2023年は、ChatGPTという文章生成AIが大きく注目を集めた年だといえます。

人間のような文章を生成する能力は驚くべきものであり、すでに様々な分野で活用されつつあります。

高いレベルで人間のような文章を生成できるAIは、人間の指示次第で小説のような架空の物語を創造することにも対応します。

本記事では、そんなAIを活用した小説制作について、その方法からおすすめのAIツール、さらに注意点などについて一挙に解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

|AIと小説の組み合わせは以前からあった

2023年6月現在において、AIが文章を生成するといえばChatGPTの存在は無視できません。

実際、ChatGPTは小説を始めとした架空の物語を瞬時に創造して書き出すことを得意としています。

しかし、ChatGPTの登場以前から「AIのべりすと」や「AI BunCho」といったサービスが存在していました。

これらのサービスでは、キャラクター設定から会話、地の文の比率、改行のタイミングなど、執筆に関する細かい部分を指定できます。

2022年には文学賞である「星新一賞」において、AIで制作された作品が入選しました。

本性は「人間以外の作品を受け付ける」と名言されています。

文章生成AIの能力が向上している状況を踏まえると、今後もAIと小説の組み合わせは広がっていくことが考えられます。

|AIを活用した小説の書き方

それでは、実際にAIを活用した小説の書き方を解説していきます。

人間が担当する分野、AIが担当する分野という2つの工程に分割できますので、それぞれに分けて確認していきましょう。

人間が担当する分野

まず、人間が担当する分野は、執筆するまでに必要となる「小説のベース」です。

AIに対して、「なんでもいいから小説を書いて」と指示してもいい作品は生まれません。

ある程度指示内容を細かく指定する必要があるのです。

具体的には小説のジャンルや設定、構成といった骨組み部分を考えていきます。

ジャンルは「ファンタジー」、「アクション」、「恋愛」、「SF」などあらゆるものに対応できますので、個人の好みに合わせた内容で進めていきましょう。

そして、物語の構成がおおよそ出来上がりましたら、導入と結末についてはある程度固めておく方が良い作品が生まれやすくなります。

まずは「小説のベース」をしっかりと作り込むほど、AIが生成する文章との齟齬が発生しにくくなるのです。

AIが担当する分野

人間の手によって「小説のベース」が出来上がりましたら、それらの内容をAIに伝えます。

指示内容としては、ざっくりですが以下のような事例が考えられるでしょう。

「ジャンルはSFで宇宙旅行がテーマ、火星への旅の途中でトラブルに巻き込まれる話を書いて欲しい」

「主人公は30代の日本人男性、クルーは各国から集まった老若男女合計6名」

このようなイメージで、AIに依頼すれば、内容に沿った文章があっという間に生成されます。

作成された文章で気になるポイント、カットしたい箇所や膨らませたい場面などがあれば、追加で指示することも可能です。

この段階でようやく、AIが小説家、人間が編集者といった立ち位置が完成します。

二人三脚でより良い作品が生み出せるように意見を出していきましょう。

|AIによる小説作成サービス

すでにAIによる小説作成サービスは数多く存在しています。

こちらではその中から、以下の5つをそれぞれ紹介します。

  • AIノベリスト
  • AI BunCho
  • ChatGPT
  • Sudowrite
  • 作家ですのよ

AIノベリスト

出典:https://ai-novel.com/

AIノベリストは日本語では最大規模となる、2テラバイト以上のコーパスを元に0から構築されたAIソフトです。

最低でも5〜6行の文章を入力すれば、イメージしたようなジャンルの文章があっという間に生成されます。

利用に関してはアカウント登録の必要がありますが、無料でできますので安心です。

用意するものもメールアドレスとパスワードの設定と簡単です。

人間の想像力をAIが何倍にも膨らませてくれますので、誰でも簡単に架空の物語の創造が可能となります。

一から小説を作成するだけではなく、すでに出来上がった小説のリライトにも対応しているなど、幅広い用途に利用できる点も大きな強みです。

2022年には「AIのべりすと文学賞」なども行われており、今後の動向に注目が集まるソフトです。

AI BunCho

出典:https://bun-cho.work/

AI BunChoは小説本文の執筆だけではなく、タイトルからプロットといったベースとなる部分についても提案してもらえます。

小説に特化したAIということもあり、自然な文脈に沿った文章生成が実現しています。

すでにAI BunChoを利用した作品が約300万点も生み出されており、このことからもその高い性能がうかがえるでしょう。

クラウドソーシングサイトでは、AI BunChoを利用したプロットやシナリオ制作の案件受注も行われています。

利用については無料ではなく、500〜5,000円の間で4種類の月額プランが用意されています。

それぞれのプランで対応できる内容が異なりますので、本格的に作業を行いたいと考える場合は上位プランを選択する必要があるでしょう。

ChatGPT

出典:https://openai.com/blog/chatgpt

2023年に入り日本国内で大きく注目を集めることになったChatGPT。

現在となっては国内で最も有名なAIといっても過言ではないかもしれません。

ご存知の通り、ChatGPTは文章生成AIですので、架空の小説等についてもあらすじや内容を指示することで制作可能です。

利用については無料版、もしくは月額20ドル(約2,700円)の有料版があります。

ChatGPTの強みは物語の生成だけではなく、小説のベース作りにおいても相談が可能な点です。

編集者と小説家が意見を交わすように、1人では考えつかないようなアイデアも生まれやすくなるかもしれません。

小説作成以外のやり取りも可能になるため、ブレインストーミングの相手や秘書のような役割としても活用できるでしょう。

Sudowrite

出典:https://www.sudowrite.com/

SudowriteはWebライターやブログ界隈で有名なAIツールです。

月額20ドル(約2,700円)という有料プランのみですが、無料期間も一部設けられています。

登録についてはGoogleアカウント経由で可能ですので、短時間で完了できるでしょう。

Sudowriteが最も得意とする文章は、詩や小説、エッセイという分野だといわれています。

特に短編小説に強いとされていますので、小説制作に慣れていない場合はまず、本ツールを利用して短い作品で慣らしていく方法も良いかもしれません。

注意点としては、基本的に英語での利用になるということです。

そのため、翻訳ツールを活用しながらの利用が基本となるでしょう。

多少の手直しなどが必要になるかもしれませんが、文章力向上という面でも役に立つ部分は大きいといえるでしょう。

作家ですのよ

出典:https://www.fun.ac.jp/~kimagure_ai/

作家ですのよは、SF小説家として有名な星新一氏のショート全編を分析し、AIに創作させることを目的としたプロジェクトです。

既存の作家の文体を学習させるということで、非常に高度なAIだと感じられますが、実はそのスタートは古く、2012年9月にまで遡ります。

公立はこだて未来大学の松原教授を中心に、複数人の文章に関する大学教授が集まり運営されているプロジェクトです。

2012年の開発時点において、各メディアに取り上げられ「人工知能と芸術」について大きく注目を集めました。

現在でも精力的に活動が行われており、様々な作品が発表されています。

本格的なAI時代が到来した現在においても、今後の動向が注目されるプロジェクトの1つです。

|著作権に対する注意が必要

AIに小説を執筆してもらえる環境が実現すると、人間が一生かけても書ききれない程、大量の作品を世に出せるかもしれません。

そのため、以下のように考える方もいらっしゃるでしょう。

「複数の作品を販売することで、多くの印税を稼ぐことも可能では」

実は2023年6月現在、AIを利用した創作に対して著作権は認められていません。

実際、以下のような記載も存在しています。

AI 生成物のうち、「AI によって自律的に生成される創作物」と定義した AI 創作物
については、現行の知財制度上は権利の対象とならない。

その一方で、「AIを道具として利用した創作」については著作権が認められています。

つまり、人間がどこまで作品造りに介入しているかによって、著作権の有無が異なってくるのです。

しかしながら、「この作品は全てAIが生成した」のか、「一部のみAIが生成し、基本的には人間が作成した」という点は、第三者による判断が難しい状況だといえます。

そのため、AIを利用した作品に対する著作権は、基本的に認められないと考えておく方が無難かもしれません。

まだ法整備が整っていない状況ではありますので、今後の動向にはよく注意する必要があるでしょう。

|まとめ

AIを利用した小説作成について、基本的な概要から実際に利用できるツール、さらには著作権に関する注意点までを解説しました。

2023年はChatGPTの登場によって、日本中の注目が文章生成AIに集まりました。

人間さながらの文章を高速で書き上げる様子や、架空の物語を複数生み出す能力などは、文字通り人間離れしているといえます。

本記事でも紹介したように、文章を利用したAIは他にも多数存在しています。

今後は小説の世界においてもAIを活用した作品が続々登場するかもしれません。

それらの作品が多くの人の目にどのように映るのか、今後の動向に注目すべきといえるでしょう。