話題のChatGPTがロボット分野でも既に活用されていることはご存知でしょうか。

ロボットで活用することを検討するものの、様子を伺っているという方は多いと思います。

この記事では、ChatGPTをロボット分野で活用する際のメリットやデメリット、既に進行中の活用事例を挙げて、その全容をわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、ロボットにChatGPTを活用するとどのような可能性が広がり、それがビジネスの未来にどのような影響を与えるのかが理解できます。

ChatGPTをロボットで活用したいと考えている方は、最後まで読んでください。

|ChatGPTとは

出典:https://openai.com/blog/chatgpt

ChatGPTとは、Open AI社が開発した人工知能(AI)のことです。

2022年11月に「ChatGPT-3.5」が公開され、2か月でユーザー数1億人を突破しました。

ChatGPTの能力の根幹は、インターネットにある大量のテキストデータの事前学習と微調整です。

事前学習では、言葉の使い方や、文脈の理解、会話のパターンなどを学びます。

微調整は、特定の応答をより良い回答にするために追加学習をさせます。

ChatGPTの最大の特徴は、人間と対話をしているかのように、文脈を理解しながら自然言語を生成できる点です。

このため、ユーザーは専門的な言葉を使わずに、普段の話し言葉で質問・指示ができます。

また、幅広いジャンルの質問に対して、網羅的にカバーして回答できる点も特徴です。

例えば、一般教養やエンタメ、ビジネス、医療、小説、文章の添削・校正・要約、表計算やプログラミングなど、幅広く回答します。

それゆえChatGPTは、個人・企業を問わず、既存サービスへの応用や新サービスの礎として期待されています。

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|ChatGPTがロボット制御に成功

2023年2月、Microsoftの研究グループが「ChatGPTを使用して、自然な対話で指示しロボットの制御に成功した」と発表しました。

具体例として

・ドローンが障害物を避けて飛ぶ

・ロボットアームが積み木をする

などの制御を達成したそうです。

ロボットは人間の言葉を理解できません。

例えば、「レンジでスープを温めて」と指示しても動きません。

一般的にロボットを制御するには、エンジニアの介入が必要不可欠です。

具体的には、複雑なプログラミング言語やロボットシステムの知識を駆使して、膨大な数の手書きのコード作成が必要となります。

現状の問題点は2つあります。

1 エンジニアの時間と労力が掛かる

2 事前に作成したコード頼みのため、ロボットが柔軟な応対ができない

この現状を鑑みて、「人間がより簡単にロボットと対話できるようにしたい」という理念のもと、ChatGPTを使用してみようとなり、研究に至った背景があります。

ChatGPTは、人間と対話をしているかのような、高度な自然言語生成能力を持ち、幅広いジャンルの質問に対して、網羅的に正しい回答ができるAIです。

今回はChatGPTの能力を活用し、「人間とロボットの通訳係にしたら、人間の言葉で直感的にロボット制御ができた」という画期的な成果発表でした。

つまり、専門知識のない人間でも簡単にロボットを制御ができる、革新的な未来を期待できる出来事なのです。

|ChatGPT×ロボットのメリット

ChatGPTを、ロボットの分野で活用することで得られるメリットについて解説します。

・会話の幅が広がる

・経験から学ぶことができる

それぞれ詳しく解説します。

会話の幅が広がる

ChatGPTを活用することで、人間との会話に幅が広がります。

ロボットは、人間の言葉を直感的に理解し反応することはできません。

そこで、ChatGPTの高度な自然言語生成能力を活用することで、ロボットが人間の言葉を理解し、回答することができます。

例えば

・人間と直感的にコミュニケーションを図れるロボットを誕生

・より自然で直感的に対話できるチャットボットの開発

などが挙げられます。

そのため、製造・医療・カスタマーサービスなど、いろいろなビジネスで有用となる可能性があります。

このようにChatGPTは、ロボットがより身近で親しみやすい社会となるための橋渡しとなり、人間がロボットを受け入れやすい文化となることを期待されています。

経験から学ぶことができる

ChatGPTを活用することで、経験から学ぶことができます。

現状ロボットは、事前に作成したコード頼みのため、コードで決められた応答しかできません。

そこで、ChatGPTの機械学習と微調整の特徴を活用することより、ロボットが経験から学び、パフォーマンスを改善することが可能となります。

例えば、機械学習においてアルゴリズムを使用することで、コード作成をすることなく、ロボットはより柔軟に修正して、応対することができます。

コード作成をしないことで、人間の時間と労力を削減し、他に必要な部分に人員を注力することができます。

このようにChatGPTは、ロボットを経験から学ぶようにトレーニングするために、役立てることが期待されています。

|ChatGPT×ロボットの懸念点

ChatGPTを、ロボットの分野で活用するうえで、懸念される点について解説します。

・回答まで時間がかかる

・情報が正しいとは限らない

これらを理解したうえで、有効に活用していくことをオススメします。

回答まで時間がかかる

ChatGPTを活用するうえでの懸念点は、求めた回答に時間がかかる場合があることです。

主な要因は3つです。

1 質問内容の複雑さ

2 サーバーのトラフィック

3 利用ユーザー自身のインターネット環境

以上3つの要因により、時間がかかる場合があります。

1の「質問内容の複雑さ」が要因の場合の対策は

・明確で具体的なプロンプト(AIへの指示)を提示する

・複数の質問や複雑な問いを分割し一つずつ提示する

上記のような方法を試すことを、オススメします。

2,3が要因の場合は

・利用する時間帯を変える

・ユーザーのネット環境を変える

・有料会員になる

などの方法で工夫し、解決を図ることが有効です。

情報が正しいとは限らない

ChatGPTを活用するうえでの懸念点は、回答した情報が正しいとは限らないということです。

ChatGPTは、インターネットにある大量のテキストデータを事前学習したうえで、あらかじめプログラムされたルールやデータに基づいて回答します。

そのため、学習内容に含まれない情報や知識などには、回答内容が古かったり、誤った情報を回答する場合があります。

また、一般的な対話を目的としているため、論理的推理や専門的な知識が必要な場合、不十分な精度の回答をするケースもあります。

このようにChatGPTをビジネスで活用する際には、定期的にファクトチェックなど、回答内容の精度に対する検証を行い、常に適切な回答精度を保つ必要があります。

|ChatGPT×ロボットの事例

既存のロボットにChatGPTを活用して運用を始めている、6つの事例を紹介します。

より発展的なビジネスに向けて、具体的なイメージができると思います。

ChatGPT活用を検討されるのであれば、是非参考にしてください。

RoBoHoN(ロボホン)

RoBoHoN(ロボホン)は、シャープが提供するコミュニケーションロボットのことです。

人間が話しかけることで反応し、歌ったり踊ったり、過去の会話を覚えたりと、家族団らんの一員として注目されているロボットです。

2023年6月29日から、ChatGPTを活用した新アプリ「お話作ろう」が提供開始となります。

「お話作ろう」では、ユーザーごとのオリジナルの物語を創作することができます。

・ユーザーが設定した登場人物やシチュエーション

・ロボホンがユーザーとの過去の会話内容や旅行した場所

これらの情報をもとにランダムで物語を創作します。

利用するたびに新しい物語が楽しめるため、更なる家族団らんに欠かせない機能となります。

Pepper(ペッパー)

Pepper(ペッパー)は、ソフトバンクグループのヒト型ロボットのことです。

ペッパーは、2014年に世界初の感情認識ロボットとして登場し、人の声を認識して返答する機能があったため、量販店前に置かれ接客している様子が印象的かと思います。

一方で、事前に設定した受け答えをする機能が中心で、雑談には不向きな点が弱点でした。

最近は、ChatGPTの登場により、ペッパーと連携する試験的な取り組みが始まっています。

これにより、苦手であった雑談ができるようになりました。

例えば、「今日の晩ご飯のお薦めは?」と聞くと「ハンバーグや野菜炒めはどうでしょうか」のように返答します。

ChatGPTとの連携手順は3つに分けられます。

・ペッパー胸部のタブレット端末向けの専用アプリを開発

・タブレットのマイクで声を拾い、音声認識でテキスト化

・ChatGPTに送り、テキストをペッパーに読み上げさせる

このような仕組みで動かしています。

実用化に向けて、活用できるジャンルやサービスを前向きに検討しているようです。

Romi(ロミ)

Romi(ロミ)は、会話に特化した手のひらサイズのコミュニケーションロボットです。

独自開発の会話AIが会話を生成するため、自然なやり取りを楽しめる点が特徴です。

話に共感したりと、感情豊かな癒し系として人気があります。

2023年5月17日、RomiにChatGPTを活用した新機能「アシスタントモード」を、提供開始しました。

これにより、ユーザーからの相談や質問に対して、より適切な回答ができるようになりました。

例えば、恋愛相談など人に相談しづらい内容も、気軽に聞ける点はかなり嬉しい機能です。

アシスタントモードへの切り替えは、Romiに「アシスタントモードにして」と話しかけるか、アプリで切り替えるかのどちらかで、やり方は簡単です。

今回の新機能は、従来のRomi本来の強みを、さらに盤石にするアップデートとなり、ユーザー満足度向上が期待できそうです。

cinnamon(シナモン)

cinnamon(シナモン)は、自走式の家庭用見守りロボットのことです。

シナモンの特徴は、外出先からスマホで遠隔操作ができる点と、家族やペットのモニターや健康チェックが行える点です。

また、高度な翻訳機能を備えているため、企業の受付ロボットとしても重宝され、羽田空港で活躍し話題となったことも、記憶に新しいと思います。

そのシナモンに、ChatGPTを搭載する計画が発表されました。

具体的には、ChatGPTを高齢者と会話向けにチューニングするそうです。

高齢者向けにするため2点の工夫にもとに、開発をしています。

・赤外線センサーにより、ロボットから高齢者に話しかける仕組み

・⾼齢者への思いやりを持ったAI会話のチューニング

これにより、⾼齢者が持つ「孤独感」をテクノロジーで解消し、幸福感とQOL向上を考えています。

高齢者のどんな内容の声掛けにも対応し、⼦供や孫のような存在になっていく。

シナモンは、これからの超高齢化社会に必要な、次世代型ロボットを目指しています。

unibo(ユニボ)

unibo(ユニボ)は、顔にあたる液晶タッチディスプレイを中心に、コミュニケーションを図るロボットのことです。

液晶タッチディスプレイを活かしての表情豊かな会話や、静止画・動画・QRコードなどを使ったコミュニケーションが可能なことが特徴です。

そのユニボがオプション提供として、ChatGPTとの連携を可能にしました。

ChatGPTと連携したことで、会話の幅が広がり、様々なシーンでの活用に期待できます。

・高齢者施設でのレクリエーション、入居者との会話

・学校や塾での先生の補助

・オフィスでの訪問者への案内

特に高齢者施設においては、会話や声掛け、見守り、歌や体操、ヘルス系サポートなど、高齢者施設で働く職員の方々の負担軽減にも期待できます。

高齢者と介護職員、それぞれにメリットのある注目のロボットです。

Mini(ミニ)

Miniは、受付・案内用のロボットのことです。

独自開発した音声機能と視覚機能により、人を検知しミニから挨拶や、やりとりができます。

そのため、人に依存することなく、高品質な対応が標準化される点が評価されています。

そのミニが、ChatGPTと連動するよう開発されました。

ミニには既にGoogle Cloudが搭載されているため、ChatGPTとの連動はスムーズです。

・音声をテキストに変換

・テキストから回答内容を決定

・回答内容を音声に変換

このように連動することで、人間のような自然な会話ができるようになり、より高品質な「案内」「巡回」が可能となります。

例えば、図書館では、欲しい本をすばやく見つけて関連本を推奨したり、関心のあるジャンルコーナーへ案内します。

観光地においては、観光客ごとのニーズに合わせた観光案内や、オススメルート(道順)を案内したりと、活躍が期待されます。

最近では、高齢者のコミュニケーションニーズを満たす目的で、介護施設での導入も注目を浴びています。

案内・受付に特化し、いろいろな業種での高品質なサービス提供に期待されています。

|まとめ

ChatGPTとロボットをうまく活用していきたいと思っている方に向けて、解説しました。

ChatGPTとロボット分野は高い親和性を持っています。

ChatGPTの高度な自然言語生成能力と、機械学習と微調整の特徴を活用することで、既存のロボットの限界を補うことができ、革新的な次世代ビジネスを創出できる可能性があります。

少しでもChatGPTのロボット活用に興味を持たれたのであれば、まずは本記事で紹介したロボットの試用をオススメします。

テクノロジーの進化は年々加速しており、それに伴って新たなビジネスも創出されています。

ぜひ最新情報から目を離さないようにしましょう!