく低下するケースも考えられます。

このように、API連携したシステムが利用者にとって使いやすいものか、優れた体験価値を提供できるかはChatGPTの性能に依存してしまうのです。

|まとめ

ChatGPTのAPIについて解説しました。

APIとは「Application Programming Interface」の略称であり、日本語に翻訳するなら、「アプリとプログラミングを繋ぐ役割」といった意味合いです。

つまり、APIを利用することでChatGPTと自社システム、外部アプリを連携させることが可能となるのです。

すでに様々なシステムと連携が行われており、ChatGPTを利用した要約サービスなどは多くの利用者の作業を助けています。

今後もさらなる連携によって、これまでになかった画期的なサービスがリリースされるでしょう。

2023年5月現在、ChatGPTの登場から半年以上経過していますがまだまだその可能性は無限大だといえます。

今後の動向、ニュースに注目すべきといえるでしょう。