本記事では、Unityを使用してAR(拡張現実)アプリを開発する方法を、初心者向けにわかりやすく解説します。

ARは、仮想空間と現実空間を融合させる革新的な技術であり、その可能性はますます広がっています。

基本的な概念から具体的な手順まで、ステップバイステップで解説していきますので、是非最後までご覧ください。

|ARとは

AR(拡張現実)は、コンピュータ技術を用いて現実の世界に仮想的な情報を重ね合わせる技術です。

ARを使用すると、スマートフォンやタブレット、AR専用のデバイスを通じて、現実の環境に仮想的な要素を表示することができます。

ARは、さまざまな分野で利用されています。

一般的な例としては、ゲームやエンターテイメント産業におけるARの活用が挙げられます。

例えば、ポケモン GOやPikmin Bloomなどスマートフォンのカメラを使って現実の景色にキャラクターやアニメーションを重ねることで、リアルな体験を提供するゲームがあります。

また、ARは教育や訓練の分野でも活用されています。

例えば、解剖学の学習において、ARを使用すると3Dの臓器や骨格を表示し、生徒や学生がより視覚的かつ具体的に学習することができます。

さらに、マーケティングや広告業界でもARは利用されています。

商品のデモンストレーションや仮想試着、店舗内での案内など、顧客とのインタラクションを高めるためにARが活用されます。

ARは、現実世界と仮想的な情報を融合させることで、新たな体験や可能性を提供します。

技術の進化により、より身近な存在となりつつあり、様々な分野での活用が期待されています。

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|Unityとは

Unityとは、アメリカのユニティ・テクノロジーズ(Unity Technologies)が提供しているゲーム開発のためのエンジンで、世界で有名なゲームメーカーにも採用されており、全世界で100万人以上の開発者が使用しています。

ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要なライブラリや素材などの様々な機能を1つにまとめたものですが、Unityはそれに加えて開発環境や実行環境も含まれているので、いわば、「ゲーム開発プラットフォーム」と言えるでしょう。

基本的には、誰でも利用することができ、ゲーム開発に興味のある人であればすぐに挑戦することができるのも大きな魅力です。

また、条件を満たせば無料ライセンスプランを利用できるため、手軽に使用することができます。

ここで言う条件とは、以下の通りです。

「条件は、直近の 12 ヶ月間に 10 万ドル以上の収益または資金を得ていない、または受け取っていないことです」

プロのゲーム開発で使われているツールですが、無料で利用できることから初心者でも取り組みやすいと言えるでしょう。

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|UnityでARアプリを開発するメリット

Unityを利用したARアプリ開発のメリットは多岐にわたります。

まず、クロスプラットフォームの対応が挙げられます。

UnityはiOSやAndroidなど様々なプラットフォームに対応し、一貫した開発環境を提供します。

これにより、開発者は異なるプラットフォーム向けに別々に開発する手間を省き、効率的にアプリを制作できます。

さらに、Unityは充実したライブラリやツールを備えています。

例えば、AR FoundationはARCoreやARKitなどの主要なARプラットフォームをサポートし、開発者が一つのAPIで両方の機能を利用できるようにします。

また、Unityは強力な3Dエンジンを搭載しており、ARアプリのグラフィックスや操作を高度にカスタマイズできます。

これにより、魅力的なAR体験を提供することが可能です。

さらに、Unityは広大なコミュニティを有しており、開発者が情報やサポートを得るのに役立ちます。

多数のチュートリアルや学習リソースも利用でき、初心者でもスムーズにARアプリの開発に取り組むことができます。

最後に、Unityはビジュアルスクリプティングをサポートしており、プログラミングスキルがない人でもARアプリを開発できる環境を提供します。

これにより、より多くの人々がARの世界に参加し、新しい体験を作り出すことが可能となります。

|UnityとAR開発に必要なツール

Unityを使用したAR開発には、さまざまなツールが必要です。

AR Foundationは、Unityの中でARCoreとARKitの両方をサポートし、開発者が両方のプラットフォームで同じAPIを使用してアプリを制作できるようにします。

ARCoreはGoogleのARプラットフォームであり、Androidデバイス向けのARアプリを開発する際に重要です。

一方、ARKitはAppleのARプラットフォームであり、iOSデバイス向けのARアプリの開発に使用されます。

これらのツールの組み合わせにより、Unity開発者は様々なプラットフォームで効率的にARアプリを構築することができます。

以下で、詳しく紹介します。

AR Foundation

「AR Foundation」は、Unityが提供するAR開発用フレームワークで、iOSとAndroidで個別に実装する必要がないという大きな利点があります。

iOSではARKit、AndroidではARCoreをバックエンドとして使用し、開発者は一貫したAPIを介して両方のプラットフォームでARアプリを構築できます。

デバイスの位置や方向の追跡、平面の検出、特徴点(ポイントクラウド)などの重要な機能をサポートしており、一度リッチなAR体験を構築すれば、それを複数のモバイルデバイスやARヘッドセットにわたって簡単に展開することができます。

さらに、AR Foundationを使用するためのセットアップも非常に簡単であり、Unityの独自機能を活用して堅牢なARアプリを構築し、リリースすることができます。

これにより、開発者は統一されたワークフローでARプロジェクトを管理し、効率的に開発を進めることができます。

ARCore

「ARCore」は、Googleが提供する拡張現実(AR)開発用のSDKであり、Android、iOS、Unity、WebなどのクロスプラットフォームAPIを提供しています。

このSDKを活用することで、新しい没入型体験を構築することが可能です。

ARCoreは、モーショントラッキング、アンカー、環境理解、深度理解、光推定などの基本的なツールを提供し、これにより、人々が遊び、買い物をし、学び、創造し、世界を体験する方法を変えます。

さらに、「ARCore」は特殊なデバイスを必要とせず、スマートフォン内蔵のカメラやモーションセンサーだけでARコンテンツを構築できます。

ARKit

「ARKit」は、Appleが開発した拡張現実(AR)開発用のフレームワークです。

iOSデバイスのモーショントラッキングやカメラを利用したシーンの取得、高度なシーン処理、そして便利な表示機能を組み合わせ、AR体験の構築を容易にします。

ARKit 6では、4KビデオやHDRビデオ、モーションキャプチャなどの新機能が追加されています。

これにより、よりリアルなAR体験を提供することが可能になります。

具体的な使用例としては、顔のトラッキングや物理的な環境で画像を認識し、その位置と向きをトラッキングする画像トラッキングなどが挙げられます。

ARKitはこれらの機能を備え、開発者が魅力的なARアプリを制作するための強力なツールとなっています。

|UnityでARアプリを作成する方法

ここでは、Unityを活用してARアプリを作成する方法をご紹介します。

1.Unityのダウンロードとインストール

最初に、Unityを作業端末にダウンロードしてインストールします。

Unityの公式サイトから、利用規約に同意し、アカウントを登録した後、インストールを進めます。

無料版か有料版かを選択することになりますが、初めは無料版で十分です。

インストールが完了したら、次に進みましょう。

2.新しいプロジェクトの作成

Unityを起動し、画面中央もしくはファイルメニューから「New Project」を選択します。

プロジェクト名やテンプレート、保存場所を設定し、「Create Project」をクリックします。

これで新しいプロジェクトが作成され、ARアプリ開発の準備が整います。

3.Vuforiaの設定

VuforiaはAR開発用のライブラリであり、カメラやセンサーを利用して空間認識を行います。

設定には以下の3つのステップがあります。

(1) Vuforiaの公式サイトでアカウントを登録し、ログインします。

(2) ログインした状態で、「Develop」→「License Manager」→「Add License Key」を選択し、開発用のキーを発行します。

(3) 「Target Manager」→「Add Database」を選択し、マーカーの登録を行います。

データベース登録後、マーカー画像をUnityに導入して利用可能にします。

|まとめ

いかがでしたか?

本記事では、Unityを活用したARアプリの作成方法や、そのメリットについてご紹介しました。

Unityは無料で使えるソフトなので、ぜひ一度ARアプリを作成してみてくださいね!