「2022年はメタバース元年となる」と言われています。

確かにゲームやアミューズメント、さらにファッション、ビジネスの世界でのメタバースの利用が急速に広がってきています。

しかしそのメタバースが、医療の分野でも活用されているのはあまり知られていないかもしれません。

そこで今回は、医療分野におけるメタバースの活用事例や今後の課題について考察します。

メタバースによって医療にどんな変化がもたらされるのか?ぜひ、最後までご覧ください。

|医療分野でもメタバースが広がりつつある!事例を紹介

メタバースを活用することによって、これまでの医療プログラムがより便利で質も向上したり、現実世界では難しい医療行為も可能になります。

メタバースを取り入れた、新たな医療の取り組み事例をご紹介します。

メタバース空間で大規模医療学会を実施

これまで医療業界ではリアル会場や、Webを通じて医療学会を実施してきました。

ところがコロナ禍以降はWeb会議ツールを活用したオンライン学会が主流となっており、リアル会場に比べて講演者と参加者の交流が激減してしまうことが大きな課題となっていました。

そこで、近年ではメタバース空間を活用した医療学会の開催が増えています。

課題であった「交流」については双方からのコミュニケーションが可能となり、また参加者はアバターを通じてリアル会場のように自由にコミュニケーションをとることができます。

メタバース会場内には、「講演スペース」、「懇親会スペース」、「休憩スペース」などレイアウトは自由に設計することができますので、目的や開催規模に応じて会場を作ることができます。

医療業界に特化したメタバースプラットフォームは少なく、学会や講演会でメタバース会場を使ってみたい方は、是非医療業界特化型のメタバースプラットフォーム「Medical Verse」をご検討ください。

VRを活用して臨床トレーニングを実施

2016年設立のベンチャー企業「Holoeyes」が提供するのが、3D空間上で手術のシミュレーションが行える「Holoeyes MD」。

これまで平面モニタや模型で行っていた術前シュミュレーションを、VR上で行うことができます。

またオプションサービスの「Holoeyes  VS」を利用することによって、メタバース内で複数人が同一の3Dモデルを使ってシミュレーションしたり、カンファレンスを行うことも可能。

遠隔地からでも場所を問わずにトレーニングしたり、術中に起こるトラブルへの対応も練習できるため、医療従事者のスキルアップはもちろん、業務の効率化や感染症対策にも大きな効果をもたらします。

メタバース上のアバターを活用して健康診断や人間ドックを実施

メタバースにおけるアバターは、『自分の分身』という役割がありますが、これをさらに推し進め、健康診断や人間ドックに活用しようという試みもなされています。

自分自身の身体的特徴や健康状態をアバターに反映させて、メタバース上にもう一人の自分を作り出す。

そのアバターをチェックすることによって、近未来の健康状態を予測したり、複数ある既往症の治療方法から最適なものを選択するためのシミュレーションなどを行おうというわけです。

現時点では想定の段階ですが、これが実現すると時間や場所にとらわれず、気軽に自分の健康状態を知ることができます。

将来的には健康診断や人間ドックもメタバースでやるのが当たり前、という時代がやってくるかもしれません。

メタバースを利用したヘルスケアサービスを開始

もうすでにメタバースでのヘルスケアサービスを提供しているのが、「株式会社comatsuna」。

利用者は匿名のアバターを利用して、医師による悩み相談、同じ病気を抱える人同士のコミュニティサービスなどを利用できます。

産業医、また精神科専門医でもある同社代表の吉岡鉱平氏がこのサービスを立ち上げたのは、コロナ禍によってメンタル面の不調を訴える人が急増しているからとのこと。

匿名のアバターで参加できる、不特定多数の人とのつながりが持てるというメタバースならではの特徴が、このサービスの価値を高めています。

単なる診療や治療にとどまらない、メタバースでの「人とのつながり」が、メンタルヘルスケアにも非常に有効に働きそうです。

メタバース上に病院を設立

順天堂大学病院が日本IBMとともに、メタバース上に実際の病院を模した「順天堂バーチャルホスピタル」を構築しています。

しかし、なぜわざわざメタバースに病院を設立させるのか?それはもちろん、メタバースに大きな可能性とメリットがあるからです。

順天堂バーチャルホスピタルが目指すのは、以下の3つ。

  1. 実際の来院前にバーチャルで病院を体験できる
  2. 外出が困難な患者のためのコミュニティ創生、治療の疑似体験
  3. メンタルヘルスケアの改善

メタバースならではのメリットに加え、予約や問診、支払いなどの通常業務もメタバース上で行えるようにするとのこと。

それによって、患者の満足度向上や働き方改革、医療の質の向上、さらに新たな医療プログラムの開発などを目指しているのです。

2022年度中にバーチャルホスピタルを設立、2024年までに新たな医療サービスの構築を目指している順天堂大学の取り組みに、今後もさらに注目していきましょう。

|医療の可能性を広げるメタバースには課題もある

医療の分野にメタバースを活用することには大きなメリット、可能性を秘めていることが良く分かります。

しかし医療という非常に大切なテーマを扱うため、解決しなければならない課題も残されています。

・安全性の確認をどのように行うか

メタバースでの医療行為で最大の課題となるのが、安全性の確保でしょう。

現実の医療現場では安全性を高めるために、二重三重のチェックがなされています。それをメタバース上でどのように行うのか?医療従事者だけではなく、メタバース事業者も真剣に考えなければなりません。

それに加え、利用者に対して安全性を理解してもらう取り組みも重要です。メタバースがいくら便利だと言っても、安心できない医療サービスを利用したいと思う人はいないのですから。

・患者の個人情報をどう保護するか

安全性の確保と同時に、患者の個人情報をどのように保護するかも非常に大きな課題となっています。

オンラインで提供されるメタバース医療プログラムには、サイバー攻撃などのリスクがつきまといます。技術が高度になればなるほど、そのリスクも高まる。

医療という非常にセンシティブな個人情報を扱うわけですから、Web3などの新たなテクノロジーを用いた、高度な個人情報保護のあり方を考えていかなければなりません。

|医療におけるメタバースのまとめ

医療の分野にメタバースを活用するためには、安全性の確保や個人情報保護などの課題も残されています。

しかし実際の事例を見ても分かる通り、メタバースには既存の医療サービスに質の向上をもたらすだけではなく、新たな医療プログラムを生み出せるという大きな可能性を秘めています。

メタバースを用いて、誰もが便利で質の高い医療が受けられる。そんな時代の到来が、もうすぐそこまで来ているのです。