こんにちは、メタバース相談室です。

今、メタバースと現実を上手く組み合わせたイベントや施設が多く登場しています。

目新しさもあると共に、今まで取り込むことができなかった顧客層の獲得にも繋がっているのではないでしょうか。

今回はこの事例として、大阪にある「あべのハルカス」をデジタル空間で再現した「バーチャルあべのハルカス」についてご紹介いたします。

特徴だけでなく、どのような背景で登場したのかについても理解を深め、ビジネス活用に役立てていきましょう。

|『バーチャルあべのハルカス』とは

まずは概要をご紹介します。

「バーチャルあべのハルカス」は、「あべのハルカス」と天王寺公園の「てんしば」を、メタバース上に再現したものです。

近鉄不動産株式会社とクラスター株式会社が共同で構築し、2023年3月29日にオープンしました。

高さ300メートルの超高層複合ビルである「あべのハルカス」を舞台に、3つのエリアで構成されています。

エリアの詳細についてはこの後でもご紹介しますが、ユーザーはイベントだけではなく多様な楽しみ方ができます。

また、「都市型メタバース」と位置づけられており、現実と仮想空間の融合によって新たなまちづくりができると期待が寄せられています。

|『バーチャルあべのハルカス』が生まれた背景

では、この「バーチャルあべのハルカス」の誕生にはどのような背景があるのでしょうか。

主催である近鉄不動産は、背景を以下の3点としています。

・現実と仮想空間との融合

・様々なビジネスのトライアル

・クリエイティブ活動の場

1つずつ解説していきましょう。

現実と仮想空間との融合

「あべのハルカス」は2024年3月に10周年を迎えます。

そこで、近鉄不動産では新たな「あべのハルカス」像をつくるための手段として、「メタバースとWeb3.0を利用した経済圏」を構築することを打ち出しました。

これにより、近鉄不動産が事業として掲げている「新しいまちづくり」を実現できるとしています。

2025年には大阪・関西で万博も開催されますので、今後も近鉄不動産ではメタバース化を推進していくとされています。

今回のような「都市型メタバース」だけでなく、観光地や郊外のメタバース化を進めていくと発表していますよ。

様々なビジネスのトライアル

元々、あべのハルカス内のほとんどは近鉄グループの事業で占められています。

ですので、近鉄グループ側にとっては「今後どのような事業を進めることができるのか」をトライアルする場としても存分に利用することができるという点がメリットとして挙げられます。

日々最新のテクノロジーが導入されている現代で、私たちはメタバース内でどのようなことが可能なのかを全て把握しているわけではありません。

また、実際にユーザーの感想はどうか、ニーズはどこにあるのかなどは、様々なイベントを開催しなければ掴むことはできないでしょう。

今後もメタバース化を進めていく中で、トライ&エラーを繰り返し、どの企業よりも先に新たなビジネスを展開していきたいという意気込みが見えてきますね。

クリエイティブ活動の場

現実のあべのハルカスがあるエリアの課題として、クリエイティブな活動が盛んではないということが挙げられています。

実際に、現実のエリア周辺にはそのような活動を自由に行うことができる場が少ないのです。

この課題を解決するため、バーチャルあべのハルカスにはクリエイターが自由に集うことのできる「インキュベーションエリア」を設置しました。

このエリア内ではクリエイター同士の交流だけでなく、作品発表も可能です。

ここで知り合ったクリエイターとのコラボレーション作品の誕生も期待できるでしょう。

クリエイティブ活動が盛んになれば、新たなカルチャーが生まれます。

これにより、そもそもの目的である新たなまちづくりの幅も広がりますし、新たなクリエイターを呼び込むことも可能となりますね。

既存のクリエイターも今までにないインスピレーションやアイデアを得ることができれば、さらに活動の幅は広がっていくと考えられます。

|『バーチャルあべのハルカス』の特徴

ここまで「バーチャルあべのハルカス」の背景や目的等を中心にご紹介いたしました。

次は、実際にどんなエリアを体験することができるのかという点にフォーカスしてご紹介していきます。

3つのエリアで構成

「バーチャルあべのハルカス」は、現実の「あべのハルカス」と「天王寺公園エリア」を元にして、3エリアで構成されています。

各エリアの特徴は次のようになっています。

てんしばエリア

「バーチャルあべのハルカス」の入口としての役割を担ってるエリアで、天王寺公園やてんしばの雰囲気を再現しています。屋外エリアで芝生が敷かれており、大規模なイベントも実施可能な開放感のあるエリアです。

ここではフォトスポットでの写真撮影や、乗り物に乗って楽しむことができます。ゴーカートや空飛ぶクルマでエリア内を周遊することもできますが、空飛ぶ列車に乗るとこの後ご紹介する17階ミドルフロアへワープすることもできますよ。

17階ミドルフロア

近鉄グループ4社のブースが設置されており、各事業ごとに情報発信やビジネスの場として利用されているエリアです。

・近鉄不動産

バーチャル店舗となっており、アバター接客や現実の不動産物件を3Dモデルで展示。また、スクリーンには不動産の情報が表示されている。

・近鉄百貨店

現実で引き換え可能なガチャガチャや、アバターのアクセサリーを販売。

・近鉄・都ホテルズ

現実の大阪マリオット都ホテルに存在するバーが再現されており、気分に合わせたカクテルを紹介してくれる。このカクテルは現実でも存在しており、スクリーンショットを提示すれば割引価格で飲むことができる。

・近畿日本鉄道

近鉄特急「ひのとり」の博物館や、アバターのアクセサリーを販売。

その他、空間利用ができるレンタルスペースや休憩スペースとして利用できるチルゾーン、目印となるシンボルツリーが設置されています。

展望台エリア

「ハルカス300」が再現されており、360度の美しい夜景やイベントが楽しめる空間です。この夜景は、現実のものと同じということです。

58階ではイベント用のステージもありますので、こちらでもイベント実施が可能です。

また、現実にも設置されているハート形のフォトパネルもあるということですので、メタバース上でも変わらず楽しむことができそうですね。

各種イベントも開催

各エリアを用いてメタバース空間でイベントも実施されました。

実際に行われたイベントについて紹介します。

・謎解きゲーム「アテンションプリーズ! バーチャルハルカス謎解きツアー!」

2023年3月29日から4月30日まで開催。各エリアを回り、設置されている謎を解いて進めていきます。

クリアすると現実で利用できる「ハルカス300」のペアチケットがプレゼントされました。

・バーチャルあべのハルカス SKY FESTIVAL300

2023年4月中の毎週土曜日19時より開催。展望台エリアでライブが行われ、人気VTuberが週替わりで出演しました。出演者は、4月1日が鈴原るる、4月8日が猫宮ひなた、4月15日が花畑チャイカ、4月22日が魔界ノりりむでした。

・メタバース空間「バーチャルあべのハルカス」オープニングセレモニー

2023年3月29日に開催。主催である近鉄不動産とクラスターの代表者が登壇し、プロジェクトの概要や目的を紹介しました。また、空間の見学・体験も行われました。

|まとめ

今回は「バーチャルあべのハルカス」についてご紹介いたしました。

まだまだこれから新しいイベントやコンテンツが追加されていく予定となっていますので、気が向いた際などに定期的に覗いてみてはいかがでしょうか。

きっと何か変化を体験できるはずです。

今回の記事を読み、メタバースで開催されるバーチャルイベントの開催や参加について検討される方が1人でも増えてくれたら嬉しいです。

それでは、次回の記事でお会いしましょう!