本記事では、2021年後半から注目されている「web3.0」と「メタバース」について詳しく説明します。
20万部を超えるベストセラー「お金2.0」の著者である起業家・佐藤航陽氏も著書内で早くからメタバースの可能性について取り上げていました。
そして、メタバースとは切っても切れない仮想通貨の重要なカギとなるweb3.0についてまとめていきます。
Web3.0は従来のインターネットの概念とはなにが違うのか、Web3.0によって今後どのようにビジネスが変容していくのかについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
|Web3.0とは?そもそも何なのか?

Web3.0とは、2021年後半から急速に注目を集めているインターネットのあり方を表す新しい概念です。
まだまだ浸透していないキーワードであるため、聞いたことはあってもどんなものかわからないという人も多いのではないでしょうか。
正直まだはっきりとした定義はありませんが、既存のWebの問題点を解決できると期待されていて、次のあるべき姿を示す方向性のようなものだと思っていただいて構いません。
トークンやプラットフォームのような暗号資産、NFT、メタバースなどを語る上でもキーになってくるのがWeb3.0の概念になっています。
Web3.0を説明する上でWeb1.0、Web2.0についてもまとめて解説していきます。
|web黎明期のWeb1.0とは?

「Web1.0」とは黎明期のWebのことを指します。
1990年代半ば~2000年代半ばのWebが1.0に当たります。時期以外の細かな定義はありませんが、次に解説する「Web2.0」が提唱されたとき、便宜上名前が付けられたものになります。
詳細な定義がないとはいえ、一般的に言われている特徴として「コンテンツはテキスト・静止画であり、情報の伝達が一方向・一方的」だということが挙げられます。
ホームページや検索サイト、インターネット広告がWeb1.0でした。送る側と受け取る側が固定された状態で情報の発信が行われていたものということになります。
インターネットの誕生により、世界中誰でも情報を発信することができるようになりました。
しかし、当時は発信するためにはウェブサイト構築の知識が必要で、一部の発信者が作ったホームページを閲覧するというのが一般的でした。
|SNS等のプラットフォーマーが台頭するWeb2.0とは?

「Web2.0」とは現在、我々が使っているWebのことを指します。
2000年代半ば~2010年代後半に生まれた言葉で、FacebookやTwitterなどのSNSが普及し、双方向のコミュニケーションが取れるようになり、送る側と受け取る側が常に入れ替わる状態でリアルタイムの情報の共有が可能になりました。
ブログ、SNS、SEOなどがWeb2.0の代表例となります。
また、プラットフォームを運営する企業が世界中のユーザーデータを低コストで収集し解析することでサービス改善を進め、ユーザーが集まれば集まるほどサービス価値が向上するという武器を携え、一気に成長を進めてきました。
今ではそのプラットフォーマー競争に勝ち残った企業がGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれ、圧倒的なシェアを獲得しました。
しかし、このWeb2.0には問題点もあり、ユーザー情報がプラットフォーマー企業に集約されている点にあります。
プラットフォーマー企業のサーバーが不具合を起こしたり、サイバー攻撃を受けたりしてしまうと、情報漏洩、消失の危険性も非常に高まることが懸念されています。
|分散型インターネットを基盤としたWeb3.0とは?

Web3.0とは、「分散」と「トラストレス」が特徴となる次世代のWebのあり方です。
ブロックチェーンの技術などを用いたデータの分散管理が実現されると期待されています。
今回「分散」と「トラストレス」の2つのワードをもとにWeb3.0を解説していきます。
1つ目の「分散」について説明します。
ブロックチェーンでは、ネットワーク内のコンピューター同士で直接やり取りすることが可能です。
データ保存の際も、その保存先をネットワークのコンピューターに「分散」させます。
詳しく説明すると、まず一定期間のデータをブロック単位で記録します。
そして続きとして保存するデータをブロック単位で別のコンピューターに記録します。
ブロックはそれ以前のブロックの記録も保持しつつ鎖のように連結されます。
こうして鎖でつなぎ合わせたように多数のコンピューターにデータを保存します。これが「分散」の原理になります。
2つ目の「トラストレス」について説明します。
データの履歴はネットワークに参加しているユーザーに共有されます。
データは上記の「分散」によってブロックとして細分化されたうえで暗号化されます。
情報の全容を把握するのが非常に難しくなり、セキュリティレベルが高まることが見込めます。
そしてすべての情報履歴が公開される高い透明性により、信頼性が高い水準で確保できます。
多方面からチェックできる状態で、尚且つ、特定の第三者を信頼しなくても信頼性が担保されることになります。
これが「トラストレス」の原理です。
今話題のメタバース、NFTなどがWeb3.0の代表例になります。
|Web3.0の代表例であるメタバースとNFTの関係性
メタバースの話題が出てくると必ずといっていいほど後ろについてくる言葉に、「NFT」があります。
メタバースとNFTが同じ概念であると誤解している方も多いのでここでおさらいしておきたいと思います。
NFTとは簡単にいうとネットワーク上の画像や動画、音声などのデジタルデータを、現実世界のトレーディングカードやグッズのように売買したり流通させたりするための技術になります。
NFTは「デジタル所有権」とたとえられることもあり、ネット上ではデジタルデータはいくらでも複製することができるので、現実世界のようにグッズやアイテムに固有の価値を持たせることが非常に難しいとされてきました。
そこで、上記で説明したブロックをチェーンのようにつなぎ合わせる技術(ブロックチェーン)を利用して、デジタルデータに対して現実世界のグッズのように唯一無二の希少性を与える技術がNFTです。
将来的にメタバースとNFTの技術が融合する可能性は高いですが、現段階においてはメタバース≠NFTであり、相性がいいかもという認識だけで同一のものとされていることが多いです。
メタバースは以前の記事で何度も触れてきましたが、一言で言ってしまえば、「相互方向でコミュニケーション可能な3Dバーチャル空間」ですが、
それがブロックチェーン上で動く必然性は今のところありませんし、メタバース上の3DデータがNFTとして売買されたり流通したりすることも必ずとしてありません。
つまりメタバースにおいてはNFTやブロックチェーンの要素は「あってもなくても同じ」というくらいの認識であり、実際にそれをサービスとして必須項目と考えているプラットフォームもほとんどありません。
ですので、3DデータをNFTとしてやり取りできることがメタバース定義の必須条項として認識はしないよう注意が必要です。
|メタバースとNFTがバズワードと呼ばれ、注目されている理由
メタバースとNFTというワードを最近よく耳にするようになった背景として、相場を盛り上げるために常にホットなテーマを取りこんだことが挙げられます。
仮想通貨を取り扱っている企業はブロックチェーン技術がさまざまな産業に応用できることをアピールすることで市場価値を高めることができます。
もう一つの背景としては、メタバースとNFTを融合させたプラットフォームが少ないながら一定の実績を出し始めているということもあります。
実際に『Decentraland(ディセントラランド)』などのプロジェクトでは、3D空間内をアバターで動き回り、ゲーム内通貨が取引所で現実世界と紐づいて売買され、デジタル上の土地やアイテムをNFTとして売買することができる環境が整えられつつあります。
|Web3.0でできること
Web3.0では、Web2.0の問題点を解決できるようになると考えられています。
Web2.0の問題としては上記で挙げた、「ユーザー情報がプラットフォーマー企業に集約されているため、情報漏洩、焼失のリスクが高まる」ことがあります。
「ユーザー情報」には、検索履歴や趣味嗜好も含まれています。
ウェブサイトを見ているときに表示される広告も、個々の検索履歴などをもとに表示されています。
また、現在は集約されたサーバーにより、サーバーダウンが発生するとシステム全体もストップしてしまいます。
この問題は「単一障害点」とも呼ばれ、サービスを提供・管理しているのが一部企業に集中していることが原因として挙げられます。
Web3.0ではこのような問題点も解決され、且つメリットもたくさんあります。
ここからはWeb3.0のメリットである
・DAppsによる情報漏洩の防止
・個人情報を安全に管理できる
・P2Pの活用
・クラウドサービスでの収益化
について具体的に解説します。
・DAppsによる情報漏洩の防止
Web3.0を導入すると、現行のアプリは、OSやデバイスに依存しないアプリケーションであるDApps(Decentralized Applications:分散型アプリケーション)に取って代わられると言われています。
例えば、ブラウザであれば、Google Chrome→Brave、ストレージであれば、Google Drive→IPFS(Interplanetary File System)といったようになります。
DAppsの大きな特徴は、ブロックチェーン上に構築され、データの「分散」を基本としている点です。
このため、情報漏洩のリスクが少なく、個人情報を不当に利用されないといったメリットがあり、ユーザーはそれらのメリットを存分に受けることができるようになります。
・個人情報を安全に管理できる
Web3.0は、各自がブロックチェーンのアドレスを保有し、必要な場合に都度IDでログインするため、個人情報を自分で管理できるメリットがあります。
これは、ユーザーが氏名や住所など、さまざまな個人情報を登録して企業に渡していたWeb2.0とは大きな違いです。
個人情報を自分で管理できるメリットは、企業による情報搾取を防ぐだけではないのです。
サイトに訪れたユーザーの情報を一時的にユーザーのブラウザに保存する「Cookie」などによって、その後の情報を追跡されるのを回避できるようになります。
企業やシステムによる個人情報の搾取、追跡行為がなくなると、リマーケティング広告など、購買意欲をかき立てる広告を配信させないといったことが可能になり、快適なネット生活を送ることができます。
・P2Pの活用
Web3.0は、不特定多数の端末が、サーバーを介さずに、端末同士で直接データをやり取りできるP2P(Peer to Peer)によるネットワーク接続を基本としています。
このため、Web3.0は、サーバーを管理する仲介組織を排除し、サーバーのアクセス集中を防ぐことができます。
仲介組織を排除すると、どのようなメリットがあるのかというと、Web2.0の問題点でも指摘のあった一つのネットワークに依存するという問題の解消が挙げられます。
仮に悪質なユーザーがハッキングを行ったとしても、Web3.0はデータの「分散」を行っているため、データの漏洩や改竄の被害を最小限に抑えることができるのです。
・クラウドサービスでの収益化
ブロックチェーンの技術を用いるWeb3.0では、データの記録や保存はサーバーではなく多数のコンピューターに「分散」して行われます。
これは、Web3.0ネットワーク内にデータを保存するストレージが必要になるということでもあります。
既に提供されている分散型ストレージサービス「Filecoin」の例では、自分のストレージの空き容量を貸し出すと報酬が得られます。
空き家を貸して家賃収入を得るようなイメージです。
また、報酬額は自分で設定できるので、安く貸し出す人が現れて価格競争が起これば、ストレージの利用者としても低価格でサービスが利用できる可能性があります。
|Web3.0の課題

これまでWeb3.0のメリットについてまとめてきましたが、当然デメリットがないというわけではありません。
Web3は徐々に利用が広がってきたと言っても、ゲーム市場やブロックチェーン市場など、ほんの一部の市場に過ぎません。
また、プラットフォーマー企業を介さないため、情報漏洩・消失が起こった場合はすべて自己責任になります。
ここからは、現状のデメリットについてまとめていきます。
・業界のスピードに法的土台が整っていない
現在、Web3.0を中心に、メタバースやNFTなどの最先端技術は日進月歩の革新が行われています。
極端な話、今日リリースがあった記述が明日には過去のものになってしまっているなんてこともあるかもしれません。
その圧倒的な技術革新のスピードに法整備が付いていけない状態になっています。
法律が整うまでは無法地帯ということです。
良い面と悪い面は表裏一体ですので、こういったデメリットも頭の片隅において利用するといいでしょう。
|Web3.0とメタバースのまとめと今後の展望
ここまで、Web1.0からWeb3.0の変遷、Web3.0のメリット・デメリットについてまとめてきましたが、皆さんいかがでしたでしょうか?
Web3.0によって画期的に我々が使いやすい技術になった反面、早すぎる技術革新の弊害もご理解いただけたのではないでしょうか?
デメリットがあるとは言っても、今後法整備が整ってきてより便利になることは間違いありません。
もしかしたらYoutuberやSNSで活躍しているインフルエンサーなどがWeb3.0に移行していけば、また新たな経済圏を獲得していくかもしれません。
そんな未来を楽しみにしながら、ネットライフを謳歌していきましょう!